ジョジョ・ラビットのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ジョジョ・ラビット

[ジョジョラビット]
Jojo Rabbit
2019年【米】 上映時間:109分
平均点:7.94 / 10(Review 17人) (点数分布表示)
公開開始日(2020-01-17)
ドラマコメディ戦争もの小説の映画化
新規登録(2019-12-25)【にゃお♪】さん
タイトル情報更新(2020-02-12)【イニシャルK】さん
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監督タイカ・ワイティティ
キャストタイカ・ワイティティ(男優)アドルフ
アルフィー・アレン(男優)フィンケル
サム・ロックウェル(男優)クレンツェンドルフ大尉
スカーレット・ヨハンソン(女優)ロージー
レベル・ウィルソン(女優)
脚本タイカ・ワイティティ
音楽マイケル・ジアッキノ
製作タイカ・ワイティティ
配給ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
ネタバレは禁止していませんので
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【クチコミ・感想】

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1
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17.《ネタバレ》 出尽くした感のあるこの題材を使って、これだけの個性を出したのはお見事!
そして、起承転結の展開が素晴らしい。
およそ30分おきくらいでしたか、絶妙に変化が起こり、まったく飽きることはありませんでした。
特にあの「靴」のシーン・・・その前後の流れも含め名場面と言えましょう。思い出してもグッときます。

あのヒトラーは彼の頭の中で作られた存在なのでしょうが、実は本作そのものが彼の空想ではなかったか・・・
(もちろんいい意味で)カラフルな童話の絵本の世界に入り込んだ気がしました。
牛若丸さん [映画館(字幕)] 9点(2020-03-04 23:02:04)★《新規》★
16.《ネタバレ》 これは見事なる子供のロマコメ映画。

恋をまだよくしらないジョジョと、彼の家にかくまわれた、彼氏がいる年上のユダヤ女。

ジョジョが「どこに住んでるか絵を描いて」といえば、彼女はジョジョの顔を描く。

「これ僕じゃん!」って言うと「そこに住んでるのよ」と応える彼女。

ふたりの未来を予言するかのように、たしかにジョジョの脳内にはユダヤ女が住み始めるのだ。

彼が彼女を好きになっていくプロセスは、彼女に偽の彼氏からの手紙を書いて、彼女に彼氏をあきらめさせようとしたり、ユダヤ狩の男が見つけたお絵かき帳に、彼氏が八つ裂きの刑(人間大砲の球にされたり)になっている絵が書かれているところから伝わってくる。

(おなかにチョウチョひらひらは、分かりやすすぎ笑)

でも彼は、ユダヤがどう悪いのかいまいち分かってない。
とりあえず、ヒトラーがそういってるから、そうなんだ、くらいのレベル。

だって地下活動している母親が、身分を隠すために息子をヒトラーに心酔してる子にしたてあげてるだけなんだもの。



で、ジョジョの「彼女がユダヤじゃなければ隠さずに付き合えるのに・・・」というもどかしい思いは、ラストあたりで戦争終結したあとのセリフでよくわかる。

隠し扉のむこうで彼女が「どっちが勝ったの?と聞いて来た時に

「僕たちが勝った。ドイツだよ。」と答えたことで。



つまり、「彼女がドイツ人だったらいいのに」という願望だ。

とにかく、子供の脳内はシンプル。

「なんかいつも近くにいるこのねーちゃん好き。」
「彼氏がいるなら、あきらめて僕を好きになって!」
「ユダヤじゃなけえば、堂々とつきあえるのになぁ~」

そんなものである。
でも子供の恋なんでのはそもそもそんなものなので、これでOK。そして楽しく微笑ましい。

最後にドアの外に出た彼女が、彼をひっぱたいたとき

「あ、彼と一緒にパリにいくっていうのは、この家を出るためのうそだったか。」と一瞬思った。
実際そうかもしれない。
でも、そのあと「どうするのこれから?」と聞かれたあとに、彼女が体を「どうしよっかな~」と迷うように左右に動かす動作から次第に踊るようなかんじにあなるに従って

「まいった!」の一言、なんてキュートなエンディング。


母親のスカヨハが首吊りされたのは残念だったけれど、彼女が生きてたら戦後は、ユダヤ人の孤児をあずかってくれる家に連れていかれて、ふたりはもう逢えなくなっていたはず。

だからこそ、ふたりが手を取り合いパリへ行くといハッピーエンドを作るために、ふたりの恋愛成就のために、母は首吊りされなけえばならぬのであった。


首吊りされたのが顔を見ずとも観客も「母だ」と分かるあの靴。

あの靴で、どこかの階段の近くで母が語った、愛の偉大さ。
そして部屋で見せてくれた「愛のダンス」。それらが伏線となり、エンディングの二人の愛のダンスの感動が際立った。

ユダヤの血が入ったタイカ監督も、アホっぽいヒトラーを演じて、この映画でアカデミー賞脚色部門でオスカーをもらって、ヒトラーへの仕返しも充分果たせたといえよう。
フィンセントさん [映画館(字幕)] 9点(2020-02-11 17:31:26)
15.《ネタバレ》  私は、これは映画「やさしい本泥棒(原作:本泥棒)」の男女入替版かなあと思って観て、あれもアメリカ人原作でアメリカナイズされた優しいナチス・ユダヤ人迫害ものでしたが、絶妙に軽くなり過ぎず厳しい場面もありながら、ほんわか優しさにくるんだウィットに富んだ演出が挟まれて、あの本泥棒が、この監督のこのビジュアルで作成されてたら最高だったのに、と羨望を感じてしまいました(あっちも、文章とか絵本のやり取りをするのが独特だったのに、映画化されたら普通のユダヤ人差別ものになってしまい……良い話ではありましたが)。

 ほかに想起した他作品としては「ライフイズビューティフル」とか「太陽の帝国」とかがありました。主人公が子供で、戦時中の悲惨な状況が描かれるが、ファンタジックな映像があり、ロマンがある。

 監督演じるヒトラーのイマジナリーフレンドとか、スカーレットヨハンソン母親のウィットに富んだやり取りとか(父親演技が最高)、サムロックウェル演じる超奇抜な外見の大尉さんとか(秘かに優しい!)、家宅捜索に来る超長身の眼鏡の人とか、その他もろもろ皆キャラが立ちすぎるくらい立ってて、そこもとても良かったです。

 個人的に物足りなく感じたのは、結局、主人公が子供で、もっといろいろ展開があるかと思ったら意外と何もなく、主人公の家とその周辺3か所くらいの場面しかなく、いちおうユダヤ人の女の子とのウィットに富んだやり取りでちょっと心和む善い行いをしたこと以外は、社会的に波及するようなことは何も達成してないという点。

 あと、主人公が見せたユダヤ人への偏見とか支配欲も、根本的に正され改められることはないので、最後の和解する場面で本当にあんな風にきれいに和解できるかだろうか?(できなさそう?(降伏後の街の情景も平和すぎる感じだし))という点も。

 とはいうものの、良い映画でした。
simさん [映画館(字幕)] 7点(2020-02-10 01:12:29)
14.《ネタバレ》 いやぁ、まいったまいった。久しぶりの10点満点。全てが完璧。スカーレットヨハンソンの演技にもう涙腺崩壊。母親目線でみたら、辛すぎる。ダンスシーン最高でした。強くて美しいおかあさん、素敵すぎる。あともう大尉さんですよ。あなたもしかして戦場のピアニストのあの大尉?どんな状況でも、できることをやっていきたいものです。他キャストも最高。デブ友がさっきまで銃抱えていたのに、ママにハグされたいっていうセリフをいうところも最高でした。あんな小さな子に戦争なんて、あかん。良い映画をありがとうございました。エンディングのデビットボウイが最高です。
ギニュー隊長★さん [映画館(字幕)] 10点(2020-02-06 22:47:28)
13.《ネタバレ》 まあまあ良い映画という感想です。
予告編見て、コメディなのかと勘違いして見に来たら、少し違いました。予想より重い内容のお話でした。
使われている楽曲が、実際の40年代ではなく 60年代以降のポップスなのが変ですが、戦争を知らない世代の
拒絶反応を和らげる効果はありそうです。
10歳の少年の目線で描かれる戦時下の生活。レジスタンス狩りの恐怖を、他人事から身近な現実へと変化する中、
母親がユダヤ人の娘を匿っていた事で、主人公に降りかかる辛い出来事。
しかし、どうなんでしょうか? ちっとも暗い映像にはならない・・。天気のいい日ばかりだし、ゲシュタポも
殺気が感じられないし、どこか呑気な感じがする。多分、戦争は終盤で、敗戦間近の為、市内のユダ狩りどころで
は無くなってなっていたのだろう。
母親の出演シーンが少なくなって、少年が突然その死体と対面するシーンは、母親の靴しか映ってないので、勘が
悪い自分は、誰の靴にしがみついて泣いてるのか理解が遅れました・・。ユダヤ人やレジスタンスの縛り首の死体は
見せるが、母親の死体は見せない姿勢は、どうなんでしょう。もう少しヒントくれてもと思ってしまうが・・ 
少年は多感な思春期で、異性を初めて意識する年頃。そして、存在してはイケない秘密の家族との接し方は、迷走を
極めてしまい、相手を突き放したり、必死に関係の修復を図ったり。 少年あるあるのエピソード。
尊敬して崇めていたヒトラーへの思いは、身近な現実で段々と否定されていき、母親の死によってついに対極に至る。
最低の奴かと思っていた少年兵団の訓練教官は、実はイイ奴だったというのが救いでした。実際救われている。
戦争が終わり、ついに外へ出る少女。何を叫ぶでもなく、開放感をかみしめるように踊る姿で終わる物語。
これからの生活がそんなに容易なものではないのだが、つかのまの幸福感で観てる側も満たされました。
背中に爆弾付けられて突撃させられる子供も居たり、笑ってはイケないシーンが少なくないのですが、終戦後に
生き残った親友との再会シーンがイイ。「早く帰ってママにハグされたいんだ」に頬が緩みました。
いろいろと不思議な映画です。 最高かどうかはワカラナイけど、過去に例がないし魅力も多い映画でした。
グルコサミンSさん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-05 21:35:39)
12.ジョジョの内面が詳細に描かれていました。
しっとりと良いお話し。
ヒットラーを取り上げた作品は多いけど、ドイツ人市民からの視点が新しい。

少年ジョジョの、分からない、理解したいという気持ちはヒシヒシ伝わる。
でも、母親や少女の気持ちや関係が私には分かりにくかった。
2人の女優が熱演だけに、惜しいと感じた。
たんぽぽさん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-05 13:39:00)
11.《ネタバレ》 久しぶりに素晴らしい映画を観賞したな~と思いました。ストーリー自体はよくあるものかもしれませんが、一人の少年の視線を通した「狂った時代」の残酷さを美しい映像と無駄のない脚本で丁寧に映像化していたと思います。「狂った時代」では命や日常がなんの理由も前触れもなく簡単に奪われていく。母親の死さえも。母親の息子に対する思いは「愛」と「恐怖」の混じった複雑なもの(愛する息子であると同時に、レジスタンである自分をいつ密告するか分からないナチなのですから)ですが、ヨハンソンは見事に演じていました。大尉の言動ですが、彼が同性愛者であった事を考えるとよく理解できると思いました。恋人はおそらく常に付き添っていた部下でしょう(羊飼いのシーンで示唆されていました)ナチス政権はユダヤ人の他に同性愛者や障害者も虐殺していました。大尉自身、自分を偽って生きる事を強要されていた一人だったのです。だから勇気をもってレジスタンス活動をしていたジョジョの母親を心の中で尊敬していたと思うのです。最後の戦いで恋人(部下)と死ぬ覚悟で挑むも、恋人だけが死んだのではないでしょうか。だから勇敢に戦って処刑された尊敬すべき女性の息子を命がけで助けたのだ、と思います。大人は子供を守るべきなのに、子供に平気で爆弾を付け、銃を渡すドイツ女性との違いを鮮明に感じました。最後にジョジョの親友が生きていて本当にほっとしました。
果月さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-02 11:55:23)
10.戦争の悲惨さを理解しきれていない少年を主人公に、夢や希望や愛情や勇気や悲しみを、豊かに描いていました。見ているこちら側は、登場人物たちを見守る目線になったり、一緒に喜び悲しみを共にしたり、とても心が温かくなりました。こんな映画は久しぶりな気がします。実はこの映画のこと、全然知りませんでした。オスカー候補になったので見ておくか、程度のつもりでした。すっごく得した気分になりました。
shoukanさん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-31 22:54:27)
9.《ネタバレ》 ラストシーン、デヴィッド・ボウイのイントロが流れ始め画面が暗転した瞬間、私は思わず拍手してしまった。
この様な感情の昂ぶりは久しぶりかも知れない。
第二次世界大戦の敗戦濃厚なナチ政権下のドイツが舞台、しかも主人公の少年のイマジナリー・フレンドはあのヒットラーと言う、
一昔前ならばタイカ・ワイティティ自身が暗殺の標的にになりかねない様なとんでもない設定。
この様な設定の中で、本作の様な「ファンタジー」を一つの映画として具現化してしまった監督のセンスと手腕に感服するばかり。
タイカ・ワイティティがナチ思想とか極右とか言う意味では決して無く、映画と言うものがクリエイターが頭の中で思い描くものを
表現する「芸術」であるなら、本作はまさしくその本懐を遂げているのではないだろうか。
また、私はあのポール・ヴァーホーベンの名(迷)作「スターシップ・トゥルーパーズ」を思い返しながら本作を観ていた。
作風は両極端な位に全く異なるが、良作には共通する「肝」が有る様に思える。
主人公の少年は並居るスカヨハ(祝、アカデミー助演女優賞ノミネート)、サム・エリオット他の磐石の演技を差し置いて、
主演男優賞に何故ノミネートされないのか不思議なくらいの名演を見せている。
アカデミー作品賞、獲って欲しいなぁ!
たくわんさん [映画館(字幕)] 10点(2020-01-27 16:50:38)
8.《ネタバレ》 この設定を思いついて自分で映画にしちゃうというだけで、タイカ・ワイティティ監督はただ者ではない。主人公のジョジョ君は、冴えないヒトラー・ユーゲントのメンバー。いつもユニフォーム姿で熱烈なナチスの信奉者でありながらも、キャンプでいじめられたり、大けがをしたりパッとしない。そんな彼のイマジナリー・フレンドがあのアドルフ・ヒトラーという時点で、ジョジョ君がかわいらしい外見とは裏腹に分裂症的な<何か>を抱えてしまっているのが見えてくる。やがて、実はレジスタンスのメンバーでもある母親との関係やら、ユーゲントのなかに自分の居場所を見いだせていないことやら、彼の家で暮らしていたユダヤ人少女との出会いとか、どんどん悪化する戦況とか、10歳の子どもが背負うにはあまりにも過酷で複雑な現実が少しずつ見えてきて、それらと健気に葛藤する姿が、優しくユーモアあふれるタッチで描かれる。戦争のなかの日常生活を、明るくカラフルなタッチで描いているところにワイティティ監督のオリジナリティが垣間見える。ただ、どうも腑に落ちないこともあれこれ。一番の難点は、イマジナリー・フレンドがヒトラーである必然性が最後までよくわからなかったこと。ラストのあの一撃のためなのかなとは思ったけれど、ジョジョ君がナチスへの信奉と傍らにいる「総統」との折り合いをどうつけていたのかが、いまいちわからない。また、物語上の登場人物や出来事が、母親の身に起きること以外は、ブラックな小ネタはあっても終始ハートウォーミング過ぎるのも気になった。とくにサム・ロックウェルのキャラは出来すぎ。SNSでは絶賛されているようだけど、彼の役でもっと戦争の毒を表現できただろうに、「いい人」で終わってしまったのは残念。歴史や現実はあまりにも残酷で悲惨だからということなのかもしれないけれど、そのせいでファンタジー色が濃くなってしまい、ラスト・シーンのカタルシスが弱くなってしまったように思える。そして、ラストに流れるあの曲。大好きな曲だけに大感動が押し寄せるのだけれど、それは映画に対してなのか、曲に対してなのか、よくわからなくなってしまった。ここ数年、デビッド・ボウイの名曲に頼る映画が多すぎるような気が・・・。有名過ぎる曲なだけに、クレジットを見ながらだんだん違和感が大きくなってしまった。
ころりさんさん [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2020-01-25 12:06:30)(良:1票)
7.《ネタバレ》 タイカ・ワイティティ。マイティーソーバトルロイヤルで彗星の如く現れた謎の監督は持ち前のシュールなギャグセンスでマイティーソーの中ではダントツの面白作品を作り上げた気鋭の監督だ。
彼が次に作ってきた作品はなんと第二次大戦中の10歳のドイツ少年が主人公の物語。
予告の段階からヒトラーが脳内友達…もとい、イマジナリーフレンドとして描かれ(しかも演じるのは監督本人!)、母親がスカーレット・ヨハンソン、そして散りばめられたギャグの数々に今までとはかなり趣向の変わった戦争映画になっていて見た瞬間観に行くっきゃないと決めた。

そんな本作は三木聡並みに小ネタを散りばめながらも、10歳のジョジョから観た目を背けられない陰惨な戦争が大きく影を覆うヘビーな作品だ。
そして屋根裏に住むユダヤ人の少女との出会いがジョジョを大人にさせる。
ギャグは面白いけれど、現実との落差がある分とてもヘビーだ。

あらすじではどんな結末が待っているだろうと思ったが、まさかこんな微笑ましい結末で終われたのだから、この映画は良い映画だ。
とにかく今は踊ろう。踊るんだ。
えすえふさん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-25 00:26:40)
6.《ネタバレ》 強く美しい母親が、愛する息子に向けてカチッと独特の“ウィンク”をする。
もしかしたら、あのウィンクは所在不明の夫が、彼女に対してよくしていた“仕草”なのかもしれないな。と、思った。

そんなことを暗示する描写は特に何もないのだけれど、非情な戦乱の中、優しく、明るく、息子を愛し、「できること」をし続けるこの気高き女性は、きっと壮絶な経験と、深い愛情に包まれた、濃密な人生の上に立っているのだろうということを想像させた。

そういうことを何よりも先んじて言及したくなるくらいに、スカーレット・ヨハンソン演じる主人公“ジョジョ”の母“ロージー”のキャラクター造形が素晴らしく、この映画の根幹を担っていたことは間違いない。
詰まるところ、彼女の一つ一つの言動こそが、息子に対する“愛情”と“導き”であると同時に、この映画のテーマに対する「真理」であった。

「愛は最強の力よ」と、母親は息子に言う。

戦禍の混乱と、人間の心の闇が渦巻く状況下でのその彼女の台詞は、字面のみを捉えれば、無責任で能天気な印象を受けるかもしれない。
しかし、母親であり、一人の女性であり、信念を持って生きる人間である彼女が放つその台詞には、彼女の「人生」そのものに裏打ちされた言葉以上の重みと意味が内包されていた。
彼女はその言葉を息子に向けて発してはいるが、彼に対して背を向けており、目線はどこか遠くを見ているようでもあった。

その他の数々の台詞や行動においても、その一つ一つが魅力的かつ説得力をもって、息子と、我々観客に突き刺さるのは、それらの言動の裏に見え隠れする彼女の人生に、ドラマ性と真実味を感じるからだ。

劇中、主人公の母親についての描写は、敢えて意識的にぼかされている部分が多い。
2年間音信不通の夫の正体、長女の死の真相、サム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉(最高!)との関係性、そして「できること」をする理由と、“あのようなこと”になってしまった事の顛末。

そこには、メインストーリーとして描かれる主人公の少年の葛藤と並行して展開していたのであろう重厚なサイドストーリーがあるに違いない。
(そのサイドストーリーの映画化も充分にあり得るのではないか。そのためのスカーレット・ヨハンソン起用だったことも充分に考えられる。)

随分と主人公の母親の話を長々と綴ってしまったが、無論この映画は10歳の純粋な少年の目線から描き出される確固たる「戦争映画」である。
ただし、その表現方法はまったくもってオリジナリティ豊かなイマジネーションに満ちあふれていた。
その特異な映画世界には、「マイティ・ソー」を次元を超越した“極彩色映画”に転じさせてみせたタイカ・ワイティティ監督の異才がほとばしっている。

今まで観てきたどの戦争映画よりも“可笑しい”。そして、だからこそあまりにも“悲しい”。

混乱の最果て、“滑稽さ”が極まる戦禍の只中に放り込まれる少年。
戦場シーンは数多の映画で観てきたけれど、少年が信じた全てのものが、脆く、愚かに、崩壊していく様を目の当たりにして、只々涙が止まらなかった。
そこに映し出されていたものは、通り一遍的な激しい戦場の凄惨さではなく、10歳の少年の心を蝕み覆い尽くす「絶望感」そのものだった。

“世界の終わり”を、その小さな身体一つで受け止めて、あまりにも大切なものを失い、深く大きく傷つき、それでも少年は命をつなぐ。
結べなかった靴ひもをぎゅっと結び止め、“独裁的”なイマジナリーフレンドを窓の外に蹴り飛ばす。
それは「鏡」に映った自分が、本当の意味で大人になった瞬間でもあった。

ジョジョよ、さあ踊ろう。好きなだけ、自由に、踊ろう。
鉄腕麗人さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-23 22:35:49)
5.《ネタバレ》 えっと、まずすみません。巷で絶賛のジョジョ役の子役なんですけど、
私この子あんまり好きなタイプの子役じゃないです。顔が好きじゃないです。

そのジョジョの想像上の友だちがヒトラーていうとんでもない設定でして、
そのヒトラー役をヒトラーが大嫌いであろう監督が演じるとか、なんかもうすごいことやってるなって感じ。
そんなことを思っていたらチャップリンの「独裁者」が浮かんだのでした。
ヒトラーを茶化して笑いをとる映画の先駆けとなったわけですね、改めてチャップリンの偉大さにも気付くというおまけもつきました。
音楽もビートルズに始まりボウイで締めてる。自由で大らかで既成にとらわれてないと感じる映画作りは好感持てます。
メッセージ性もしっかりあるコメディ。奇抜さだけじゃなくもっと情緒、情感が豊かになればいいなと感じました。

途中、ちょっとだけ退屈に感じるところもあったけど、ゲシュタポが登場するあたりから雰囲気は変わる。
レジスタンスであろうジョジョの両親、マニッシュで可愛い靴だなと注目したママの靴の使われ方には参った。
唯一ドキッ、ズキンときてしまった。
サム・ロックウェルがよかったなあ、まさに彼らしいサム・ロックウェルならではの役柄でした。
envyさん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-20 19:26:34)(良:1票)
4.《ネタバレ》 オープニングから主人公が怪我をするまでは音楽ともどもスピード感に溢れた演出で引きこまれます。
史実を参照すれば突っ込みどころは色々あり、ラストへの展開は途中で何となく予想出来、お約束な感じではありましたが総じて丁寧に作られた印象で、映画としてなかなか楽しめるものでした。
当初はだらけた態度だったりおかしな扮装したりとふざけたキャラなのかと思わせた大尉が、後半ヒューマニズム溢れる振る舞いでとても印象的でした。ストーリーは違いますがイメージ的に少し似た印象のものとしては昔の「ヨーロッパ・ヨーロッパ」でしょうか。
クリプトポネさん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-19 21:04:34)
3.《ネタバレ》 「ハーイ、ヒットラー」。愛を知らぬ、熱烈なナチ教徒のガキんちょ。その敬愛ぶりは、何だかユルいヒトラーのオバケがくっつくほど。そんな一途なオイラだけど、屋根裏に匿われたユダヤ人のおねえちゃんと出会い、徐々に心ときめいちゃう。らしくねえと思いながらも、大好きな肝っ玉母ちゃんを亡くしてからは恋に本気モード。オバケのヒトラー吹っ飛んじゃえ。真面目に語ると重苦しくなるような戦争ドラマだけど、コメディ調で面白可笑しく紡がれて好印象。映画館観賞において久々の傑作。
獅子-平常心さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-19 00:37:58)
2.《ネタバレ》 コミカルな側面を前面に出した宣伝がされていた様に思うが、コミカル要素が無くてもヒューマンドラマとして完全に成立する話の内容である。むしろ本作のコミカル描写は全て、戦争の狂気を具現化するものとして描かれている(ホロコーストをはじめ、子供までを体制賛美と殺戮に駆り立てていることそのものが笑えない喜劇だという)。本作が真に描き出さんとするものはもっと静かで、真摯だ。その意味では普通に結構マジメな戦争系ヒューマンドラマだった。

ただ、こういった重い題材をテーマにしながらも、生活感や種々の生々しさを極力排除&状況設定も単純化・抽象化したどこか寓話的な雰囲気に、表面上のコミカル要素を足し込んで、子役の無邪気さ・可愛さをミックスして練り上げた作品全体の空気は、実にポップで何とも楽しいのだ。それはきっと、本当に伝えたいものを(例えば子供にも)苦しむことなくすんなりと飲み込んでもらうためのオブラートのようなものなのではないかと思う。その意味ではとてもポジティブなアプローチだなと率直に感じた。

そして、そうは言ってもこの題材の映画を現代的でコミカルでポップ、かつテーマはマジメに仕上げるなど、常人に可能なワザとは思えない実に卓越した仕事だと言って間違いは無いだろう。そもそも、ホロコーストを描いた映画をビートルズで始めてボウイで終わるって、音楽感覚ヤバいでしょ。やはりこの監督には、底無しのセンスを感じる。
Yuki2Invyさん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-18 01:34:24)
1.この映画が伝えたいメッセージはよく感じられたし、オリジナリティ溢れる作風に感心したりもした。

ただ、かなりあざとい内容だった。
悲惨な戦争の描写は極力抑え、10歳の少年の目を通して戦時下の様子が描かれる。
その少年がやたら可愛らしいのでまずあざといし、ヒトラー役の人の大袈裟な演技がウザい、いやあざとい。さらにはユダヤ人の少女との交流を描くというのもいかにもな展開であざとい。ビートルズなどの明るい曲の選曲もあざとい。主人公の名前がジョジョというのも漫画のジョジョが好きな私にとってはかなり気になってしまうタイトルであるのであざとい(←知らんわ!笑)

ただ、親に教育された訳でもないのに、何故イマジナリーフレンドを作り出すほどヒトラーに傾倒して行ったのかが謎だし、ヒトラーを崇拝してるにしてはその行動が中途半端に感じられたのが残念だった。なので、とにかくヒトラーを出したかっただけのように感じられてしまう。

まあ、あざといけど面白かったです。
ヴレアさん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-17 21:32:49)
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【点数情報】

Review人数 17人
平均点数 7.94点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
615.88%
7529.41%
8741.18%
9211.76%
10211.76%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review1人
2 ストーリー評価 7.33点 Review3人
3 鑑賞後の後味 8.33点 Review3人
4 音楽評価 7.50点 Review2人
5 感泣評価 8.00点 Review2人
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【アカデミー賞 情報】

2019年 92回
作品賞 候補(ノミネート) 
助演女優賞スカーレット・ヨハンソン候補(ノミネート) 
美術賞 候補(ノミネート) 
衣装デザイン賞 候補(ノミネート) 
脚色賞タイカ・ワイティティ受賞 
編集賞 候補(ノミネート) 

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