2.《ネタバレ》 近年は韓国のゾンビ映画のクォリティが高まっており、本作も期待を裏切らない出来だった。
本作の主人公はまさしく現代の若者らしく、スマホを駆使しネットゲームにハマっているような青年だ。
そんな彼が自宅でひとり目を覚ました時、外の世界では……
というゾンビものとしてはベタな導入から入るのは悪くない展開。
特に最初に遭遇した隣人が、主人公の目の前で転化するシーンは秀逸だった。
ところどころで挿入される、スマホを窓から出して電波を拾おうとするシーンや、ドローンの活用なども、実際にありそうで面白い。
もし、現代の集合団地でゾンビ感染が発生したらどうなるか……
テレビでののんきな報道や、スマホでの情報集め、やがて水道も止まり、食糧と水の確保が困難になる……
といったシミュレーションとしての楽しみ方もできる。
本作ではこの団地エリア外の状況はあえて映さず、ひたすら主人公達の焦りや恐怖を共有しやすくなっているところもいい。
この主人公は何度が生きることを諦めようとするが、たまたま向かいの棟に住む女性と知り合い、それ以降はバディものへと展開していく。
そして最後まで生きようと行動を起こす中で、予想外の出来事に出会いつつ、意外な形でハッピーエンドに繋がっていく……
そのきっかけがSNSでの投稿だったというところも現代風で面白い。
ゾンビ映画の新境地を開いたとは言えないまでも、ゾンビ映画ファンの心はしっかりつかめるレベルにはなっていると思います。