21. 酒とバラの日々
《ネタバレ》 酒を飲むという行為は一体、人間をどれだけおかしくすることか!この映画のジャック・レモンとリー・レミックの二人を見ているだけでも怖い。酒の恐ろしさ、それをこのモノクロの映像が余計にそう思わせるだけの凄みがある。アルコール中毒に溺れている夫を愛するが故に自分も同じく酒を飲み、アルコール中毒となる妻の苦悩、愛すれば愛するほどにどんどんおかしくなっていく妻の女としての苦しみは男よりも女の方がよく解るであろう!愛する夫の為に自らもアルコール中毒患者となってしまうというのは何とも皮肉であり、惨酷である。夫の方は何とか立ち直ろうとしても妻はそれが出来なくて、愛する夫と同じく愛する娘を置いて去っていく。これもまた何とも悲しくてやりきれない。妻が消えて行くのを部屋の窓から見つめるジャック・レモンの表情には自分が何も出来なかった。妻を助けられなかった男のだらしなさを象徴しているようである。それにしてもビニールハウスの中で酒を探して暴れまくるジャック・レモンの凄い演技は演技というよりも本物のアルコール中毒患者のようで凄く怖かった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-28 21:08:17) |
22. 3時10分、決断のとき
どうも最近は日本もアメリカもリメイクものが流行りのようである。個人的にはリメイクものはあまり好きじゃない。オリジナルと同じ監督がリメイクする場合とそうでない場合とでその映画に対する思い、愛というものの伝わり方が違って見えるのがリメイク作品である。で、この作品だけど、ここでの皆さんの平均点の高さ通りのよく出来た作品になっていて正直、驚いた。いかにも西部劇というべき風景の美しさ、壮大なる景色と力強い音楽に西部劇に付き物の馬車、牛、羊といったものも沢山、出てきて西部劇ファンとしてはそれだけでも嬉しいし、男臭さ漂う顔ぶれの凄みと迫力、繰り広げられるアクションシーンの凄さ、銃撃戦のパワーに加え、緊張感漂う場面が幾つも用意されていてこれは他のよく作られるリメイクものとは一味も二味も違う出来栄えになっているし、そういう意味でも映画館の大きなスクリーンで観るに相応しい作品にもなっているし、何よりも監督の西部劇が好きなんだという熱意、オリジナルも相当見てる気がするというものもひしひしと伝わってくる。本来ならば8点にしたい所だが、最後が私には納得いかない。引っ掛ってしまう。それは元のオリジナルが大好きな私としてはやはりオリジナルの方のラストの方が断然、好きです。それと、オリジナルよりもアクションとしての迫力は上ではあるが、観終わった後の余韻という点においても物足りなさが残る。ただそれでも西部劇という今はもうあまり作られなくなったジャンルに敢えて挑戦して見せた心意気は大いに評価したい。そして、この作品を観ることで元のオリジナルも観たい。更に他の西部劇も観たいと思う人が一人でも増えてくれたら嬉しいと思う。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-08 15:06:12) |
23. 三人の女性への招待状
これは前半はコメディ路線で行くのかと思わせておいて、終盤はミステリー調で展開していく。三人の女性への招待状とあるようにそれぞれの女性宛てに男から出した手紙から段々と話が進むに連れて男の嫌らしさと女の怖さ、したたかさが浮きざりになってく。遺産問題から男と男の騙しあい、女同士の駆け引きと騙されてた女が騙されてと解ってからの態度のその怖さが描かれていてどんどん話に引き込まれていく。その語り口の上手さは流石脚本家出身の監督だけのことはある。ただ、ラストの展開がいまひとつ好きじゃないのでその点についてはマイナスもこれまた男と女のそれぞれの醜い部分をきちんと描いて楽しむことが出来た。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-07-20 11:26:18) |
24. 三人の名付親
《ネタバレ》 これはまた一風変わった西部劇だなあ!西部劇と言えば男達がライフル片手に悪党と撃ち合ったり、殴り合ったり、馬に乗っての格闘てのが西部劇の定番ではあるが、そういうシーンがほとんど出てこない。前半でほんの少し出てくるだけであり、西部劇らしさという意味で物足りなさも残るし、宗教がどうだのこうだのと何やら難しいテーマを含めたりしていて気にはなる。それでもやはりジョン・フォード監督の見つめる視線の先にあるものは人間的な温かさというものを感じることが出来る。ひょんなことから赤ちゃんを拾ってしまった三人の男達、見かけは物凄く悪い奴なのにそれとは反対にとても優しい。あの三人が一人の女性との約束を守るためだけに赤ちゃんを抱いて歩く姿は男としてというより人間としてのあるべき姿というものを見ているように思えてならない。あの赤ちゃんの泣き顔も笑う顔の前にはどんな悪人だろうと優しくなれるというものを感じる作品になっていて、その辺りの優しさ、ジョン・フォード監督の優しさが画面通して伝わってくる。これは西部劇ではあるが、西部劇というよりも人情映画、例えば日本で言うなら「男はつらいよ」かまたまた長谷川伸原作の人情時代劇と言った方が良いかもしれない。それにしてもここでのジョン・ウェインの男らしさ、かっこ良さ、仲間の死を眼にして泣く場面は男ならではの弱さを思い切りさらけ出していて共感させられる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-16 22:21:30) |
25. サイコ(1960)
う~ん?確かに恐い映画です。けど、個人的にはこの映画がヒッチコックのベストだとは思いません。それでも面白く見ることは出来たし、下手な監督ならおそらくこの映画、カラーで撮るだろうなあ!モノクロだからこそ伝わってくるものってあると思います。そんなモノクロ映画の特色を生かした映像テクニックはさすがヒッチコック!恐がらせることに関しては世界一の監督だと思っています。 [ビデオ(吹替)] 7点(2005-08-18 22:13:20) |
26. サニーサイド
《ネタバレ》 蹴られても蹴られてもひたすらに働く。チャップリン映画にしては笑える場面は少ないし、感動させられる場面も少ない。いやほとんどない。そんな中でもチャップリンらしくサニーサイドてタイトルの意味である陽のあたる場所、平和な世界とは全く反対の陽の当たらない場所になってる作品とは、いやはや、チャップリンただ者じゃないです。笑いという意味では物足りないが皮肉いっぱいな所はチャップリン映画らしく、チャップリンが夢の中で踊る場面は何だか楽しそうだ。4人の女性と楽しく踊る場面が夢だと分かった時のチャップリンの表情がとても切ない。お尻にサボテンが刺さってて、あれ?夢か!いや~チャップリンらしい夢の世界。それにしてもチャップリン働き過ぎやろ。 [DVD(字幕)] 6点(2013-02-14 21:56:52) |
27. ザ・タウン
《ネタバレ》 これってアカデミー賞にノミネートされてるの?でも、正直言って作品賞取るような映画ではないなというのが見ての感想です。面白いか?て聞かれると面白いともつまらないとも言いにくい。つまらなくなかったけど、特別面白いてなわけでもないのたが、それなりに楽しむことは出来た。だから6点ぐらいは付けても良い。最初の銀行強盗のシーン、二回目の強盗シーン、そして、三回目のスタジアムでの緊張感と回を増すことに緊張感も増すというのはなかなかである。FBIと警察官達との犯罪グループとの対決も迫力満点だし、そういう意味では映画館の大きなスクリーンで観る映画である。それにしても犯罪グループの仲間達、3人共に死んでいく中で唯一、生き残るベン・アフレックのダグて名前だったような?最初の銀行強盗での人質となる女支店長のクレアとの恋仲、いくら自分が監督だからと良い所取りでしょと突っ込み入れたくなるし、結局、クレアを騙しておいて自分は騙される寸前で彼女の前から姿を消す。クレアはクレアでそんな男から貰った大金でスケートリンクを作る。どっちもどっちである。共に悪やのう!て林家喜久扇さんならこう言うであろう!ところでなんでみかんなのよ?バナナでも入れておいて「そんなバナナ(バカな)」というようなアメリカンジョークならと思ってしまったり、ファギーの急所に弾をぶち込んで「俺が去勢してやる」てのはざまあみやがれ!て思ったり、だけど馬好き、競馬好きとしては去勢している馬に対するバカにしているようなやりとりが何とも許せず、アクションもの、犯罪ものとしては合格も所々で不満が残る点が残念である。 [映画館(字幕)] 6点(2011-02-15 22:01:04) |
28. ザ・プレイヤー
ロバート・アルトマン監督の映画ってどちらかというと苦手だけど、これはそんなに嫌いではないし、それなりに楽しめました。しかし、同じようなハリウッド映画の表と裏を暴く作品ではあのビリー・ワイルダー監督の傑作「サンセット大通り」に比べるとかなり落ちる気がしてなりません。それにしてもこの映画、よくぞこれだけの出演者を集めたなあ!と思いました。 [DVD(吹替)] 6点(2005-10-20 22:39:30) |
29. ザ・インタープリター
ショーン・ペンとニコール・キッドマン2人のオスカー俳優による社会派のサスペンスドラマとしてそれなりに面白かったです。ただ、それでもそれほどの大した映画でもない気が時間が経つに連れ、思うようになりました。あと、個人的にはニコール・キッドマンはこういう雰囲気の作品の方が「ムーラン・ルージュ」よりは好きです。 [映画館(字幕)] 6点(2005-05-30 22:33:01) |