21. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
《ネタバレ》 この監督、ずっと嫌いな監督だったんだけど、この映画は見事なくらい〝嫌な〟映画。わざと観ている人間を不愉快にさせているような演出が冒頭から最後まで徹底的に繰り返される。あの超有名な大恋愛映画で、永遠の愛を誓いながら海に沈んでいった俳優とそれを涙ながらに見送った俳優をキャストに向かえ、それを見事に引っくり返したような延々と続く夫婦の泥沼の愛憎劇。それがラース・フォン・トリアー監督みたいに、とことん突き抜けてそれが芸になっているというでもなく、「どう?シニカルで芸術的でしょ?」と言わんばかりの上から目線がとにかく不愉快。 [DVD(字幕)] 5点(2012-09-06 20:17:40) |
22. レオン/完全版
《ネタバレ》 リュック・ベッソンが、その持てる才能を見事に使い果たしてしまった傑作。都会の片隅で、社会に背を向けて孤独に生きる殺し屋レオンと、大人社会に翻弄されながら必死に生きようとする少女マチルダ。ある残虐な事件をきっかけに共に逃避行をする羽目になった二人に、互いの孤独な心が共鳴しあう。正直、この二人の愛情は社会の常識やモラルから照らしてみれば、異常とも思えるかも知れない。でも、だからこそ嘘や偽善にまみれた社会を必死に突破しようという、二人の純粋な姿は眩いばかりの光を放っている。そして、彼らと対峙するのは、これもまた常識やモラルを踏み外してしまった、イカれた麻薬捜査官。何が正しくて何が間違っているのかなんて考えず、ひたすら自分の感情に正直に生きようとする主人公たちの、むき出しの荒々しい感情が深く胸を打つ。最後、独りぼっちになってしまったマチルダには、まだまだ困難な人生が待ち受けているのだろうけど、レオンが言っていた「大人になっても人生は辛いさ」という言葉を糧に彼女は必死に生きていくのだろう。切ない。 [DVD(字幕)] 10点(2012-06-21 20:08:45) |
23. レザボア・ドッグス
《ネタバレ》 限られた予算のなかで創られた傑作密室劇。思えばこれと「パルプ・フィクション」のころがタランティーノのピークだったのではないかと思えるくらい、よく出来ている。個性的な濃い男たちのそれぞれの思惑が交差し加速していく緊張感と暴力描写、そして物語を彩る魅力的な音楽、どれをとってもタランティーノの才気が光る。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-21 19:11:30) |
24. レスラー
《ネタバレ》 かつての栄光もいまや昔、スーパーでバイトしながら地方巡業のドサ回りレスラーへと落ちぶれてしまった中年駄目男ランディ。酒浸りで唯一の家族である娘にも嫌われていて、仕事場では大して仕事も出来ないくせに偉そうにしてリストラ寸前、そして極めつけは娘との和解の機会が訪れたというのに、ストリッパーとのおいしい夜のせいですっぽかしてしまう……。良いですねー、この駄目っぷり。本当に碌でもないわ。一時期の自身の境遇を確実に投影して、ほとんど地なんじゃないかというくらいの、迫真の演技をしてみせるミッキー・ロークがほんと素晴らしい。今作の監督ダーレン・アロノフスキーって「ブラック・スワン」のときのナタリー・ポートマンもそうだったけど、役者の秘められた才能を引き出すのがほんと巧い。そして、そんな碌でもない人生を送ってきたランディも、リングに上がれば応援してくれるファンのために自らの命をも顧みずに全力のファイトを発揮する。だってそこが彼の生きられる唯一の世界なんだから。どんなに駄目な人間でも、何処かに必ず自分の輝ける世界があると身を持って示してくれるミッキー・ロークの最後のジャンプが深く胸を打つ。良作。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-14 01:32:15) |
25. レポゼッション・メン
《ネタバレ》 まあ、アイデア勝負な映画なんだけど、この殺伐とした雰囲気、嫌いじゃないです。最後のお互いの身体のなかに手を突っ込みながら愛を確認しあう二人の姿は(少々やりすぎな感もあるけれど)なかなかなエロティックでした。夢オチが許容できるか否かが、この映画の分かれ目だろうけれど、僕はぎりぎり評価できました。 [DVD(字幕)] 6点(2012-04-25 11:33:36) |