映画大好きポンポさんのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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映画大好きポンポさん

[エイガダイスキポンポサン]
2021年上映時間:90分
平均点:7.62 / 10(Review 13人) (点数分布表示)
公開開始日(2021-06-04)
ドラマコメディアニメ青春もの漫画の映画化
新規登録(2021-06-12)【奥州亭三景】さん
タイトル情報更新(2023-12-31)【イニシャルK】さん
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清水尋也ジーン・フィニ
小原好美ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット
大谷凜香ナタリー・ウッドワード
加隈亜衣ミスティア
大塚明夫マーティン・ブラドック
小形満ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼン
作詞藤林聖子「Dance On Fire」
主題歌新妻聖子「Dance On Fire」
製作KADOKAWA(映画大好きポンポさん製作委員会)
ハピネットファントム・スタジオ(映画大好きポンポさん製作委員会)
エイベックス・ピクチャーズ(映画大好きポンポさん製作委員会)
松竹(映画大好きポンポさん製作委員会)
配給KADOKAWA(角川ANIMATION)
編集今井剛
あらすじ
現実世界から逃げ続けて映画の中だけが自分の世界だったジーン青年の夢は映画監督。もはや社会不適合者だった彼だが、若くて小さな敏腕映画プロデューサー・ポンポさんの下で働くことになった。  ある日ポンポさんは、ジーンが新作映画の脚本のキモを即答したのを受けてこう告げる「この映画は君に撮ってもらうから。たのんだわよ、ジーン監督」  2017年にイラスト投稿サイト「pixiv」に投稿されたWEB漫画が話題となり、書籍化・続編・スピンオフと人気を広げた作品が「この世界の片隅に」を手掛けたスタッフ達により待望の映画化。
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13.原作未読。キャラデザからして苦手分野方面のアニメ(アニメは好き)かなぁと思いながら、映画好き必見との評判でようやく鑑賞。
 
原作ファンの方は点数が高いようですね。
 
私個人としては前半は踏ん張りが必要な感じでしたが、後半の「編集」シーンからはなかなか楽しめた。編集って大変だよね。
 
でもやっぱり中心人物のポンポさんやジーンに全く惹かれなかった。内面は悪くなくてキャラデザかな。いまいちそこのファンタジーに入り込めなかったのは私見。
 
周りのキャラはちゃんと描いてあるから余計に浮いてみえてしまって...全員あんなタッチならもう少し良い印象だったかな。
 
でもそれだとポンポさんの世界観じゃないから私には合わなかったという事ですな。
movie海馬さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-05-03 17:48:45)
12.90分という上映時間にこだわりを感じさせられる一作。
これが1分でもオーバーしていたら、この映画の説得力は失われるところだった。
勾玉さん [映画館(邦画)] 7点(2023-02-23 21:46:08)
11.《ネタバレ》 映画の編集は人生の選択が如し。確かにその通りですが、普段私が意識するのは『選んだ方』ばかりです。『選ばなかった方』=切り捨てた可能性に目を向けることはしません。思うにそれは恐ろしいから。己が人生と向き合ってきた自信がないからとも言えます。その点、主人公は立派でした。自身の編集に腹を括っている。捨てたシーンに責任を負っている。それがきっとジーンが映画監督になれた所以でしょう。本当は誰もが自分の人生を決める監督であらねばならないはずなのに。でも意外とできない(できていない)のは、それでも生きられる恵まれた環境にいるからかもしれません。多分エリート銀行員アランの満たされぬ理由も同じです。
ポンポさんは、まるでドラえもんでした。夢を叶えるためのお膳立てをしてくれ道標も示してくれる。多分誰にだってポンポさんは居る(居た)のだと思います。親や先生、憧れのスターだったり、一冊の本だったり。それぞれのポンポさんの助けを借りて若者は我が道を選ぶ。いろんな意見があるでしょう。でも行き先を決めるのは私。行き方を決めるのも私。もちろん全責任は私です。やはり私は私の人生の監督に違いありません。
人生は短い。限りある時間をどう使うかが課題。まさに日々編集の真っ只中であります。人生が80分の映画なら、私の場合50分経過したところ。そろそろエンディングの予想がつく頃合いです。素材は万全、最善の結末を目指す編集で悩み中と言いたいところですが、現実は違います。撮り忘れた素材ばかり。今から撮り直しますか。でもそれが困難を極めるのは劇中でも例示されておりました。そう素材は撮れるときにちゃんと撮っておかないと駄目なのです。じゃなきゃ選びようも、悩みようもない。編集素材のことを人生では『経験』『資格』『技能』あるいは『思い出』と呼びます。我が手にある編集素材の貧弱さに震える50歳の冬。でも悲観することはありません。今だから撮れる、これからじゃないと撮れない画だって必ずあるのですから。今なお素材集めに四苦八苦する計画性のない私ですが、それでも諦めません。一応『監督』ですから。さあ己が作品の完成を目指しましょう。傑作でなくても、誰からも褒められなくても。
今年は年始に『かがみの孤城』へ10点献上したばかり。しかも同じアニメ作品。気分的には採点が辛くなるところですが、どうしても満点を回避する理由が見つかりませんでした。
目隠シストさん [地上波(邦画)] 10点(2023-02-14 18:27:49)(良:1票)
10.《ネタバレ》 なぜ映画を見るのか?
①暇潰しのエンタメとして?
②粗探しを見つけるための根暗な趣味?
③映画の中にいる自分に投影して、指針として何かを掴むため?

ただ、誰もがずっと椅子に座ってはいられない。
映画尺というものがあり、2時間が集中できるタイムリミット。
狂言回しのポンポさんだと90分が限界らしく、
登場人物の人生を描くのであればその時間内で、見せたくても切らなきゃならないときもあるのだ。

本作の"編集"を司るのが、監督に抜擢された主人公のジーン・フィニ。
社会不適合者で映画でしか自分の居場所がない男。
彼をはじめ全員基本的に善人で、話がご都合主義にポンポン進んでいくが、意識的に暗い影を忌避しているようにも見える。
彼とは正反対のアランですら社会的に成功している銀行マンでありながら、自分には何もないと思っており、
じゃあ、真の意味で何者にもなれなかった、何も持ってない人の立場がないだろ。
主要人物ほどデフォルメされて、キラキラしていることからしてもまさに"夢と狂気の世界"しか映されていない。
フィクションと言えばそれまでだが、これも意図的であることは明白。
カットされたシーンには主要人物のドス黒い本性や映画界の闇が映されているのだろうか…
そう思うと、編集は何のためにあるのかという本質が見えてくる。

原作を読んだら、メタ的な意味で新しい発見があるかもしれないが、
自分には本作ならではの新しい発見がなかった。
何かを創っている人なら何となく分かるものばかり。
①と③なら良かったのに、②になってしまったよ…
Cinecdockeさん [地上波(邦画)] 5点(2023-02-10 19:38:25)
9.《ネタバレ》 主要人物ほどデフォルメされて、アニメ絵なのに対して、モブキャラはあまりデフォルメされてないのが、まず逆転の発想で面白いです。これによって、モブが明らかに欧米人系とわかるのに対して、主要人物たちがモブと同じ人種に見えないのですよね。作中では外国人という設定なのですが、この違和感が逆に面白いなと。ただ、この違和感は日本人だから感じる感覚なのかも知れません・・・ネットの「海外の反応」系サイトからの知識ですが、「なぜアニメキャラは白人なのか?または、白人っぽいのか?」などと、白人が主張することが少なからずあるようです。そのような白人がこのアニメを見てしまうと、我々が感じる違和感などどこ吹く風と、「ほらな、すべてのアニメキャラは白人だろ。どやっ!」などと言い出すかも知れず、そんなことになったらとてもウザいなと(笑)。話がそれました。映画をテーマにした映画ということで、随分とハードルが高いと思うのですが、そのハードルを十分超えることができていると思います。主人公の葛藤とその心情がアニメならではの技術で描かれていたと思います。
camusonさん [インターネット(字幕)] 8点(2023-02-07 19:20:36)
8.《ネタバレ》 映画の製作過程を描いた作品というのはよくあるパターンだけど、説得力があって良かった。
劇中作の一部だけを見せておいて、残りを観客の想像力で補完させているので、とんでもない名作になっている。
ニャカデミー賞作品賞も納得です。
とは言うものの、いくつか納得できない部分もある。
映画は女優を魅力的に撮れればそれでOKという理論がいまいち描けていない。
ナタリーをどう魅力的に撮るかという観点ではなくて、マーティンをどう魅力的に撮るかに苦心していた印象。
役作りのために髪を切るというのもよくあるパターンだけど、何故短くする必要があったのか不明確だったのが残念。
髪が長いことの弊害、もしくは短いことのメリットがきちんと描かれていれば、説得力が増したかも知れない。
見た目だけで言うなら、長かったときの方が魅力的だったように感じた。
女優の魅力として尻を強調していたのも女優の魅力とは何かという本質から逃げているように思えた。
もちろん尻も嫌いではないけど、やっぱり女優の魅力を語るならキスシーンや濡れ場は避けて通れないはず。
尻を見せるのに演技が必要とは思えないけど、キスシーンや濡れ場はどう演じるかが問われる。
もしこの作風の中でナタリーの濡れ場があったなら衝撃的だったと思うけど、そこまで踏み込んだ作品ではなかった。
土下座してまで追加シーンを撮ろうとしたとき、キスシーンや濡れ場なのかと期待してしまった自分が恥ずかしい。
ポンポさんなら女優を必然的に脱がせるアイデアを持ってそうな気がしたんだけどね。
あと、90分という縛りにも納得できなくて、無理して90分に削り落とすのは本末転倒だと思う。
必要なシーンだけを繋ぎ合わせた結果が偶然90分だったのなら称賛に値する。
もとやさん [地上波(邦画)] 7点(2023-02-04 17:05:09)
7.映画好きな人だったら、制作側の物語も想像したり、視聴者心理を考えたりするでしょうけど、
どれも想像しうることを説明していて、新しい発見や気づきがありませんでした。

物語を作ってる側に、入り込んでみていたら、作品の中の作品に注目がいったりと、興味が中と外と行ったり来たりで入り込めなかった。
へまちさん [DVD(邦画)] 7点(2022-08-07 21:24:04)
6.高評を目にし 鑑賞..アニメで 実写映画の制作の裏側を丁寧に描いた作品..いや~ 面白かったです~ 脚本、演出が プロの仕事でした~ 映画を創ることに興味がある者にとっては 納得の内容です..編集が映画の 肝 だってことを よ~く分かってる! 良作!
コナンが一番さん [DVD(邦画)] 8点(2022-07-18 16:16:51)
5.《ネタバレ》  もともと原作が好きで、しかも本作の制作が「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」のスタッフということで楽しみに行きました(原作の内容は大分前だったので結構忘れてて、映画視聴後読み直しました)。

 基本的に原作に準拠していて、90分ピッタリで終わるところまで原作へのリスペクトがある映画で、非常に良かったのですが、原作を読み直してみると実は原作の話は映画の中の前半部でほぼ終わっていて、後半がオリジナル展開という、サプライズというか原作より一歩踏み込んだ内容の作品になっており、

・あの原作がどう映像化されるだろう?(ジーン監督の15秒CM編集の実物は、スピード感といい素晴らしかった)
・本映画で付け加えられた原作のさらにその先は?

という1本で2倍お得みたいな、楽しみの得られる作品となっておりました。

 個人的には、

「これは、僕の物語だ!!!」

とジーン監督が言うところがすごい好きで、これは原作にはなくて、監督の孤独な「編集」作業をより深くえぐっていった結果、エンターテインメントとして人に刺さる独自性のある普遍的表現って何? といったところで、結局作り手のエゴに帰ってくるっていう、映画を観る前に「ブルーピリオド」という漫画の最新刊を読んだんですが、あれで、ごく私的な視点なり感慨でも公の場に作品として表現されると、ごく私的な視点だからこそ広く共感されるというか、そういう作品表現もアリだ、という話をしていて、この映画の編集でも無数のカットの組み合わせの迷宮の中で、どんなエンタメ表現の道筋を見出せるかというところで、ジーン監督のごく私的な「これは、僕の物語だ!!!」にたどり着くのが、良いなあと思った次第です。

 この映画では、一般人の、主人公の昔の同級生の友人がオリジナルキャラクターとして登場して、最終的に撮影資金の援助をしてくれて、一昔前のハリウッド映画的な問題の展開(個人の問題→身近な人の間の問題→社会的な問題)をしていって、原作には希薄だった広く社会的な視点を付け加えたのが、わりとうまくできてて良かったし、編集みたいな、結局創作って一人でやるしかない、孤独で大変な作業であるところに、出来上がってくる作品を楽しみに待ってる応援してくれる人たちがいる、という視点を付け加えてくれたのが、とても優しくて良い作品だと思いました。

 そんなところです。

 あと、原作は、毎巻毎巻「これが最終巻です」宣言しつつ続編が出てるんですけど、今3巻まで行っていて、またスピンオフも出ていてどれも面白いので、映画を気に入った方はぜひ読んでみられるとよろしいかと思われます(おすすめ)。映画の内容は、監督氏が2巻以降の内容を知ってたかどうかわかりませんが、結果的に2巻の内容と同じような境地に踏み込んでいるなあと思ったりなんかしました。

 あと、本作って、結局苦労した結果、どんな作品ができたの? を漫画だと1枚絵でバーンと見せるところを、動く映像でどう見せるか? がオチになると思うんですが、途中で断片的に見せてはくれるもののオチの絵は出てこない(強いて言うなら原作準拠の真ん中ですべて出てしまった)ので、そこがちょっと物足りなく感じられんくもないとは思いました。
simさん [映画館(邦画)] 8点(2021-08-12 18:16:11)(良:1票)
4.映し出されるアニメーションを食い入るように見つめながら、なぜ、涙が出るのかよく分からなかった。
ただ、その「理由」を認識するよりも前に僕は、奮えて、泣いていた。

この世界のすべての映画フリーク、そしてあの世界に憧れ、夢破れ、今なお“表現”することを秘め続けている人たちにとって、このアニメ映画は“唯一無二”になり得る。
映画館を出て、しばし呆然と立ち尽くす中で、かろうじてそういうことを思った。




原作漫画「映画大好きポンポさん」を読んだのは数年前になる。
僕の嗜好性をよく知っていて、誰も知らないようなマニアックな映画漫画(映画を題材にした漫画)をよく貸してくれる友人から、単行本を借りた。
他の映画紹介系漫画とは異なり、ハリウッド(作中では“ニャリウッド”)の映画製作現場を描いたアプローチが新鮮で、とても楽しく読んだ。
キャラクター造形のポップさと真逆を行くような、王道的な舞台裏モノのストーリーテリングが、驚くほどに芯を食っていて興味深かった。

面白い漫画ではあった。ただ、結果的に各漫画賞にも入賞しているとはいえ、元々は漫画投稿サイト「pixiv」に掲載され沸々とビュー数を伸ばした“マイナー漫画”である今作が、まさか“映画化”されるとは思っていなかった。
だから、映画館で大判のタペストリーを見つけて、今作の公開を知った時は、驚きつつも、「酔狂なことをするものだ」と、完全に舐めきっていた。

そんな“舐めきった”映画に完全ノックアウトされてしまうのだから、まったくもって「ざまぁない」。

コミックの1巻のストーリーをほぼ忠実に描いたストーリーテリングは、やはり王道的な内幕モノ+シンデレラストーリーであり、そこに特別な工夫や斬新さがあるわけではない。
ただそこには、主人公ジーンの偏執的なまでの「映画愛」と、彼がそこに至らざるを得なかった人生模様が、より強く、より深く刻み込まれていた。

なぜ僕たちは映画を観るのか、なぜ私たちは映画を作るのか。
その理由や経緯は、実際様々なのだろうけれど、少なからず僕たちは、スクリーンに映し出された“光”を通じて、自らの人生を「投影」している。
そのあまりに本質的な真理に辿り着いた主人公は、自らの存在のすべてを叩きつけ、削り込むように、“映像”を切り取り、そして“映画”として繋ぎ合わせる。

「ようこそ、夢と狂気の世界へ」
というポンポさんの台詞が、クライマックスの展開と共に、より深く突き刺さってくる。
そして同時に、僕にはそのイカれた世界に突き進む「覚悟」が無かったのだなと思い知った。




ちょうど一年くらい前から、趣味で動画作成をするようになった。
今の仕事とか、コロナ禍の生活とか、様々な状況が重なって始めた趣味だったけれど、やっぱり僕はこの“行為”が好きだったのだなと思い知った。
幸か不幸か、僕はこの作品の主人公のように、映画制作に命を懸けているわけではないけれど、それでも彼がPremiere Pro(編集ソフト)の画面を睨みながら、もはや半狂乱的に編集作業に臨む姿には共感を覚えた。

気の遠くなるような膨大な作業量を目の当たりにして、ゾッとすると同時に、さあどう仕上げてやろうかとほくそ笑む。
ヘタクソで冗長な撮影素材の中から、2秒前後のカットを選び取り、1フレームレベルで調整する。
その作業を延々と繰り返して、「作品」と呼ぶにはおこがましいたった数分間の映像を作り出す。
極めてマスターベーション的な行為ではあるけれど、かつての夢の残り香を追うように、僕は動画を作成している。

「才能」も、「覚悟」も無かった自分には、到底辿り着けなかった世界だったろうし、今現在の自分自身の人生に後悔があるわけではないけれど、漫画であれ、アニメであれ、その世界で「自分」を貫き通した人間の姿には、感動を越え、尊敬をせずにはいられない。
その主人公をはじめとする「映画製作」という狂気的な世界の中で生きる人間たちの様相に対して、僕は、色々な感情が渦巻き、高まり、奮えたのだと思う。




映画館から出た直後、すぐさまこの漫画を紹介してくれた友人にメッセージを送った。
「控えめに言って、傑作だった」と。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 10点(2021-06-19 23:23:50)(良:1票)
3.《ネタバレ》  ツイッターで評判になっていて、映画好きならば当然心の底から楽しめるのでしょう、と期待していたのだけれども、どうやら何千って映画を見てゆくウチにアタシはつまんない映画オタクへと堕してしまったようね・・・。自分でも驚くほど響かなかったの、この映画。

 これって映画についてのアニメ映画なのだけれども、あくまで映画の言語ではなくてアニメの言語で描かれているのね。そりゃアニメ映画なのだから当たり前なのかもしれないわ。ヘン顔とか汗とか。だけど劇中劇(というかアニメ映画内映画)までもがアニメの言語で描かれてしまっていたら、それは違うでしょうと。そこはあくまで映画としての括りで描かれていたのだから。
 追加の脚本部分、アレは本当にポンポさんが書いてしまったの? 主役でもなければ語り部でもない追加の登場人物がいきなり心の声を響かせてしまう、そんなアニメの言語で描かれたようなモノが通用するのかしら? 
 それにピアノの前の老人の黒い禍々しい影と瞳の光のエフェクト、アレも無しよね。そんなアニメアニメした即物的表現(あるいはマーベルとかDCとか怨霊モノとか)が必要? 編集画面にきっちり描かれていたのでアレはあくまで素材そのものに刻まれたモノよね。
 それがラジー賞ならともかく最優秀作品賞とか最優秀脚本賞とか獲れるの?あの題材、あの撮影素材が果たしてそんなに素晴らしいものなの?っていう疑問はともかくとしても。

 登場人物が揃いも揃って影を持たず、ポンポさんは天才で、物事は全てポジティブに進み(銀行の件など困難ではあってもネガ方向のベクトルではないわ)、映画製作の裏に存在する闇などなくて、でもそれはそれで現実の投影である必要はない、観ているみんなに希望を与えるものであってもいいでしょう。でもどうにもアタシにはそれがムズムズと居心地の悪い、キモチの良くないモノなのね。みんな仲良し馴れ合いワールドで映画ができました~・・・やっぱりキモチ悪いわ。アタシマジダメなオタク。

 でもアタシ的に楽しめたところもあったわ。
 頻出するフィルムの絵、アレに光学式サウンドトラックとドルビーデジタルのデータはハッキリ確認できたけど、SDDSのデータは微妙で(多分無い)、DTSの同期信号は無しだったとか。
 女優の顔さえ綺麗に撮れていればそれでいいというのはアタシが前からレビューによく書いているコトなのでバリバリ共感したり。
 飛行機のシーンでのベクトルを観察したりとか。西海岸からヨーロッパ方面に飛ぶ飛行機をどっち向きに描く? 客席は進行方向に向いているべきだけど、どうだった?
 あと作ってる映画を自分ならどうする?って考えたり。前半のコンサート部分はタイトルバックに詰め込んで本編いきなりアルプスから始めるとか。コンサートからアルプス以前までの出来事は回想として断片化するとか。老人が屋根から落ちたら笑えないでしょ?むしろ心配でしょ?だから切る、とか。

 映画についての映画だけど、五月蠅い映画オタクとかシネフィルとかいった存在は意識してたのかしら。むしろ切り捨てるべきと考えたかしら。映画って出来上がった作品が総てだからそこは判らないわね。

 そうね、だからアタシはダメな映画オタクだけどさ、1本1本の映画はこうして真剣に真面目に見てるのよね。そこについては認めてね、と自己弁護しておしまい。
あにやん‍🌈さん [映画館(邦画)] 5点(2021-06-18 20:16:52)(良:1票)
2.してやられた。
 原作を読んでいるから、原作通りなら、面白くなるのは分かってたのですが、それを超えてきちゃったんだよね。映画製作の過程を分かりやすく、面白おかしく見せるのは出来て当然だと思っていたけど、まさか主人公の内面を抉ってさらけ出してくるとは思いもしなかっった。しかもそれが失敗と挫折経験した人には痛く心に突き刺さるので、あたしなんか泣けて泣けて(笑)。そうした仕掛けを上手く演出したのが、原作に無かった部分なんだろうね。この原作に無かった部分を主人公の内面と制作している映画の主人公を上手く重ねて演出したところに重ねて、物語を丁寧に描写している、そしてそれはこの映画に出てくる銀行の頭取の台詞で答え合わせをしてくれている所が、救いになってますね。
 役者もある意味面白いと思います。主人公と主人公の撮る映画のヒロイン役がお世辞にも上手くない(正直言って、素人に毛が生えた程度(笑)、これが変な話、役としては良い感じに素人っぽさというか新人監督&新人女優って感じが出てる。それに引き換え、主人公の撮る映画の主人公役が大塚明夫で、ヒロイン付き人になる相手が加隈亜衣なんて、キャリア十分の声優を使っている所に、ある意味悪意まで感じたね(笑)。
 決して万人受けするとは思わない作品だけど、それがこの作品の主題にもなっている所も良い点だと思います。映画の中でカット割りについての話が出てくるけど、そんな事を説明しながら、映画そのもののカット割りがかなりうまく出来ているのも注目点でしょう。
 折角ここまで出来ていて、ラストのオチまで完全に出来てるのに、惜しむらくはこの映画の上映時間で画竜点睛を欠いてるんだよね。これがもったいなかった。
 勿論、この映画自体が完全なるフィクションになっているから、現実と合わせる必要は無いのかもしれない。でも折角この映画の完成度がここまで高くなっているのであれば、やっぱりこうした細かい所で洒落てないとこの映画の醍醐味が薄れる気がします。
奥州亭三景さん [映画館(邦画)] 9点(2021-06-15 03:43:48)
1.4年前にネットで見かけて記憶に残っていた漫画が映画になったとの話を聞いて見てみましたが、最高でした。鑑賞中に理由の分からない涙が出て、見終わった後にしばらく立ち上がれなかった作品は何年ぶりでしょうか。文句なしの10点満点です。
無駄のないシーンがテンポ良く続き、見所に次ぐ見所でとても90分とは思えないほど濃密な時間でした。映画オリジナルの追加シーンもドカンと盛り上がっていて、これのおかげでオチの重みがグッと増しているので原作既読の方も楽しめる作りになっています。原作は今でもpixivで読む事が出来ますが、映像の楽しさやテンポの良さ、追加シーンや音楽の力も手伝って映画の方が断然良いと感じました。
デフォルメが強い絵柄や子供っぽいタイトルで惹かれない方も居るかも知れませんが、どうか敬遠しないでください。映画が大好きな方、クリエイターとして何かを作っている方、色々なものを切り捨てて夢を追い続けている方に特におススメです。そうじゃない方にも是非見て頂きたい作品です。
ちなみに、私はニュー・シネマ・パラダイス(2時間の方)大好きです。
alianさん [映画館(邦画)] 10点(2021-06-13 01:23:42)
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【点数情報】

Review人数 13人
平均点数 7.62点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5323.08%
600.00%
7323.08%
8323.08%
917.69%
10323.08%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review1人
2 ストーリー評価 9.00点 Review3人
3 鑑賞後の後味 9.33点 Review3人
4 音楽評価 7.50点 Review2人
5 感泣評価 9.33点 Review3人
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