1. ピエロがお前を嘲笑う
《ネタバレ》 密室トーク系の設定は嫌いではないです。ハッキング先端技術の駆使みたいなアピールをしていて、やってることはしょぼいのにも目をつぶります。しかし、2つ目のオチはまるっきり蛇足ですよね。あれなら、1つ目のオチでもうちょっと粘ってほしいところでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-13 00:31:20) |
2. ヒトラー暗殺、13分の誤算
《ネタバレ》 すでに「ヒトラー 最期の12日間」という傑作を残しているヒルシュビーゲル監督が、今度は暗殺(未遂)者側からのものを作り上げました。冒頭でいきなりメインの事件に突入、間もなく主人公も拘束され、一気に話を広げていく手際はさすがです。現在と過去がクロスする構成がもたらすスリルもなかなかですが、一番の白眉は、主人公が1人で行動したのを取調官たちが「理解できない」こと。もっというと、「総統のお命を狙うような者は、たかがその辺の一平民であってはならず、対立国や対立政党の強大な陰謀あってこそ事態にふさわしい」と思っていたのかもしれないし、「もし本当に一平民ごときにそんな危機が起こせるとすれば、今後もこういったことは頻発するかもしれず、そんなことはあってはならない(あってほしくない)」というようなある種の恐怖を感じていたのかもしれない。その辺の微妙な心理の綾とバランスにきちんと焦点を当てたという点で、やはりこの監督の描写は優れているのです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-27 01:25:04)(良:1票) |
3. ビヨンド・サイレンス
《ネタバレ》 例えば、父と娘の会話の場面で、会話の切れ目に父の視線が反れると、娘は手をちらちらさせて、父の視線を自分に向けさせる(そうでないと手話が見えない)。そのような描写の1つ1つがしっかりしているところに感嘆するし、しかもそれは日常生活の前提にすぎず、さらにクラリネットというエッセンスに寄りかかることなく、日々の一歩一歩を地道に描いているところが良い。ラストシーンも、突然栄光に包まれるのではなく、あくまでも薄暗いステージであるところがいいですね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-01 23:47:41) |
4. ヒトラーの贋札
《ネタバレ》 収容所内の贋札作成作業は、意外にスリリングさがなく平坦な印象を受けるが、この作品が際立っているのは、解放後のモンテカルロのシークエンスを入れていること。何かに取り憑かれたように贋札を注ぎ込み続ける主人公の姿は、別の方向から収容所生活の後遺症を浮き彫りにしている。 [DVD(字幕)] 6点(2010-05-19 23:53:01) |
5. ヒトラー 最期の12日間
一歩誤ったら批判の集中砲火に遭いそうな題材をあえて選択し、しかも、当のヒトラーをかばうわけでも同情するわけでもなく、かといって、過剰な演出により悪性を誇張するわけでもなく、淡々と地道に事実のみを積み重ねる。まるで本当に当時の地下室にカメラを入れたような緊迫感と生々しさがあり、実に難易度の高い作品造形をクリアしていると思う。ナチスやヒトラーは、その当時においてはある種のモンスターだったのかもしれないが、モンスターだとして片付けてしまうことは、それ以上の認識と分析を遮断するだけであり、今後の我々が実感をもって明日のナチスを防止することはできない。その意味で、この作品が持つ意義は大きい。また、描写の手法としては、地下室のみにとらわれずに、砲撃や包囲の描写も随時挿入し、他方、食事などの日常生活のディテールにもこだわっている姿勢が、作品に一本の筋を通している。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2009-02-01 12:45:35)(良:1票) |
6. ビヨンド the シー/夢見るように歌えば
ケビン・スペイシーの気合の入り方は十分伝わってきますが、肝心の内容が、未整理の断片を順々につなげただけという感じで、どこで何を伝えたいのかがはっきりしていないのです。楽曲の数々がもったいないです。センスのかけらもない邦題も、何とかならなかったのだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-15 02:42:41) |
7. 光の旅人 K-PAX
《ネタバレ》 タイトルから勝手に大風呂敷系拡散SFを想像していたので、意外に上質の緊迫感ある心理サスペンスだったのにびっくり。結論をどれとも出さずに、いろいろな解釈を残しているラストが、清冽な余韻を残している。ただし、ケビン・スペイシーの神憑り的演技に対して、ジェフ・ブリッジズの「受け」の演技が弱いのがちょっと残念。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-04 15:22:21) |