1001. ノッティングヒルの恋人
《ネタバレ》 誰もが一度は憧れる有名人との恋。土台が面白いのですから、どう料理しようが面白くなるに決まっています。いえ、むしろ素材が良いからこそ、あれこれ手を加えずに素材の味を楽しむほうが良いのでしょう。だからあえてベタでストレートな脚本にしたのだとしたら素晴らしい。 アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)が大女優であり、その設定を活かしたプチドッキリ満載の演出が、ストーリーに起伏を生み出しています。特に妹の誕生日に参加するシーンは一番好きですね。ここでの脇を固める人たちのリアクションは理想的すぎます。心は舞い上がっているのに、平静を装おうとする感じが微笑ましくて楽しすぎます。アナに出会う人たちが、すぐにはアナと気づかないベタな演出は最高です。 はじめは何故タッカー(ヒュー・グラント)にアナが魅かれたのか意味がわかりませんでしたが、彼の普通すぎる人物設定が既に普通ではない魅力となっていたのでしょうか。大女優が目の前に現れて、少々驚きながらも自然体で振舞えることはすでに一つの個性なのかもしれないです。そこにアナが魅かれたのだとしたら、後半のアナの科白とも合ってくるし、至極納得です。ヒュー・グラントは『普通すぎる魅力』というものを上手く表現していたと思います。 本作はべたなラブコメの『べた』の良さを存分に引き出しています。本作は夢を見させてくれる映画。逆に、映画だからこそ可能になる世界。見た後、ハッピーになれる作品。ラブコメはこれくらいわかりやすくて、ハッピーなものが良いですね。 [DVD(字幕)] 8点(2015-03-22 19:38:41)(良:3票) |
1002. アンドリューNDR114
《ネタバレ》 まさかの『A.I.』パターンで後半がついていけません。時間の幅が200年。時の流れが速すぎて、全く感情移入できないです。前半が良かっただけに残念です。 前半は良かったです。前半のヒューマンドラマのまま後半までいってくれたら良いのに。『ロボット+ドラマ』の物語って、テーマ先行で観客を置き去りにしちゃうものが多い気がします。時間が進むにしても、リトル・ミスが大人になったところで十分じゃないかと思います。そしてリトル・ミスと恋愛をして、同じように苦悩して、努力して、人間になることを目指せば良いんじゃないでしょうか。孫娘のポーシャまで出さなくとも、大切なテーマは十分伝わると思います。むしろ、時間の幅広すぎることが、せっかくのテーマ・主張が伝わらない原因になっている可能性すらあります。正直リトル・ミスと恋愛してくれたら、感情移入もしやすかったし、テーマが胸に響いた気がします。 アンドリューが人間臭くなりすぎて、少々傲慢さが気になってしまうのもマイナス。見た目が人間っぽくなっても、中身はロボットらしさを残してほしいです。変なタイミングで『人間社会の常識はわからない』みたいな変なロボットらしさを出したりしますが、そーゆーことではないんです。なんとゆーか、映画に出てくるロボットは、人間の持つ美徳のみをつめこまれた人工知能という設定が多いのです。だからこそ、ロボットが人間に憧れるように、人間もまた内面が美しいロボットに憧れる、そういう存在であってほしいのです。それなのに、そのロボットならではの内面の美しさをすり減らし、わざわざ人間臭くしすぎるのはどうかと。 前半の感動や切ないストーリーがすべて消え去ってしまう後半。もはやアンドリューが前半と後半で同じ存在とは思えません。一番変わってしまったのは、外見ではなく中身だと思います。 [DVD(字幕)] 4点(2015-03-19 13:07:14) |
1003. ゴールデンボーイ(1998)
《ネタバレ》 ストーリーはいたって平凡。ですが平凡だからこそ、恐怖と緊迫感、そして危機感をリアルに感じ取れるのかもしれません。 ブラッド・レンフロのトッド・ボウデンと、イアン・マッケランのドゥ・サンダーが非常に良く、二人の心理戦だけでも見ごたえがあります。時には手を組み、時には火花を散らす、二人の独特な間合いとそこから生まれる緊張感が面白い。 今までスティーブン・キングの原作は一度も読んだことがなく、だから逆にキング原作の映画を面白いと感じるのかもしれません。今作に関しても、小説を読んでいるかのような雰囲気、リズムが大変良いです。音楽もマッチしています。 ドゥ・サンダーの狂気をトッド・ボウデンが継承したことを窺わせるラスト。ですがやはりインパクトは足りないですね。それに、始めから『悪』を内包しているかのような少年でしたので、それが表面に顕在化されただけとも思えます。どうとでもとれるラストが、すごく良いようで、何か惜しい作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2015-03-14 12:43:57)(良:1票) |
1004. ノー・トゥモロー
《ネタバレ》 ありがちなストーリーかもしれませんが、脚本がよくできていて、なかなか面白く鑑賞できました。マイナーなB級作品だとなめていたら、普通に騙されちゃう作品です。『潜入捜査官はそっちかよ』ってなると思います。でもこのレビュー読んだら警戒しちゃうんですぐに誰かわかってしまいますね。 複数勢力をそれぞれ魅力的に描きながら、最終決戦までもつれこむのは漫画チックでなかなか良いです。ちょっと『こいつ誰だっけ』となる部分もありますが、許容範囲でしょう。主演俳優の演技がいかにも演技っぽくて、それだけがちょっと残念です。もう少し上手い役者さんであれば、隠れた名作になった可能性もありますね! [DVD(字幕)] 6点(2015-03-09 12:23:00) |
1005. L.A.コンフィデンシャル
《ネタバレ》 とても豪華な出演陣。エンターテイメント作品としての完成度が非常に高いです。ジャック・ビンセンス、バド・ホワイト、エド・エクスリー、それぞれのカラーがあり、それぞれの信念に基づいて行動するのが熱いですね。まるで『現代版三銃士』のような趣があります。 また、今作はいろいろ注文をつけがちな作品にも関わらず、『じゃあ面白くなかったのか?』と聞かれると、『めちゃくちゃ面白かった』と思えてしまう不思議な作品です。とにかく勢いがあります。 本作の主人公はやはりエドでしょうか。彼は『三銃士』でいうところのダルタニアンっぽいです。信念が最初からぶれておらず、本作で最も成長を遂げる人物。『出世の虫』と劇中言われていましたが、どちらかと言えば自分の正義を具現化・体言化するために、出世を利用していると感じます。清濁併せ呑む覚悟があるのでしょう。ですからエドだけは、その信念・正義においては終始一貫していたのではないでしょうか。 そしてエドの迷わない、ある意味『若く青く純粋な正義感』に、ジャックとバドが警官を志した頃の自分を思い出し、エドに協力していくのは胸がアツくなります。 ストーリー的には、もっと大ドンデン返し、もしくはもっと衝撃的なミステリーを期待してしまったので、単純なヘロイン絡みのイザコザだったのは期待はずれでした。ダドリーが怪しいのは誰の目にも明らかで、別に驚きもしません。 本作は、『出題された問題』は面白かったのに、『答え合わせ』してみると、『なんだ、そんなことか』って、大したことない真相にちょっとがっかりしちゃう感じですね。 [DVD(字幕)] 8点(2015-02-17 14:36:06) |
1006. シーズ・オール・ザット
《ネタバレ》 目的のないラブコメってのれません。もしくは恋愛そのものが目的になっているラブコメは普通すぎて楽しめないのでしょうか。『花より男子』のあるエピソードにストーリーが似ていて、既視感を感じてしまったのも原因のひとつかも。なんにせよ、やや退屈だったのは間違いありません。 特に後半が今いち。ザックの優柔不断っぷりにイライラ。『迎えに行ったらいーやん。』『謝って、今の正直な気持ちを伝えたらいいやん。』ってずっと思っていました。 いつの間にかレイニーと生徒会長が両思いっぽくなっています。『何で?いつ、どこでときめいた?』ってついていけない感じだったのに、ディーンが突然レイニーを口説き落とそうとするから、もうわけがわかりません。話の展開が急すぎですよ。 それに、ライバルに魅力が無さ過ぎです。テイラーはあの性格、あの容姿で何故クイーンに選ばれちゃうのか理解に苦しみます。説得力が足りません。どっからどう見てもみんなに嫌われている印象も受けます。でもクイーンに選ばれる・・・。そもそもプロムっていったい何? とまあいろいろ悪く書いちゃいましたが、レイチェル・リー・クックは魅力があるし、レイニーの幼馴染やザックの妹、父親など協力的な脇役達が何気に活躍する演出は結構好きです。 ただ一番拍子抜けだったのは、『変身してきれいになってみんなびっくり!』っていうはずのシーンで、全然そうならなかったことです。むしろパワーダウンしちゃったような。はっきり言って、レイチェル・リー・クックはドレス姿より、つなぎにめがねで作業をしているほうが、輝いて見えます。 [DVD(字幕)] 5点(2015-02-15 02:49:58) |
1007. アメリカン・ビューティー
《ネタバレ》 結局映画は、『好き』『嫌い』で左右されるものでしょう。ですがもう一つの選択肢として、『どうでもいい。』という選択肢があるのに気づかされました。 この作品は、日常における人間の醜い部分だけを集めたような作品です。不倫もゲイも夫婦喧嘩もドラッグも、どれも身近になくどれも興味がない自分にとっては、まさに『どうでも良い作品』です。 それでも最後まで見ちゃったのは、落としどころが気になったから。そして落としどころは良いんじゃないでしょうか。『家族愛』が好きな私にとって、レスターがアンジェラに欲望以外の優しさを垣間見せるシーン、写真立てをみる表情、そのどれもが切なくて好きです。『もしかして、ここまでバラバラになった家族が再生していくのか?』と思わせといてあのラストです。衝撃ですね。 この作品の一番凄いところは、こんなつまんねー題材でも、普通に最後まで見られてしまうところかもしれません。ですから、映像作品としてのクオリティはきっと高いんだと思います。 それに、レスター・バーナムは典型的なダメ人間だと思うのですが、そこからの脱却の仕方を描いているという点では本作に好感が持てます。 本作の評価は『誰に最も共感できるか』に尽きると思いますが、私が唯一共感できた人は奥さんだったりします。一生懸命仕事して、料理して、娘の応援に行って、父と娘の橋渡しをしたいと思っている奥さん。なのに旦那があんなんで、娘に生意気な態度取られまくったら、そりゃ浮気のひとつもしたくなりますって。いや、浮気を肯定する気はないんですけど、今作に限っては、浮気をする心理状態に陥ったのは、家族に責任と原因があるんじゃないでしょーか。 だから奥さんに共感している時点で、僕には合わない映画だったのでしょう。 それから、僕の好きな『今日は残りの人生の最初の日』っていうチャールズ・ディードリッチの名言を、なんとなくこの作品では使ってほしくなかったな。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2015-02-13 02:05:01) |
1008. ニュートン・ボーイズ
《ネタバレ》 はっきり言って微妙です。エンターテイメント作品としては盛り上がりに欠けるし、パンチも弱い。テンポが悪いわけではないのに、なんか退屈です。爽快感だってないし、感動したり考えさせられたりっていうドラマもないです。 そもそも主人公たちが『思いつき+成り行き任せ』で行動しているように見えてしまって、全然魅力がないんです。たとえ犯罪者であっても、犯罪者には犯罪者の美学や、ポリシーや、崇高なる目的が欲しいです。 『油田の採掘に失敗した。酒と遊びに使い切った。だから今度は列車強盗をやろう。』いやいや。それではただの犯罪記録を見せられているだけじゃないですか。しかもトロントでも、列車強盗でも、なんか終始ぐだぐだ。せめてプロっぽい、美しい犯罪の手口を見せてほしいものです。『見事な手口?』全然伝わってこないです。警察関係者の言葉ではなく、映像・演出・脚本でその見事さを伝えてほしいです。言葉だけで伝えるのであれば小説でもできます。ノンフィクションに多少のフィクションを盛っちゃってもいいから、『映画でしか表現できないもの』を見せてほしいです。 題材そのものは大変興味深いものでした。ラストのジョー・ニュートンと、ウィリス・ニュートン本人のインタビューも面白かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2015-02-09 04:03:47) |
1009. 交渉人(1998)
《ネタバレ》 エンターテイメントのひとつの頂点を極めた作品だと思います。とにかく抜群の面白さ。なんかよくわからないんですけど、ハラハラしてしまう妙な迫力と説得力で満ちています。 もともと『立てこもり系』の作品は好きなんですが、その中でもこれは特に良く出来ています。目的意識と成り行き感が絶妙なバランスで成り立っています。 それに、良い映画は脇役一人一人にもちゃんと役割があるのが良いですね。今作も、登場人物に全く無駄がありません。人質も警察も黒幕も主演二人も、すべての人がそれぞれの役割を完璧にこなすことで、最高の作品を作りあげています。エンターテイメントもここまで極めちゃうと、もはや芸術の域かもしれません。 ただ、マイナスポイントもあります。 『実はネイサンが内偵者だった』というくだりは、本来であれば驚くシーン。音楽もいかにもな感じに切り替わります。ところが、このくだりの説明が若干わかりにくいため、驚きまで辿りつきません。どちらかというと『納得』しちゃうパターンです。 また、ラストの『真犯人のとーじょーです。』のシーンも、本来であれば見せ場なのに、そこまで驚くことができません。きっと、ダニーとフロストの関係性や絆の深さが劇中で描ききれていないので、意外性に結びつかないのでしょう。 そしてみなさん指摘されているように、『IQ180の駆け引き』というキーワードを知らずに作品を観られたのは、私にとって幸運だったようです。余計な色眼鏡をかけずに鑑賞できました。 ちなみに一番ハラハラしたのは狙撃のシーン。そして一番驚いたのは、デヴィッド・モース演じるベックがまさかのシロだったってことです(笑)。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-02-06 04:06:52)(良:1票) |
1010. ヴァイラスX<TVM>
《ネタバレ》 パニックものとしてまずまずの出来だと思います。 同じ食中毒のような症状で、複数の人が病院に運び込まれます。食中毒を疑っている看護婦の奥さんに、『水を調べてみろ、水は最後まで疑われないから発見が遅れる』というようなことを、主人公が言います。ここからとんとん拍子に『新種の病原菌発見』⇒『公表』⇒『パニック』へと、ある意味王道を突き進みます。 この作品には、良い意味での既視感や安定感があります。テンポも程よく、速すぎず、遅すぎることもありません。暴徒化する民衆や、昆虫の脅威などの二次災害も、パニック作品ならではの緊張感を後押しします。 生物学者や、リッキーなど、犠牲になりそうにない人が犠牲になっちゃうのも衝撃です。火事になっても水が出ません。水が出ても、その水には新種の病原菌がいるわけです。消防士の人が『火も水も危険とはね。』なんてことを言ってくれちゃいます。 最後には罰せられても当然の市長が、お咎めなしと言う部分には抵抗がありますが、個人的にはオススメの一本。テレビ映画のようですが、画質以外はなかなかのクオリティです。良いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2015-02-04 02:49:30) |
1011. パニッシュメント(1998)
こーゆーオチってのは好きではないはずなのですが、この作品は良かったです。 演出とストーリー構成がなかなかよくできています。真相が気になって最後まで興味をひっぱられます。バラバラの写真を少しずつつなげて一枚の真相へとたどり着くようなわくわく感が終始あります。一旦話を完結させたのが良かったと思います。 そしてラストのオチ?ヒキ?何ていうんですかね?とにかく良かったです。まんまとしてやられましたよ。 短い時間の中に必要な情報だけを盛り込んで、テンポ良く進むノリも良いですね。暗い内容なのに、暗くなりすぎないところも良い。ドライな父親がその代表でしょうか。絶望と僅かな希望の入り混じる絶妙なバランス感覚が、物語を盛り上げてくれます。それであのオチですからねー。オススメです。 [DVD(字幕)] 7点(2015-01-31 21:29:05) |
1012. 遠い空の向こうに
《ネタバレ》 サクセスストーリーとして爽快です。人間ドラマとしても、人との絆の大切さを感じさせてくれる傑作です。このクオリティ。これは評価が高くなってしまうのもうなずけます。 でも何故か、私自身は『感動』までには至りませんでした。素直に『面白かった』とは思うんですけどね。 おそらくはひっかかる部分が多少なりともあるからでしょう。 例えば、無断欠勤をしといて夢を語られても、更には感動的なBGM流されても、責任社会に生きる日本人の私にとっては少々違和感を感じてしまうわけです。また、ライリー先生の考え方がやや偏っているのも気になります。『炭鉱』=『かわいそう』みたいな図式が最初から彼女の頭の中にあるのが見え隠れしちゃって、それは教育者として間違っているのではないかと。 炭鉱の中で会話する父と子。誇らしげに子を見つめる父親。これはこれでひとつの幸せの形とも思えるんですけどね。もちろん、夢を諦めずに努力を続けることは素晴らしいことです。ただ、その一方で炭鉱の人生を否定してほしくはなかったです。 また、サクセスストーリーの中でも、具体的に頑張る姿や成長する姿が見られるっていうのは重要です。作中で、夜中にホーマーがクエンティンを訪ねて、『ここの三角関数を解いてくれ。』と頼むシーンがかなり好きです。数学が苦手なのに、独学で勉強して、火事の濡れ衣を晴らすシーンは最高です。こういったシーンがもっと盛り込まれていたら、最後の感動はより大きなものになったかもしれません。もちろん最優秀に選ばれるシーン、父親がロケットを見にくるシーンだって素直に良かったと思えます。こういったシーンがあるだけでも、この作品は見る価値があるかもしれないですね。 最後に、お母さん、そしてクエンティン。大変良かったです。ロケット作成を通してクエンティンとの友情が深まっていくのは本当に良かった。そして母親が素晴らしい。親の厳しさや優しさが伝わってくる映画は心に残りますね。 [DVD(字幕)] 7点(2015-01-30 03:54:48)(良:1票) |
1013. あなたのために
《ネタバレ》 まさに捨てる神あれば拾う神あり。極めて悲惨な状況からのスタートでしたが、状況が少しずつ良くなっていくそのプロセスは、見ていてやはりハッピーな気分になるものです。 今作のノヴァリーネイションを演じるナタリーポートマンの落ち着いた声と雰囲気が個人的にはたまらなく好きです。自然体にほっとします。あざとすぎない程度に無欲で、純粋で、それでいてすぐに人を頼ろうとしない姿勢に好感が持てます。 ノヴァリーが守られる立場から、いつの間にかみんなを支え、守る側の人になっています。子育てをしながら、ウォルマートで働き、写真を撮り、写真家になる夢をかなえていくわけです。淡白に結果だけを映しているように見えますが、彼女の努力とひたむきさがなんとなく伝わってきて、彼女の自立と成長に勇気づけられます。 この映画の雰囲気はナタリー・ポートマンが造り上げていると言ってもいいです。自分が彼女を応援したくなったように、彼女の周囲の人たちも彼女を応援したのだとすれば、すべてのハッピーが偶然ではなく必然だったように思えるのです。 長い年月が経過していくわけですが、その時間の流れを絶妙なバランスで映し出しているストーリー構成は満点に近いと思います。その上で、ノヴァリーの成長、元彼の挫折など、世の中が多様な変化を見せる中、ノヴァリー・フォーニー・レクシー・シスター&ミスターハズバンドの心の絆がずっと不変であることに心温まります。 唯一、『アメリカス』という子供の名前だけがひっかかります。それだったら最初の『ウェンディ』のほうが絶対良かったと思いますよ。カメラマンの人が余計な事を言うから(笑) [DVD(字幕)] 8点(2015-01-26 00:54:36) |
1014. オゾンクライシス
《ネタバレ》 パニックものとして定石を踏んでいて、なかなか面白いです。 冒頭の飛行機のシーンから既に深刻な状況が伝わってきます。結構怖い状況がいきなりきます。 今作はとにかくスピーディーな展開が良いですね。波打ち際に打ち上げられるザトウクジラに始まり、鳩の暴走、湧き出る虫、病院に担ぎ込まれる人々など、パニックものの醍醐味を味わうことができます。 また、登場人物の役割もはっきりしていて、それぞれのスペシャリストがそれぞれの分野で真剣に異変と向き合おうとする様子が大変良いです。気象学者しかり、パイロットしかり、病院関係者しかり。で、こういう作品では必ず足を引っ張るやつもいるわけで、不自然なくらいに足を引っ張ってくれます。 マイナーな作品の割りには、きっちり見たいものを見せてくれる映画です。それに、本作を見た後で、今現在オゾンホールってどうなっているのか気になるくらいですから、自分にとってはそれなりに影響力のある作品となりました。 今作は、映像面、ストーリー構成において、造りが粗い部分が確かにあります。つっこみどころはもちろんあるでしょう。ですが、個人的には十分許容範囲内で、あまり深く考えずに最期まで見ました。 個人的にはオススメできるレベルの、暇つぶしエンタメ作品に仕上がっています。 [DVD(字幕)] 7点(2015-01-23 13:56:17) |
1015. ホワイトハウス/殺人連鎖<OV>
いまどき珍しいくらいのオーソドックスなサスペンスものです。ミステリーの要素もあるんですが、浅いし、興味もわかないしょっぼいミステリーです。何しろ真相がしょぼいしょぼい。演出も安っぽいし、ストーリーも安っぽいし、安っぽさばかりが気になって、いまいち物語に入り込めません。まあ正直、『こんなもんか。』という感想です。 と言いながらも、中盤過ぎくらいからちょっとずつ面白くはなってきます。安っぽさにも慣れてきます。ぐだぐだのアクションも全然気になりません。全然必要性のない無駄なラブシーンだってへっちゃらです。こんなんで脱がなきゃならない女優さんがちょっとかわいそうだなって思うくらいです。それに要所要所でやけにうまい盛り上げ方をするシーンが無きにしも非ずです。特にラスト5分はなかなかグッド。終盤が面白いと、映画全体が面白く感じちゃうものですね。ゆえに、おそらく正しい評価とは言い切れないのがつらいところですが、最期見終わったときの素直な感想です。 『そこそこ面白い』 [DVD(字幕)] 6点(2015-01-22 06:45:59) |
1016. ワイルドシングス
とりたてて非難するところもなければ、とりあげるほどほめるところもない、いたって無難なサスペンスだと思います。 正直言うと本編は5~6点くらいなんですが、エンドロールのネタバレが凄く良かったので7点。 本作は、『とりあえずひっくり返しときゃー、みんなびっくりするでしょー。』という軽いノリで作ってしまったかのようなストーリーですから、そりゃびっくりはしますが、淡白な味わいになっちゃってます。サプライズ感のないどんでん返しは見ていてサムいだけですから、今作はなかなか際どいラインかもしれませんね。僕はOKでしたけど(笑) 逆に、伏線をほとんどはらない潔さが、軽快なリズムを生み出している気もします。テンポがかなり良いです。二転三転する割りには、気楽に見れます。置いていかれることもないです。 要は、高級ではないけれど、割と定番なB級グルメを次々と味わう心地よさがこの作品にはあります。ある意味キング・オブB級エンターテイメントです。 [DVD(字幕)] 7点(2015-01-20 04:29:44)(良:1票) |
1017. ホネツギマン
《ネタバレ》 主人公のエドワード・ブリス(ホネツギマン)が両親と婚約者を殺され、復讐する物語。(※ただし、婚約者のほうは生きています。) 完全なイロモノ系B級映画と思っていましたが、タイトルの割に意外に真面目なストーリー設定です。 特に、エドワード・ブリスが父親と和解するまでが一番面白い。ブリスの過去から現在までをダイジェストのように紹介してくれるシークエンスは、希望に満ち溢れています。とてもドラマとして完成度が高いです。 で・す・が。やはり両親が殺され、婚約者が撃たれてからはB級色が強くなります。いや、まあそれは良いのですが。復讐するにしても、もっとストレートにいってほしいです。 両親と和解し、新しい人生を始める直前に大変な悲劇に見舞われ、大きなショックを受けてしまうのはすごく伝わってきます。ただそれをラストまでひっぱりすぎです。ドロレスの存在価値も不明です。 それに、ホネツギマンならではのバトルはとても良いのに、その対象がやたら無関係な人ばかりです。なのに、肝心の復讐相手にはそのホネツギバトルがほとんど出ません。そこでこそ、見せてほしいのに。そしてスカッとしたいです。 一応ラストはハッピーエンドっぽくしめていますが、両親は殺されています。婚約者も重傷なので、おなかの赤ちゃんがどうなったのかが気になります。本人は捕まっているし。プロレス関係者たちも良い人ばかりだったのに、ホネツギマンから骨折られまくって気の毒です。 B級映画とは言え、あんまり暴走されると応援しづらいし共感できなくなっちゃうので、残念です。 [DVD(字幕)] 6点(2015-01-12 13:52:00) |
1018. スウィーパーズ
《ネタバレ》 今まで見た中でもとびぬけてつまらないアクション映画。キレなし。迫力なし。スピード感なし。説得力なし。緊張感なし。とにかくテンポが悪いです。アクション映画で得られるカタルシスを一切得られないまま終わりを迎えます。 そもそも観客を置いてけぼりにしたまま、ストーリーが勝手に進んでいくのが良くないです。《ストーリー》アンゴラの地雷撤去グループに主人公のエリクソンがいる。そのグループには、新型地雷のビジネスをこっそりやっている悪い奴もいる。エリクソンの息子が死ぬ。⇒5年後⇒新型地雷A6バタフライがアメリカで見つかる。⇒アンゴラから密輸されているっぽいので、もう一人の女性主人公率いる調査団が派遣される⇒女性を除いてみんな死ぬ⇒密輸組織が女性を狙う。⇒それをエリクソンが成り行きで助ける。⇒なんだかんだで組織を壊滅に追い込む。 たったこれだけの事が、説明がへったくそなので、全然伝わってこないんです。おそらく脚本が悪いのでしょう。作っている人間達だけがわかっている状況で、だらだらした展開が延々と終わりまで続きます。誰に感情移入できるわけでもなし、そんな中でいくらドンパチやって爆発させても面白いわけないです。 アクション映画はエンターテイメント作品。派手である前に、『わかりやすさ』が何より大事だと思います。複雑なストーリーでもわかりやすい映画はいくらでもあるんです。自分達だけ楽しんで、自己満足で終わらせるような作品はダメだと思います。 [DVD(字幕)] 2点(2015-01-02 20:42:31) |
1019. オフィスキラー
《ネタバレ》 なかなかシニカルなホラーで興味深く拝見させていただきました。 切断した指をつきさした時計の針や、おもちゃのように扱う手首などゴア描写も結構なものです。死体で作り上げていく地下のマイルームは狂気の最先端をいっていますね。 本作ではまっさきに犠牲になりそうなキムが、あまりに会社に適応できていないがために逆に助かるというストーリーがなんとも皮肉が効いていて面白いです。 被害者たちは共通して、ドリーンに選ばれるだけの資質を備えていることが重要です。それでいて、ドリーンに対してパワハラやったり、陰で悪いことやったりしていることも大事なポイントになります。つまり、ドリーンにとって殺すに値する人物である一方で、殺した跡にマイオフィスを彩るのに相応しい人物でもあるということが大事なんです。 つまりキムは殺すにも値しない人物。一回邪魔になって殺されそうにはなりましたが、結局殺されず不採用。お母さんは勝手に死んじゃいましたが、オフィスにはいらないので不採用。パパの存在がうやむやにされてしまった感はありますが、回想シーンだけで考えるならば、きっと性的虐待でも受けていたんでしょう。それがドリーンという究極のアンバランス人間を生み出しちゃったっぽいですね。 きっと低予算な作品だと思うんですが、安上がりのB級ホラーとして格付けしてしまうには、捨てがたい何かがあります。ただし、その面白さはまごうことなきB級レベル。人に勧められるほど面白くはないってのが悲しい。 音楽も個人的には好みじゃないです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-01-01 08:17:17) |
1020. 恋のからさわぎ(1999)
《ネタバレ》 無難に小さくまとまったティーンエイジ・ラブストーリー。変化球もひねりもほとんどないので、学園ラブコメを見たい人に、ちゃんと学園ラブコメを提供してくれる、安心の一本です。ただ小さなエピソードは結構あるんですけど、大きなヤマ場は一切ないので、刺激は少ないし印象が薄いかもしれないですね。ほとんどノリとテンポと音楽で乗り切っちゃっているような作品です。 もうひとつ難を言うならば、ジュリア・スタイルズ演じるカトリーナ・キャット・ストラトフォードが可愛く見えないのが辛いところでしょうか。ただ、こういう顔って、親近感がわくし、感情移入もしやすいし、何より応援したくなります。それに、キャラ設定はわかりやすいほどのサバサバキャラで、たまにツンデレも入るので、愛すべきキャラクターに仕上がっています。美人でないところが逆に良いのかもしれません。 ただ個人的には『キャット&パトリック』ではなく、『キャメロン&ビアンカ』、でもなく、『マイケル&マンデラ』のほんの数分のエピソードが一番のお気に入りだったりします。シェイクスピアをきっかけに急接近する二人。ロッカーにプロム用のドレスを入れておくなんて粋。マンデラが直前のシーンで『プロムに着ていくドレスを持っていない』とさりげなく言っていた一言が前フリとして効いています。 この二人のエピソードをさりげなく入れてくれたことで、三者三様のハッピーエンドを身近に感じられて、見終わった後の充足感はなかなかのものです。 でも自分の年齢上、こうゆう作品ってもはや懐かしい目線でしか見られないのが悲しい(笑) [DVD(吹替)] 7点(2014-12-28 20:06:39) |