21. リベラ・メ
冒頭から火災シーンのオンパレード(このシーンのなんと長いこと!)で、のべつ幕なしと言おうか、その余りにも節度のなさには呆れてしまう。さらに、本来消防のプロ集団である筈の彼らは、まるで初めて火災現場を体験したシロウト集団のように見えるほど、何かにつけて大仰で不可解な描写が続く。鎮火したばかりの現場で平気で煙草を吸ったり、放火犯と肩を並べる所にいながら取り逃がしたりで、何故かいつも壁を叩いて悔しがる間抜けな主人公。あるいは何の必然性も無く取って付けたような殉職シーン等々。この作品は消防士たちの奮闘や活躍というよりは、彼らの混乱ぶりを描いているのであって、その混乱ぶりがそのままこの作品の混乱でもある。「リベラ・メ=我を救いたまえ」と言いたいのは我々観客のほうだ! 4点(2001-11-25 14:38:34) |
22. JSA
かつては同じ民族であったのだから、国家というものを払い除けたとき、お互いに仲良くなっていくのは当然の成り行きだろう。ただ親交を深めていく数々のエピソードの豊かな描写から、一転、ドラマが過激で陰惨なトーンに豹変していくにつれて、ストーリーは謎めいてくる・・・と言うよりは、かなり印象が曖昧になってくる。ドラマチックで悲劇的な結末ではあるものの、彼らの思いというものが不思議なほど伝わってこないのは、おそらく彼らにしか解からない世界(近くて遠い国、そしてさらにさらに遥か遠い国)のことを、我々は知っているようで実はほとんどなにも知らないという事に起因していると思う。 8点(2001-06-30 23:22:06) |
23. カル
「氷の微笑」、「セブン」といったミステリアス・ポリス・ストーリーの王道をかなり激しく意識した作品。矛盾点や納得いかない部分があったりと、かなり粗が多い作品だが、観ている間はほとんど気にならない程、巧妙な計算で作られている。 7点(2000-12-03 23:24:57) |
24. シュリ
主人公の愛する恋人が実は敵のスパイだったというのは、いかにも古臭い設定だし、荒っぽく残虐なシーンと甘いラブ・ロマンスとかが、もうひとつ巧く絡み合っていないように感じる。ただ、それでも日本には真似のできないこういったジャンルを、韓国は見事に確立したようである。 7点(2000-11-18 17:35:13) |