1. U・ボート ディレクターズ・カット版
《ネタバレ》 第二次世界大戦中のドイツ軍の潜水艦の中が舞台。時間のほとんどが潜水艦の中の映像で占められていて、息苦しさが伝わってきます。空軍のような派手さはなく、陸軍のような泥臭さもなく、深海に身を潜め、水圧におののきつつ耐える時間がジリジリと続き、ひとたび爆雷を受けると、逃げ場がないだけに、狭く細長い潜水艦の中を隊員とカメラが右往左往という迫真の臨場感です。しかし、潜水艦で水が入ってきたらアウトかと思うのですが、何度水が入ってきても、いずれは止まり、何事もなかったかのように潜行を続ける様に、「ええぃ、ドイツのUボートは化け物か?」と思ってしまいました。艦長のウスラ笑いがいいです。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-22 17:51:36) |
2. アギーレ/神の怒り
《ネタバレ》 時は16世紀中ごろの大航海時代。アンデスの急峻な山道を進む人の列。ポンチョを羽織い荷物を運ぶインディオ。鎧兜を身に着け、武器を手に進む男達。登山には全く相応しくないドレスを纏い、籠に担がれ運ばれる女性もちらほら。エルドラド(黄金郷)を目指しアンデスの秘境を探索するコンキスタドール(征服者)御一行の物語。客に媚びるようなエンターテインメント性は全くありません。厳しい自然や、原住民たちの神出鬼没な攻撃に苦しみながらも黄金郷を目指す侵略者たちの様子をカメラに収めています。人が数人死んでもおかしくない危険なロケの割に、淡々とした長回しで、手に汗握るような映像的臨場感が薄く、ちょっともったいなく感じてしまうところもありますが、過剰な演出がない分、リアリティを感じとれるのも事実で、この作品の味として受け入れることができます。終盤、筏にサルの群れが襲来するシーンは圧巻です。 [DVD(字幕)] 6点(2023-07-10 19:15:12) |
3. バグダッド・カフェ
《ネタバレ》 イラクのバグダッドは関係ないようです。アメリカの砂漠をドライブしている最中に夫婦喧嘩をし、車を飛び出した太っちょな妻がたどり着いたのは、砂漠に建つバグダッドモーテル&カフェ。店主家族、従業員、風変わりな常連との交流を描くというもの。ゆったりした時が流れる中で、なぜに店主の黒人のおっさん(女)が、こうもヒステリックなのか?ハリウッド出身の絵描きの爺さん、いいね。 [DVD(字幕)] 5点(2023-07-06 18:42:41) |
4. 薔薇の名前
《ネタバレ》 世間から断絶した修道院の禁欲世界。抑え込むからこそ、その裏側に渦巻き、蠢く欲望。およそ人間離れした異形の形相の修道士ら。その中にあっては、ショーン・コネリーが、思わずほおずりしたくなる愛玩動物のように可愛く感じられるから不思議。ディテールが醸し出す雰囲気は最高です。ただ、フィルムグレインがかなり強いので、明るい空や、全体的に白い靄がかかるシーンに切り替わったときの瞬間的広がり感・奥行き感が減じられるのが少し残念な気はします。修道院内のシーンでは、むしろ画面が落ち着いて良いのでしょうけど。お話しとしては、大して驚くところもなく、西洋版の犬神家(犬神家ほどの外連味はなし)という感じでした。 [DVD(字幕)] 7点(2023-04-18 20:47:05) |
5. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 3歳で自らの意志で成長するのをやめた男が主人公。第二次大戦下の自由都市ダンツィヒ(現在ポーランド領)がおもな舞台。彼の周りの人たちが、彼の奇行に翻弄され、ナチスの侵攻に翻弄される様子が描かれていきます。奇人の視点で奇妙な世界観を見せつつ、庶民の生活を見せつつ、戦争の影響も見せつつという感じですが、いろいろと欲張りすぎて話が散漫になっている気がします。主人公の彼は適役ですね。キモい狂気の幼児を良く演じています。レクター博士を彷彿とさせます。しかし・・・肌身離さずブリキの太鼓を叩き、奇声を発してはガラスを割るキモい狂気の幼児でさえモテモテだというのに、お前らと来たら・・・ [DVD(字幕)] 5点(2023-03-26 15:46:33) |