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Cinecdockeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 936
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  風が吹くまま 《ネタバレ》 
物語の行く末を左右する100歳越えの老婆は最後まで姿を見せることなく、 独自の風習が残る村の葬儀目当ての都会人であるテレビマンが振り回される。 携帯電話で会話するにも電波が届く、くねくね曲がる道の先の丘まで車で走らなければならず、 他方で村の人々はのんびりマイペースな分、滑稽に映る。 とは言え、一見美しい黄金の麦畑が広がる長閑な村でも、 家族への忠誠のため、面子のために辛い因習に従わざるを得ない現実がある。  死を待っていてもやって来ることなく、苛立ちを隠せないテレビマンが、 村人の生き埋め事故を切っ掛けに人命を救う側に回っていく。 このまま放っておけば珍しい葬儀を取材できるのにである。 撮影して放送して、ただエンタメとして消費されるだけ。 裏側を見ない我々は普段提供されているものに対して、それを期待しているのではないか? そこに人間の矛盾と不可思議さが感じられる。  キアロスタミの芳醇な会話劇は今作も健在で、医者の詩の引用にハッとさせられる。 「天国は美しい所だと人は言う、だが私にはブドウ酒の方が美しい」。 "風が吹くままに"生きられたらどれだけ素晴らしいのだろうか。 仕事に雁字搦めのテレビマンは執着を手放し、現実に折り合いをつけてこれからの人生を生きていく。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-09-20 23:59:02)
2.  オリーブの林をぬけて 《ネタバレ》 
フィクションとして撮られた『友だちのうちはどこ?』、 大地震を背景にドキュメンタリーとフィクションが同時進行する『そして人生はつづく』、 そして3部作の最後を飾る本作は前作の映画撮影を描いた、メタフィクションに近い構成になっている。 本作は同じシーンが何度も繰り返されるので次第に興味が薄れてしまった。  『そして人生はつづく』で若い夫婦役だった二人だが、実際は夫役の青年は妻役の娘にフラれており、 そのエピソードを一本の映画にしたとのこと。 青年はウザったいくらい必死に彼女を口説くも、そっけない態度で一切無視、 撮影中、何度テイクしても彼女は映画監督の要求にも応えないのであった。 たとえ嘘だとしても好きでもない男に希望を持たせたくないんだろうね。 だったら、どうして映画に出演したのか?になるけど、本心が全く分かることはない。 あのラストのロングショットだってそうだろう。 ただ、自分は結局フラれたと思う。  地震から数年が経ち、ほとんどが都会に引っ越し、取り残された村々。 家を失い今もテント暮らしの者、労働力優先で教育を受けられず識字率の低いイランの現状が色濃く残る。 それでもこの村で生きていくことを決めた人々がいて、 『友だちのうちはどこ?』で主役だった子役の兄弟が再登場したこと、 そしてジグザグ道が出てきたシーンに3部作全て見たからこその感慨深さがあった。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-08-13 08:04:24)
3.  そして人生はつづく 《ネタバレ》 
1990年にイラン北西部で起こった大地震。 前作『友だちのうちはどこ?』の舞台になったコケールとポシュテの村も例外ではなく壊滅的な被害を受けた。 主人公役の少年の安否を確かめるべく、キアロスタミ監督とその息子が訪れた実体験を再現したのが本作。  震災から6か月後に撮影されたのもあり、 復興で瓦礫を片付けるシーンや幹線道路の渋滞シーンがセットやCG合成にはない生々しさを映し出し、 劇映画とドキュメンタリーの垣根が曖昧になっていく構成に唸る。 前作にも登場したジグザグ道への郷愁といい、再会した村人との会話が印象に残った。 「地震とは腹をすかせた狼で神の仕業ではない」 「映画は年寄りをもっと年寄りに見せるのが芸術なのかね」 「死んだ人が生き返れば人生を大切に生きるようになるでしょ?」  地震で家族を喪いながらもそれでも家事をこなさないといけないし、いつ死ぬか分からないから結婚を決めたり、 ワールドカップを観るためにテレビのアンテナを立てる。 ドキュメンタリー(現実)ならではの被災者が持つ生命力と、フィクション(虚構)ならではの魔法が詰まっている。 遠方に主人公役の少年を見つけたことを匂わせながら、タンクの男と協力し合って、 ジグザグな急坂をオンボロの自家用車で登っていくロングショットの長回しはまさに「そして人生はつづく」だった。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-23 21:45:17)
4.  友だちのうちはどこ? 《ネタバレ》 
主人公の少年が間違って持ってきてしまった友人のノートを返しに行く。 たったそれだけだが、二度ノートを忘れた友人がスリーアウトで退学させられるのだから、 主人公は無事にノートを返せるのか終始不安な表情である。 隣の村に住んでいるのは分かっても電話すらないため詳細は一切分からず、 親族を含めて大人たちは彼の事情なんてお構いなしに自分の都合ばかり押し付けてくる。  祖父のエピソードが象徴するように、 言うことを聞かせるために理不尽な体罰を与える教育方針が当時のイランでは当たり前であり、 ただの労働力として個性を認めない抑圧的な空気が子供たちに影を落としている。 だが本作の製作当時は日本も昭和時代だったはずで昔は良かったと言えども、 体育会系の指導方法によって深刻な問題を引き起こした事案は珍しくなく、 世界中どこも変わらなかったのではないか。  少年は友人の家にとうとう辿り着くことができなかった。 明日の授業で友人の退学が迫る。 追い詰められた彼の最終手段と鮮やかな着地に程良い余韻が光る。 こうやって子供たちはしたたかになっていくのだろう。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-22 02:38:59)
5.  トラベラー 《ネタバレ》 
題名からプロサッカーの国際試合を見に行きたい少年のロードムービーだと思っていたが、 そこまで尺を割いておらず、むしろあの手この手であくどい資金調達を行う悪童のバイタリティには驚かされる。 サッカー狂で後先や周囲のことなどお構いなし、それなのに如何にして一つ一つの問題をクリアしていくのか、 シンプルで淡々とした展開ながらサスペンス調の緊張感を持っていくキアロスタミの手腕の良さを感じられた。  テヘランに辿り着いたのは良いが、チケットは売り切れでダフ屋で資金使い果たすわ、 寝過ごして試合を見逃すわで踏んだり蹴ったり。 欲望のために家族にも仲間にも顔を見せられないレベルでやらかしたのだから、 帰れば体罰どころでは済まないが、そもそも有り金使い果たした彼は帰れるのか? 反面教師的なメッセージはあれど、瑞々しさと迸るエネルギーに説教臭くないバランス感覚があり、 律儀で大人しくなった現代日本から見るとその逞しさに羨ましさはある。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-06-10 22:42:08)
6.  桜桃の味 《ネタバレ》 
点数付けづらい…。男が何故自殺をしたいのかは判明されず、そこはマクガフィンだとしても全編単調な作品なため睡魔との闘いになる。唯一引き締まるのは老教授の説教であり、宙ぶらりんなラストもまた衝撃である。そこで伝えたいことが嫌味なく自然体で集約されていたから。
[ビデオ(字幕)] 5点(2022-03-14 22:34:02)
7.  ある過去の行方 《ネタバレ》 
二番目の夫が始末をつけるために元妻のいるフランスに到着する冒頭からの演出、 お互いに何を喋っているのか、その空白が不穏な空気と意識のズレを作り出す。  根幹となるのは三番目の夫となる男の前妻が何故自殺未遂を図ったのか。 その過去を調べれば調べるほど、全員が不幸になっていくスパイラルに陥るのは、他のファルハディ映画と同じ。 過去と未練に縛られて誰もが面倒臭くて被害者意識が強い。 酔っているとさえ思えてくる、演出上の作為が透けて見えてしまうのは欠点か。 フランスが舞台なのだから、もっと自由に撮れば良いのに。監督は本当に生真面目なのだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2020-05-19 01:04:09)
8.  セールスマン 《ネタバレ》 
性暴力を描いた作品。だが、アスガー・ファルハディ監督だけあって、そういう描写は一切描かず、悲惨な状況に滅入る暇もなく、病院のシーンに切り替える。直接的な表現も用いらず、常に台詞が遠回し。確かに力量は高いと言えるが、正しくは"描きたくても描けない"のだ。一見、西洋化が進んでいるようで、イスラム教国家イランならではのしがらみが全編を支配する。恥の観念が強く、被害を公にされることを恐れる女性の立場の低さや貧困が表面では浮かばないように描いているし、劇中劇でも検閲が入る。常に息苦しく緩慢な展開が続く。終盤で犯人が見つかったときから物語は急変する。夫は加害者の老人の家庭を破壊するような方法で復讐をしようとするが、病気持ちの老人の容態が急変したタイミングで家族が駆けつけてくる。幸福な家庭を持つ老人と泣き叫ぶ家族により、完遂しようにもできない宙ぶらりん状態。皮肉にも復讐を望まぬ妻との関係に亀裂が広がっていく。何て後味が悪いのか。あのとき~していればの後悔が、劇中劇の『セールスマンの死』とリンクする。この作品も非情な資本主義に呑まれていく男の悲劇を描いていた。そのアメリカ的資本主義にイラン社会がついていけていない不安と苛立ちが付きまとう。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-19 00:36:41)
9.  別離(2011) 《ネタバレ》 
誰が悪く、誰に責任があるのか。言葉の応酬が繰り広げられ、家族を守るための嘘が双方の傷口を大きく広げていく。追い出した際に階段まで転げ落ちたのか、それ以前に自動車と接触していたのか、家政婦の流産の原因は明かされることはない。そう、真の主人公は、高度成長で一見普通に生活しているように見えて、イスラム教による厳しい戒律が根底にあるイランだということ。息苦しく閉鎖的で下手に身動きしたら状況を拗らせる複雑な社会構造が垣間見える、ありのままのイランの姿。国外脱出する母親と、イランに残る父親のどちらを娘は選ぶのか。断絶を象徴するラストカットに沈黙する。
[映画館(字幕)] 8点(2018-06-20 19:13:53)
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