1.《ネタバレ》 古書店を営む文筆家・餅月敦子を中心に、彼女を取り巻く女性たちの人生を「食」と「性」に焦点を当てながら描く群像劇。特筆するエピソードはなく、日々の生活の「あれやこれや」が淡々と綴られます。刺激的な展開で惹き付けるタイプの作品ではない為、必然的に役者の演技に目が行きます。残念ながら本職俳優とタレント俳優の力量の差は明らかでした。おそらく両者の中間に位置するであろう「小泉今日子」や「ユースケサンタマリア」に中和剤の役目を期待したのでしょうが、あまり効果的では無かったように思います。
タイトルに違わず「美味しそうに食べる」シーンは随所に見られました。これは傍から観ているだけで幸せを感じるもので、敦子が言う「美味しいものを食べている時と、好きな人とセックスしている時が一番不幸から遠ざかる説」は概ね真実なのでしょう。
「食」をテーマに掲げるに映画にしては「料理」の見せ方に拘りが感じられません。料理の魅力をきちんと伝える「画」が不足していたと思います。献立のセンスが良かっただけに、尚更勿体ない気がしました。献立とは裏腹に、センスを感じなかったのがエンディングです。まるで漫画。エンディングの選曲も含めて「急にどうしちゃったの?」という感じ。そもそも終点が定まっていない物語なので締め方が難しかったのかもしれませんが、雑な味付けだったと思います。