261. ビッグ・トレイル(1930)
《ネタバレ》 ジョン・ウェインのデビュー作という一括りで片付けるには勿体無いフロンティア精神に溢れた作品。 本作の内容は後の「小さな巨人」や「ソルジャーブルー」、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に先駆けたテーマが描かれていた。 それはインディアンとの共存が可能か可能でないか。 幌馬車隊は道案内としてインディアンたちと交流を結ぶ。 他のインディアンのグループたちとも交渉し、絆が結ばれようとしていた。 正しそれは交流したグループだけの話であり、事情を知らない別のグループとの戦いを避けられるという保証は何処にも無い。 インディアンたちも、味方同士で殺し合わなければならないという理不尽さを目の当たりにする。 本作はジェームズ・クルーズの「幌馬車」さながらに西部開拓民たちの力強い生き様を雄大に描く。 壮大な幌馬車隊がくぐり抜ける大自然の猛威。 河を渡り、 森を切り開き、 砂漠を超え、 嵐を乗り切り、 雪原を突破していく。 さらにはインディアンの襲撃、組織内における対立など内と外での戦いも絡んでくるのだ。 最初40分は幌馬車隊の生活模様と出発をじっくりと描きやや退屈だが、 人々のコミカルなやりとり、 月下でのダンス。 幌馬車の群れを円形にしてグルリと囲んだ中での団欒。 40分目におけるバッファロー狩りの迫力。 命懸けの河渡り、押し流される人々の描写が怖い。 そこに戻って来たウェイン、幌馬車の渡河を手伝う。 さらっと戻ってくるウェインのカッコ良さはこの時から感じられる。 50分目におけるインディアン(シャイアン)との交渉。 あの時のウェインは尻を撫でているようにしか見えない(笑) 結婚式の直後に流れる不穏な空気もまた凄い。 幌馬車隊内におけるささやかな結婚式、裏では男たちの殺し合い。 この光と闇の描写。 終盤におけるインディアンとの戦闘の迫力。 危機を乗り越えた幌馬車隊だが、生き残った者と背後の簡素な墓標の対比。 犠牲を乗り越え、それでも人々は前へ前へと突き進む。 安住の地を目指して・・・。 そしてラストの一瞬の決闘。 「銃」ではなく「ナイフ」というのが憎い演出。 最初あれだけピカピカの服装だったウェインが、砂や雪にまみれてヨレヨレの格好になり、また戻ってくる。 何度でも戻ってくる男のカッコ良さ。 穏やかなエンディングが何とも言えない。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 20:04:42) |
262. 戦場よさらば
戦場よさらば 「第七天国」といい、ボザージの描くロマンスは嫌味が無い。 ダグラス・サークほど際立ったものは無いけど、じっくりかつ丁寧に戦争と恋愛の絡んだドラマを見せてくれる。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:21:13) |
263. 第七天国(1927)
第七天国 素直に好きと言えない男。「ダイアン チコ 天国」の言葉でしか愛の言葉を言えない恥ずがしがり屋。 そんなウブな少年を、戦争の悲劇が襲う。だが、そんな悲劇が二人をより強く結びつけるとは皮肉なものか。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:18:02) |
264. 成功の甘き香り
ショービジネス界の内幕を暴く傑作フィルム・ノワール。 秘密を暴く事が生業のコラムニストも、裏では妹と肉体関係を匂わすような疑惑に満ちた存在というのが皮肉だ。 ニューヨークの夜間撮影の美しさは素晴らしい。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:15:08) |
265. 拾った女
反プロパガンダ映画の傑作フィルム・ノワール。 冒頭から一気に引き込まれる見事なファースト・シーン。 短いショットの積み重ねで我々を退屈させてくれない。ストーリーもスリからタレコミ、共産主義のスパイと複雑に絡み合う。 セルマ・リッターに女優賞を贈らなかったハリウッドの何たる見る目の無さよ! [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:12:17)(良:1票) |
266. その女を殺せ
フライシャーの傑作フィルム・ノワール・サスペンス。 証人を護送する列車、だがその列車には証人を消そうとする殺し屋たちが潜む。誰が犯人なのか?その恐怖とスリル。 絶えず横に吸い付くように走る車が不気味だ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:07:24) |
267. キッスで殺せ!
《ネタバレ》 「Remember Me(私を忘れないで)」だって?忘れたくても忘れらんねえよって傑作。 ロバート・アルドリッチはフィルム・ノワールでも多くの傑作があるが、コレは「何がジェーンに起ったか?」と並んで最高傑作の一つ。 ファースト・シーン、初っ端から路上を走る女。 ワケ有り女を拾って車が走り出すと同時にクレジットがズラズラ画面を上っていく。強烈なオープニングだ。 女の荒い吐息は、まるで性向でよがるような荒さすらある。 ミッキー・スピレインの原作「燃える接吻を」のセックスと暴力を盛り込んだハードボイルドの世界観を、アルドリッチ流の“えげつなさ”で描かれる。 SF的な要素を持ったフィル・ノワールは「アルファビル」や「ブレードランナー」等も該当するだろうか。 とにかくこの映画はよく壊す、よく歌う(クラシック)、よく叫ぶ、よく殴る(後ビンタ)、よく死ぬ。取り合えず酔ったまま運転すんなよ。 ヒッチコックの「汚名」も酔いどれイングリッド・バーグマンがぶっ飛ばしてたな。 「三つ数えろ」張りに女性がウジャウジャ出てくる。ドイツもコイツも謎を秘めて。 女性じゃないけど“va-va-voom(ババブーン)”ことニックのオッチャンも癒し。 そんな女たちを主人公のマイク・ハマーは、常に冷めた眼で見届けていく。 ハマーは「Remember Me」というメッセージだけを頼りに黙々と仕事に取り掛かる。だが、たらしだ。 探偵の武器は銃弾の代わりに鉄拳が飛ぶ。 ポップコーンと鉄拳を3発打ち込む、階段での“追い討ち”は本当えげつない。 地道な調査の影でうごめく暗殺者たち。 次々に“人生から”ノックアウトされていく敵や知人、そしてハマーが追う“ヤバ過ぎる”探し物。 ボクシング場に立ち寄るシーンすら、この映画の鉄拳の飛びようを象徴する。 浜辺でのシーンは「アハハ待てよコイツ~(バキドカ)」という風にしか見えねえ。あーあ手錠にしないから・・・片手で何したんだよハマー。 ベッドでのやり取りは最高だったぜ。だから悲鳴(爆) ところであの“黙秘”のシーンも笑っちまったよ。 終盤の演出は完全にホラー映画というか、SFというかとにかく怖い。そんな場面すら冷めた眼差しで見届けられるハマーは何なんだよ。 ともあれ、衝撃的なクライマックスが拝める映画だった。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 18:03:02) |
268. 天使の顔(1953)
プレミンジャーの傑作フィルム・ノワール。 少ない日程の中、強行的な作業と速さで映画を完成させたプレミンジャーの演出が凝縮された1篇。 狂った歯車はどんどん加速する。堕ちるところまで堕ちていく己を冷徹に見続けるロバート・ミッチャムが最高です。 ジーン・シモンズの殺人的な「天使の顔」は卑怯だ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 17:45:55) |
269. モホークの太鼓
フォードファンには不評の作品だけど、俺は「駅馬車」や「荒野の決闘」よりも好きだぜ。 アメリカが独立戦争始めた時期を舞台に男女二人が運命に翻弄されていくストーリー。 何処かユーモラスな部分もあって面白い。ベッドこと運ばれるってアンタ・・・。 ひたすら走りまくるヘンリー・フォンダは応援してしまう。 幾度となく攻めてくるインディアン、不幸の連続、それでも諦めず前を歩み続ける二人の姿は感動的だ。 カラーよりも白黒の方が雰囲気あるかも。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 17:44:24) |
270. エル・ドラド(1966)
流石に「リオ・ブラボー」の二番煎じ感は否めないが、個人的には前作よりも内容が充実していて好きだ。教会での銃撃戦や倒れ様の鮮やかな銃撃等演出は流石。 ウェインは旅先から戻った矢先「酒に溺れたのは自分のせいじゃないだろうか」と思ったのか、ミッチャムの酒を断つ手伝いを付きっ切りでする。 敵陣において、敵を睨んだまま馬を後退させる馬術の見事さ。ウェインの技術力がさり気無く発揮される。 それに古傷による右手の麻痺。自分との闘いが、左手による見事な銃撃をより際立たせる。ミッチャムの泥酔演技も抜群。そしてヒロインの溢れんばかりのおっぱ(ry ナイフ演出はジョン・スタージェスの「OK牧場の決斗」への対抗意識だったりして。あるいわラオール・ウォルシュの「ビッグ・トレイル」へのオマージュ(なワケないだろうけど・・・だとしたら凄い嬉しい)。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 16:58:23) |
271. 殺人魚フライングキラー
ジェームズ・キャメロン最高傑作の一つ。案外、B級一直線で映画撮ってる時のキャメロンは一番面白いかも知れない。 「ターミネーター」や「エイリアン2」も大好きだが、やはりロジャー・コーマンの「ピラニア」の続編となる本作の恐怖と造詣もベストの一つだ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:55:01) |
272. 毒薬と老嬢
こんな恐ろしいババア共がいてたまるか。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:47:47) |
273. ヨーク軍曹
内容はストレートな戦争アクション、ゲイリー・クーパーの演技は最高潮。 クーパーに賞を取らせ、自身も監督賞にノミネートしたホークスの手腕が輝る傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:30:55) |
274. カリフォルニア・ドールス
アルドリッチファンはこういう映画を待っていたんじゃなかろうか。 「何がジェーンに起こったか?」や「キッスで殺せ」に登場した禍々しいくらい無骨な女性像と、アルドリッチ映画の豪快極まる野郎的な精神が結びついたらどうなるのかと。 女子プロレスラーは己の肉体ただ一つで戦う。敵レスラーとの戦い、精神面での己との闘い。コーチとレスラーなんて正に反骨精神の真骨頂。 それにしてもアルドリッチ映画の女は男勝りすぎて色気がねーなー(褒めてる筈)。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:22:33) |
275. 攻撃
これは、アルドリッチが自らの最高傑作と述べていた作品だ。 個人的には「ロンゲストヤード」や「キッスで殺せ」の方が最高傑作に相応しいと思うが、戦争映画としてはアルドリッチで一番の作品だと俺も思う。 隅々まで反映された反骨精神、本当の敵は襲い来る兵士ではなく、誤った判断によって自軍を破滅に導く愚かな上司だと言う事。 戦争への皮肉と怒りがふんだんに込められた傑作だ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:16:45) |
276. 嵐の孤児
グリフィスの集大成ともいうべき傑作。18世紀末のパリを舞台にした重厚な歴史ドラマ。 フランス貴族に対する辛辣な描写は当時問題となり、ブルジョワ層を敵に回してしまう作品はヒットしなかった。 しかし、今そんな事は関係ない。 展開の速さや詰め込まれたストーリーはグリフィス映画でも屈指の完成度だ。 物語の鍵を握る二人の女性。 運命に翻弄されて違うドラマを歩む二人のヒロイン。ボロ着をまとい寒さに耐える者、愛する者を探す果てに断頭台に消えようとする者。この二重に展開されるドラマの面白さ。 フランス革命やロベスピエールの恐怖政治を絡めたストーリーはより厚みがある。 かつて「イントレランス」で試みられた手法がより分かりやすく、かつ洗練されたものになっているだろう。 登場人物の丁寧な掘り下げはモチロン、グリフィスらしいクライマックスの畳み掛けも素晴らしい。 それにしてもリリアン・ギッシュはキレイだ。「スージーの真心」あたりから余計に可愛くなった気がする。 もっとグリフィスとのコンビが見たかっただけに残念だ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-20 01:09:55) |
277. スモーク(1995)
タバコ呑みのタバコ呑みによるタバコ呑みのためにあるような映画。名作です。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-19 21:42:27) |
278. 折れた矢(1950)
「流血の谷」と共にインディアンを友好的に描いた最初の作品。 ちょっと説教臭い場面もあるが、少なくとも「ダンス・ウィズ・ウルブズ」よりは面白いだろう。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 18:20:26) |
279. ホンドー
「高原の疾走」に並ぶジョン・ファローの傑作。 「ラスト・シューティスト」の冒頭で引用された作品の一つだが、なるほど中々の作品だ。 ジョン・ウェインが荒野から一人でのしのしと現れる場面、インディアンとナイフで決闘に及ぶ場面など見所も多い。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 18:19:44) |
280. 四十挺の拳銃
これは傑作だ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 18:18:16) |