1. ネバーエンディング・ストーリー
本当に懐かし~い、この作品。今見たら陳腐な人形劇と言われるかも知れないが、公開当時は最先端の映像技術だったのである! テーマ・メッセージ性・シナリオもきちんと考えられているし、かの有名な主題歌も良いですよね。これがドイツ映画だというから驚きです。「子供向け」と蔑む人がいますが、正にそういう人が“虚無な心”の持ち主であったりするのです。 この作品は、メッセージ性も何も無い『ロード・オブ・ザ・リング』よりも数段レベルが高い。 ただ難点を言えば、最後にファルコンに乗っていじめっ子を追いかけるシーンは蛇足だったように思える。 7点(2004-05-26 00:24:45) |
2. バグダッド・カフェ
以外とこの作品って平均点低いんですね。 ストーリー設定の面白さで見せる作品の質は年々低下しています。「人は語り尽くした」という言葉が有るように、先人達が既に完成度の高い物語や斬新な設定の作品を先に発表しているので、現在の映画関係者達は新しいストーリーの創作に四苦八苦している。それを考えると、87年でこのストーリーを作れたということに対して、もう少し高く評価されても良いのではないかという気がする。 脚本も工夫が凝らされていて、無意味な描写を極力避ることによりテンポの良さが生まれ、見る側に退屈させません。役者陣の演技も素晴らしく、特に黒人の女主人であるブレンダを演じた女優さんのヒステリックな演技は芯に迫っていて良い。映像もなかなか優秀で、特に全体的な色遣いは「砂漠の中の辺境の地」という雰囲気が上手く出せている。そして何と言っても音楽が良いです。主題歌(calling you)も良いのですが、マジックショーの時のミュージカル風の曲はもっと良かった。 8点(2004-01-26 17:09:26) |
3. 戦争のはらわた
《ネタバレ》 まず、最初に言いたいのは、どこのアホがこんな邦題付けたんだということ。これではまるで戦争好きのサイコ監督が作る馬鹿戦争映画のようではないか!こんなセンスの欠片もないタイトルを付けた奴を吊し上げてやりたい!・・・と、余りに腹が立ったので取り乱してしまいました。 肝心の作品の中身についてですが、冒頭の民謡のような歌、いいですねぇ。おそらく歌詞の意味は戦争とは全然異なる歌だと思うのですが、オープニングの映像と一緒に見ると、何故か戦場に赴く若者の歌のようにに聞こえてきます。この辺の表現は上手いですね。 物語のテーマはやはり、本来のタイトルであるべき「鉄の十字」をめぐる物語だと思います。お坊ちゃん育ちのプロイセン将校、ストランスキーは、名誉と勲章の象徴である「鉄十字」に執着する。人から勇敢だと思われたい、出世して尊敬されたい、という短絡的な目的の為に、自ら戦争に志願したその単純な思考は正に子供である。それを象徴するように、身の回りには常に仲間を置き、危なくなったら卑怯な手を使ってでも相手を陥れる・・・。 ラストシーンでストランスキーは拳銃の扱い方も知らず、あたふたと慌てふためく。そのストランスキーの間抜けな醜態と重ねるように子供の映像を流します。この描写は「ストランスキーは未熟な子供のように無知な男」というにように意味づけをしています。更にバックミュージックとして、オープニングでも流れた歌を流すことにより、一層「ストランスキー=子供の思考」「戦争=無知で幼稚な行い」というメッセージを浮きだたせているように思えます。それを見たスタイナーは大いに笑います。まだ未熟な子供の失敗を見るように高らかに笑います。 [映画館(字幕)] 10点(2004-01-13 18:12:47) |
4. U・ボート
《ネタバレ》 密室での緊迫感や恐怖心がこちらにまで漂ってくるような演出が素晴らしい。乗組員の人物描写が上手いので、徐々に感情移入してきます。海底深くまで沈んでしまって動力が停止してしまったシーンなどは、映画と分かっていながらも真剣に何とか動いて欲しいと思ってしまいました。 全ての苦難を乗り越えて何とか生き残ったと思いきや、最後にアッサリと全員殺されてしまうのですがら、本当に衝撃のシーンでしたね。 「必死に勝ち取った生」と「いとも簡単に奪われる命」という対比は痛烈な反戦メセージとして記憶に焼き付きました。 7点(2004-01-11 09:38:25) |
5. 眼下の敵
《ネタバレ》 アメリカの駆逐艦とUボートの闘いを描いた戦争映画です。第二次世界大戦を舞台にしたハリウッド映画の場合は「ドイツ=悪」として表現されることが多いのですが、この作品は従来の戦争映画とは異なり、ドイツ兵を悪役とは見なしていません。 アメリカ・ドイツ双方の艦長は互いに非常に優秀な人材で、人物像としても誇れる感性を持ち、部下からも慕われている。壮絶な戦闘を繰り広げるうちに、敵ながらお互い尊敬に値する気持ちが沸いてきます。結果として闘いは痛み分けとなり、アメリカ側の艦長がドイツ側の艦長を救助します。もし、立場が逆の場合でもドイツ側の艦長は同じことをしていたでしょう。 意見の相違や文化の違いなどにより双方の不満が蓄積し「怒り」が生まれ「殺し合い」に及ぶ。世界から戦争や紛争が完全に無くなることは絶対に無いだろう。しかし、それにより本来は争う必要のない者同士が殺し合うという愚行を繰り返すことになる。この作品が語る「悪」とは戦争という行為そのものであり、人間の「心の闇」を指している。 7点(2004-01-07 16:10:50) |