1.《ネタバレ》 題材的にはソレこそ去年の『燃えよ剣』ともメッチャ被るし、で双方の主人公の単純な人気・知名度、或いは映画自体の「物量」とかの面でもアッチの方がだいぶん「ポピュラー」な感じはするのよね(私がこの原作読んでないダケなのかも知れんケド)。だから元々同じ年(2020)に公開しよーとしてた…てのだってある意味チョイと「無謀」な気がするし(アッチは東宝でコッチは松竹なんすかね)んで(今や)
割かし大事そーなコトとして「ドッチを先に観る?」てのだって、私自身も答えはちょっと出て来なかった…と(思案に暮れてはみたものの…)。
ただ特に、今作で監督が「表現としてはナニをやりたかったのか」てのは結構高度に真逆だな…とも思ったりして。テンポの緩やかさ・華美に走らないシンプルで落ち着いた画づくり・演技の重厚さ…等々、コッチはごく非常に硬派で実直(もはや「朴訥」)といった感じに思えまして、そーいう演出方針的な部分は(全体的な「分かり易さ」も含めて)少なくとも個人的にはかなり好みな方のヤツだった…とは(まず第一に)言っておきたいのです。他方、戦争(戦闘)描写なんかもまずまず手堅くもありましたし、結論、私は今作全然悪くない作品だと思いました。面白かったすね。
でも、確かにこの感じは(言い方を変えると)少し「古風」または(誤解を恐れずに言えば)「シニア向け」で、かつ決してキョウビの映画っぽくもない(=スタイリッシュさとかはあまり無くて、本当に少しだけはリーズナブル感もある…カモ)と言えるかとも思うのですよね。重ねて、テンポの緩さ・雰囲気の重々しさ(=ある種の「キレ」の無さ)なんかは多少好みの分かれるトコロかな…と。あと純粋な内容面にしても、例えば(脚本の取捨選択的なコトとして)北越戦争の最中には領民の一揆が発生しててコレが戦況に大きく影響した…とかって事実はオミットされてるし、またオーラスの継之助の最期だって単純にナニが起きているのかが非常に分かり難かったりもするのですよ(=恐らく、単に破傷風で死んでゆく…という描写にはしたくなかったのだケド、じゃあどーいう風に描くかって部分のアイデアが残念ながらチョイ凡庸ぎみだった…てコトかと)。だからコレも、全部が全部どこまでも面白かった(=行き届いてた)とは言い切れない…という作品だってのも確かにそーだとは思うのですよね。
ただ重ね重ね、私は今作かなり面白く観れましたですよ。一番面白く観れてたのはナンてったって主人公の役所広司の重厚な役づくり&随所で迫力抜群な演技&(そしてナニより)醸されるオトコ臭い人間的魅力!だったのですね。確かに、彼こそが「最後」の⇒そして(それ故に)最も近代的な・進歩した「サムライ」だったのではないかな…と思いました。コレもやはり、原作の方も読みたくなってしまいますよね(『燃えよ剣』も買ったダケで積んである状態なんですケド…)。