1.《ネタバレ》 そう遠くない近未来。逼迫する食糧事情に業を煮やした政府が発動した政策。それは貧しい者や女性や子供といった社会的弱者の権利を大幅に制限しようというものだった――。自由を求め、他の国へと亡命しようとしたとある夫婦は、違法業者に多額の現金を払い、なんとか港まで辿り着く。だが、いいかげんな業者により引き離されてしまった夫婦は別々のコンテナに乗せられてしまうのだった。しかも妊娠中の妻ミアを乗せたコンテナは、軍の強襲に遭い、彼女以外の密航者が皆殺しにされてしまう。荷物に紛れてたった一人、難を逃れたミアをさらなる悲劇が襲う。なんと激しい嵐に遭遇した船から、彼女の隠れていたコンテナが広大な大海原に投げ出されてしまったのだ。狭いコンテナに役に立つような荷物は何もなく、食料すらほとんどない。銃によって空いた穴からは徐々に海水が入り込んでくる。しかもミアは、そんな絶望的な状況で急に産気ついてしまい……。果たして彼女は無事に陸上へと戻ることが出来るのか?昔からホントよくあるタイプのいわゆるソリッドシチュエーションスリラーというやつで、今回主人公が閉じ込められるのはなんと海に投げ出されたコンテナの中。謎の立方体だったり、地中の棺桶だったり、きっちゃないバスルームだったり、営業終了後のスキーリフトだったり……、よくもまぁこんなに人を色んな場所に閉じ込めてきたもんだ(笑)。さて本作、さすがに突っ込みどころ満載だけど、そこら辺に目をつむればそこそこ観ていられる感じにはなってたんじゃないでしょうか。荷物を開けてみてもそこにはタッパーやテレビなどこの状況に役に立つものは一つもなかったりだとか、海水がじわじわと水嵩を増してくるとことか、この小さなコンテナの中に一人だけという絶望感はなかなかよく表現できてたしね。あと、主人公が妊婦で途中で出産してしまうというのも捻りが効いてて大変グッド。まぁ後半、親子愛でひたすら泣かそうとしてくるのがあからさま過ぎて、自分は若干苦笑い気味で観てましたけど。あとこれ、近未来設定いったのかな。普通に不法入国しようとした難民設定でも充分成立したし、その方がリアリティもあって社会的テーマも明確になったしそっちの方が良かったと思う。とは言え、ほぼ独り芝居となるミア役の役者さんはけっこう頑張ってたし、ワンシチュエーションながらあの手この手で物語を上手く盛り上げてたし、ボチボチ面白かったんじゃないでしょうか。まぁ最大の突っ込みどころである、「さすがにこれだけ穴の開いた鋼鉄のコンテナはすぐ沈むやろ!!」という部分を許容できればですけど(笑)。