1.《ネタバレ》 東京の著名な遊園地を舞台にしたホラーである。「特別協力」として株式会社豊島園、西武鉄道株式会社と練馬区の名前が出ているが、遊園地側としてもプロモーションの一環として全面協力したようで、こういう企画は個人的に嫌いでない。なお練馬区はこの遊園地を成人式の会場にしているとのことで、地域愛を表現する「練馬区民の常識」といった台詞もあり、思いがけずご当地映画的な性質もあったようである。
主な登場人物は女子5人グループ+1人で(男は無視)、序盤でグループの顔を大写しにしたところでこれは良作だという気分にさせられる。女子大生年代の現在と、3年前の制服女子高生の姿を並行的に出しており、こういうので売ろうとする目論見だと思いながらまんまと乗せられてしまう。ただし終盤ではこの全員に嫌悪を覚えることになる(主人公を呼んでいる場面)。
物語としては、失踪した主人公の幼馴染に何が起きたのか、登場人物の記憶を掘り起こしながら明らかにしていく展開になる。テーマ自体はありがちだが、「なに、みんなって」という台詞で問題点が一気に明瞭になり、それへの答えが運命を決する場面が非常に印象深かった。
ホラーとしてはそれほど怖くもないが不穏な雰囲気は悪くない。手前の人物がぼかされて背後の家に焦点が合う場面では、何かいるのかと目を凝らしたが何もいないので何だこれはと思っていると、後で人物をぼかしたこと自体にも意味があるとわかるのはいい趣向だった。また「なんかおかしくない?」という台詞を聞いてよく見ると、背景のFLYING PIRATESが無人で動いているのに気づかされる場面もあったりした。
その他、仕掛けの面でそれほど独創的なものはなく、またホラーによくある都合よすぎの展開やありきたりな演出もある。後日談での少女像?の涙も意味不明だったが、これはもしかして傍観者としての悲しみだったのか、と好意的な解釈をしたくなるのは全体の印象が悪くないせいである。
なお主演の北原里英という人は、前に「ジョーカーゲーム」(2012)で見た時よりもかなり女優っぽくなっており、「嫌われたくないし」の顔はけっこう怖かったりする。小島藤子さんは今回少し可愛い役かと思ったが結局きつい性格の女子だった。浅川梨奈嬢は、映画出演時の通例だろうが胸は隠して脚だけ見せるようにしている。
また小宮有紗さんは、本来はこの中で一番かわいい人だと思うが(※主観)今回はまさかの特殊メイク要員で、ただし観客が唯一心を寄せることのできる登場人物になっている(かわいそうで心が痛い)。