1. 狼の死刑宣告
《ネタバレ》 こんな映画があったとは知りませんでした。 いわゆる『復讐もの』ですが、そのクオリティは大変高い。 『理不尽に家族を奪われた善良な父親が復讐の鬼となる。』ストーリーだけなぞると普通なのですが、実際この映画を見るとそんなこと言えない。オープニングの幸せな家族。未来を感じさせるシークエンス。これが復讐のカタルシスをより大きくする。復讐のカタルシスってのは『怒りの解放』であり、誰もが心の奥底でくすぶらせているもの。それを映画という媒体を使って追体験。悲しいお話なのに、なぜか気分が高揚している自分もいるわけです。復讐とはかくも甘美なものですね。 キャスティングも良かったですね。善良でインテリな父親。復讐の鬼。これを演じるのに、確かにケヴィン・ベーコンほど相応しい人物はいない気がします。前半『息子の復讐、殺人という罪の意識との葛藤』後半『残された家族の幸せと、ギャング達への報復の天秤』ここでの葛藤が、すべて復讐のカタルシスへと昇華されていく、圧巻のストーリーテリング。王道だからこその力強さを感じる作品です。 インテリっぽく、入念に銃のマニュアルをチェックし、何度も装填の練習をする。こういったシーンを1つ1つ丁寧に。でも物語のテンポを損なわない程度に挿入する、そのバランス感覚が素晴らしい。 ラスト自宅に戻り、瀕死の状態で家族のDVDを観るクライマックス。ここで女刑事がかけつけて声をかけるシーン。『誰も知らない』わけではなく、父親の復讐を見届ける第三者を作ってあげたのがこの映画の優しさか。あまりにも悲しいストーリーなので満点はつけづらいのですが、復讐映画としてこれは完成形だと言えそうです。 [DVD(字幕)] 9点(2019-07-17 04:18:01)(良:2票) |
2. 追いつめられて(1987)
《ネタバレ》 最近見たサスペンスの中では一番緊張感がありました。 ラストのオチは確かに強引ですね。読めなかったというより、そのオチはつじつまが合っているのでしょうか。スーザンの事故は想定外のはずなのに、まるで作戦の一部みたいに見えてしまいました。 ただ、一見無駄に長すぎるような前半40分は、あって良かったと思います。この40分で、かなりトム・ファレルとスーザンとデビッド・ブライスに感情移入できました。このタイプのサスペンスは、一人称で見ることができるか、三人称で見てしまうかで、面白さの質は全然違ってくると思います。僕は前半40分の下ごしらえがしっかりできていたので、すっかりトムファレルの視点で映画を見ることになりました。おかげさまで超ハラハラしました。ボート貸しだけでなく、ボーイまでたたみかけて出てきてくれたおかげで、緊張しっぱなしでした。本当に面白かった。 [DVD(字幕)] 9点(2011-09-17 23:31:09) |
3. オンリー・ザ・ブレイブ
《ネタバレ》 ヤーネルヒル火災。グラニット・マウンテン・ホットショット。 まったく予備知識なしでの鑑賞。まさかこんな壮絶なラストが待っていようとは・・・ 最後のヤーネルヒル火災までは、どちらかというとブレンダンの成長物語であり、グラニット・マウンテン・ホットショットのサクセスストーリーであり・・・そんな雰囲気で物語が進んでいきます。 出てくる人たちはみんな気さくで良い人ばかり。煙たがられていたブレンダンがチームの一員として少しずつ受け入れられていく過程が実に微笑ましい。 そしてそのチームの家族もいたるところで顔を出します。この幸せそうなチームとその家族のふれあいが、すべてラストの布石だったとは・・・。もちろん、最後はきっとピンチなときも訪れるんだろうなー、ぐらいの認識はありました。それがまさかこんな結末が待っていたなんて。まったくもって信じがたいです。 この映画で一番恐ろしいシーンは、遂に防火テントを使うそのシーンだと思います。 ですが、一番胸を押しつぶされたのは、ブレンダンが中学校を訪れるシーン。 集められた家族は、20名のうち1名だけ助かったことを知っています。ですがその1名が誰かまではわかりません。 そこに訪れるブレンダン。その姿を見たとき、その場にいる誰もが泣き崩れるのです。最愛の人が二度と帰ってこないと悟り…。 私の映画史上最も悲しいシーンでした。 この映画は、・・・見ておいたほうが良いと思う一方で、・・・見なければよかったと心底思った映画です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-04-09 05:17:44)(良:1票) |
4. 黄金のアデーレ 名画の帰還
《ネタバレ》 戦争ものは苦手。絵画は興味なし。今となってはなぜ見ようと思ったのかすら思い出せないわけですが、これが見て良かったです。 音楽と芸術の街ウィーン。そんな高貴で品のあるイメージしかなかったオーストリアにも、暗い歴史があったのですね。 昨日まで隣人だった。今日は『ユダヤ』と『ユダヤ以外』。ナチスがオーストリアに入国したとき、あんな歓迎ムードで迎えられていたとは思いもしませんでした。昨日まで隣人だったり、お客だったりした人でも、こんなに簡単に虐げられる人間の性が一番怖いです。正直ナチスより怖い。この映画では凄惨なシーンはでませんが、塩素?で、床に書かれた落書きを消す『昨日まで医者』だった一家のワンシーンが、一瞬ですが胸に残りましたね。 現代パートでは、オーストリアを相手に『アデーレ』の返還を求める熱いバトルが繰り広げられます。最初は乗り気でなかった若き弁護士が、法律事務所を辞めてまで『アデーレ』に全力を注ぐ。そんな夫を支える妻の姿までしっかり描いたことで、よりドラマチックな物語に仕上がっています。 そしてこの映画は回想シーンが本当によく出来ています。アルトマン家がナチスに財産を没収される様子が本当に痛ましい。上流階級の一族の、幸せそうな、かつ華やかな結婚式の様子がコントラストとして効いています。両親を残し、国外へと逃亡する一連のシークエンスは手に汗握るサスペンス。そんな過去に決着をつける、実話に基づいた真実のドラマ。お見事です。 ヘレン・ミレンは素晴らしい女優さんですが、『RED』を見てからどうしても凄腕スナイパーのイメージが抜けなくて・・・ [DVD(字幕)] 8点(2021-06-12 03:31:21)(良:1票) |
5. オールド・ルーキー
《ネタバレ》 ジム・モリスという実在したメジャーリーガーの半生を綴った物語。 マイナーリーグを解雇された野球選手が、高校教師に。⇒(それだけでも凄い気がする) その後再びプロを目指すわけですか。凄いですね。 とは言え、一人の野球選手の単純なサクセスストーリーにしていたら、きっとここまで味わい深い作品にはならなかったと思うのです。 サクセスストーリーにある期待感。高揚感。 もちろん、それもあるのですが。 親子の交流。夫婦の交流。師弟の交流。これを主軸においた人生ドラマ。これが本当に良かったと思うんです。 全体の半分以上は、再び野球へ転身するのを、『決意』するまでの物語。=自分の教え子たちが地区大会で優勝するまでを描いています。これはこれで一つのサクセスを描いているので、物足りなさは感じるもののやはり気持ちが良い。 ですがやはり見所は後半。 主人公の葛藤。妻の葛藤。様々な葛藤が、映画をより深く、面白くしています。 胸に響くシーンはいろいろありますが、個人的には電話のシーンが一番かな。 『家に帰る。潮時だ。』と電話するシーン。 一転して、『メジャーリーグだ』と報告するシーン。そのときの奥さんの反応と対応。どちらも感動的な名シーンです。 『サクセスストーリー』のテイストながら、『伝記』としての意味合いも強いこの作品。 当然全部は描ききれませんから、どこかをカットしないといけないわけですが、まさかのマイナーリーグ時代をばっさりカットしてしまったのが、良かったのかもしれません。 つまりは、メインは『野球』ではないということですね。 メインは『家族』『人生』、そして『生き方』でしょう。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-10-17 16:05:38)(良:1票) |
6. オーシャンズ11
《ネタバレ》 騙されないぞと思いながら見ていたのに、結局騙されてしまう。そーゆー映画って本当に面白いです。 騙されてしまう理由があります。視点が途中で入れ替わるんです。ずっとオーシャンズ11の視点でストーリーが進んでいるのに、終盤、いつの間にか視点がベネディクト側にシフトしています。気付けば、観客もベネディクトと一緒に騙されてしまう妙味。この視点の切り替えは上手いですよねー。警察なんて完全に騙されました。 この作品は自分と大変相性が良いみたいです。 『悪名高いカジノグループから、現金をかっさらう』このたった一つの仕事を1本の映画にしてしまう。ストーリーは単純化され、プロットは明確になります。わかりやすくて、でも工夫や仕掛けもたくさんあって、のめり込みます。ディテールが丁寧で、ちょっとした伏線もしっかり回収してくれるのが気持ちいいです。 まさに、『極端に奇をてらわなくても、作りこめばここまで面白い映画ができる』というお手本のような作品です。 キャストが豪華すぎるくらい豪華なのも、映画ファンにはたまらないです。 一人一人がそれぞれの専門分野で活躍するノリは大好きです。鑑賞中、まるで自分も一緒に仕事に参加させてもらっているかのような錯覚を味わえるのが本当に楽しい。スピード、テンポ、バランス、キャスト、演出、どれをとっても文句のつけようがありません。 個人的にはかなり好きな作品です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-05-09 09:20:47) |
7. 女と男の名誉
《ネタバレ》 最初の30分くらいは、人物関係がよく分からないうえに、退屈で眠くなります。ただ、30分過ぎたあたりから、事件・トラブル次々発生。主要人物たちのかけひきも始まって、急に物語が展開し始めます。この辺りから、ずいぶん映画にはまり込んでいきます。 主人公のチャーリーがドンの相談役のパルテナの息子という絶妙なポジションなのが面白い。また、ファミリーの利益をや損失、リスクをめぐっての駆け引きに、私怨がちょいちょい混じってくるのも面白い。 最後は切ない締め方ですね。チャーリーはシャワー浴びながら泣いていたのでしょうか。メイローズに電話していましたが、「それでいいの?」と思ってしまいます。 ・・・いつの間にか感情移入しています。こんな中年マフィアのラブサスペンスに感情移入できる日がくるとは。苦手なジャンルの映画なのに、楽しみました。 ただ、タイトルはださい。核心をついているようで、ちょっとはずれているし。 [DVD(字幕)] 8点(2011-11-13 04:07:53) |
8. 乙女の祈り
「乙女の祈り」というタイトルは秀逸だと思います。クリスマスにメラニー・リンスキーが日記帳をもらうシーンが2度ありますが、1度目に日記帳をもらうときの精神状態と、2度目にもらうときの精神状態の落差が凄い。最初は家族にも愛情を向けていた心理が、少しずつケイトウィンスレットに偏り始める。そして、2度目に日記帳をもらうシーンで、完全に精神が破綻していることをわかりやすく印象付けています。実話に基づいているだけに、この映画にはある種の予防線というか警告のようなメッセージ性も感じます。「さまざまな形で思春期の心理状態の変化を見つけることができます。親御さんは気をつけましょう。」 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-08 13:01:49) |
9. おじさんに気をつけろ!
電子レンジで洗濯物を感想させているシーンは最高に良かった。少し「妹の恋人」のジョニー・デップを連想してしまいました。はちゃめちゃなように見えて、実はしっかり者のおじさんですね。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-07 14:15:53) |
10. 俺たちに明日はない
《ネタバレ》 これが実話だというんだから、当時はすごい時代だったんですねぇ。 今の時代だったら絶対無理だろーなー。こんな行き当たりばったりの強盗が成功しちゃうんだもんなー。 この映画のこと、というよりかはボニーとクライドのことは、ちらほらと目や耳に入ってはいました。ずっと気になっていて、今回意を決して初鑑賞。鑑賞前は、クールな2人きりの強盗劇を想像していたのですが、そーでもなかったですね。 もちろん、クールな側面もあるんですが、思っていたより二人とも感情的になるタイプ。享楽的に見えて、家族の事、未来のこと、なかなかちゃんと考えている。 それにずっと2人きりで銀行強盗やりつづける物語かと思ったのですが、それも不正解。 仲間ができる。兄夫婦。C,W.モス。なるほど、犯罪者家系でしたか。親の顔が見てみたい。 この5人が一枚岩ならよかったのですが、兄の妻ブランチがとにかくうざい。そしてうるさい。この人がいるだけで不快指数が上がります。できればブランチこそ悲惨な死を遂げてほしかった。 それにしても、銀行強盗を成功させている割には、あんまり裕福にはなっていないようで。 大恐慌中だし、クライドも『しけてんなぁ』って言ってたくらいだし。銀行襲ったところでそんなに大金を手に入れられたわけではないのかなぁ。だとしたらハイリスクローリターンすぎますねぇ・・。 後半は逃げてばかりでしたし、どんどん追い詰められていく様子が何とも痛ましい。 まあ映画全体の印象としては、暗くなりすぎないためのポップな音楽。なんだか楽しそうな雰囲気。なんだかんだ言って仲間思い。そーゆーところは全部好きです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-09-04 00:42:58)(良:1票) |
11. オーシャンズ13
《ネタバレ》 1作目に雰囲気が近いですね。 今作は、アル・パチーノ演じるウィリー・バンクに騙されて、すべてを失ったルーベンの敵討ちストーリー。 前回の借金返済のマイナススタートに比べれば、攻めの姿勢のスタートなので、最初から高揚感があります。ダニーがバンクに、『ホテルを元に戻すなら、許してやろう』なんて、超上から目線で言っちゃうわけですから、アツい。 1作目のようにあっと驚く展開はありません。 ライナスの親がFBIの真似事して助けに来てくれるのも、すでに前作で使用済み。つまり、これは前2作ですっかりファンになった人たちに、楽しんでもらうための作品なのでしょう。ですから、『前2作を鑑賞していないと、話がわからなくてあたりまえ』ってスタンスは、開き直っていて逆に清々しいです。 『ホテルの格付けを最低ランクにさせる。』『カジノで大損させる』『ダイヤを盗む』と、今までで、最も容赦のないストーリー。 とにかく完膚なきまでにこてんぱんにやっつけてくれます。 裏をかこうとしたベネディクト&トゥルアーの更に裏をかきます。 バンク、ベネディクト相手に、すべての駆け引きで常に一手先を読み、完全勝利。とにかく見ていてスカっとするし、爽快です。 高尚な展開や演出を望まなければ、十分に楽しいエンターテイメントでしょう。 ただ、あまりにもオーシャンズチームが強すぎるため、アル・パチーノが防戦一方に終始してしまうのはいささか物足りません。 オーシャンズチームが窮地に立たされるシーンが一つでも入っていれば、もっとメリハリと刺激のある作品になっていたかもしれません。 あと、ついでに言うと、ホテルの評価をぼろくそにつけられて呆然とするバンクが見たかったですね。 『ソールが実はオーシャンズチームでした』ってネタバレするだけではやや消化不良です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-05-23 13:10:47) |
12. オゾンクライシス
《ネタバレ》 パニックものとして定石を踏んでいて、なかなか面白いです。 冒頭の飛行機のシーンから既に深刻な状況が伝わってきます。結構怖い状況がいきなりきます。 今作はとにかくスピーディーな展開が良いですね。波打ち際に打ち上げられるザトウクジラに始まり、鳩の暴走、湧き出る虫、病院に担ぎ込まれる人々など、パニックものの醍醐味を味わうことができます。 また、登場人物の役割もはっきりしていて、それぞれのスペシャリストがそれぞれの分野で真剣に異変と向き合おうとする様子が大変良いです。気象学者しかり、パイロットしかり、病院関係者しかり。で、こういう作品では必ず足を引っ張るやつもいるわけで、不自然なくらいに足を引っ張ってくれます。 マイナーな作品の割りには、きっちり見たいものを見せてくれる映画です。それに、本作を見た後で、今現在オゾンホールってどうなっているのか気になるくらいですから、自分にとってはそれなりに影響力のある作品となりました。 今作は、映像面、ストーリー構成において、造りが粗い部分が確かにあります。つっこみどころはもちろんあるでしょう。ですが、個人的には十分許容範囲内で、あまり深く考えずに最期まで見ました。 個人的にはオススメできるレベルの、暇つぶしエンタメ作品に仕上がっています。 [DVD(字幕)] 7点(2015-01-23 13:56:17) |
13. オーメン4<TVM>
《ネタバレ》 1作目と2作目は観賞済みです。 3作品の中では、これが一番好きかもしれません。 少し軽めのタッチになっていますので、誰が見ても楽しめる初心者向けホラーサスペンスになっています。 だからといって決して退屈な内容ではありません。 今回割りと犠牲者が多く、テンポが速いです。 また、人によって好みが分かれるかもしれませんが、「超能力カフェ」での一連の出来事や、「毒蛇事件」では、演出が上手なのでそれなりに恐怖感をあおられます。 全体的にミステリー要素が加わっているのも良い感じです。よく考えればわかることなのですが、意外な人物がディーリアの協力者だったりします。 ラストのオチはあれがベストだと思いますね! 使命感では母性に勝てないってことですよね。 まあそれであの結論に達するのは早計すぎて説得力に欠ける気もしますが、そこは深く追求しません。素直に後味の悪さを楽しみます。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-30 15:12:05) |
14. オール・オブ・ミー/突然半身が女に!
《ネタバレ》 気楽に楽しめる優良コメディです。 スティーブ・マーティンは苦手なのですが、この映画では見事に役とマッチしていて楽しめました。 最初は自分勝手で、横柄なエドウィナにイライラしますが、いつの間にか彼女を応援しているので不思議です。今となってはよくあるパターンの映画かもしれませんが、それをふまえても面白い。特にコメディの中にも、ちょっとした人間ドラマや、プチサプライズ、プチサスペンスも用意してあって話が二転三転するので最後まで飽きずに見られます。バランスが良く、時間も短めなので、隠れた良作でした。 ここのレビューを見ていなかったらこの映画の存在すら知らなかったと思います。見ることができて良かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-07 11:11:47) |
15. オーシャンズ12
《ネタバレ》 前作と違い、『脅迫されて借金返済からのスタート』だから、最初から気持ちが萎えちゃいますね。 前作の良さは、一人一人の特性を活かした一大作戦の面白さ。正統派泥棒活劇。 今作にはそれがありません。メインを除いて、個性が死んじゃってます。 更には、ルマークという強力な第3者の力が、今回の作戦成功のカギというのも情けない話。つまりは、終盤ライナスやテスが繰り広げた卵強奪のドタバタはすべて茶番だったってことですもんね。そこから参加のソールなんて、ピエロも良いとこです。 オーシャンズを留置所から連れ出したFBIグループ、『実はライナスの母親でした。』 『ファベルジェの卵は実はオーシャンズが先に盗み出していました。』 この『実は・・・』というのが、今作のキーワード。 『結果』を先に見せて、そのプロセスを『実はこうなっていた』、と、後だしで真相を明らかにするパターン。面白いんですけどね、このパターン。『ああ、そーゆーことだったのか。』ってなるに決まっているし。ダニーやラスティのほうが、一枚も二枚も上手でしたって印象付けられるし。 ただそーなってくると、純粋にオーシャンズの力だけで勝ち取った前作に比べて、チーム戦ならではの爽快感がなくなります。 ついでに言うと、今作は観る人に対して明らかに不親切です。はっきり言って凄くわかりにくいです。『難しい』のではなく、『わかりにくい』のです。何度も巻き戻して確認するわけです。 ラストまで観ると、それなりに面白かったとは思えるんですけど、なんかノリと勢いでごまかされた気分です。 『ナイト・フォックス』にしても、どれだけの天才大泥棒かと思いきや、『知略』ではなく『体術』の達人。そんなんやり始めたら何でもアリになってしまう。 最終的には、借金返済は、勝負に負けたリッチピープルのナイト・フォックスが全部やってくれます。オーシャンズはビタ一文払っていないのが、まあ良かったです。それに『これからナイト・フォックスが、結局カジノから盗っちゃうぜ』って予感させる引きもよいです。 ただやはり個人的には、オーシャンズの活躍を見たかったわけであります。 『借金返さねーと、全員あの世行きだぜ』って言うやつから、更に金を盗むくらいの話が見たかったです。 今回は、実際仕事しているのは6人くらいなので、6点あげますね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-05-15 15:47:32)(良:1票) |
16. オレンジカウンティ
《ネタバレ》 友人の死をきっかけに人生を見つめなおすショーン。砂浜で偶然手にした1冊の小説に深い感銘を受け、作家になる夢を抱きます。その夢のため、小説の作者が教鞭をとるスタンフォード大学への入学を目指すのがおおまかなストーリー。 つまりは、希望に満ちた青春ストーリーになるはずなんですが、なにせ主人公以外にまともな人がいないオレンジカウンティ。コメディに力を入れすぎて、あまりにありえない展開が多すぎるのは好き嫌いが別れるところでしょう。 なかでも酷いのが進路指導員と兄ランス。 大学入学のため必死に勉強を頑張ってきた生徒の成績表を他の人の成績表と取り違えて大学に願書提出するなんて、あってはならんことです。兄ランスはクスリと放火で完全にアウト。 この二人の行為は犯罪。コメディ、フィクションを免罪符に何でもOK、笑って許しての展開にはあきれます。 そのような度を越えた逸脱行為を除けば、後は笑って許せる範囲。なにせ家族、友人に加え学校の先生までもが『あっぱっぱー』で超適当な人たちばかり。大笑いできる場面はありませんが、小ネタ満載なのがこの作品の魅力の一つです。 そして、その環境の中、健気に夢の実現のため頑張り続ける主人公の姿が泣けます(笑)。 また、最初のうちは頭空っぽにしか見えなかったショーンの彼女が、物語が進むにつれ、次第に可愛く、良い彼女に見えてくるのも見所の一つでしょう。 最初は許せなかったオレンジカウンティの人々が、映画を見終わる頃には、不思議と主人公にとって大切な存在に映ります。それが、この作品の一番伝えたかったメッセージかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2016-03-24 08:45:32)(良:1票) |
17. オーロラの彼方へ
《ネタバレ》 タイトルから純粋なヒューマンドラマを勝手にイメージしていのですが、実際はサスペンス色の強い娯楽ムービーでした。 後半に進むにつれて、サスペンス色はどんどん強くなり、『交信』はもはや犯人を出し抜く裏技を使うためのギミックと化してしまいます。ただそれによってエンターテイメント性の高い作品へと昇華されたのはまぎれもない事実。どちらかといえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に近い、B級エンタテイメントのノリかもしれません。 こういうアイデアは『パラレルワールド』になるという考え方が一般的になってしまっているので、過去の行動が変わることによって現在に突然影響が出始める演出は、気にしないようにしてても、どーしても違和感を禁じえません。 『父親が死ぬ』⇒『母親が仕事を休んでかけつける』⇒『医療ミスにより殺人鬼死亡』という本来の道筋が、『父親が生きている』⇒『母親は通常通り出勤』⇒『医療ミスを防ぐ』⇒『殺人鬼が殺人を継続』⇒『母親死亡』という道筋に、未来が書き換えられてしまうという、わかりやすく面白いプロット。つまり決してつまらない作品ではないのですが、題材が自分には合わなかったみたいです。 『記憶の設定』に一貫性がないところも気になって仕方がない。本作では『記憶』に関する部分が、本来最もデリケートで難しいはずなのに、そこんとこのルール設定が非常にあいまいなのは辛いところ。 万人受けするのもわかりますし、見ていて飽きないのですが、気になる点が多すぎて物語に集中しきれませんでした。 ってゆーか邦題により変な先入観持たされたのが一番まずかったかもしれませんね。 ついでに言うなら、父親が助かった代わりに、死ぬはずではない運命だったナイチンゲールが一人だけ殺されたままです。もしその人の子供や家族が30年後の未来にいたとすれば、その人たちの存在や未来は大きく塗り替えられてしまったわけです。 そういった事実があるかもしれない一方で、自分達だけハッピーエンドっていうのはいかがなものでしょうかね。 [DVD(字幕)] 6点(2015-12-18 05:11:40)(良:1票) |
18. オフィスキラー
《ネタバレ》 なかなかシニカルなホラーで興味深く拝見させていただきました。 切断した指をつきさした時計の針や、おもちゃのように扱う手首などゴア描写も結構なものです。死体で作り上げていく地下のマイルームは狂気の最先端をいっていますね。 本作ではまっさきに犠牲になりそうなキムが、あまりに会社に適応できていないがために逆に助かるというストーリーがなんとも皮肉が効いていて面白いです。 被害者たちは共通して、ドリーンに選ばれるだけの資質を備えていることが重要です。それでいて、ドリーンに対してパワハラやったり、陰で悪いことやったりしていることも大事なポイントになります。つまり、ドリーンにとって殺すに値する人物である一方で、殺した跡にマイオフィスを彩るのに相応しい人物でもあるということが大事なんです。 つまりキムは殺すにも値しない人物。一回邪魔になって殺されそうにはなりましたが、結局殺されず不採用。お母さんは勝手に死んじゃいましたが、オフィスにはいらないので不採用。パパの存在がうやむやにされてしまった感はありますが、回想シーンだけで考えるならば、きっと性的虐待でも受けていたんでしょう。それがドリーンという究極のアンバランス人間を生み出しちゃったっぽいですね。 きっと低予算な作品だと思うんですが、安上がりのB級ホラーとして格付けしてしまうには、捨てがたい何かがあります。ただし、その面白さはまごうことなきB級レベル。人に勧められるほど面白くはないってのが悲しい。 音楽も個人的には好みじゃないです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-01-01 08:15:36) |
19. オーメン(1976)
《ネタバレ》 とうとうあの有名な「オーメン」を見ることができました。「ファイナルディスティネーション」に似ているなーと思いました。少なからずこの作品から影響を受けている気がします。 個人的には「ファイナルディスティネーション」のほうが日常的で好きです。 映画として完成度は高く、見応えがあります。ですが、「ホラー」ではなく「オカルト」というジャンルであれば、やはり洋画より邦画のほうが面白いかな。 家政婦が首をつるシーンは最高に良かった。 個人的に一番怖かったのは、墓を掘り返すシーンです。 [DVD(字幕)] 6点(2012-03-04 16:21:54) |
20. オールウェイズ
《ネタバレ》 ピートの死語、アルがドリンダを連れて行こうとした時のジョン・グッドマンとホリー・ハンターの演技が最高に泣けます。ジョン・グッドマンの「俺が唯一好きになった男だ。」のセリフに、涙をこらえながら、せきをきったように涙があふれだすホリー・ハンターの演技が重なります。たまりません。 肝心のピートは死後ひたすら孤独です。 死後、生きている人のために霊感になり、かけた言葉がその人の心の奥底に届くような発想は斬新で面白いと思ったのですが、よく考えるとひたすら孤独です。最後まで救われることがないことがわかっているストーリーは見ていてひたすらせつないです。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-24 13:42:41) |