1.《ネタバレ》 イギリス郊外で犯罪と貧困の中に暮らす親子三世代のぎりぎりの生活を描いたクライム・アクション。演技派俳優マイケル・ファスペンダーが二人の子供の将来のためにひりひりするような犯罪を繰り返す父親役を好演しております。トレーラーハウスで今も一緒に暮らす父親の方針で幼いころから学校にも行かせてもらえず、いまだに自分の名前すら書けない彼。でも自分の子供たちにはそんな負の連鎖を引き継がせたくないと必死にもがくさまが、リアルな貧困描写と迫力のカーアクションとともに描かれています。確かに訴えたいテーマも分かるし、俳優たちもなかなか頑張っていたし、肝心のアクションシーンもキレがあって良かったと思うのですが、いかんせん脚本がいまいち練られていない印象を受けてしまいました。最初から最後まで、主人公たちが同じところを堂々巡りしているだけで、一向に物語が進んでいかないのです。そのままお話は大して盛り上がることなくクライマックスを迎え、普通に主人公は捕まって終わり……。うーん、もう少しこの物語に深みを持たせてほしかった。貧困の負の連鎖にもがく家族の苦悩はけっこうリアルに描けていただけに、肝心のストーリーの方がどうにも物足りない作品でありました。