1. スナイパー(2002)
オープニングからエンディングまで、狙撃手としての主人公がひとつの部屋に張り付いたままというのも珍しい設定だが、この「静」の主人公に、蜂の巣を突っついたような他の登場人物たちの「動」という対比が本作の狙いであり面白いところ。ただ、ここに描かれている状況や彼のモチベーションを理解するのに時間がかかる事と、それを知ってしまえば、もっと他に方法がなかったのかと思うこともしばしばで、状況設定の面白さとは裏腹に、命懸けとは言え、彼の回りくどいやり方には少々矛盾を感じてしまう。そしてそれは監督カリ・スコッグランドの演出プランに責任を負うところ大であって、そのメリハリの無さが作品を凡庸な印象にしてしまっている。 6点(2003-11-08 23:07:30) |
2. スパイダー
ある少女誘拐事件でたまたま捜査のパートナーとなった女刑事。人形のように整った美貌の持ち主だが、無表情でどこか影のある存在。その彼女に人生や仕事の悩みなどを打ち明けられたとき、かつて囮捜査が裏目に出て事故死させてしまい、救えなかった同僚とをついついダブラせてしまう主人公。目まぐるしく展開される作劇と、なんとも思わせ振りで巧妙なトリックについつい騙されそうになるが、冷静に考えれば大方の予想はつくというもの。したがって急転直下のクライマックスも決して唐突ではなく、十分に納得できるだけの説得力をもっている。細かい点を挙げればご都合主義的な部分もあるが、M・フリーマンの圧倒的な存在感がそれを補って余りある。 8点(2002-08-25 15:35:13) |
3. スパイ・ゲーム(2001)
任務遂行の為には犠牲もいとわない冷静沈着なスパイのプロが最後に下した決断は、男の友情のドラマとして実に泣かせるが、個々の観客の見方によっては評価の分かれるところだろう。しかし少なくともCIAの仲間をだし抜くプロセスはひたすら面白く、しかも電話一本で解決してしまうというご都合主義も、R・レッドフォードの存在感がすべてを納得させてしまう。皺が増えてもなお若々しいレッドフォードと、精悍なB・ピットのむしろ押さえた演技とは好一対だと思う。画面のトーンはひたすら渋く、アクションが決して前面に出ている訳ではないが、胸のすく痛快作に仕上がっている。 8点(2001-12-30 23:50:44) |
4. スコア
M・ブランドとR・デ・ニーロとの共演に、今、ノリにノッてるE・ノートンとくれば、観にいかない訳にはいかない。まさに、三者三様のキャラ通りの役どころで、ストーリーも実にオーソドックスな金庫破りモノとしてほぼ予想通りの展開で進行していき、それなりに良く出来ていて面白い。が、しかし終盤になるに従って細かい設定に無理や疑問を感じるのと、クライマックスの金庫破りはいくらなんでも大胆で強引すぎる。さらにラストのどんでん返しにも、もうひと捻りあっても良かったんじゃないだろうか。何かツメが甘いという印象は拭いきれない。 7点(2001-10-06 16:08:14) |
5. スターリングラード(2001)
いったいどうやって撮影されたのだろうかと思えるぐらい、ますます手の込んできた大スケールの戦闘シーンと、息詰まるような狙撃兵同士の個と個の闘いとがバランス良く構成されていて、ラストまで実に目が離せない。ジュード・ロウの本格的な主演は期待以上だし、いつもは激しい気性の役どころが多いエド・ハリスも、今回は最後までその表情を変えることなく不気味さを漂わせ、貫禄十分だ。ただ、ロウとワイズの濃厚なベッドシーンはいかにもJ・J・アノー監督らしさが出ているものの、作品全体のトーンからは少し違和感を覚えてしまう。 9点(2001-05-13 16:10:54) |
6. スモーク(1995)
タバコ屋の主人を取巻く人々の様々なエピソードを、人情小噺風に綴っていく。そのしみじみとした情感がなんとも魅力的であり、さらに劇中語られる盲目のお婆さんとのエピソードが、エンドロールのバックに具体的な映像として表現されるという構成も実に面白い!W・ハートの煙草の吸い方一つとっても、妙に印象が残るような不思議な作品に仕上がっている。 8点(2001-02-24 23:08:27) |
7. スチュアート・リトル
スチュアートの表情やしぐさ毛並みのリアル感など、実に愛すべきキャラクターの誕生です。(はやばやと続編が決まったとか!)もう一人(匹)のスノーベルを中心とした猫チャンたちも、見事な芸をみせてくれる。ジーナ・デイビスってこういう作品にも全く違和感のない女優さんで、ほんとうに凄いと思います。スタッフの中にN・シャマランやJ・ダイクストラというビッグネームもあり、実に贅沢な作品であります。 8点(2000-10-08 16:20:13) |