64.《ネタバレ》 前作を「同窓会映画」と評した自分としては、タガートの不在が何とも寂しい。
そして、レギュラーキャラであるトッド警部が撃たれて死んじゃうというのも、受け入れ難いものがありましたね。
そりゃあ、このシリーズは「誰かが悪人に撃たれ、主人公は仇討ちを誓う」って導入部なのがお約束ではあるけど、1のマイキーは登場して数分での退場なので観客としても受け入れ易いし、2で撃たれたボゴミルは一命を取り留めていますし。
視点を変えて考えれば「1や2を越えるほどショッキングな導入部」として評価する事も出来るんでしょうけど……
それならそれで、もっと「トッド警部の死」を物語に深く絡め、ラストは警部の墓参りで終わらせるとか、やりようは幾らでもあったと思います。
他にも、ヒロイン格のジャニスとロマンスが芽生えるのも、このシリーズらしくない点であり(これ、ビバリーヒルズ・コップでやる必要あった?)と思えちゃう内容なんですよね。
「遊園地で銃撃戦を繰り広げる刑事物」ってアイディア自体は良かったし、アトラクションを駆使した楽しい場面も色々あったんだけど、それが結果的に「1や2と全然違う」って違和感も生み出してる。
マンネリ回避の為に、新機軸を打ち出そうとしたのかも知れませんが、それが成功したとは言い難いかと。
あと、せっかく新キャラのフリント刑事を登場させておきながら、彼と主人公のアクセルに友情が芽生えていく過程を描いていないのも、実に勿体無い。
「ビバリーヒルズの警官」とアクセルが仲良くなって、一緒に事件解決するのが本シリーズの華だろうに、何でそれをやらないんだよって、もどかしく思えちゃうんですよね。
FBIのフルブライトが黒幕って種明かしも、アッサリし過ぎていてカタルシスに欠けるし……
(アイディアは悪くないんだから、もっと細部を丁寧に作れば良いのに)って、歯痒くなっちゃいます。
そんな訳で「ビバリーヒルズ・コップ」シリーズの一作と考えたら失敗に思える作品なんですが……
これ単品として考えたら、そこまで悪くない仕上がりなんですよね。
上述の「このシリーズらしくない」っていう不満点に関しても、例えば「アクセル・フォックス」っていう単品映画だったとしたら、全然気にならなかったと思いますし。
本作の白眉であろう「子供達を助けるスタント場面」なんかも、初見では(アクセルらしくない。どっちかっていうと「ポリス・ストーリー」のチェン刑事がやる事)と思えて、戸惑ったもんですが、純粋にその場面だけを評価すれば「良い場面」って事になる。
あと一応、シリーズのファンに対するサービスとして「セルジュの再登場」ってサプライズもありましたし、作り手の誠意のようなものが感じられて、憎めない作りなんですよね。
それが単なるファンサービスだけで終わっておらず、ちゃんと物語の中で機能しており、彼に貰ったキーホルダーなどの発明品が、しっかり活躍してるのも嬉しい。
スタローンの母がデストロイヤー2000を買ったという「刑事ジョー/ママにお手あげ」を踏まえたようなネタがあるのも、ニヤリとさせられましたね。
元々「ビバリーヒルズ・コップ」ってスタローンとは縁深い作品ですし(2でも「コブラ」や「ランボー」のポスターが映り込んでる)こういうネタが盛り込まれてる辺りは、信頼出来る作り手さんだなって思えました。
結果的に「1」は8点「2」は7点「3」は6点と、尻すぼみな評価になってしまったのは寂しいけれど……
自分としては、この「ビバリーヒルズ・コップ3」も、充分に「好きな映画」って言えると思います。
三部作まとめて、定期的に観返したくなるシリーズです。