1. 拳銃王
《ネタバレ》 素晴らしい。傑作です。「西部一のガンマン」という超有名人になってしまっただけに、いわゆる普通の幸せが手に入れられない男の話。 この映画はドラマ的な要素が強く、復讐がメインとか馬に乗って荒野を駆けるとか一騎打ちとかが全然ありません。しかし、常に様々な人物が様々な動きをするので、飽きさせません。話はほぼひとつの町の中で進行し、主人公も「いかにも一味違う雰囲気をもった主役」という感じではなく、普通のおっさんです。しかしそこが良い。見た目普通のおっさんなのに、あるひとつの特徴すなわち「西部一のガンマン」というレッテルがあることのみによって、幸せな家庭をもって平和に暮らすということができないのです。 以下、素晴らしかった点を箇条書きで。 ①「西部一のガンマン」というレッテルがあるかないかの対比・・・西部一のガンマンとして知られるリンゴは、本人は望んでないにも関わらず常に名を挙げたい若者に狙われ、町からも厄介者扱いされる。しかし西部一のガンマンということを知らない者はリンゴに普通に接してくれる。リンゴとバレるまでの婦人会のシーンや酒場に来たトミーと「普通に」酒を飲むシーンがそれを表現しています。 ②年齢による対比・・・若い頃は銃の腕を磨き名を挙げたいという気持ちが強いが、年をとるにつれて「普通の幸せ」を求める気持ちが強くなるという表現。因縁をつけ、命を懸けてまでもリンゴを討ち名を挙げたいというのは若者のみ。カードをやってるおっちゃんたちの「家族がいるから挑むのはやめとく」的な発言などにそれが表わされています。 ③ラストシーン・・・最初「あ~リンゴも銃を抜きかけたが約束を思いあえて撃たなかった、ってのが良かったな~」とか思いましたが、すみません、こちらの方が断然良かったです。「お前もこれからガンマンの道を歩み、俺のような苦しみを味わってみろ」という、この映画をきっちり締める素晴らしいラストだったと思います。「銃を抜いたことにしておいてくれ」というのは、そうしなければ正当防衛にならずハントが殺されてしまうかもしれないからということなのですね。また、ハントが今まで一人も殺したことがないというのが伏線になっています。 [DVD(字幕)] 10点(2013-12-22 06:28:45)(良:1票) |
2. 決断の3時10分
《ネタバレ》 ■とにかく雰囲気が素晴らしい!第一にウェイドと店主代理の女性のやり取りの前後のシーン。町全体を描写せず、町の隅にひっそりとある静かなサルーン。若干影を背負った佇まい。もう何といってもBGMが最高に効いています。第二に早朝のコンテンション。人っ子一人いないその様子はゾクリとくる怖ささえ覚えます。撮り方によってこんなに違うものなのかと。 ■リメイクとの対比・・・リメイクと決定的に違うのは、ウェイドが本気で逃げようとしているところ。それ故緊張感が段違いで、一瞬も気を抜けないその状況はいつの間にか見入らされています。また、リメイクのウェイドは自分の身がどうこうよりもダンの人間性に心を動かされたという描写が強いですが、オリジナルは「本気で逃げたい、しかしダンは死んでほしくない」というジレンマ構造の描写になっています。オリジナルもリメイクもダンに協力的な言動をするという点では共通ですが、その中身が違うのが面白い。さらに、リメイクのダンは何ら誇れるものがなくどこか頼りなさげで、そんなダンが逃げ出さない理由は「誇り」のためですが、こちらのダンはウェイドよりもいかつい風貌で、家でのシーンで子どもたちからの尊敬(誇り)をあっさり獲得している。ではなぜ逃げ出さないのか、となると、ダンの台詞の通り「責任」言い換えれば「己の正義」のためなんですね。やっぱり昔の西部劇はそうでなきゃ!という感じのテーマ設定で、そこが良い。 ■・・・と、如何せんリメイクを先に観たためにどうしても比較してしまいますが、オリジナルもリメイクもそれぞれ良いところが異なる素晴らしい作品というのは間違いないと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2014-02-23 03:44:05)(良:1票) |
3. 決断の45口径<TVM>
《ネタバレ》 テーマは時代の移り変わり。ストーリーは鉄道の建設を巡る対立。ストーリーはシンプルですが、こういうテーマ性があって人間ドラマが重視される作品は好きなんですよねー。 今回の場合それぞれの時代を表すのは何?と考えた時に当てはまるのは個人の考え方というよりキャラそれぞれの年代そのものでしょうか。プレスコットは過去でルーク、テイトらは現在でノアは未来的な。だいたいパターン的に「女子供は殺さない」となるのに女は殺すが子供は殺さないところとかはテイトの性格がどうこうではなく映画的なテーマが理由な気がします。面白いのは「時代は変わった」とするジェスが銃で決着をつけるところ。銃の時代を終わらせるのは結局は銃であるということなのか、新しい時代を作るのはその時代を知っている者ではなく真っさらな新世代ということなのか、あるいは単なる演出上の勢い(笑)なのか・・・ まあ一部「あ、ストーリーを動かすためのご都合展開だな」という箇所があった感は否めず。賢い設定なのに死体を見つけてまずハワードに報告しちゃうジェスとか他は皆一発なのに普通に生きてるテイトとか銃声を聞いて逡巡無しで舞い戻る先生とノアとか。まあとはいえ、それを差し引いても中々に面白かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2014-04-22 00:43:42) |
4. 拳銃無宿(1947)
《ネタバレ》 8割まったりシーンな西部劇。銃の撃たなさでいえば9割5分平和。こういうキャラのジョン・ウェインは初めて観ましたが、こちらの方が好みまである。作品の流れとしてはベタですが、ベタなの好きです。 この映画を貫くテーマはなんといってもトーマス家の教えである暴力の否定、隣人を愛せの心・・・なんですかね?名の通った無法者のウェインがトーマス家で生活を共にするにつれ人の暖かさや銃を持たない暮らしの良さに気付いていく。水を通したことで人から感謝されたり、それによって人の輪が広がったり、それによって教会で聖書をもらったり・・・。お馴染みの一目惚れ恋愛も当然大きな意味を持っていますが、私はそれよりもあったか系シーンの方が好きでした。 また、こんなの俺じゃねえ!といわんばかりに飛び出すも結局銃を使わず女にものめり込めない揺れる描写も良かった。というか、そういうキャラをジョン・ウェインが演じてるというのが良かった。 ただひとつ、最後のシーンがあれじゃペニーとの愛がこの作品のメインテーマになってしまうのでは・・・いやそれで全然良いんだけど、前半の暖かい生活に触れるシーンの意味が単に「農夫の暮らしもいいなぁ」になっちゃうのでは・・・。ペニーが生きてるとわかったから銃を渡すのではなく、ペニーが生きてなくても「責任は自分にある」「暴力の否定」の教えを思い出し、銃を抜かないとかのほうが納得できた(というかそのほうが自分の好み)気がしました。 あ、でもペニーを見たから復讐心が消え、大切なものを思い出したっていうのも綺麗ですね・・・うーむ・・・ [DVD(字幕)] 7点(2014-01-15 00:53:39) |
5. 激突!<TVM>
《ネタバレ》 超シンプルな映画。わけのわからんトラックが追ってきて、わけのわからんままに逃げるというただそれだけ。ほうら時間に間に合ったでしょう?とか実は誰も乗ってませんでした(途中でちょいちょいドライバーが見えるからありえんけど)とか何らかの一捻りされたオチがあるかと思ったら、そのまんまシンプルに終わった。しかし、面白かった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-12-17 01:26:18) |
6. 拳銃の町
ミステリー色がかなり強い西部劇。事件が起こり謎解きをし、最後に種明かしが入って全てが一本の線に繋がるという、まさにミステリー小説を映像で観ているという感じの西部劇でした。メインの見どころは当然ストーリーですが、そこに女性関係という変数が絡み主人公にとって重要な働きをするというのはいつも通り。駅馬車で爆走や酒場シーン、銃要素も当然ありますが、それらを期待して観るというよりはストーリーを楽しみたいという人向けの作品かと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-17 19:15:51) |