2121. カポーティ
主人公の行動を単純に追うことに終始しすぎていて、ドラマを見ているのか、よくできた再現フィルムを見ているのか、途中で分からなくなってしまいます。なぜ彼はこの題材を追い始めるに至ったのか、その背景にはどのような人生があったのか、途中でどのように変化したのか、といった点について、もっと深く掘り下げてほしいところでした。ホフマンの演技も、今ひとつ細部の表現に乏しく単調であり、モノマネの域を脱しているとはいえません。 [DVD(字幕)] 5点(2008-02-07 03:27:47) |
2122. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 一つ一つのシーンを取り立ててみれば何も突飛なことはしていないのですが、家族内の心理関係を丁寧に積み上げることで、きちんとまとまった作品になっています。主人公は意外に行動自体は大人しいようにも見えるので、もう少し暴走して兄との対比を際立たせてもよかったような気もしますが・・・。それにしても、最後は兄がイッちゃったままで何のフォローもなしという荒技にはちょっとびっくりしました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-02-07 03:07:52) |
2123. モーターサイクル・ダイアリーズ
《ネタバレ》 素材としての目のつけどころは良いのですが、もっと良い作品になったのでは?という感じ。マチュピチュ遺跡とかチュキカマタ銅山などの美味しいところを回っていながら、ほとんど「ただ行っただけ」であっさりすまされている一方、ハンセン病診療所到着以降はえらくペースダウンしているのが気になりました。また、単なるロードムービーではない、後の革命家としての素養の発現という部分ももっと見たかった気がします(多少は描かれてるけど)。ただし、アルゼンチンのパンパやアタカマ砂漠なども含めた南米の各地の風景のショットはやはり強烈だったのと、ラストの「祭りの後」のほのかな倦怠感と虚脱感を滲ませた締め方は印象が良かったので+1点。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-02-04 01:57:47) |
2124. マーヴェリック
こんなかっこつけキザ路線の主人公にメル・ギブソンは合ってないし、アホっぽさ満開のヒロインにジョディ・フォスターは合ってません。その時点で大きなハンデなのですが、内容自体も、何かいちいち当事者があれこれ考えばかり回しているような感じで、テンポが悪く、勢いに乗った部分がほとんどありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-01-29 23:45:29) |
2125. ロミーとミッシェルの場合
《ネタバレ》 主人公の二人が最初から馬鹿すぎで、作品に入り込めませんでした。同窓会ごときにそんなにむきになるというアホらしい行動が目的なのであれば、だからこそ真剣に勝負してくれなくては駄目なのですが、主人公たちはその過程でもなーんにも考えてません。途中の夢の部分も、つなぎのために入れたという以上の意味は感じられませんでした。最後の啖呵の部分を見るための作品ですね。 [DVD(字幕)] 5点(2008-01-29 02:12:32)(良:1票) |
2126. 突撃(1957)
《ネタバレ》 これだけの内容を90分未満に凝縮してみせた豪腕には感服するが、やはり、主人公の心理描写などはもっとじっくり見たかった気がしないでもない。前半=戦場、後半=法廷ときっちりと色分けがされすぎているのも、何となく作品世界の矮小化につながっているような印象を与える。 [DVD(字幕)] 5点(2008-01-28 04:12:45) |
2127. ヒー・セッド、シー・セッド/彼の言い分、彼女の言い分
発想は悪くないのに、ネタが貧困すぎて内容がついていっていません。もっと視点の違いを明確にしておかないと、ラストの意味合いも薄くなると思うんですけど。それと、ケビン・ベーコンは見るからに一癖も二癖もありそうな感じで、この種のストレートなラブコメには合ってないですね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-01-24 03:36:06) |
2128. 市民ケーン
ケーンの一生の追い方は、エピソードのつぎはぎという感じだし、根幹となる表現テーマも見あたらない。したがって、そんなに高い評価はできません。特に前半で、過去と現在の描写がごちゃごちゃしていたのも、見ていて辛かったです。 [DVD(字幕)] 4点(2008-01-23 03:42:15) |
2129. アメリカン・スウィートハート
それぞれが好き勝手な演技をしているだけで、映画として一つのものを形成していません。豪華キャスト作品を作るのも大変だね。ゼタ=ジョーンズなど、無理して「ステレオタイプの嫌な性格の大女優」を演じようとしているのが見えてきて、逆に痛々しく感じられます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-01-20 23:52:28) |
2130. 噂の二人
《ネタバレ》 出だしの感じと邦題からは、明るく賑やかな学校ものを想像していて、風評被害が発生したときも、そのうちうまく誤解が解けて最後は全員笑顔でハッピーさ!みたいに予想していたので、あまりの暗さと陰湿ぶりにびっくりしました。いつまでたってもハッピーな雰囲気にならない(どころか、悪い方向にばかり進んでいる)ので、一体どうやってオチをつけるのかと思っていたら、まさにそのまんまの話でした。ラスト、オードリーの散歩の時間をゆっくりととって、観客にもこの「時間的空白」を体感させる演出が面白かったので+1点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-01-16 02:57:26) |
2131. シンプル・プラン
何といっても、パクストン=ソーントン=フォンダという的確すぎるキャスティングが強烈。普通、こんなにヘタレた主人公は見ていて腹が立つものだが、パクストンの場合はそれがあまりにもはまりすぎてて逆に笑ってしまう。ツイスターでもマイティ・ジョーでもトゥルーライズでも、彼のヘタレ演技はどこかコミカルな味が出ていたものだが、本作に関しては、正面から、真剣に、堂々とヘタレ役を演じきっているのが凄い。彼のキャリアの中でも最高作ではないでしょうか。ソーントンも、馬鹿なようでいて妙なところで頭が回り、考えてないようで考えていてやっぱり考えてないという難易度S級の役柄を完璧に表現している。フォンダの「大人しいふりして実は最も腹黒」の演技はいわずもがな。脚本にも一切の無駄なし、というかむしろ原作より優れているかも。俳優の表情と背景を適切に撮り分けたカメラもいい感じです。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-16 01:06:02)(良:1票) |
2132. 母の眠り
《ネタバレ》 ありがちな内容のようにも見えますが、よく見るとなかなか味わい深いです。母の闘病という変化を軸にしながら、それはあくまでも軸にすぎず、作品の主たるテーマは、母と娘の間の確執、そして娘の父に対する反発と理解。そして、一番破綻するように見える父と母の間こそが、最も安定した関係であることが徐々に分かります(メリルの「私はあなたよりもずっとお父さんを知っている」の一言が意味深)。ただし、メリルとレネーの演技の相性は決して良いとはいえず、それぞれが別の方向を向いて独自に芝居をしているような印象を受ける。それと、130分は長すぎ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-09 00:56:13) |
2133. ミザリー
《ネタバレ》 筋立ては単純ながら、手を拡げすぎないコンパクトで確実な演出によって、主演2人の表現を光らせることに成功しています。「フォークで布団に穴を開けてそこにカプセルを隠す」(=そこしか隠すところがない)など、主人公の無力な日常生活状態をきっちりと表しているのが、当たり前のこととはいえ重要ですし、アニーの行為による恐怖を効果的に裏付けています。残念なのは、最後がありがちなサスペンスの着地風になってしまったこと。主人公の決死の覚悟を表すためには、変に引っ張らずに一撃で倒すべきだったと思いますし、それまでとの対比で、脱出して自由を獲得する救済の過程を少しでも見たかった。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-07 04:35:42) |
2134. 運命の逆転
《ネタバレ》 そもそも、裁判で完全無罪が確定しているのだから、その裏をどうこう疑うような映画をわざわざ作っている時点で制作者の神経を疑うのだが、それを措いたとしても、何が表現したかったのかよく分からない作品。本体の裁判の部分は、証拠関係や審理経過のディテールを省略してしまっているせいで、著しく緊張感が薄れてしまっているし、また、視点をグレン・クローズに置いてしまったせいで、弁護人から見た人間ドラマという点でも発展性が減殺されている。結果、単に弁護団内部の表面的なやりとりを淡々となぞっただけになってしまいました。クローズとアイアンズの底力で何とか見られるものになっているだけですね。 [DVD(字幕)] 4点(2008-01-06 04:28:11) |
2135. マスク(1984)
《ネタバレ》 筋立てはとても単純なのだが、何よりも、じめじめと湿っぽくないところがよい。主人公の行動は常に自信と勢いに裏付けられており、人生で大事なことは、どう思われるかということではなく、何を考えて、何をしているのかということである、という当たり前のことを再認識させてくれる。ただし、バイカー達と一体どうやってあんなに仲良くなったのかというのは、最後まで謎だったのだが。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-23 00:36:07) |
2136. 恋人はゴースト
《ネタバレ》 初期設定以外には特に工夫や装飾はないのだが、そのありがちな内容をここまで面白く見せてしまったのは、リース・ウィザースプーンのセンスと存在感に尽きる。彼女が登場するだけで、鬱陶しくも可愛らしい幽霊が本当にその場にいるような気になってしまう。冷蔵庫の中のリースや、肉体の中に戻ろうとするリースなど、クスッと笑えるカットも結構あります。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-20 02:35:32) |
2137. 恋しくて(1987)
《ネタバレ》 「モテナイ君と高嶺の美女」「友人関係に秘められた恋愛感情」なんて、切なくなる要素ビシバシなのですが、それが無駄なく手際よくまとめられています。主役の3人が3人とも、いろいろ考えていながらそれを全然うまく表現できず、もどかしさに満ちています。青春というのはそういうものです。中でも、「練習キス」のシーンがベタだと分かっていても特に好きです。ただし、ラストはもうちょっと引っ張ってほしかった。一番大きな感情の変化が起こるところなのですから。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-18 03:08:13) |
2138. カッコーの巣の上で
《ネタバレ》 中盤まではずっと、単純なやりとりを単調に流しているだけで、患者たちの個性もあまりあるように見えなくて、面白味に欠けると思っていたのです。しかし、びっくりしたのは、どんちゃん騒ぎの後に現場に赴いた際のルイーズ・フレッチャーの一連の演技。滅茶苦茶になっている(部外者までいる)現場を見て、これはさぞかし婦長激怒かと思いきや、彼女は、噛みしめるように、一言一言、3人の看護士に向かって冷静で的確な指示を出す。無表情の影で頭が超高速回転をしているのがよく分かる。しかし、そんな彼女も、唐突に発生した患者の自殺という事態には耐えきれず動揺し、「言ってはいけない」一言をつい発してしまい、自らの生命の危機を招く(このときの失神しかかっている表情も凄い)。その後のシーンで、少し穏やかで愛想もなくはない様子が描写されているが、あの首のコルセットは、これから彼女が背負い続ける十字架の象徴なんだろう。それと、パーティの最後の、数秒間続くニコルソンのアップは、何とも意味深。彼は、自分が脱走という大事の実行など実はできない人間であることを知っていたのではないだろうか。婦長に襲いかかった彼の行動には、自分に対する怒りも含まれていたのではないだろうか。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-17 02:08:42) |
2139. 恋する人魚たち
《ネタバレ》 ボブ・ホスキンスはともかく、娘の恋の相手の方が、どこでどう考えているのかがまったく見えないお人形状態なのは、ラブロマンスとしては大いにマイナス。シェールも、演技してるときよりも、最後のテーマソングでの歌唱の方がずっと楽しそうなんだよね・・・。ウィノナのしつこいナレーションも邪魔。やろうとしていることに全体の構築がついていかなかった感じ。 [DVD(字幕)] 5点(2007-12-11 03:20:47)(良:1票) |
2140. 潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ
《ネタバレ》 おじいさん2人の、含蓄のある、味わい深い、地味ながらも落ち着いたやりとりを期待していたのだが、リチャード・ハリスのキャラクターが暴走しすぎで、どうみてもほかの人たちを置き去りにしている。初期のサンドラ・ブロックの可憐なウェイトレスというのも、案外似合っているのではないかと思っていたが、それほど見せ場らしい見せ場はないまま消えてしまった。全体的に、もうちょっといろいろ工夫できたのではないかな。ハリスとシャーリー・マクレーンのラブシーン(!)にはちょっとどきっとしてしまったので、+1点。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-12-08 00:30:50) |