1. モーガン プロトタイプ L-9
アンドロイドやクローンは映画に頻出しているけど、人造人間が映画になっている例は多くない。ブレードランナーのレプリカントを除くとすぐに思い付かない。最近流行りの人工知能とは出自が全く違うので精神がどのように機能するのに興味が湧く。私はその緊張感でダレずに観られました。 途中でオチが判明する感があるし、「人造人間」に対するウンチクも浅い。レプリカントのような哀を覚えないので深さも無い。でもそこそこ面白かったですよ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-02-13 03:26:13) |
2. モールス
《ネタバレ》 良く出来たリメイクだと思います。オリジナルの印象が強烈で、二人の関係描写には微妙な違いを感じました。まずはオーウェンの心情表現です。プールでの出来事も、アビーと一生を共にする覚悟の動機としてはちょっと足りない。両親の顔を見せない孤独感の演出などで補完しようとしていますが、オリジナルにはヴァンパイアとの共棲に自分の存在意義を確認するような積極性がありました。なので、本作の電車のシーンは「ちょっとした旅行」くらいに見えました。一方、オリジナルでは不透明だったヴァンパイアの心情ですが、アビーからは不安と他者への依存心が強く感じ取れました。象徴的なシーンが「招かれない家に入る」と何が起こるかを実演するシーン。全身から血を滴らせるヴァンパイアが雨に濡れた捨て猫のようでした。アビーの表情が憐れを誘います。クロエちゃんファンとして、過剰に共感している可能性はありますが…。オリジナルと並べると、厳粛な重々しさが薄れた分だけ取っ付き易くなった印象です。ハリウッドらしいということか。ちなみにオリジナルは9点評価。それにしてもクロエちゃん、血まみれが似合ますわ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-13 00:43:47)(良:1票) |
3. モーターサイクル・ダイアリーズ
《ネタバレ》 日本の革命家を描いた司馬遼太郎の「竜馬がゆく」と同様に、本作の原作も南米にひとりの革命家が生まれる道程を青春の感受性のなかに描いた作品なのでしょう。両者に共通しているのは、若い頃にどこへ行き、誰に会って、何を感じたか。「竜馬がゆく」も江戸剣術修行の旅立ちから始まっていました。南米の自然とそこに暮らす人々と文明の痕跡。エネルストの体験を反芻させてくれる構成です。チェ・ゲバラというと、ベレー帽をかぶりカーキ色の軍服を着た勇猛な人物という印象を持っていたが、この映画で訂正させてもらいました。小説の感想を問われてハッキリ酷いと言い切る融通の無さは、サラリーマンをやれる性格じゃない。でもそれは、個性的な感性と孤高とも云える正直さの表れです。それをベースに、アマゾンを泳いで渡るような激情を秘めていることが周囲を惹き付けた魅力なのでしょう。後に革命家として名を馳せる人物を追っているという目で見てしまいますが、無理矢理にヒーロー像を構築するような印象は無く、仲間との貧乏旅行を通してじんわりと主人公の人柄が伝わってくる、とても誠実な青春ロードムービーでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-22 11:59:52) |
4. モンスターVSエイリアン
《ネタバレ》 予告で見た主人公が大好きな「Mr.インクレディブル」の奥さんに似ていて、勝手に好感を持っていた。劇場へ行けなかったことを悔やんでいたけど、結果からいうと行かなくて正解だった。序盤から、主人公の必要以上にオーバーな表情の付け方に悪い予感を覚える。その表情も含めて、いつまでも悪ノリを繰り返すシナリオに疲れが溜まって行く。過去の名作からキャラを拝借するのは構わないが、彼らをちゃんと描かないまま探査ロボットが出てきてどんどんアクションが進む構成の粗さがとても気になった。出演させるならもう少し描写しないと、リスペクトしていることにならないでしょ。彼らの間の友情も同類相憐れむと云う以上のものでは無く、婚約者のTVキャスターをことさら酷い男に堕としめることでそれを強調する安直さ。これは、かなり中味の薄い作品でした。日本語吹き替え版を観ましたが、宇宙船のコンピューター役の田中敦子さんのとぼけた上手さは際立っていましたね。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2010-08-19 23:09:22) |
5. モダン・タイムス
教科書的には機械化社会への警鐘という意味合いで解釈されている今作ですが、自分は資本と労働の関係全般を風刺しているように思えました。何度も浮浪者に戻るチャップリンの不安定さの原因はやはり資本の都合ということだもんね。その後の労働環境を概観するとチャップリンの描いた未来が概ね正しかったことには驚きを禁じえません。最近、機械化が全自動化やIT化へと移行して、やっとチャップリンの想像範囲を少し超えた感じだけど、自らが進化させるテクノロジーに苦しめられるという図式は変わらないですね。有名なナット締めや自動食事機のシーンより、目隠ししてのローラースケートにチャップリンの芸の凄みを見ました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-18 00:59:50) |
6. 黙秘
《ネタバレ》 邦題が不評のようですが、私は良いと思いました。自分を含めて原作を知らない人には「ドロレス・クレイボーン」と言われるよりは物語の核心に迫っていると思います。娘は父親からの性的虐待を忘れていたようです。そのために、母は20年間、警察は勿論、娘にさえ父親の死の真相を黙秘した。あんな父親でも母が殺したという事実が娘に与える影響を恐れた。夫殺しの動機が明るみに出ることは、さらに恐れた。娘が虐待を口にしないなら尚更だ。当の娘は(ショックで?)虐待の事実を忘れていたために、母に対して夫殺しの疑念を抱いていた。このすれ違いというか、お見合いを20年も続ける母の精神力は相当なものだ。これが母親の愛情ということか。でもキャシー・ベイツは演じきってましたね。キャシー・ベイツだから、かな。娘の記憶が蘇るとともに、多くの謎が明かされますが、今作は謎解きが目的の映画じゃない。当時の、そしてその後の20年間の、母の想いと娘の想いを邂逅させるための謎解きです。完全なハッピーエンド感が無いのは、母が二人の人を手にかけている事実があるからでしょう。でも、この母は全てを覚悟してことに臨んおり、娘は母を理解しました。自分はハッピーエンドと思ってます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-17 14:35:17) |
7. 燃えよドラゴン
《ネタバレ》 小学生の時に観て熱狂したクチです。ヌンチャク、作りました。自画自賛ですがけっこう上手に振り回してました。関西に浜村淳というラジオのパーソナリティがいて(まだ現役なのかな?)、その方が番組の中で一時期この作品のことばかり喋っていました。「飛燕一文字空中五段蹴り!」などとありもしない技をでっち上げて、ラジオのスピーカーを賑わしていた。でも、誇張はあったものの、その温度感はそのまま映画を観た自分のものになった。途轍もなくカッコ良かった。この映画がたった4本しか主演作のないブルース・リーの最後の作品であり、ハリウッドで制作した最初で最後の作品になりました。本当に残念でした。でも反対に彼のスクリーンでの勇姿は限られた分だけ現在でも一際輝いていると思います。ブルース・リーに熱狂してしまうと、ジャッキー・チェンの映画はどうも見応えがしない。「ジャッキー、お前のコブシは軽いんだ!」 というのは私の台詞です。 [映画館(字幕)] 9点(2009-04-07 03:55:17)(良:1票) |
8. モーテル
短めのクライムサスペンスだけど、やや尻切れ気味に終わる。ある意味、当たり前に終わる。無理矢理にどんでん返しを設定するようなサービス精神は無く、むしろそんな映画が多い状況に対する警鐘なのではあるまいか。ただ、リアルさを標榜するなら、最後に旦那と復縁するのはいただけない。この映画のケイト・ベッキンセールはちょっと疲れ気味の普通のお姉さんに見えました。まぁそんな役柄なのですが、ファンとしてちょっと残念。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-04-07 01:38:09) |