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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  ラストミッション
ベタな中規模アクション映画に意外性あるキャスティングで特色を出すヨーロッパコープによる作品ですが、今回はケビン・コスナーに手を出しました。90年代後半からの長い低迷期を経て『マン・オブ・スティール』や『エージェント・ライアン』等の大作映画に助演し、全盛期とは違った魅力で再起を果たしたコスナーを主演に迎えての作品ですが、本作でコスナーは抜群の渋さとかっこよさを披露しています。美貌がピークに達していた20代後半のアンバー・ハードと並んでもまったく見劣りしないほどの色気を発し、見せ場での身のこなしは華麗。さらには軽妙なコメディもこなしており、かつてハリウッドのトップにいたコスナーは、歳をとってもなお輝きを保っています。映像派のマックGはそんなコスナーの魅力を十二分に引き出すことに成功しており、スター映画としてはほぼ満点の仕上がりではないかと思います。 問題は、映画としてまったく面白くないということ。コメディを志向した作品であるにも関わらず笑える場面は少なく、スパイ映画としてのスリルは皆無。冒頭をピークに見せ場のテンションは下がる一方であり、印象的な見せ場が皆無というアクション映画としては何とも寂しい状況となっています。 また、設定と物語が整合していない点も気になりました。主人公イーサンがパリでのミッションを命じられたのは、正体不明の大物テロリスト・ウルフの顔を見た可能性があるという理由からでしたが、物語ではウルフの方から勝手にパリへやってきて騒動を起こしてくれるため、そもそもイーサンがこの暗殺ミッションに就いた理由が没却しています。また、イーサンをリクルートしたヴィヴィは病身のイーサンにミッションを任せっきりであり、本当にウルフを殺す気があるのか疑わしくなってしまいます。テロリスト側の殺し屋がイーサンの娘の写真を持っていたことから家族を人質にでもとられるのかなと思いきやそんな展開はないし、ウォッカを飲むことで薬の副作用が軽減されるという特異な設定も本筋にはまったく絡んでおらず、脚本は行き当たりばったり、支離滅裂で安定していません。 家族のドラマとしても月並みであり、特に感動的なものはありません。ヘイリー・スタインフェルドとコニー・ニールセンという贅沢なキャストを揃えながらも定番の域を出ないやりとりに終始するため、こちらでも拍子抜けしました。
[インターネット(字幕)] 5点(2016-06-27 17:39:42)
2.  ディアトロフ・インシデント 《ネタバレ》 
B級映画としては上位クラスの仕上がりではあるが、大作と比較すると何だか物足りない内容。本作の評価は、レニー・ハーリンに何を期待するのかという軸により変わってくると思いますが、ここ10年のハーリン作品を見てきた私としては、本作には好意的な評価をしたくなりました。 ハーリンの手腕は序盤から冴え渡っています。若者たちが意気揚々と登山への抱負を語る導入部が終わると、続く場面では「アメリカ人の大学生が遭難しました」というニュース映像の挿入により悲劇的な結末へと一気にジャンプし、最中に何が起こったのかという観客の関心を大いに引き付けます。こういう掴み、私は好きです。本編に入ると、しばらくはアメリカ人学生が悪ふざけをしながらタラタラと登山する場面が続きますが、悲劇的な結末が観客にインプットされている分、「でも、この人たち死ぬんだよね」という寂しさが襲ってきます。さらに、その合間には不気味な兆候がいくつも挿入され、それが観客の脳内で結末部分とシェイクされて、余計に恐怖が増幅されるといううまい仕組みとなっています。また、雪山の美しさや過酷さの描写、雪崩のシーンのド迫力など、手間と金をかけるべき部分を的確に判断しており、少ないリソースをうまくやりくりして、それなりの大作感を出している点でも感心しました。 いよいよ明かされる恐怖の正体には意外性があって、そのアイデアは気に入りました。また、荒唐無稽になりかねないオチに対しては多くの伏線が張られており(被害者は9人ではなく11人とした老婆の主張や、時空の歪みの発生を示唆したいくつかの小さな事故等)、観客に「んなアホな」と思わせない作りとなっています。B級ながら、丁寧に作られた良作だったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-09-08 16:06:14)
3.  エージェント:ライアン 《ネタバレ》 
パラマウントはジャック・ライアンシリーズを最重要コンテンツのひとつとして位置づけているようですが、その映画化にはこの20年間、苦戦し続けています。面白かったのは『レッドオクトーバーを追え!』のみであり、その他はすべて駄作。複雑な諜報戦をアクション映画として撮ることは非常に困難なようで、ジョン・ミリアスやスティーブン・ザイリアンといったハリウッドトップの脚本家を雇ってきても、思うような結果を残せていません。。。 そんな中、二度目のリブートである本作でパラマウントがとった作戦は、原作に頼らず完全オリジナルの物語で勝負するというもの。これなら、長大な原作を圧縮するという作業をせず、最初から2時間の映画サイズで話を作ることができるというわけです。新人脚本家によるシナリオを『ミッション:インポッシブル』のデビッド・コープに手直しさせ、それを文芸作品も娯楽作も撮れるケネス・ブラナーに監督させるという鉄壁の布陣で挑んでいます。果たしてその結果はというと、これが見事な失敗でした。トム・クランシーによる原作を採用しなかったために、肝心の諜報戦にまったく面白みがありません。ジャック・ライアンシリーズの醍醐味は最新テクノロジーを駆使した遠隔操作の諜報戦だったわけですが、本作では顔を突き合わせての騙し騙されが中心となっているので、主人公がジャック・ライアンである必然性が極めて薄くなっています。こんな仕事はイーサン・ハントにでもやらせとけばいいのです。後半部分は諜報戦ですらなく、新人であるジャックの勘を頼りにして事態を収集していくという、何ともつまらない話になってしまいます。ジャックの勘に頼りっきりのケビン・コスナーが間抜けに、ジャックにしてやられるケネス・ブラナーがバカにしか見えなくなる始末で、この方向性は完全に失敗でした。。。 また、キーラ・ナイトレイをウザいだけの女にしてしまった罪も重いです。諜報員とテロリストが多くを占める中で、唯一とも言える民間人キャラが彼女であり、彼女こそが物語と観客とをつなぐ架橋となるはずだったのですが、そんな彼女にまったく感情移入できないのでは問題外です。ジャックがCIAであると聞かされた時に驚きもしないなど、そのリアクションにリアリティがないために観客の視点の役割を果たせていません。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2014-08-11 00:52:43)
4.  オーガストウォーズ 《ネタバレ》 
親子愛を描いた映画は数多くありますが、ギャルママを主人公とした本作はかなりの変わり種でした。映画の出来は、このキャラクターの完成度に掛かっていたと言っても過言ではないのですが(一般に、ギャルママは批判の対象とされることはあっても同情されることは少ない)、本作はこれを見事にやりきっています。「ママだって恋がしたいし~」というこの人の浮ついた行動がすべての発端となるのですが、たまに子供の方を向いていないことはあっても、決して悪い母親ではないという点をきちんと描けているので、作品の視点が非常に安定したものとなっているのです。これを演じる女優さんについても、登場時点では「若くて綺麗すぎて、人の親には見えない」という印象だったのですが、そんな彼女がどんどん母の顔になっていくので驚かされました。ロボットが出てくるファンタジーと見せかけておいて、直球勝負の親子愛を見せてくる。この落差の付け方、良い意味での裏切られ方は非常に気持ちがよかったです。。。 南オセチア紛争については、グルジア側から描かれたレニー・ハーリン監督の『5デイズ』が先行していましたが(そちらでは、ロシア軍が暴虐の限りを尽くしている)、それに負けじと、こちらもロシア軍全面協力で凄まじい戦闘シーンを作り上げています。グルジア軍が虐殺行為を行っているというセリフには「やれやれ」という感じでしたが、そうした政治的偏りを度外視すれば、これがなかなかイケる戦争映画に仕上がっています。戦争の恐ろしさだけではなく破壊の美しさも描けているという引き出しの多さで、その完成度は『5デイズ』を圧倒しています。また、最後の最後に主人公を助けた人物の存在によって、ある程度の中立性を保とうとしている姿勢にも納得できました。。。 唯一残念だったのは、リアリティとファンタジーの絡ませ方が不十分だったという点です。ようやく出会えた息子は気絶寸前で完全な傍観者と化しており、ファンタジーらしい場面と言えば、たまにロボットが追いかけてくる程度。これでは、ファンタジーという設定を切り捨てて、普通の戦争映画にしても作品が成立してしまいます。『ビッグ・フィッシュ』や『ライフ・オブ・パイ』のように、ファンタジーが現実を追い越し、虚構にこそ真理があるという瞬間を垣間見せてくれれば、ファンタジーの体裁をとった意義も感じられたのですが。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2014-02-15 15:45:31)(良:1票)
5.  ソルジャーズ・アイランド
『エクスペンダブルズ』の大ヒットに触発されて製作された、リアリティ完全度外視の80年代風バカアクション。『エクスペンダブルズ』に負けじと集められたキャストは驚くほど豪華だし、火薬満載の見せ場も手抜きなしでなかなか頑張って作られているのですが、如何せん話が面白くありません。まず、遊び気分で戦争ツアーに参加したら思いがけず戦闘の当事者となってしまった大富豪という筋書きである以上、登場する大富豪達は全員戦闘のド素人とすべきだったのに、アフリカの武器商人やヤクザまがいのロシア人富豪といったセミプロをメンバーに加えてしまったがために、肝心の設定が死んでしまっています。さらには、大富豪を主人公とするのであれば豊富な知識や巧みな交渉術といった通常の兵士にはない強みを発揮する局面を準備しておき、それが大きな見せ場となるべきだったのですが、そういった仕掛けも組み込まれていないので話に面白みがありません。そもそもこれは異文化交流ものなのだから、確執と和解がドラマの基礎となるべきだったのですが、そういった要素がまったく深彫りされていません。基本設定がここまで置き去りにされた脚本も珍しいものだと呆れてしまいました。。。 そういったメインプロットの貧弱さの一方で、裏切り者の存在やクレイグとメイソンの因縁の関係といったサブプロットは不思議と充実しています。これが面白ければ映画の救いとなったところなのですが、実際には本筋を盛り上げることにはちっとも貢献していないのでまったくのムダ。サブプロットを脈絡なく付け足していくことで本編のかさ増しをするのではなく、肝心のメインプロットをどう面白くするのかという点に力を注いでいただきたいところでした。。。 キャスティングについては概ね悪くないのですが、クリスチャン・スレイターだけはミスキャストでした。体はよく作ってきているし、銃やナイフの扱いも様になっているのですが、多くの戦場を経験してきたプロの傭兵にはどうやっても見えないという点が致命的でした。まだまだ若々しさの残るスレイターのような俳優ではなく、ショーン・ビーンのような渋い中年が演じるべき役柄だったと思います。
[DVD(字幕)] 4点(2013-04-15 01:09:59)(良:1票)
6.  ナイト・ウォッチ(2004)
原作がロシアではベストセラーであるためか、この映画版の観客も話や設定を知っているものとして扱われているようです。なので細かい説明は一切なしで、映像のみが最初から最後までフルスロットル。見ていて疲れたし、仮に難解な物語であれば読み解く楽しみがあるものの、ありきたりで難しくもない話の説明不足な部分を脳内で補完してあげる作業は、途中でバカバカしくなります。物語は完全にX-MENなのですが、本作のキャラクター達にはX-MEN達のように個性的な能力がありません(設定上は何かあるのかもしれませんが、映画版を見る限りでは目立った特徴がありませんでした)。ナイトウォッチ達はグループで自警団活動を行っているものの、戦っているのはもっぱら主人公のアントンのみ。他のメンバーにはどんな特殊能力があって、グループ内でどんな役割を果たしているのか、その力量はどう違うのかが一切不明。訳ありげに登場したフクロウ女に至っては、本当に何もせずに映画が終わってしまいます。唯一、その能力について説明のなされた主人公の能力は「未来を見通せる」というものでしたが、彼は彼でその能力がまったく戦いに活かされていません。映像は独創的でカッコよく、VFXの使い方も悪くないため、脚本にもうちょっとこだわれなかったのかと思います。そんな感じでキャラクターの個性すら描ききれていない脚本ですから、物語の核心に迫る後半になると完全にグダグダに。「災いを招く乙女」に「偉大なる異種」とキーパーソンを二人も出して来て、それぞれの物語が交互に描かれるため、面白さ2倍どころか緊張感が途中でぶつ切り状態となるのです。3部作の1作目ということですが、続編はもういいかなという感じです。
[DVD(吹替)] 4点(2010-07-05 21:09:35)
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