1.愛媛県松山市出身・在住の者としては、やはり「がんばっていきまっしょい」という作品はちょっと特別だった。
少女たちの人間模様にしても、彼女たちがたたずむ風景にしても、決して何か劇的なものが映し出されるわけではないけれど、自分たちが住んでいる街は「ああ、ちょっと良いんだな」と、思い出させてくれる。
すごく良いわけではないけれど、ちょっと良い。それは、“この街”の性質そのものをよくあらわしている。
思い出されるのは、1998年に公開された実写映画版だろう。
僕自身が高校生時分だったこともあり、主演の田中麗奈のフレッシュさも手伝って、とても瑞々しくて、愛らしい作品だった。
この映画が、その後の「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」、「シムソンズ」、「ちはやふる」など、マイナースポーツの運動部や文化部を題材にした青春映画の系譜に繋がっていることからも、存在感のある作品だったと思う。
そしてこのアニメ映画化。題材的にも、映し出されるビジュアル的にも、アニメーション化に相応しいものであることを容易に想像できる。むしろ今の今までアニメ化されていなかったことが不思議に思える。
舞台設定を現代に変え、秀麗なアニメーションで映し出された映画世界は、やはり瑞々しく、画面から爽やかな風が吹き抜けるようだった。
原作の世界観や、実写映画の系譜を踏まえた真っ当なアニメ映画だったとは思う。ただ、これはもはや個人的な趣味嗜好によるところが大きいが、CGアニメーションの“タイプ”が好みではなく、その部分がどうしても世界観にのめり込めない要因となってしまった。
とはいえ、前述の通りこの街の在住者としては「嬉しい」映画作品であることは間違いない。
今週末は、久しぶりに、あのきらめく水面を見に行こうと思う。