1.《ネタバレ》 「フォールンシリーズ」(邦題ではエンド・オブ~で統一されている)の3作目。
よくこんな脚本でGOサインが出たなという極めて凡庸な作風。とても好意的に言えば、安定感のある出来か。
過去二作には、テロリストによる制圧作戦のシミュレーションという軍事的な側面が取り入れられており、また、それに対抗したプロフェッショナルの仕事を楽しむという見方が確立されていた。
本作では、現代における大統領暗殺という課題にドローン攻撃という一つの回答を提示して、シリーズのアイデンティティを保っている。
それにしてもドローン軍団の凄まじさたるや、一騎当千が束で襲ってきたレベルの絶望感。無理ゲーである。
あの爆薬の量は映画的な誇張にしろ、実際にやられたらヤバいだろうという恐怖が伝わってきて良い。
軍事的な利用でも成果を挙げているドローンだが、パレードや空港での使用禁止が周知される程に身近な側面もあるので、なかなか良い題材ではないかと思う。
しかしながら全体としてはかなりアイデアに乏しい印象だ。
戦闘狂が戦争を継続するために暗躍するというよくある展開に、主人公が容疑者になって追われるというよくある濡れ衣モノ、さらに回を重ねたシリーズによくあるお父さんネタが詰め込まれた手垢のついた映画である。
また、キャラクター主体のストーリーに走り過ぎているため、リアルな戦闘シーンの魅力が削がれてしまったのももったいない部分か。
森に仕掛けた爆弾で追っ手を殲滅(みんな丁度良い位置にいるんだこれが)するなど、おバカすれすれのマッチョイムズアクション映画の芸風である。ノリノリのニック・ノルティが見られるユーモラスな一面もあるが、全体としては統一感に欠ける。
ぽっと出のダニー・ヒューストンについても黒幕感が酷い。ジェラルド・バトラーと飲みながら語らうシーンなど、これから裏切ることが透けて見え、もはや様式美といった趣だ。
このシリーズ三作目がよくあるアクション映画の流れに乗ってしまったことはそれほど問題ではない。
このシリーズのコンセプトは、よくある作風の中でも差別化を図れるポテンシャルを内包していたはずだ。
逃亡・捜索・挟撃などの要素を、シリーズ独自の目線で展開していればもっと別の評価になっただろうと思う。