16.《ネタバレ》 鹿野靖明さんの事はよく知らない。この映画を観ただけの感想。
宣伝で何となく中身は知ってたから、ムカついたら負けかな。と思って観てみた。
映画を観てる側の気持ちは美咲が代弁してくれた。そうだ、もっと言ってやれ!
田中は役割だから仕方なく対応してやってるように見える。そりゃそうだ、本音はやりたくないわ。
私から見てまともな反応の2人に対し、ボラのメンバーは呆れ笑いしながらも鹿野の要求に律儀に対応する。何でだ?
現実には、美咲のようにアタマに来ても、田中のように仕事だから仕方なく介助する人も多いだろう。
講演会とかで注目される障害者なら、金の為に我慢する人も居るかもしれない。でもこのボラの人たちは、そういうのとは違うように描かれている。
鹿野は英検2級に受かってアメリカに行くという高い目標、夢がある。
でもアメリカに行くだけなら行けたハズ。鹿野もプロ障害者になれば、きっとプロ市民やマスコミが鹿野を利用して後押ししたハズだ。
そんな楽な道を選ばないで、自分に『英検2級に合格して』という高いハードルを設けて、結局アメリカに行けなくなるような人。
こんな人だからボラの仲間も「ハハハ、しょうがねぇなぁ」と世話をする。大変だしお金にはならないけど、世話しないと鹿野死んじゃうから。
この映画が伝えたかった“対等”の意味がわかった気がした。
鹿野との関係を問い詰められた美咲の戸惑い方と、思ってても言っちゃダメな事を言ってしまう田中。
突然のプロポーズを言葉を選びながら断る美咲と、それをジッと聞くしかない鹿野。
辞める決意の固まった追い詰められた田中と、それを引き止めようと息が詰まりながら話す鹿野。
主演の3人ともナチュラルな演技がムチャクチャ上手だから、特に大事な会話のシーンはとても引き込まれた。