1.面白い映画かと問われたら、そうではないと答える。なら芸術性が高い映画か、と問われると、そうでもないんじゃないかなあ、と濁す。分かりやすい映画か、と聞かれたら、きっぱり、NO、と答える。すると最後に、じゃあしょうもない映画ではないか、と来るだろうが、そしてらなんかすごく弁護したくなる。言いたいことがいっぱいあるみたいな映画なんです。70年代以降かなあ、日本の映画は、何を語るかよりも、いかに語るかのほうに重点が置かれてきて、それは大事なことなんですが、でもたまには言いたいことが詰まってる映画も見たい。これはもう不器用なぐらい詰めちゃってて、登場人物の関係もよくわかんなくなっちゃって、不親切きわまりないんですが、でもこの渾沌に身をひたすのは、ああ、まだ言いたいことがいっぱいあって映画作ってる人がいるんだ、って分かって、けっこう気持ちよかったんです。