9.《ネタバレ》 -The Death of Stalin-“スターリンの死”。邦題と日本版予告編の作りから、もっとゲラゲラ笑える作品だと思ったけど、案外、終始『ふふっ』ってなるくらいに抑えられていて、実際にあったことを割とそのまま描いている(そのままでも笑えてしまうほど雑な当時のソ連の内情)…のかもしれない。ピアニストのメモとか、急造の医師団とか、どこまでが創作なんだろう?
独裁者スターリン。もっとガチガチに自分にも厳しくしてたのかと思いきや、『さっきのコンサートのレコード持って来い!』とか、閣僚たちと遅くまで酒宴開いてて、こんなワガママと贅沢のし放題だったのかと驚かされる。
過去に何十万人も粛清され、現在進行系でバンバン殺されていく国民。そんな国でコンサートが行われてるとか、スターリンの国葬に多くの国民が参列しようとモスクワに集まってくるとか、抑圧されてるんだか自由なんだか、外からはよく分からないソ連の内情が出ていたと思う。でも、国民は簡単に殺されるんだよな。怖いなやっぱり。
勉強不足で、登場人物ではフルシチョフ(の名前)くらいしか分からず、人間関係の整理が追いつかなかったかな。
中心人物のベリヤが、粛清の中止など、国民側からすると人道的に動いていたようにも見えたけど、最後の裁判の罪状で数々の強姦罪が突然出てきて、それが本当なのか、フルシチョフらに罪を擦り付けられたのか、この映画だけではいまいち判断付なかった。“スターリンが死んでゴタゴタしたのは解った。けど、ゴタゴタに終止して結局どんな方向への舵取りに収まったのか?”が、もっとハッキリ解ればなぁって思った。
エンディングの、写真に映る人物に黒塗り加工していく様子が、なんかソ連っぽい。
子供の頃は鉄のカーテンとか言われて謎だらけのソ連だったけど、あの写真の加工のように雑な隠し方から、じわじわと隠された真実が表に出てきて、その途中経過的な作品と思えば、コメディ要素を取り入れた歴史検証映画って言えるかも。