89.アメフトのことはよく分からないが、一歩一歩距離を詰めていくゲームと思われる。
そういう一歩一歩の大切さをアメフトを通しながら人生の歩みについて語る仕組みは良いと思う。
「アメフトも人生も犯す過ちは気付かないほど些細なものかもしれないが、半歩遅くても早くても失敗する。何かを失ってその大切さを始めて気付くのには遅すぎる。大事な一歩は人生の至るところにある。」というのは名言だろう。
映画の中でもその一歩の大切さをそれぞれの登場人物が学んでいたと思う。
ウィリーはいうまでもないが、トニーしかりクリスティーナしかり。
そしてチームワークや自己犠牲についても描いていたと思われるが、肝心のクォーターバックの役割が映画によってゲームの主導権を握る重要なポストだとは分かるが、詳しくは何も知らないので多少つらい所。
しかし、ウィリーの自己中心的なプレイによってチームがバラバラになる姿や、トニーの演説やキャップによって一つにチームがまとまる姿や、映画の中でも散々チームリーダーの必要性やチームワークの重要性が語られてたので、同じものを目指して戦うことの素晴らしさは充分伝わってきた。
パチーノが語っていた「思い出すのはハドルの皆の顔」というセリフも重要だろう。
難をいえば、キャップがもうちっとこの点を伝えるのに適切な役割を果たしてもらいたかったものだ。
キャップは引退したいとか言い出して嫁にビンタを食らったり、自信を喪失していたりして少し役割が違うような気がした。
もっとも選手が抱えるプレッシャーや悩み、恐怖等についても描く必要はあるが、他の選手でこの点は充分描かれているのだから。
映画自体は面白いと思うが、結構様々なものを詰め込みすぎている部分が多いと感じる。
トニーが記者への暴行などはストーン得意のマスコミ批判かもしれないが、あまりストーリーとは関係ないし、エッカートは映画の中ではニックという名前があるのに本レビューの名前欄に名前がないほど存在が必要ないので彼は要らない。
クリスティーナについては、彼女の家族についての取り扱いや自分を取り戻すことについてもやや中途半端な印象。こちらはもっと大きく取り上げても良かったと思われる。
医者間のトラブルなども悪くないテーマなので多少雑な扱いという印象だった。