1. キング・アーサー(2004)
《ネタバレ》 有名なアーサー王のエピソードは全部忘れて、この映画を観た方が良い。こんなのはランスロットじゃなーい! マーリンが違う~!! エクスカリバーは聖剣じゃないの?! とか言ってると、楽しめないうちに映画が終わってしまう。モルガンもモードレッドもイゾルテもエレインも出てこないし、もっとも有名な「聖杯伝説」を見事に無視。いや~、びっくりした。その代わり、描かれるのはローマに支配され、外敵に痛めつけられる弱きブリテン島である。通常のアーサー王伝説の舞台である中世には、アングロ・サクソン系が我々こそはこの島の正統な住民という顔をしてるわけだから、アングル人やサクソン人が、外からやってくる敵だった時代を舞台にしたっていうのは、目新しい。顔に文様を描き森に暮らすブリテン人たちの姿がどれほど時代考証的に正しいのか分からないが、ブリテンの歴史に挑んだ意欲は評価したい。この映画を観て、やっぱりローマ帝国って偉大だったんだなぁと、つくづく感じた。ローマ人たちの豪奢な生活や、きらびやかな軍装や、大きな城壁や立派な馬車。その末端は腐りかけてはいるけれども、常に次世代の新芽も養っている、強大で豊かなローマ帝国が描かれていた。話の中で非難されていたのは、ローマ帝国に寄生したキリスト教だと思う。人を救うどころか痛めつける宗教。アーサーの怒りはまずそこにあるような気がしてならない。伝説の英雄アーサー王。ローマ人に生まれた男が、ある時ブリテン人の指導者になって外敵と戦い、ローマとも決別し、ひとつの王国を築く。よく考えれば不思議なお話である。なんだか「七人の侍」風で、端正でストイックな物語だった。最初に馬が騒ぎ、皆がにやりと笑って死地へ引き返す。やっぱりこういうヒロイックな場面は印象的。あとは、やっぱり氷のシーン。ああ、そこで割れてくれなきゃ!と熱くなってしまう。キャラクターではトリスタンが寡黙で渋くて素敵だった~~!! 他の円卓の騎士が影が薄い。一人目立っていたランスロットは伝説に引っ張られて意味もなく伊達男ッぷりを発揮していたが、どこが最強なのか分からなかった。この映画には不要なのにこっそりグネヴィア王妃を思慕していて変だった。いや、やっぱり一番変なのは、小娘が「囚われの姫」扱いされ、どこから出してきたのか、吹雪の中でヒラヒラのドレスに着替えてたりするところ。それにしてもキーラ・ナイトレイは貫禄がある。 8点(2004-08-10 21:20:40) |
2. マグダレンの祈り
「ショーシャンクの空に」よりも、救いの無い現実を描いている。あちらは「希望を捨てずに生きること」がテーマだったが、この作品は救いがない中で生き抜くことを描き出そうとした作品だ。これが事実に基づいた話なのを考えると、怒りと悲しみに満ちた作品である。映画本編よりも、特典映像として実際のマグダレンの女性たちが延々と証言している。この映画が告発映画であることを思わせる。では、いったい誰に向けて告発したのだろうか? 7点(2004-08-10 21:07:11) |
3. 私が愛したギャングスター
うっ、うっ、うっ。つまらなかった。アクションとか無いし。ルパンと不二子~の宣伝に騙された感じだ。期待しなければ、もう少し楽しめたのかもしれないけど。 3点(2003-11-18 17:30:52) |
4. テイラー・オブ・パナマ
最初は颯爽と登場するピアーズ・ブロスナンを、どうしてもボンドだと思って観ちゃうので、後半の「やめてー」と叫びたくなるようなめちゃくちゃな展開に苦笑させられる。たぶん、この映画の見所は、それにつきる。パナマ情勢を真面目に取り上げているような、単なる007パロディのような・・・・・・。第一、映像が時々とてつもなく適当で、全体的には安っぽいB級な映画。 5点(2003-07-09 23:44:44) |
5. スターリングラード(2001)
ラストにターニャが生きてなければ、ボロ泣きのまま終わったのに、涙が引っ込んでしまいました。アレレ? なんか、肩すかしを食らった気分。映画館を出るときの気分というものを真剣に考えて欲しいなぁ・・・・・・。本当は9点くらいかも。エド・ハリスが最高に素晴らしいです。ただ、この映画を観てドイツの人はどう思うだろう? ソ連の人々はどう感じる? スターリングラードという舞台で映画を作るのが、そもそも間違ってるんじゃないでしょうか。 7点(2003-06-03 20:35:06) |