3.《ネタバレ》 殉死という古い儒教的因習の陰惨さを、深作欣二監督が「武士らしさ」とそれに対比す
るものとを明確に分けて、かつ暴力描写もTVゆえにか、やや控えめに描いてました。
一族が藩主に刃向かうという事件はあちこちであったようですが、藩の恥として、さら
に幕府から統制の無さの叱責を免れるために殆どが隠密裏に処理されていたみたいです。詰まるところは、意地の張り合いで、阿部一族は18名、藩方は34名も死亡者を出し
た騒動になってしまいました。結構、個性豊かな俳優さん達が熱演でした。▼「丸におもだか」の阿部家の家紋の入った衝立の前で女達に決起を促され(?)、最後はその衝立共々貫かれて死んでゆくところは、監督の美学と感じました。そういえば、双方のやり名人が、屋内の戦闘用に槍を短くして戦ったところなどは暴力描写に制限のかかった(?)TVでは、かなり実戦的なものだったと感心しました。久々に骨太の時代劇でし
た。