28.《ネタバレ》 何と今回、恒例の「冒頭、旅先から寅が帰ってきてとらやのメンバーと一騒動」がない。その分、マドンナとの関係がじっくりこってりじわじわと描写されて、まるで一般のラブロマンス映画のようです(!)。またそういう演出に、いしだあゆみがぴったりなんだな。この人の場合、あまり表情を動かさなくても、目力とさりげない動きだけで芝居ができるんですよね。京都シークエンスについては、導入部は仁左衛門と寅があまりかみ合っていなくて、ご老体系(?)なら19作目のアラカンの方が相性良かったのではとか、山田監督をもってしても京都文化の消化は難しかったのかとかも考えましたが、これもしっかり時間がとれたおかげで無事にこなれてきました。そしてそして、これまでありえなかったマドンナからのこっそり手渡しメモ(おばちゃん曰く「付け文」)、この予想しないたった1枚の紙がもたらすインパクト!この作品はもうここで十分です。鎌倉のシーンはおまけです(とらやでの対面状況で、デートがどうなるかはもう予想できますからね)。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-10-18 02:49:11) |
27.《ネタバレ》 「男はつらいよ」シリーズの中でも最大の問題作と言っていいのではないか。 ロケ地は京都、丹後、鎌倉でいつになく気合の入ったロケーションで美しい。 ただ、それ以上に美しいのがいしだあゆみで彼女の可憐さと妖艶さに見入ってしまった。 誘ういしだに拒絶する寅というもどかしい展開。見ててつらくなってきてしまう。 特に、丹後で寅が寝ている部屋にいしだあゆみが入るシーンはシリーズ屈指の名シーンである。 もどかしさはあるが、詩情あふれる中期の傑作。 【rosebud】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2020-10-17 22:16:29) |
26.《ネタバレ》 エロとは無縁のシリーズで唯一といえる性的描写のある作品。いしだあゆみが子供を寝かせつける時のふくらはぎ、寝たふりをしている寅の部屋に入ってきた時の彼女の官能的な佇まい。寅はそんな時にも意気地がない。女を抱けないだけでなく、鎌倉のデートには満男を同伴させる。男として一番やってはいけないことをやってしまう。長年の謎だったが、寅は童貞だったとこの作品で確信。八千草薫、竹下景子、浅丘ルリ子、松坂慶子など、結ばれる可能性もあったのに、寅に男としての自信と覚悟、甲斐性が無いばかりにいつも恋が成就しない。 【marsplay】さん [インターネット(邦画)] 8点(2018-06-06 00:39:42) |
25.《ネタバレ》 冒頭のシーンが夢オチではなく、主題歌の中で普通のセリフが出たり、旅から帰って喧嘩するシーンも無く、寅さんの通常パターンと違った展開の作品。 そして、寅さんがマドンナと別れた後に電車で泣いていた(by満男)とか、異色なエピソードがあるものの、映画としてはそこそこ面白い。 これだけ、沢山の知り合いが全国に出来てくると旅も楽しいんだろうな、とか思う。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-08-02 16:52:25) |
24.《ネタバレ》 オープニングの夢から覚める場面がない、タイトル中に寅がしゃべるといういつもと違う構成におや?っとおもいつつ鑑賞。なんだ・・・何か妙に漂うこの緊張感はなんだ? いつになくシリアスな本作はちょっと個人的には苦手かなぁ。。。吉岡君扮する満男がとても重要な役割を担っていたことは注目すべきかとオモイマス 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-09-22 08:32:10) |
23.《ネタバレ》 ○江戸川で始まらないオープニングには驚かされたが、きれいな始まりだった。○マドンナは未亡人でどこか幸薄そうな感じ。丹後へ来た寅さんが帰ってしまう時のマドンナの一言が切ない。○デートに満男を連れてくる寅さんらしい一面もあるが、終始おとなしめのテイスト。ラストの陶芸家とのやり取りも今作を締めくくるにふさわしい雰囲気だった。 【TOSHI】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-06-02 22:05:45) |
22.《ネタバレ》 【ロケ地どこだか忘れてしまったけども どこだか綺麗な漁港篇。というかもっと重要な事の一つとして デートなんです 鎌倉篇。今回のマドンナ:いしだあゆみさん。】 前作、紙風船のマドンナの音無美紀子さんは未亡人だった。 そして今回のマドンナいしだあゆみさんも既に初っぱなから未亡人だった。 さすがの寅さんももう歳が歳なだけに脚本的にも恋する相手を生娘にするというわけにも行かなくなってしまったのでしょうかなどと考えるとちょっと寂しい気分になってきたりした。 ただですね、ところがどうして、今回マドンナいしだあゆみ篇、今までに無かった新しい撮り方で攻めてきましたね お互いの悩ましい姿にドギマギさせられ、久々ぶりにこの人となら一緒になってほしかったかな なんて思いで見てたんですがね まあデートに満男を無理強いして連れていってしまってるようではそりゃ実るもんも実らんでしょうしさ(笑) あとさ狸寝入りね あれね、ダメなやつだな だけどこの回好きだな~ 転がる物があれば転がし回せる物があればクルクル回す そんな寅次郎のガキのような姿とそれと同じような行動をとってたさくらの姿も可笑しかった。そしてこの辺りから満男が貴重なピースの一つになってきた。そして今回タイトルに使われたあじさいの花、鎌倉のあじさいが咲き誇る階段が綺麗ですっかり目に焼きつきました。内容に見合った良いタイトルになっていたかと思います。29作もなるとタイトルとその内容とマドンナ思い出すのってなかなか難しいです。でもこれは忘れてしまうはずがありません あじさいの花イコール鎌倉・いしだあゆみです。もう忘れてしまうはずがありません。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2014-05-16 21:48:44) |
21.寅さんが弟子の前で焼き物を手で弄ぶシーンは面白いね。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-05-12 05:58:40) |
20.《ネタバレ》 冒頭の夢が夢でなくなっていた。今回のマドンナのいしださん、貧乏臭くて幸薄そうな感じがよく出てました。しかし寅さんともう少しバカなやりとりがあって仲良くなってからの再会が良かったかなぁ。寅さんが会いに行ってから彼女を意識してしまったのはわかるが、彼女が寅さんを頼って出てくるに至るにはちょっと強引な様で。でもシリーズ中では結構好きな作品です。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 6点(2012-10-27 19:25:01) |
19.《ネタバレ》 マドンナはいしだあゆみ。 寅さんの悲恋物語。ドタバタもなく、いつもの寅さんとは全く違う雰囲気だったけど、本作は、ある意味で寅さんとは何者か、実はどういう人物なのかということをしみじみと感じさせる素晴らしい一篇であった。寅さんは女性から本気で求められると、受け身になって、すっと自らを引いてしまう。そして自分を「駄目な男だ」と言って一人涙を流す。恋に恋して、恋できない臆病者。それが寅さんなのか。寅さんの流した涙を思い、12歳の満男と同じように悲しくて僕も泣いた。寅さん、あなたはただひたすら優しすぎるのだ。そういう愛があってもいいじゃないか。寅さんが満男に言う。「お前もいつかは恋をするのだろうな。可哀相に」 すると満男が答える。「僕、恋なんかしないよ」と。(10年後の自分に聞かせてあげたいセリフだ) この回に津嘉山正種がいしだあゆみの元カレで登場する。津嘉山と言えば、オープニングでのドタバタ劇専門でずっと登場していたが、ついに本編昇格かと。彼はその後、『真実一路』でも部長役で登場している。その後のOPドタバタはアパッチけんが引き継いでいる。 【onomichi】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-04-29 23:26:04) (良:1票) |
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18.《ネタバレ》 夢から覚める場がない、タイトルバックが江戸川土手でない、マドンナがとらやの座敷に上がらない、などの変化あり。室内の暗さが今回は目立ち、京都の伝統を出す意識的なものもあろうが、マドンナ(かがり)の暗い情念とも通じていたよう。今回の趣向は、寅がマドンナに追いかけられる、という点。今までもホンワカムードになったのはあるけど、一途に思いつめられて付け文をそっと渡されたりまでする。その前に丹後でかがりの家に泊まることになっちゃうのが予備段階の緊張。かがりの母が近所の手伝いに出てしまい居心地の悪くなる寅の晩餐、自分からお酒を求めるかがり、狸寝入りしている寅、そっと部屋に上がってきて寅の横にしばらく座るかがり(娘のランドセルを取りに来た、という理由はある)。その心理のだんまり芝居を見ているようなせめぎ合いが見事。かがりは失恋の痛手に、加納の「人に気を使うな」という叱責の言葉が重なりズタボロで、ゆきずりの・下駄をくれただけの下駄顔の男に弱った心が一気に傾く。翌朝の別れのとき想いが溢れ、ずっと船を見送り続けているかがりのカットの積み重ね。なんか蛇体となった清姫のような凄味さえ感じられてくる。山田洋次は、臆病になってはならぬといつも言いながら、そうい臆病になる人たちをいとおしんでもいる。寅も含めて。ここらへんシリーズ通してのテーマ。あともう一つシリーズの重要なモチーフとして、かがりは外での寅と内での寅の違いを江の島で指摘した。外で会ったときは優しいのに、家に帰ると違った人になっちゃったみたい、って。本作では恒例のとらやでマドンナがもてなされる場がない。今までの寅は、とらや一家の暖かさの代表としてマドンナに気に入られていた面があったが、本作で個人として自立した(!)、ってことか。あじさい寺に寅が満男を連れてきたのを見て、かがりはちらっと表情を翳らせる。ここには「寅は寅の所属する家の人なんだわ」という嫉妬と落胆がある。寅は旅先ではけっこう大人として振舞えていた。濃い人間関係が生まれそうになったら、無名の旅人としてその場を去れる状況では強い。しかし名を持った個人として剥き出しで女性に対さなければならなくなると、たちまち恐怖に囚われてしまう。そしてシェルターとしての家の代理人を誰か、さくらがだめなら満男でもいい、必要になるのだ。デリカシーのある男はつらいよ、って寅は言うだろうが。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-04-21 10:12:12) (良:2票) |
17.《ネタバレ》 第17作の池ノ内青観、第19作の藤堂の殿様、そして本作の加納作次郎。いずれも寅さんとの出会いのシーンがいい。偉い人とは知らずに、小遣いにも不自由してるようなじいさんと勘違いして寅さんが安酒や茶を奢る。この偉い人を演じるのがいずれも大物で、寅さんと実にいい味の間を作り出します。 本作は風情のある京都や鎌倉が舞台ということもあり、落ち着いた雰囲気が魅力のシリーズ中期の良作だと思います。京都や鎌倉の風景とマドンナ役のいしだあゆみの醸し出す雰囲気もとてもよく合っています。 ですが実は本作はシリーズ中の苦手な作品の1つなんです。それは他の作品には無い寅さんとマドンナとの間なんだと思う。丹後のかがりの実家、後半のとらやでの再会に鎌倉デート。寅さんらしさは影を潜め、二人のシーンを観ていると息苦しくなってくる。どうも寅さんを見て味わいたい雰囲気ではないんですね。 ですが、加納作次郎作?の怪しげな焼き物を売る寅さんと「買った!」と手を挙げる加納。バイの最中に2人が再会するラストは何とも粋な終わり方でした。 【とらや】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2010-11-07 15:46:13) (良:1票) |
16.全体的に湿っぽい雰囲気が他のシリーズと違って異色を感じさせる。 茶碗をめぐる人間模様など全編にわたって日本らしい「和」の精神が見られるところが素晴らしい。 茶碗をめぐるおかしさなどで見る者を笑わせながら、ヒロインとの恋路に悩む寅さんの悲哀が胸を打つ。 寅さんご乱心の場面での早回しなど、過剰とも思える演出によってエンターテインメントを随所に散りばめ、下駄・付け文(恋文)・紫陽花(アジサイ)などの小物を使った工夫も巧みである。 丹後伊根舟屋のどこかうら悲しい漁村風景も味がある。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-06-18 23:08:43) (良:1票) |
15.寅ちゃんて両思いだということが分かると、ほんとに面白くない男になりますね。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-05-10 08:24:22) |
14.本シリーズは全て観たが、本作だけは何故かその内容が思い出せない。 何故だろう。 また観ろということかな。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2007-10-06 17:11:15) |
13.片岡仁左衛門が演じる陶芸作家のモデルは河井寛次郎です。 かなり、ご本人に似ています。実際に河井寛次郎記念館で撮影したのでしょうか、セットにしてもよくできています。河井寛次郎記念館は京都の五条坂にあります。 いしだあゆみと京都もよかったです。 個人的にはさくらがテレビの上に置いてある抹茶茶碗をもてあそぶとこが好きです。陶器は見る目がないと価値がわからない事をうまく表現しています。笑えました 【ビモータ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-11-03 00:02:06) |
12.今回もなかなか渋い作品、やはり寅さんはおとなしめ。マドンナはさらに渋い。いしだあゆみ。渋すぎ。舞台はまず京都。これがいい。実に京都らしい京都の雰囲気をよく表していて、これだけでも充分、観た甲斐があるというもの。で、それ以外の見所はというと、ううううむ、これがあんましはっきりしない(笑)。いや、この曖昧さ。物事を正面から描かずオブラートにくるみながら、そっと、寅さんとマドンナのすれ違いが描かれる、この微妙な味わいこそが、本作の魅力でありましょう。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-05 21:52:08) |
11.《ネタバレ》 私は人生ってのは「出会い」と「タイミング」で決まると思っている。それだけ映画における出会いのシーンというのは重要に感じているのだが、冒頭の寅さんと片岡仁左衛門の出会いのシーンを見て、「こりゃ奇跡だな」と思わず呟いてしまった。 <追記>14年ぶりに再見。やはり冒頭の出会いのシーンはホレボレする。シリーズ屈指の名場面だと思う。寅さんはこれだけ粋でカッコイイ立ち振る舞いが出来るのに、マドンナ相手には逃げてしまう。そして、本作ではさくらに代わって満男が寅さんのサポート役になるわけだが、マドンナとは『北の国から』の親子じゃないか!で、「おまえもいずれ恋をするんだな、あーあ、可哀想に」という、その後を予見させる名台詞が飛び出す。しかし、寅さんは満男の前で自分の不甲斐なさに涙をこぼすという叔父さんらしからぬ行動をする。結局、寅さんは旅先では自立した優しく気ままな自由人ではあるが、柴又に帰ると家族に甘えてしまうある種束縛された依存的人間であるというコントラストをマドンナによって暴かれて指摘されてしまう事になる。ここまで寅さんの本性を曝け出させて鋭く見抜いたマドンナは稀有である。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-04 02:10:38) (良:1票) |
10.作品の感じとしては繊細な恋心を随所に表現した芸術的なもの。陶芸や京都、鎌倉のあじさい寺と、女性が好みの要素が多いせいかもしれない。しかしながら、寅さんらしさが少ない分、マドンナの暗さが目立ってしまっている。それが良さともいえるのだが。今後、満男の出番が多くなることを予告するものともなっている。味わい深い作品ではある。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-09-02 23:47:26) |
9.この映画のいしだあゆみって、枯山水のお庭の隅のジメジメした所に生えてる白くて美しい隠生植物みたいな雰囲気なんですよ。ひょろひょろとはかなげなのに実は毒を含んでる、みたいな。他作品じゃ類をみないタイプのマドンナという事で非常に印象深いです。ロケーションも、丹後あたりの入り組んだ入り江の家屋の情景が美しかった。でも・・・、数あるシリーズ他作品と比べて好きかって聞かれると・・・実はそうでもないというのが自分の意見。吉永小百合=歌子マドンナ同様、寅さんが言葉につまって黙りこくってしまうのをみてるのが、多分自分には辛いんだと思います。鎌倉あじさい寺での満男を含んだやり取りとかも、何かもどかしくてスカッとしない。異色作として鮮明に記憶には残るけど、あまり観返したくはない作品のひとつ。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-07-08 13:00:38) (良:1票) |