1. ジュラシック・ワールド
《ネタバレ》 評判の悪いタレント吹替えということもあり、「3Dでジュラシックワールドの世界と恐竜たちの恐ろしさが体験できる」という点のみを楽しみに見に行きましたが、違和感のない奥行きのある3Dは非常に見やすかったものの、そこまでスリルや迫力を感じることができませんでした。 昔と違って目がCGに慣れきったせいかと思いましたが、テレビでやっていたジュラシックパーク(初代)を見てこの映画以上の迫力を感じたので、やはり演出、構成、アングルなどのCG以外の人為的なセンスが原因なのかと思います。 今回は客が大勢いる中での恐竜たちの暴走が売りのような予告で、過去作から続くパニックホラー要素としてそこが一番楽しみだったのですが、実際には予告にあった鳥型の恐竜が控えめに客を振り回したりつっついてるぐらいで、一人海に引きずりこまれた女性が気の毒な以外はみんな安全圏に避難してそれきり、というのにガッカリ。 また、今回のヒール怪獣であるインドミナスの凶暴さを描写するにも、同じような構図と演出と展開が多く、討伐に向かう主人公たちを画面ごしに眺めている感じが強くて、1のように襲われるキャラクターの主観目線で怖がれるような迫力がありませんでした。どうも今回はかなり子供向けに振り切っているようで、ラプトル娘たちと主人公の絆や恐竜同士の戦いが中心という怪獣映画の趣が強く、怖がらせるシーン自体を極力割けてるような感じがします。作中で客はより大きく凶暴な恐竜を求めていると、この映画を見てる客への風刺のように描写していましたが、見た目だけ大きく凶暴にしても表現の仕方が悪ければ客の心に響かないと言う好例となったと思います。 広大なパークの表現も「インドミナスが○○エリアを移動しています」という口頭説明ばかりで実際にインドミナスが暴れている映像はほとんどなし。子供たちに家庭問題の会話をさせるため、アトラクションの待機列やモノレール車内というどうでもいい場面に尺を使うという無駄な構成です。 恐竜が出てこないシーンが説明会話ばかりで全く工夫がなく、キャラクターがアホなのも脚本上トラブルを起こすためなのがバレバレな不自然な言動だらけなので、誰がやられてもどうでもいいという他人事のような気持ちで最後まで見ることになりました。 女社長は最後のTレックスを自ら引き寄せてくるシーンがかっこよかったので、ああいう活躍が他のキャラにもあればよかったのになあ。 あと主人公の声がただの玉木宏でしかないというのも感情移入しにくかったです。 とまあ不満は多いですが、映画館で3Dで前の方の真ん中の方の席で見たら値段分は楽しめるかと思います。 [映画館(吹替)] 6点(2015-08-12 00:37:53) |
2. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 ここまで3Dを上手く活かした映画はないというぐらい、宇宙の広がりや事故シーンの迫力と浮遊感の緩急の表現が上手く、映像は本当に素晴らしかった。しかしそこに慣れてしまうとそれまでで、ワンパターンな見せ方と冗長な構成、脚本部分のアラやご都合主義が目立ち、ストーリーには最後まで没入できなかった。登場人物がほぼ一人なので話の結末とアウトラインは最初から見えており、それを踏まえて3Dを生かした迫力とスリル溢れるアクシンデントシーンで最後まで盛り上げていくのだろうと勝手に期待していたが、予算がなかったのか話の大半を相棒との会話や主人公の心理描写やバックストーリーに割いていたのに肩透かし。トラブルの発生や解決の描写は場当たり的で唐突であっけなく、無重力を泳ぐシーンで尺を伸ばし、緊迫感のなさをBGMで誤魔化してるのが興ざめで、最初の衝突以外でハラハラさせられるシーンは最後までなかった。最後の相棒の帰還は心に来るものがあったが、ほとんどが「そんな理由でできなかったの?それで解決できちゃうの?」みたいなご都合主義と突っ込みどころ満載で、3D映像がなければC級パニックものとして取るに足らない作品だったと思う。 ただこの映像体験は映画館でないとできないものなので、ぜひ劇場で見てほしい作品でもあります。 [映画館(字幕)] 4点(2013-12-29 11:15:06)(良:3票) |
3. 三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
《ネタバレ》 予想はしていましたが、飛行船が出てきたあたりからどんどん盛り下がっていき、しかもメインキャストのミラとオーランドが山場の手前で退場するという謎の構成でした。 人気原作をマンネリにならず現代風にアレンジしたかったのでしょうが、三銃士なのに主役が飛行船で、最大の見せ場が剣劇でなく砲撃戦なのはやはりミスマッチです。これなら途中でミレディが見破ったように、三銃士の面々の個性を活かした潜入方法を取らせて見せ場を作った方が良かったのでは。 剣劇による乱闘シーンは冒頭に少しだけ、予告で期待させたミレディのアクションはほとんどなし、バッキンガムは飛行船を横取りされてすぐに出番が終わり、なぜか銃士よりキャラが立っている付き人のデブなど、客が見たい要素がここまで裏切られる映画も珍しい。メインのアトスやアラミスのキャストに華がなかったのも絵的にしょぼかったです。 逆にダルタニアン&コンスタンスとルイ&アンヌのカップルはビジュアル・キャラ共に非常に魅力的で、悪役の面々を食ってました。コンスタンスが悲鳴一つ上げず淡々と敵と対峙するあたりはさすがアンダーソン監督。いっそアニメ三銃士みたいにミラをアラミスにした方がよかったんじゃないかと思えます。 美術面では2Dで見たのですが背景セットが安っぽく見え、風景や空気感とのCG合成技術が10年前ぐらいのレベル。戦闘要員の衣装が鮮やかなトリコロールカラーでなく黒レザージャケットで、空を終始曇らせて画面の彩度を下げてるあたり、全体的に低予算な感じがします。 最後にミラとオーランドが興行収入良かったら次回作もあるかもね!みたいなフリを入れてましたが、この監督ならミレディのスピンアウト作品でも作った方が肌に合うんじゃないですかね。 [映画館(字幕)] 5点(2011-10-29 00:04:36) |
4. ファイナル・デッドブリッジ
《ネタバレ》 キャメロンお抱えのベテラン監督による3D映像と、初の18禁ということで、迫力あるグロかと腰が引けてたら、他の3D作品と大差ない出来で肩透かし。 カイルクーパーのOPは3Dで見る価値があったけど、本編で画面から飛び出してたのは血のついた先が丸まってるパイプぐらいで、客席の恐怖を煽るような見せ方はなかったのが残念。 橋の崩落と飛行機事故のシーンは迫力があるものの、それ以外のシーンは特撮をケチりたかったのか、マッサージ店で転倒して針が刺さる瞬間や、工場でフックに貫かれる直接的なシーンなどはなく、グロさで言えば過去作の方が上だったと思う。 これまでのシリーズのピタゴラ的な要素も薄まって、舞台装置を使った伏線と直接の死因が一致してないことが多かった。例えばレーシックのレーザーは痛い表現のためだけで、3の日サロマシーンのようにそれで死ぬわけじゃないとか、過去作に比べるとアイデア面で消化不良な感じ。あと毎回水&電気ショートのコンボに頼りすぎ。 あと死神は出し抜かれることを嫌う、無関係な人間を殺せばその余命を受け継げる、という死の運命を擬人化したような設定も整合性がなくて腑に落ちなかった。 「運命」という意思のない、死のリストのイレギュラーを元に戻そうとする無機質なシステムに立ち向かうのがこのシリーズの面白いところなのに、人間同士で殺しあうシーンで最後の尺を取られたのはガッカリ。毎回後半になると死のパターンが尽きてダレるから、趣向を変えることでテコ入れしたのはわかるんだけどね…。 と、細かい不満は結構あるが、全体で見ればテンポも構成もよく、事故シーンの映像には他にない迫力で、満足度は4より高かった。ラストの1への繋がりはファンならテンション上がること間違いなし。1と2が好きな人ならオススメ。 [映画館(吹替)] 6点(2011-10-02 02:53:11)(良:2票) |
5. デッドコースター
《ネタバレ》 1より先にこちらを見て、ホラーでこんな新しい表現方法があるのかと驚いた。 オーメンと違い「誰の悪意も作為もない完全な事故死」ほど身近な恐怖はない。 普段ニュースで見聞きする事故を聞き流すだけの自分たちに、こんな悲惨な状態になることをストレートに映像で見せるという点は、ホラー映画でないと不可能なグロ表現の意義だと思う。特に車の運転やエレベーター事故なんかは現実味が高く、見た人への注意喚起に多大な貢献をしたのではないか。 キャラクターはクレア(アリ・ラーター)がとにかく魅力的。ヒロインのキンバリーを差し置いてストーリーをぐいぐい引っ張っている姿は、後のタフなヒロイン役としてのブレイクを予感させる。 ストーリーは中盤以降、偶発的な事故のネタがなくなったのか、無理がある殺し方になっていったのが残念。黒人教師やジャンキー兄ちゃんなどは映画の尺の都合で死んだ風にしか見えなかったので、恐怖は全く感じなかった。 死の順番の謎解きと妊婦のひっかけなどは悪くないのだが、テレビ局車の来訪と最後のバーベキューの事故に矛盾があるためスッキリしない。 デヴィット・エリス監督はアイデアのまとめ方と迫力ある表現に長けているので好きな監督の1人。また新しいホラーシリーズを撮って欲しい。 [DVD(吹替)] 8点(2011-01-30 00:42:57)(良:1票) |
6. ソーシャル・ネットワーク
《ネタバレ》 予想以上に面白かった。専門業界の会話劇なのにテンポがよく、明確な結末がないにも関わらず消化不良のモヤモヤ感はない。 (作中の)マークは悪人ではない。自分の感情にも他人の感覚にも無関心、社会性がごっそり欠如しているだけだ。怒りは行動と結果で巻き返そうとする気概があり、安易に他人の情に頼ろうとしない克己心もある。なのでどれほど言動がKYであっても、不思議と人の関心を惹きつける「キャラクター」としての魅力があった。(実際に身近にいたら嫌だけど) そもそも彼らのすれ違いの原因は、社会経験がないうちに事業を当ててしまったところにあるのではないかと思うし、対人関係においては衝動に任せた行動しか取れなかったマークが、エドヴァルドとの別離やショーンという反面教師のおかげで、「他人にとっての自分の存在価値」という概念が芽生えたラストは後味が良かった。 また作中のSNSはあくまで取引商材にすぎず、「ネットのコミュニケーションは空虚で云々…」という年寄り向けの陳腐なエピソードを入れなかったのも革新的。 この映画のテーマとなっているのは、メールや電話といったコミュニケーションの「手段」ではなく、友人たちとの衝突を通してマークの心が他人に向きはじめたという、急成長な事業を通しての心の成長にあるのだと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2011-01-25 00:00:14)(良:3票) |