1. グエムル/漢江の怪物
これはどうやらいろんな映画のパロディーでしょうな。そもそもしょっぱなの設定が『悪魔の毒々モンスター』とちがうのか? ジャンルとしてのB級映画のパロディーだ。だから、封切り当時のある新聞の論評のように、駐留アメリカ軍や汚職体質への批判だとか、そんな生真面目一本に観てはつまらない。しかし、ねらいがよく伝わってこないところは作品自体の責任で、そこが欠点だ。ところで、父親役のおっさんは味のあるいい俳優ですな。 [DVD(吹替)] 7点(2007-04-19 01:22:08)(笑:1票) |
2. 殺人の追憶
《ネタバレ》 韓国版『羊たちの沈黙』か。田舎警察の実態は、韓国でも日本でも、今も昔も、多かれ少なかれこんなところなのだろうな、と嫌なぐらいのリアリティがあった。主演のソン・ガンホは、日本の韓流中年女性が熱をあげるような色男ではぜんぜんないけれども、まちがいなく当代韓国ピカイチの俳優だと認識した。それにしても、1980年代あたりと現在の韓国では、社会の発展のぐあいにめざましい違いがあったのだなと実感する。ただ、事件の謎解きがなく終わってしまったのは、食いたらなさが残った。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-08 14:04:57) |
3. 悪い女(1998)
《ネタバレ》 『サマリア』(2004)、『受取人不明』(2001)、『悪い女 青い門』(1998)、『悪い男』(2001)と観てきて気づくことに、キム・ギドク作品には必ずといっていいほど売春婦が主人公級の位置を占めていて、しかもこの売春婦がきまって天使なのだ。そういえばドストエフスキーの『罪と罰』もそうだったが、新約聖書の思想、悪人や売春婦のほうが普通の人間より先に神の国に入るという思想に根ざしているのかもしれない。とすると、キム・ギドクの売春婦はマグダラのマリアなのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2006-10-25 03:58:22)(良:1票) |
4. 受取人不明
これは凄い。10点つけさせてもらう。たいていのほかの映画が甘っちょろく思えてしまう。70年代の韓国と現代の韓国とでは、時代のきびしさが違うということなのだろうが、『サマリア』とは時代が違うのだ。最初、この監督の絵の作り方や作品の感じが、北野武と似たところがあるなと思ったが、これに比べると北野武ものもずいぶんと甘い。ところで、この監督はエリック・サティーが好きらしい。 [DVD(字幕)] 10点(2006-10-22 06:07:02) |
5. ユリョン
日米と戦争を開始するには、「まだ準備ができていない!」─ そうか、そういうことか。かつて大久保利通ら反征韓論者も当時似たようなことを言っていたな。こんな映画で韓国人がたまったうっぷんをはらし、溜飲を下げるだけのことなら大目に見ようが。しかし、こんなのが国内の賞をさらう国とは一体どんな国なのか。韓流ブームの背後で、われわれも心しておくには格好の映画なのかもしれない。 1点(2004-07-19 00:34:45) |