121. ミッドナイト・イン・パリ
ベルエポックのパリにあこがれる主人公が、ふとしたことからタイムスリップして当時のパリのサロンに紛れ込む。さまざまな有名人が登場してたまにクスリとさせられるが、これらの設定をもう少し生かした展開があっても良かったと思う。現代に戻ったパリの古本屋で、思いを寄せるヒロインの日記を発見したあたりから流れが転回していくのを期待したのだが、淡々と終わってしまった感じ。過去の良かった時代をいくら夢見てもそれはただの回顧主義に過ぎないのだと主人公は気づくのだが、そういうどうでもいいテーマらしさを匂わせるだけでストーリーとしてはとても薄っぺらい。設定を生かしきれてない。好み20/50、演出6/15、脚本8/15、演技5/10、技術7/10、合計46/100→5/10点 [映画館(字幕)] 5点(2012-06-20 22:10:49) |
122. バード(1988)
ジャズファンにとっては神にも等しいチャーリー・パーカーの伝記的映画だが、その彼の位置づけや、ディジー・ガレスピーとの関係などジャズの知識がないと、あるミュージシャンの退廃的堕落物語にしか見えない。彼はディジーとともにモダンジャズの基礎とも言うべきビバップという形態の奏法を極限まで昇華させたプレイヤーなのだが、その偉人を映画の題材とするにあたって礼賛的成功物語とせず、酒と麻薬におぼれて凋落していくさまを妻との関係を軸に描いていく手法は評価したい。冒頭から最後まで暗い色調で統一された画面がすでにハッピーエンドはありえないことを視聴者にあらかじめ提示しているかのようだ。彼の過去の演奏(音)と演技を合わせた演奏シーンがかなりあったようだが、ほとんど違和感なく観ることができており評価に値する。また、回想シーンが多く時間軸が前後することが多いので、全体の流れを把握するのに苦労した。 好み20/50、演出8/15、脚本6/15、演技8/10、技術9/10、合計51/100→5/10点 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-24 22:53:47) |
123. J・エドガー
筆者でさえ聞いたことがあるフーバー長官の名前、米国人にとっては功績と醜聞の入り混じったより強烈な印象を与える人物なのであろう。そういう意味においてやはり米国人の本作に対する評価と我々異邦人の評価はかなり異なるものになるはずだ。まじめに作りこまれた力作だとは思うが、彼の現状における人物としての評価が空気感として共有されてない国(米国以外)においては、本作がどのような新たな解釈を彼に与えているのかが理解できないのだ。まさか旧来の評価に追随するだけのストーリーではあるまい。ハリウッド映画が米国のみを対象に映画つくりをしてれば良い時代ではないはずだ。他の国でも米国民同様の楽しみ方できる題材を使用したイーストウッド監督の次回作に期待したい。(毎回遺作になるかと思って欠かさず観に行っているのだが…)好み25/50、演出10/15、脚本6/15、演技7/10、技術6/10、合計54/100→5/10点 [映画館(字幕)] 5点(2012-02-27 23:21:40) |
124. 白い肌の異常な夜
《ネタバレ》 若いクリント・イーストウッドってイケメンだねえ。そんな主人公が敵軍の負傷兵として女の園に匿われる。そこでやっぱりモテモテで園長から12歳の女の子まで複数の女性の愛情と嫉妬が渦巻く。前半はハーレム状態でかったるいが、後半に入り恐怖感が加速していく。足を切断する場面は筆者にはちょっと重すぎた。主人公にもう少し誠実さがあれば女性の恐ろしさが際立つ感じがするのだが、いかんせんこの女たらしっぷりでは半分自業自得じゃんと思ってしまう。好み20/50、演出8/15、脚本6/15、演技8/10、技術8/10、合計50/100→5/10点 [DVD(字幕)] 5点(2011-10-06 23:01:35) |
125. ペイルライダー
《ネタバレ》 西部劇の王道中の王道的ストーリー展開!流れ者の牧師(元ガンマン)が街の有力者に迫害されている集落に身を寄せ、有力者や悪徳保安官との闘いに巻き込まれ、鮮やかに勝利し、一人無言で立ち去る。おまけに身を寄せた家の母娘からの思慕をも受けるというおまけつき。もはや字幕など読まなくてもストーリーは手に取るように読める。水戸黄門的な予定調和型西部劇が好きな人以外は観るべきではない。 好み20/50、演出7/15、脚本4/15、演技7/10、技術6/10、合計44/100→4/10点 [DVD(字幕)] 4点(2011-09-12 23:12:20) |