1. アンダーワールド(2003)
ヴァンパイアと聞いて見ずにいられるか!なノリで借りてきた本作。私の中ではなかなか秀逸な部類に振り分けられた作品です。 「パールハーバー」出演時の生身なK・ベッキンセールにダークブルーの影を纏わせて、立ち回らせたところは、個人的に評価してしまう。明るい陽射しの中で見る血の気の快活さを払拭した、硬質で無機質な冷たさは美麗。吸血鬼の高貴な雰囲気をたっぷり味わうことが出来た。 不明瞭な所も多々あるが、設定も魅力的で特に登場人物の背景は悲哀に満ちていてそれだけで、続編なんかを作ることが出来そうな程しっかり設定されている。ダーク・ファンタジーとしての出来はなかなかの物でしょう。但し、類似すると言われる作品と比べる様な観方は、本作の魅力を半減させる要因になりうるので意識しない事を推奨。 7点(2004-07-28 01:46:30) |
2. WATARIDORI
一概に、この作品を『映画』と云うジャンルで一括りにするのは少々難しい。 製作に20億円、撮影に3年、述べ300時間分の映像が94分に見事に集約されている。 ちょっとした長尺の感動巨編なんかを観た後に残る余韻と、この作品の観賞後に来る重量感は似ている。 映像の美しさはとても素晴らしい。鳥たちと平行飛行して撮られた画は、翼が風を切る羽音までが聞こえ、圧巻です。懸命に“生きる”鳥たちの果てしない旅路を、何の邪念も持たずに観る事をお願いしたいです。ただ、ちょっと制作秘話はいただけない感があるので、お勧め致しません。本編のみの評価として。 9点(2004-03-27 15:08:26) |
3. アメリ
フランス製、瀟洒な『ブラック』が詰め込まれた宝箱。 電波系不思議ちゃんのパラレルワールドは観ていて兎に角「不思議」の一言。キャッチコピーの「幸せになる」は観客に向けてでしょうか?それとも、ヒロイン達が?セピアがかった美しい色合いの風景と脈絡なく登場する小洒落たエピソード。漂うおフランスな雰囲気・・・・・・・・騙されるな!かなりブラックだぞ!!アメリのイタズラに関しては一部犯罪の域だ!!!と叫びたいが、鑑賞中そのブラックにかなりウケていたのも事実。結構面白い作品です。「ドワーフ」や「謎の男」のエピソードはなかなか心を掴んでくれました。 特に「プロンプター」の件は個人的に好きですね。デスクの下に目を遣ると“プロンプ”がいて粋なセリフをひそひそ…なぁ~んてさぁー、ムカツク上司にあんな巧い皮肉言ってみたい…! 8点(2004-03-22 01:15:18)(良:1票) |
4. マーサの幸せレシピ
料理法はまあまあ。味付けはちょっと薄味かな?でも、ダシが利いている(って京料理じゃないんだから・笑)ただ薄味ではなく、女性監督らしい上品なテイストなのです。 ワーカホリックで偏屈な女性シェフ・マーサの元へやって来たものは、彼女自身を映し出す『鏡』。固く閉じた貝の様に心を開かない“小さな自分(リナ)”を困惑しながらも、守ってあげようとするが、マーサには心を解く術が判らない。互いにギクシャクしてゆく過程は何とも苦味が滲んでいます。そんな、マーサの前に現れた彼女とは正反対のシェフ・マリオ。始めは目障りだった彼の存在も、リナに起こるある出来事によって次第に変わって行く。 精神不安定で、頻繁にパントリー(食料庫の事。冷蔵庫ではない)へ逃げ込み必死に感情をコントロールする不器用な彼女に「あ~、わかる」と共感出来た自分は終始マーサの視点で物語を観ていた。 リナが拒んでいた“物”をマリオの演出で受け入れた瞬間は本当に「ありがとう」でしたね(^^) 料理を食べて貰い「おいしい」と云って貰う事が“無上の喜び”となっている私にとって、本作はそれを具現化させた作品。 【プチみかん♪】様にちょっと賛同→マリオとの生活は彼女にとってかなりショッキングな出来事の目白押しでしょうね。嵐(マリオ)が去った後のキッチン見て、ショックのあまり過呼吸発作を起こすくらいの几帳面なマーサですから(笑) ラストは些か、甘すぎるかも知れませんが、女性的ロマンティシズムが溶け込んだスウィーツと云う事で。 料理は調理~後片付けまでが一括りです。旦那さん(彼氏さん)、サービスデイに奥様(彼女さん)に愛情こもった手料理を作ったら、最後、片付けまでしっかりやりましょうね(^^) さて、今夜はバジルの薫りが利いた“ニョッキ”でも作ろうか...。 9点(2004-03-22 01:02:55)(良:1票) |
5. レ・ミゼラブル(1998)
この作品は実に強く宗教観(キリスト教的な)が反映されています。聖書を読んでいても、私の様な俗物的な人間には不条理とまで思ってしまう様な“教え”が詰め込まれています。 キリスト教で教え説かれる無償の大きな愛<アガペー>が、作中では一人の人間を変えてゆく。罪を犯していながらも、与えられた「愛」と「許し」によって真人間になったジャン・バルジャンはやがて、人々が尊敬する人物になります。それは、かつて受けた温情をその人に返すのではなく、助けを必要とする人々へ奉仕する事で…。 ただ「無償の愛」に忠実に生き抜く主人公と、職務と自身の正義に忠実に生きるジャベールとの対比に於いても“追う者・追われる者”以上の象徴的表現を感じます。 この作品に触れ『感動』する事が出来ても、果たして自分は人にそう出来るか…?と考えさせられました。何故か、私に聖書の物語を話して下さった牧師夫妻を思い出します。 9点(2004-02-11 16:52:14) |