21. コラテラル
《ネタバレ》 普通のタクシー運転手が、殺し屋の仕事になぜか付き合わされる物語。 この『なぜか』の部分の説得力が弱く、多少強引な展開ではあるが、許容範囲。 登場人物が多すぎないのが良いですね。自分好みです。 それに大部分はヴィンセントとマックスの二人が中心となっているため、変に凝ったサスペンスよりすっきりして見やすいですね。 ただ、シーンとシーンをつなぐ『タメ』のようなものが長すぎて、ややクドイ。 そーゆー雰囲気を作りたいのはわかるのですが、中だるみを引き起こす原因になっているような気がします。 ストーリー自体は、ある種の哲学を感じますし、何かのメタファーなのかなって思う部分もありますが、やはりシンプル。 こーゆーストーリーであれば、変に間を置かずに、テンポよく進んでいったほうが良かったんじゃないかな。 要所要所のアクションは瞬殺パターンが多くて好き。迫力があるし、サスペンス色が強くなります。 ラストの攻防も見事でしたね。 こんなに怖いトム・クルーズを見たのは初めてです。 特に地下鉄での『降りたいけど降りられない。』という状況の作り方がうまいです。 いたってシンプルな構図だけに、緊迫した雰囲気がよく伝わってきます。 総評。中だるみする部分はあるものの、気にならない程度。全体的にスリリングかつサスペンスフルで面白かったです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-03-25 04:30:48)(良:3票) |
22. ゴースト・オブ・マーズ
《ネタバレ》 少々期待しながら見たせいで、期待はずれの気持ちのほうが大きい。 それでもそこそこ楽しく見れたので甘めの採点です。 最初のうちはそれなりの緊張感をもってドキドキしながら鑑賞。 そしてヘヴィメタメイクの人たちが集会みたいなのをやっているところで気分が一気に冷めます。 まあそーゆー作品と知っていればよかったのでしょーが、ホラーと思って見てしまうと間違いなくここで冷めるはずです。 こーなってくるとホラーではなく、B級エンタメアクション。嫌いではないのですが、何が起こっているのかわからない序盤のテイストのほうが好みに合っています。 『やっつけたら、ゴーストみたいなもんが乗り移ってくる』という設定も好きではありません。 攻略のしようがない。希望があるから、恐怖感や焦燥感も増すのだと思います。結局は倒せないというのがわかっていると、どうしようもありません。 体がスパスパ切られていく演出は好き。スケールの小ささ、B級感たっぷりのチープな感じもきらいじゃありません。火星の各種デザイン、特に居住区なんかは、一昔前のRPGみたいで結構好き。 警察グループ、犯罪者グループの戦闘能力が高いのが良い。 好きなポイントもたくさんある映画。 その一方で、ヘレナ隊長がいつの間にか殺されていたり、人の使い方がもったいないと思う点もあります。 仲間が死んでも、話題にすらあげないのは、さすがに事務的過ぎる気もします。 好きなジャンルの作品。ですが気になる点多々あり。惜しい。 [DVD(字幕)] 7点(2016-09-08 15:37:23) |
23. ゴーストバスターズ(1984)
《ネタバレ》 小さい頃何度も見た作品。世の中にこんな面白い映画があるのかと思っていましたね。 今見ると、『思い出補正』をプラスしても7点くらいでしょーか。 もっとゴーストがわんさか出てきたイメージがあったのですが、それほどでもありませんね。 それにしても、まだCGが無かった時代に、ゴーストや捕獲レーザーの映像は驚きです。鮮やかなカラーリング。今見てもエキサイティングでビューティフル。 ストーリーはあってないようなものです。 いつの間にか会社ができてるし、いつの間にか捕獲レーザーができてるし、いつの間にかCMができて雑誌にのって何の前触れもなくゴーストがいっぱい出てきて大忙し。 その一方で、図書館のゴーストや終盤で街にちらばったゴーストなんかは放置。 ラスボス『ズール』だの『ゴーザ』だのとのバトルも、門に向けてレーザーを交差させて、何か凄いことが起きて、終わり。 この絶妙ないい加減さが嫌いではないなー。 とにかく細かいことは気にしていないようです。 ノリと勢い。そして映像。これだけで突っ走る。気持ちが良いくらいに潔い作品であります。 ですが、子供のときは映像だけで楽しめたのですが、大人になるとそれだけでは物足りない自分がいるのも、また事実。 つまりは、この作品は『子供向けアニメ』と同ジャンルなのかもしれませんね。 子供はまず第一に『映像』。ですが大人になると、『ストーリー』、『人』、その次くらいに『映像』が大切なのかもしれません。 少なくとも自分はそうだと再認識できた作品です。 それにしても、4人がコスチュームを着て立ち並ぶ姿は、コメディを通り越してもはやカッコ良いですねー。 その気持ちだけは大人になっても変わらなかったのが嬉しい。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-06-05 17:30:40) |
24. コーリング
《ネタバレ》 このストーリーだったら、余計なホラー演出は全体のバランスを崩してしまうのでは・・・。『シックス・センス』のように、ホラーとドラマの調和がとれたものもありますが、本来は両極端な別ジャンル。何でもかんでもミックスさせれば良いってものでも無いみたいですね。 また、どーしても夫に子供のことを伝えたいのはわかりますが、そのために夫を臨死体験に導いちゃうっていうのはどうでしょう。ガイドの人が助けてくれなかったら夫は死んでいたかもしれません。子供は天涯孤独の身になります。それが、本当に『愛』だと言えるのでしょうか。 とは言え、ラストのオチはまったく予想していないものだけに、『驚き&感動』で、鑑賞後の評価は高くならざるを得ません。 伏線はいろいろ張ってあったのに、その伏線に後から気付く脚本・演出は、極めてレベルが高いと思います。 いろんな意味で、ラストに救われた作品だと言えそうです。 ラストがなければ、流行にのっただけの、主題不在の失敗作に終わったことでしょう。このラストで、一気に観る価値のあるドラマへと進化しています。最期に、娘と遊ぶシーンを入れてくれたのも、嬉しい心配りです。どこから見つけてきたか知りませんが、お母さんにそっくりな娘さんです。 すごく良い映画だっただけに、せめて音楽だけでも違うのにしてくれたら良かったのに。 最愛の人をなくし、悲しみに暮れるケビン・コスナーに深く共感していたわけです。 それなのに、『子供が目ぇ見開いて起き上がる。』『窓の外に奥さんが立っている。』『死体に腕をつかまれる。』『片付けたものが全部もとの場所に戻される。』 何かあるたびに、ハラハラドキドキ。いったいどういうスタンスで見れば正解だったのか、いまだつかめず。 ホラー演出が邪魔だというたくさんのご意見に、深く同意です。 [DVD(字幕)] 8点(2016-05-21 15:11:05) |
25. 恋にあこがれて in N.Y.
《ネタバレ》 うん、これは面白いと思います。 まずは主人公アマンダとモデルたちのカルチャーショックを楽しみ、アマンダとジムの恋の行方を見守り、突然始まるサスペンス&ミステリーな展開に息を呑む、三段重ねのおせちのような多彩なストーリーが本作の魅力でしょう。 基本的には気楽に見れるB級ライトコメディーですが、サスペンス内容が思ったよりよくできているがために、かえってラブストーリーに気持ちが入っていかないのは本作の欠点かもしれないですね。 絶対『そんなわけないやん。これラブコメやし』と思ってはいるのですが、もしかしてやっぱりこいつが・・・?みたいな感じでミステリーのほうが気になっちゃうんですよね。 ですが間違いなく隠れ良作に入る楽しい作品です。 見ている間は展開やオチが気になって終始くぎづけ、見終わった後の後味はすっきり爽やか、ハッピーエンド。 友人や知人にも全然オススメできるなかなかの良質なご家庭ムービーでした。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-09 04:40:38) |
26. コヨーテ・アグリー
《ネタバレ》 歌あり、ダンスあり、家族ドラマあり、恋愛ドラマありで、いたってわかり易いシンプルなストーリー。 ラストは夢を追う主人公が友人、父親に励まされながら成功するサクセスストーリー。 軽快なテンポだし、明るいし楽しいし、みんな良い人だし、気持ちよく見れるんですが、なんか物足りない気もします。 ああ、そうか。きっと主人公の努力と才能にスポットがあたりきれないまま物語が終わってしまうからでしょう。 それに、『コヨーテ・アグリー』が舞台及びタイトルとなることの必然性が弱いのが何よりの問題。 お店のトラブルを、主人公のヴァイオレットが歌を歌って場を収めるシーンがありましたが、そこだけなんですよね。あとはどちらかというと、お店の存在自体が主人公の邪魔をすることが多く、テーマのぶれを感じます。 特に、事前に連絡していたにも関わらず、『今お店を抜け出されたら困る。』っていう女主人。何だそれって感じです。そこは夢を追う主人公を応援してほしいです。そんで主人公も店に残って、チャンスをふいにするし。極めつけは、『彼氏が店に乱入したことによる規則違反でクビ』って。それで普通に辞めちゃうし。リアルかもしんないけど、これじゃあただのバイトです。 面白い題材ですし、見ていて飽きないからエンターテイメントとしては成功している作品だと思います。 ただ映画としては中途半端な印象が拭えない、もったいない出来。 ラストの曲も、屋上で歌っていた弾き語りのバラードなんかをやってほしかったな。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-11-21 14:57:37)(良:1票) |
27. ゴーストワールド
《ネタバレ》 目的のない映画は大変苦手。その中でもこの作品はまだ観れるほうです。理由のひとつは、イーニドを演じるソーラ・バーチの魅力を堪能できるところでしょう。それに、10代後半~20代前半くらいの、もてあまし気味な精神状態が、大変リアルに伝わってきます。これは多くの人の共感を呼ぶのではないでしょうか。 近寄ってくる人間は手当たり次第にバカにして、『人とは違う自分』をひとつのファッションにしておきながら、自分から人が離れていくと途端に不安になって、今度は自分から近寄り相手を振り回す。こーゆー心理状態って、若いときには誰しも経験ありそうです。 ただし、物事にはすべて『タイミング』があります。『自分の世界感に酔って斜に構えるのもいいけど、そのせいで大事なチャンス、人との信頼をなくすリスクがあるってことは、覚えておけ。』ってことを、様々なパターンで教えてくれているのが、この映画の最大の良心のような気がします。はっきり言ってどれも似たような経験があるので、何ともいえない居心地の悪さを感じてしまいますね(笑) ですがこの映画、裏を返せば『共感』+『あるあるネタ』によりかかっているだけに見えなくもないです。また、個人的にはラストにはっきりとしたオチをつけないのは好きではありません。どうとでもとれる隠喩的な映像で、鑑賞者に解釈を求めるやり方ってのは、表現者として卑怯な締め方の一つだと思っています。 [DVD(字幕)] 6点(2015-06-01 05:16:39)(良:1票) |
28. 恋は負けない
《ネタバレ》 主人公とヒロイン以外は、最低人間が次々と出てくるので、最初の1時間強はフラストレーションがたまりまくります。第一、主人公のポールは終始嫌われ者扱いなんですが、そこまで嫌われる要素が見当たりません。確かに周囲と比べると多少浮いている感じはあるかもですが、『主人公は仲間はずれの設定』を無理に押し付けられている気がします。 それに、ポールのお人好しぶりも度が過ぎていて、ただの情けない奴に見えなくもありません。ルームメイトやノアやアダムといった友人達の行為は、明らかに悪意もあれば非もあるのに、それに対し終始消極的で受身な態度には少々うんざりさせられます。 終盤になってようやく反撃してくれるエピソードもあるので、そこでやっと溜飲を下げることができます。オルコット教授やドーラに対しても、自分のまっすぐな気持ちをラストでぶつけてくれるのは良かったです。 それでも、やっぱりちょっと罰が弱い。エンドロールで級友たちやオルコット教授の末路を文章で教えてくれるわけですが、どうせなら劇中で見せてほしかったです。 最後に、ミーナ・スヴァーリ演じるヒロインのドーラが大変かわいく撮れています。大変に魅力的です。彼女だけでも見る価値があります。 何故か批判的な内容が多くなってしまいましたが、起承転結がはっきりしている作品や、主人公やヒロインを応援できる作品は好きなので、個人的には好きな作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2015-04-14 02:06:10) |
29. ゴールデンボーイ(1998)
《ネタバレ》 ストーリーはいたって平凡。ですが平凡だからこそ、恐怖と緊迫感、そして危機感をリアルに感じ取れるのかもしれません。 ブラッド・レンフロのトッド・ボウデンと、イアン・マッケランのドゥ・サンダーが非常に良く、二人の心理戦だけでも見ごたえがあります。時には手を組み、時には火花を散らす、二人の独特な間合いとそこから生まれる緊張感が面白い。 今までスティーブン・キングの原作は一度も読んだことがなく、だから逆にキング原作の映画を面白いと感じるのかもしれません。今作に関しても、小説を読んでいるかのような雰囲気、リズムが大変良いです。音楽もマッチしています。 ドゥ・サンダーの狂気をトッド・ボウデンが継承したことを窺わせるラスト。ですがやはりインパクトは足りないですね。それに、始めから『悪』を内包しているかのような少年でしたので、それが表面に顕在化されただけとも思えます。どうとでもとれるラストが、すごく良いようで、何か惜しい作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2015-03-14 12:43:57)(良:1票) |
30. 交渉人(1998)
《ネタバレ》 エンターテイメントのひとつの頂点を極めた作品だと思います。とにかく抜群の面白さ。なんかよくわからないんですけど、ハラハラしてしまう妙な迫力と説得力で満ちています。 もともと『立てこもり系』の作品は好きなんですが、その中でもこれは特に良く出来ています。目的意識と成り行き感が絶妙なバランスで成り立っています。 それに、良い映画は脇役一人一人にもちゃんと役割があるのが良いですね。今作も、登場人物に全く無駄がありません。人質も警察も黒幕も主演二人も、すべての人がそれぞれの役割を完璧にこなすことで、最高の作品を作りあげています。エンターテイメントもここまで極めちゃうと、もはや芸術の域かもしれません。 ただ、マイナスポイントもあります。 『実はネイサンが内偵者だった』というくだりは、本来であれば驚くシーン。音楽もいかにもな感じに切り替わります。ところが、このくだりの説明が若干わかりにくいため、驚きまで辿りつきません。どちらかというと『納得』しちゃうパターンです。 また、ラストの『真犯人のとーじょーです。』のシーンも、本来であれば見せ場なのに、そこまで驚くことができません。きっと、ダニーとフロストの関係性や絆の深さが劇中で描ききれていないので、意外性に結びつかないのでしょう。 そしてみなさん指摘されているように、『IQ180の駆け引き』というキーワードを知らずに作品を観られたのは、私にとって幸運だったようです。余計な色眼鏡をかけずに鑑賞できました。 ちなみに一番ハラハラしたのは狙撃のシーン。そして一番驚いたのは、デヴィッド・モース演じるベックがまさかのシロだったってことです(笑)。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-02-06 04:06:52)(良:1票) |
31. 恋のからさわぎ(1999)
《ネタバレ》 無難に小さくまとまったティーンエイジ・ラブストーリー。変化球もひねりもほとんどないので、学園ラブコメを見たい人に、ちゃんと学園ラブコメを提供してくれる、安心の一本です。ただ小さなエピソードは結構あるんですけど、大きなヤマ場は一切ないので、刺激は少ないし印象が薄いかもしれないですね。ほとんどノリとテンポと音楽で乗り切っちゃっているような作品です。 もうひとつ難を言うならば、ジュリア・スタイルズ演じるカトリーナ・キャット・ストラトフォードが可愛く見えないのが辛いところでしょうか。ただ、こういう顔って、親近感がわくし、感情移入もしやすいし、何より応援したくなります。それに、キャラ設定はわかりやすいほどのサバサバキャラで、たまにツンデレも入るので、愛すべきキャラクターに仕上がっています。美人でないところが逆に良いのかもしれません。 ただ個人的には『キャット&パトリック』ではなく、『キャメロン&ビアンカ』、でもなく、『マイケル&マンデラ』のほんの数分のエピソードが一番のお気に入りだったりします。シェイクスピアをきっかけに急接近する二人。ロッカーにプロム用のドレスを入れておくなんて粋。マンデラが直前のシーンで『プロムに着ていくドレスを持っていない』とさりげなく言っていた一言が前フリとして効いています。 この二人のエピソードをさりげなく入れてくれたことで、三者三様のハッピーエンドを身近に感じられて、見終わった後の充足感はなかなかのものです。 でも自分の年齢上、こうゆう作品ってもはや懐かしい目線でしか見られないのが悲しい(笑) [DVD(吹替)] 7点(2014-12-28 20:05:10) |
32. コン・エアー
《ネタバレ》 ガーランド(ブシェミ)を除き、善悪がはっきり分かれているわかりやすさが、エンターテイメント作品として◎です。それでいてちゃんとハラハラできるし、爽快感もあります。娯楽アクションというのはこういうのが楽しいです。 今作にいたっては、理不尽な出だしではじめることによって、それなりに主人公の境遇に同情をひいたことも良かったのではないかと思います。でないと、これだけ魅力あふれる犯罪者集団を出しちゃえば、ほとんどの人は手放しで犯罪者集団を応援しちゃいそうです。 出番はほとんどありませんでしたが、ピンポイントで出てくる奥さんと娘さんがアクセントとして効いていますね。それもかなりの美人。娘も相当キュート。この二人の存在感が、作品内の天秤をうまいことバランスとっていたと思います。 ダイヤモンド・ドッグの活躍が最初だけとか、サリーがキーマンになりそうでならないとか、シンディーノが第三勢力で盛り上げてくれんのかと思いきや驚くほど存在感が薄いとか、結構もったいないポイントが多い本作。 面白いんですけど、さすがにいろいろつめこみすぎちゃいましたかね~。 でも確実に面白い部類に入るエンターテイメント作品だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-09-01 04:44:11)(良:1票) |
33. コンタクト
《ネタバレ》 『良い映画だとは思うが、面白い映画だとは思えない。』というのが正直な感想です。ストーリーやリアリティを重視するあまり、映画としての面白さやテンポが犠牲になっちゃっている気がします。 いくら何でも前半が退屈すぎです。もったいつけすぎだし、あんま好きになれない時間のかけ方です。 またエリー・アロウェイの勤勉で、仕事に対する熱意は尊敬に値しますが、あまりに独善的すぎると共感しづらいものがあります。 極めつけは、コンタクトに成功するまであれだけ物語をひっぱっておきながら、異星人の目的などが一切不明のまま終了しちゃって、大事な部分をうやむやにされてしまった感が強いのです。 個人的には電波の受信シーン、そこから国中が動き始めるのがこの作品のクライマックスであり、それ以外はすべて蛇足に感じました。 とは言え、地球上ではポッドが装置をすり抜けただけなのに、記録時間は18時間だったという真相や、装置のビジュアルに迫力、そして『父親を愛していたことの証明』を代表する名台詞の数々など、特筆すべき点が多いことも確かです。 やはり上映時間が長すぎたのが一番の原因でしょうか。そのため、せっかくの伏線が回収されているのに、鑑賞者はそれに気づかないまま終わっちゃう可能性大です。 好きなジャンルの作品だっただけに、今ひとつ、共感も感動も味わえないまま終わってしまったのが残念でした。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2014-06-02 00:12:43)(良:1票) |
34. この森で、天使はバスを降りた
《ネタバレ》 静かなスタートの序盤、街とパーシーの再生を予感させる中盤、この辺りまでは良かったんです。やはり問題となるのは、賛否両論まっぷたつに分かれてしまう終盤でしょう。私は、はっきり言って誰かの犠牲の上に成り立つ幸せなんて認めるわけにはいきません。 パーシー自身が望んだことならともかく、教会でシェルビーにした過去の告白からわかるように、彼女も人生のやり直しを切望していたのです。パーシーが何故ギリアドの街を選んだのか、最初はわかりませんでしたが、森の丘で口ずさんだギリアドの歌を聴いて、その理由がわかった気がします。 私は正直パーシー自身の幸せを、他の誰の幸せよりも心から願っていたのです。誰から見ても彼女は大切なものを奪われ続けてきた人生なのです。暴力と理不尽が彼女から全てを奪い、それでも前を向いて人生をやり直そうとするなんて素晴らしいストーリーじゃないですか。それだけで十分ですよ。 そこから更に彼女に濡れ衣をきせた挙句に命を奪う必要があったのか、全くの疑問です。せめてシェルビーだけでなく、お金が無くなったときにハナもパーシーを信じてくれたらそれだけでも救いがあったのに。シェルビー、ハナ、ジョーの三人だけはパーシーに疑いを持たず、無償の愛を注ぐ存在でいてほしかったのです。シェルビーは確かにもの凄く頑張ってくれたのですが・・・。 イーライとハナの再会、甥の告白、服役者社会復帰の支援基金、そしてパーシーの身代わりとでもいうべき作文コンテストの優勝者の存在が悲劇を緩和するカンフル剤にはなっています。それでも最初の感想に戻りますが、誰かの犠牲の上に成り立つその多大勢の幸せなんてものは賛美されるべきではないと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2014-04-25 12:57:57)(良:3票) |
35. 恋人までの距離(ディスタンス)
《ネタバレ》 最初の列車を降りるまでのシーン。レコードの視聴室での絶対に合わない視線のシーン。仮想電話でお互いにさりげなく告白しあうシーン。どれもこれもかなり良いんです。ちなみに、個人的にはワインとワイングラスをゲットするふたりのコンビネーションも、二人の距離感がさりげなく近くなっていることを示唆していてかなり好きです。俗っぽいシチュエーションなのが臨場感を際立たせています。それはクラブのシーンでも言えることですが。 二人が辿った道のりを、もう一度順番に映し出すシーンの雰囲気も最高に素晴らしい。そして何と言っても、ラストで二人が一人きりになったときに映し出される姿が最高に共感できるんです。最後に二人が半年後の再会を約束したからこそ訪れる安息の瞬間なんですよね。それは未来への希望を余韻として残す、個人的にはベストの締めくくりだと思われるんです。 ただ、一本の映画としては、この内容で押し続けるのはちょっと無理でした。途中でさすがに飽きましたもん。ちょっとくどいんですよー。似たような話ばっかりするし。ピンボールときの話なんかその最たるもので、正直もうどうでも良いわーって気分でした。 更には、最初の頃はセリーヌ(ジュリー・デルピー)がもう大変魅力的に見えまして、二人で汽車を降りることになったときには我がことのように「おおー」って盛り上がったものですが、セリーヌが話せば話すほどなんか彼女に当初感じていた魅力がどんどん無くなっていきました。やっぱ沈黙は金ですよ。 続編があるそうで、どうしようか迷っていました。そこで、他の方のレビューを参考にさせてもらうことに。今作で、カラバ侯爵さんのレビューを見て、「うんうん、そうだそうだ」ってうなずいていたんですけど、カラバ侯爵さんが続編もご覧になっていて、そちらでも0点をつけてくれていたので、大変参考になりました。 続編は見る必要なしってことで、無駄な時間を過ごさずに済みそうです。 [DVD(字幕)] 4点(2014-03-24 04:41:39) |
36. 湖畔のひと月
《ネタバレ》 良質で上品です。それでいて堅苦しさもあまり感じません。とても良い作品だと思います。ですが、ちょっと小奇麗にまとまりすぎて、いささか物足りなく感じちゃったのも事実です。 主役のベントリー(ヴァネッサ・レッドグローヴ)は、何と言ってもそのさばさばした性格が最高の魅力です。とにかく、誰に対しても思いやりを持ち、優しく明るく接する一方で、自分が言いたいことはなんでもはっきり言っちゃうので、見ていて清々しいことこの上ないです。 彼女の周りの人々も基本的に悪人はおらず、まあそれぞれ性格の良いところと悪いところをバランスよく見せてくれます。 個人的にはヴィットリオがベントリーに、たいしたエピソードも無いまま惹かれるというのが、ちょっと無理矢理感がして違和感アリアリでした。また、ウィルショー少佐がボーモント(ユマ・サーマン)をおっかけまくるのも、見苦しくてちょっと笑えません。更にはそんなウィルショー少佐にいつまでも親愛の念を抱き続けることにもちょっと不自然さを感じますね。 上品に作られた作品だからこそ粗というか、不自然さが目についちゃって残念でした。ただ、休暇を楽しむ人達がいる一方で、戦争が近いことを作品の中でずっと示唆し続ける演出は大変素晴らしいと思いました。まるで当時の人々の世界情勢を、当時の人々の視点から垣間見るかのような臨場感。これだけでも見る価値があるかもしれないですね。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2014-03-24 01:48:11) |
37. 恋人たちの食卓
《ネタバレ》 父親が料理を作るシーンから映画が始まるんですが、かなりの種類の料理を本格的に作っているので見ていて楽しい。まさにつかみはOKって感じです。 そういえば、何かあるたびに、そして日曜日がくるたびに、料理が出てきます。お弁当や夕飯という形で料理がドラマ全体に行き届いているのです。ただし、映画内での料理の立ち位置はあくまで料理。それ以上でもそれ以下でもないところが良いですね。 そしてその料理をアクセントにして、人間ドラマを紡いでいくわけですが、この人間ドラマってのが、正直少々物足りないです。ひとりひとりのエピソードはそれなりに適度な時間を割き、同時進行でそれぞれの恋愛?をテンポ良く、でも丁寧に描写してくれるんです。なのに、な~んかいまいちピンとこない。ストーリーに入っていけないし、なんの共感もわかないんです。自分の映画の見かた、楽しみ方に問題があるのでしょうか。きっと良作の類ではあるんでしょうけど、「もう1回見たいですか?」と聞かれるともう1回見たいとは思わないもんなー。 そういえば、三女の女友達が「あんたまさか・・・」と振り返るシーンがホラーかと思うくらい怖かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-28 06:57:52) |
38. 告発
《ネタバレ》 法廷ものとしてこれより面白い映画はたくさんありそうですけど、アルカトラズ刑務所の負の遺産を映像化し人々の記憶に残すという意味では、この映画を超えるものはないかもしれません。 スタンフィルのナレーションで、ヘンリーヤングとスタンフィルがたどってきた道のりを比較していくとき、使われる映像はヘンリーのものだけです。確かに、スタンフィルの人生は言わば一般的なものであり、言葉だけでも私達は認識できるでしょう。ですがヘンリーの人生は無理です。ヘンリーのたどった人生は言葉だけではとても伝わらない。これこそ映像化し、見ている人に疑似体験してもらう必要があったのかもしれません。そしてその試みはおそらく成功なのではないでしょうか。 スタンフィルの存在もかなり重要です。彼は言わば私達側の人間です。はじめは、ヘンリーと言葉を交わすことすらできません。「君を弁護するためには、君にも協力してもらわなくちゃいけない。」と言っている時点で、ヘンリーとは意識の次元が違いすぎます。ですが、ヘンリーと少しずつ言葉を交わし、ヘンリーの人生の片鱗を共有したとき、スタンフィルは社会とヘンリーを結びつける重要なポジションになった気がするのです。 この映画で僕が一番鳥肌が立ったのは、スタンフィルがアルカトラズ刑務所と、所長・副所長を告発したシーンです。今まで決して表舞台にさらされるはずのなかったアルカトラズの究極の闇の部分が、白日の下に晒されるきっかけとなったシーンです。そしてやはりラストの、ヘンリーの告白でしょうか。確かにあそこに戻るくらいなら死んだほうがマシなんでしょうね。こんなにストレートで説得力のある言葉はありません。 この映画で、唯一共感にブレーキをかける要因になるものがあるとすれば、「何故脱獄したのか。」です。2時間という枠でそこまで明らかにするのは難しかったのかもしれませんが。やはり気になります。ヘンリーを完全なる被害者側の人物と位置づけられるかどうかの重要なファクターになると思うんですが、結局最後までわかりませんでしたね。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-19 03:37:41) |
39. 心の旅
《ネタバレ》 銃弾に倒れる前のヘンリー(ハリソンフォード)は、独善的で傲慢、しかも浮気までしていたわけですから、確かに人から愛される存在ではありません。 ですが、法律に触れるようなことはせず、家族が幸せに暮らせるように必死に働いていたわけですから、決して悪い父親だったとも思えません。家族に向ける愛情の形というのは人それぞれだと思います。あれだけ贅沢な暮らしを奥さんと子供ができていたのは、ヘンリーが働いていたからこそ。それも立派な愛の形だと思うわけです。 よって、とてもよくできた心温まる物語だったのですが、事故後のヘンリーとの比較対象となる事故前のヘンリーを批判的な目で見ることができなければ、そもそもこの物語は成り立たないのでは。そういった意味では、前半のヘンリー、ちょっと説得力が弱い気がします。 また、事故後のヘンリーが決して理想の父親、とも言い切れないわけです。この作品の中でのヘンリーを良いと見るか悪いと見るかはもはや価値観の問題になるのに、あたかも事故前のヘンリーが悪い父親で、事故後のヘンリーが良い父親と言い切ってしまうような映画の作り方には疑問を感じます。 ブラッドリー(リハビリの人)、サラ(奥さん)、娘との交流が素晴らしく、その他職場の人々からお手伝いさんまですべての人との心の交流を描いている丁寧な作品だけに、説得力に欠ける部分が目についてしまったのは非常に残念。 せめて、ヘンリーが完全に記憶を取り戻し、以前とまったく同じパフォーマンスで仕事が出来る状態で、今回と同じ選択をしたのであればまだ納得できたのですが・・・ [DVD(字幕)] 6点(2013-04-30 21:04:33) |
40. ゴールデン・チャイルド
《ネタバレ》 エディは良い!「エディ『は』良いね!」と思える映画。 エディの良さが良く出ていると思います。 なんの力もなく、なんのとりえもない一般人が、敵の悪魔も含めた実力者たちと舌先三寸だけでわたりあっちゃうところが痛快で面白い。愉快。 でも前半に対し、中盤から後半にかけてはたたみかけるように雑な演出&ストーリーになってしまって非常に残念。あまりに安っぽい展開、演技、演出の中で、エディだけが浮いてしまっている感じでした。 [DVD(字幕)] 4点(2013-02-07 05:46:58) |