1.《ネタバレ》 画家になるという夢に破れ、実家の両親の元へと帰ってきた元美大生、キット。失意の中でただぼんやりと毎日をやり過ごしていた彼女は、そんな先の見えない生活を変えるため、意を決して職探しへと乗り出すことに。派遣会社に登録し、無事OLとして働くことになったキット。そんなある日、彼女の元に謎の招待状が届くのだった。「売りたいものは、君が本当に欲しいもの」――。シンプルなキャッチコピーに惹かれ、キットは雑居ビルの片隅にあるというその謎のお店へとやってくる。待っていたのは、カラフルなスーツに身を包んだ怪しいセールスマン。戸惑うキットに、彼は信じられないことを告げる。なんと準備が整い次第、彼女の元にユニコーンを届けてくれるというのだ。子供のころから物語の中のユニコーンが大好きだったキットは、そんな夢のような話に心ときめくばかり。両親の心配をよそに着々とユニコーンを飼う準備を進めていくキットだったが…。子供のころからの夢だったユニコーンとの生活を求めて、謎のお店「ユニコーン・ストア」へと通う夢見がちな女の子をファンタジックに描いたヒューマン・ドラマ。若手オスカー女優ブリー・ラーソンが初監督を務めたという本作なのですが、正直、自分は全く嵌まれませんでした。とにかく、ストーリーの見せ方がお粗末すぎます。このユニコーン・ストアのエピソードと彼女の勤務先のオフィスのお話が一向に絡んでいかないため、何か別々のお話を無理やり一本に纏めたような印象を持ってしまいました。終始カラフルなこのマジカルポップな世界観は確かに独創的で大変良かったのですが、そちらに力を注ぎ過ぎたためか、肝心のお話部分がおろそかになっちゃったパターンですかね。あと、肝心のユニコーンが最後の最後にちょろっと出てくるだけと言うのは、こーゆーファンタジックなお話としては致命的なんじゃないでしょうか。きっとこのユニコーン・ストアの存在を主人公の妄想ともとれるように描きたかったのだと思うのですが、別にこのお店の中ならユニコーンが登場してもさして問題なかったのでは。心を病んでしまった主人公がユニコーンとの交流を通じて次第に立ち直ってゆくようなお話を期待していた自分としては、かなり肩透かし。わりかし好きな女優さんの初監督作と言うことで期待していただけに、なんとも残念な作品でありました。