21. キラー・インサイド・ミー
本作のケイシー・アフレックは凄かった。彼が演じた男の行為の数々は勿論のこと、無表情、弱々しい声などの全てが見事なまでの抑揚のない演技で見る者に不快感や嫌悪感を与える。 周りはみんな自分のことを知っていて、(本作の場合表の顔と言うべきでしょうか)過去から今に至るまで誰かがどこかでつながっている。大都会の片隅で起こった事件ではなく、みんな顔馴染みという中西部の狭い田舎町という舞台設定も重要なポイントだったと思います。 序盤にケイシー自身が「この町には悪党なんていないんだよ」と語りますが、挿入されるカントリーミュージックに代表されるように、妙なのどかさの中にある陰惨さに非常な恐ろしさを感じます。 作品と全然関係ない話なんですけど僕はプロ野球は阪神ファンなのですが、ケイシーが演じた「ルー・フォード」と言う名前、何年か前に阪神にいたダメ外人と同姓同名。不快感だけでなくヘンなことまで思い出させていただきました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-02-02 20:53:32) |
22. クリスマスのその夜に
ベント・ハーメル監督らしい極寒の北欧の冬が舞台。聖なる夜の様々な事情を抱えた人間模様を描いた群像劇。 ある者は故郷へ向い、ある者は故郷を追われる道中。国籍も信仰も様々な人間模様。それぞれが抱える事情の中に、民族と紛争・宗教・貧困・老い・家庭崩壊など、現代社会の様々な問題を重くなりすぎることなく無理なく挿入していく。 イブの夜に誕生した新たな命、その一方で・・・。登場する全ての人にクリスマスの奇跡が訪れる訳では無いですが、ラストのオーロラは、それを見つめる2人にとっては新たな人生の希望の光のようです。冒頭ではあまりよく分からないそれぞれのドラマが語られるにつれじんわりと心が温まる。 90分にも満たない小品。そこにこれだけのドラマを挿入しながら急ぎ足になることなく、ゆったりとした味わいがあるクリスマス映画です。 [映画館(字幕)] 7点(2011-12-30 23:15:11)(良:1票) |
23. キッチン・ストーリー
《ネタバレ》 一面雪景色の厳しい北欧の冬。青みがかかった映像は美しくも寒々しさを余計に感じさせます。それとは対照的に、人の温もりに心が癒される映画でした。 テニスの審判席のような高い椅子から見下ろす観察者と観察される者。お互い話をしてはならないというルール。 しかしこんなルールが守れるはずがない。人は一人では生きていけない。そんな当たり前のことを改めて感じさせてくれる二人のオジサンの素敵な友情の物語でした。オジサン二人だけの誕生日パーティー。普通ならなんて冴えない誕生日なんだ、と思いますがこの不思議な映画を象徴するいいシーンでした。 ベント・ハーメル監督の作品を観るのはこれが2本目。いずれも主人公は年配のオジサン。何か不思議な感じの設定にいずれも厳しい北欧の冬が舞台。そこに感じさせてくれる人の温もりが嬉しい。なかなか観る機会が訪れませんが、機会があればぜひこの監督さんの他の映画も観てみたいと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2010-06-08 00:13:55) |
24. やかまし村の春・夏・秋・冬
《ネタバレ》 前作「やかまし村の子供たち」だけで十分と言えば十分なのですが、前作が子供たちの夏休みを描いたのに対して本作は村の季節の移り変わりとそれぞれの季節が見せる美しい北欧の風景が楽しめます。前作同様この美しい風景といきいきした表情を見せるかわいい子供達を見ているとそれだけで疲れた心が癒されます。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-24 21:48:03) |
25. やかまし村の子どもたち
《ネタバレ》 美しい北欧の風景と夏休みを満喫する子供たちの笑顔が実に魅力的に描かれています。特にこれといったストーリーは無く、子供の夏休みの絵日記が映画になった感じでしょうか。今でも実家の前の道が舗装されてないような田舎育ちの自分にとっては日が暮れるまで遊びまわった子供の頃の夏休みの思い出が蘇ってきてとても懐かしい気持ちになりました。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-22 16:02:54) |
26. マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
公開当時劇場で見ました。当時、ハルストレム監督の名前も知りませんでした。でも、この作品でハルストレム監督のファンになりました。特にこの作品の彼の人間を見つめるあたたかい眼差しとユーモアのセンスが大好きです。いつかスウェーデンに里帰りして、またこんなあたたかくて美しい映画を撮ってほしいなあと思います。 [映画館(字幕)] 9点(2008-11-22 02:00:48)(良:2票) |