1. アウトレイジ ビヨンド
《ネタバレ》 前作よりも更にパワーアップして面白くなっています。とにかく、なんらかの組織に属している方であれば、見ていて「あるある」と頷いたり、登場人物を知り合いにあてはめたりして楽しめる作品です。 これは単なるヤクザ映画ではなく、日本社会そのものをヤクザ社会に投影して描いた映画ですね。とにかく、北野監督の冷徹なまでの人間観察力、虚無感、ユーモア等々が全てマックスレベルで投入されています。 そして、「本当の敵は誰なのか」を明確にしたラストの素晴らしさ。まさに満点の映画でした。 [DVD(邦画)] 10点(2018-10-07 00:48:45) |
2. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 今、この文章を読んでるあなたが、この作品をまだ観ていないのであれば、即刻このページを閉じ、余計な予備知識を一切排除して、この作品を観てください。 本当に面白くて、「出会えてよかった!」と言いたくなる映画でした。こういう作品ならば1,800円のチケット代も全然惜しくないです。 トリックの巧みさだけでなく、物語としても非常に良くできています。そして、瑛太の演技の素晴らしさには拍手を贈りたいですね。 帰り道、本屋に寄って原作本を買ってしまいました。今のところ今年のNo.1作品です。 [映画館(邦画)] 10点(2007-07-06 23:17:01) |
3. アウトレイジ 最終章
《ネタバレ》 タイトル通り、まさに「最終章」と言える作品 その後の事務所云々の騒動が大友の生き様とリンクしていて、いろいろな意味でこの作品は北野武監督なりのケジメの付け方だったのかと思わせる内容でした。 [DVD(邦画)] 9点(2018-10-07 01:33:11) |
4. アウトレイジ(2010)
《ネタバレ》 間違いなく、北野武の最高傑作といえる作品。ヤクザの世界が舞台になっていますが、人間の持つ本能の愚かさ、哀しさ、そしておかしさをドライでスタイリッシュに描ききった快作です。 非常に陰惨な物語を、コントのような間や表現を利用し、ドロドロとした心理描写を極限まで削り、観客に受け入れやすくしてしまうテクニックは、さすが日本のお笑いのトップを走ってきた北野監督ならではと感じましたね。観賞後、爽快感さえ感じさせてしまう技量は本当に危険ですね(褒め言葉です)。 ヤクザ映画だと思って敬遠すると損をする映画ですね。これは21世紀の「しとやかな獣」です。 [DVD(邦画)] 9点(2013-10-26 18:29:26)(良:2票) |
5. 蟻の兵隊
《ネタバレ》 第2次世界大戦終了後も日本軍が活動(表向きは各人の志願によるものとなっている)していたとは、恥ずかしながら初めて知りました。そして、彼らの帰国後も日本政府からは黙殺されていることも・・・。 それにしても、元日本兵である奥村和一氏の毅然とした姿には非常に感銘を受けました。戦時中の自分達の行いについても卑屈な謝罪や自虐に逃げることなくまっすぐ向き合おうとする真摯な姿勢が、中国の人たちにも受け入れられているのが見て取れましたね(実際に戦時中被害を受けた女性とのやり取りは非常に感動的でした)。 本音と建前を悪い意味で巧みに使い分け、多くの兵士達に苦しみを与えた軍上層部、そして日本政府の姿勢には怒りを覚えましたね(もちろん、いろいろな理由はあるとは思いますが)。 本当に素晴らしい戦争ドキュメンタリーだと思います。ただ、靖国神社のシーンを挿入しているのはちょっと陳腐な感じがしましたね。そんな瑣末な問題を超えたところに、この作品がわれわれに訴えかける問題はあると思いますから・・・・。 [DVD(邦画)] 9点(2009-02-21 20:49:48) |
6. 赤い天使
《ネタバレ》 「綺麗ごと」など全く通用せず、人間の本能が剥き出しになってしまう・・・・戦争というものの実態を生々しく描き出した傑作です。 とにかく、戦争においては人間は人間で無くなるということを残酷なまでに我々に見せつけてくれます。本当に衝撃的な作品です(月並みな表現ですが)。 ただ、ちょっとメロドラマ的な部分が中途半端に多かったかなと個人的には思いましたね。興業面も考慮しなければならないから仕方ないんでしょうけど・・・・・。 これは是非多くの人に観てもらいたい作品です(ちょっとエグいですけど)。 [DVD(邦画)] 9点(2007-08-28 18:46:01)(良:1票) |
7. アッシイたちの街
《ネタバレ》 日本の高度成長を支えたのは、生活のために安い賃金で真面目に寝食を惜しんで働き続けた中小企業・労働者たちであったことが良くわかる作品でした。大企業とそこから搾取され苦しむ下請企業の構図は今もまだ存在しますが、大企業であっても将来どうなるかわからない現在よりも当時はまだ情が入り込む余地があるような印象を受けました。非常にシビアで厳しい環境の中でも皆で支えあって乗り越えていこうとする登場人物たちの姿を見て、これこそが日本の強みであるとも感じましたね。 しかしまあ、キャスト陣が非常に豪華でさすが巨匠 山本薩夫監督ですね。 ZIGZAGの三木ヒロシが歌う主題歌も、まさに当時の日本ロックという感じで懐かしかったですね。 [ビデオ(邦画)] 8点(2013-06-05 23:43:21) |
8. 悪人
《ネタバレ》 なんと言うか、淡々とした展開なんですが、じわじわと胸の奥からいろいろな感情がこみ上げてきましたね。まあ、人間誰しも悪人であり善人であり普通の人であることを痛感します。 この作品に出てくる人間たちはわかりあっているようでも、誰一人わかりあっていないし、皆探りあいながら他人にレッテルを貼って識別しその共通認識で連帯しようとしているような孤独な人たちなんですよね。 このどうにもならない孤独感を、妻夫木聡や深津絵里が演じ切れていたかというと正直微妙ではありますが、まあメジャー作品なのでそれは仕方ないところでしょうね(二人の演技はとても良かったですが綺麗すぎるんですよね)。これで、どこにでもいるような冴えないあんちゃん、ねえちゃんをキャスティングしていたら多分号泣していたと思います。 しかし、李相日という人は本当にヒリヒリするような映画作りをするのが上手いですね。 [DVD(邦画)] 8点(2011-05-31 00:43:33)(良:2票) |
9. ANPO
《ネタバレ》 戦後の日本が、実質的にはアメリカの支配下にあり、日米安保による米軍庇護の下で高度成長を成し遂げていったことが良くわかるドキュメンタリーでした。 何というか、闘うアートの数々がその複雑な事実を我々に訴えかけてくるようで非常に興味深かったです。 アーティストの一人が「日本は戦争責任の追求を連合国に任せてしまい、日本人自身が行わなかった」と語っていましたが、このような複雑な状況に陥った一端は確かにこういうことなのかなと感じましたね。 [DVD(字幕)] 8点(2011-05-25 23:02:46) |
10. ある朝スウプは
《ネタバレ》 非常にリアルで緊張感の漂う作風で、家族であろうと恋人であろうと、他人は他人でしかなくその間には深い溝が横たわっていることを冷徹に提示している作品です。ただ、その「他人は所詮他人でしかない」ことを認識し理解するところから真の人間関係はスタートしていくことにも気付かされました。 並木愛枝が徐々に献身的になっていくのも、恋人が他人ではなく自分の一部だと認識しているからで、その自分の一部を失うのが怖いからなんだと思います。だから、最後のセリフは考えようによっては今後の彼女の人生に希望を感じさせるものなのかもしれません。 こういう人間の弱い部分を抉り取る作品は見ていて辛い面もありますが、いろいろと考えさせられます。 [DVD(邦画)] 8点(2010-11-23 15:41:13) |
11. 赤い鳥逃げた?
《ネタバレ》 作品全体に漂う70年代前半の閉塞感と今の世相に相通ずるものを感じましたね。主人公達の鬱屈とした心情は今でも共感できる部分がありました。 しかしまあ、原田芳雄の格好良さが際立っている作品でしたね。破滅的なラストも非常に印象的でした。 [映画館(邦画)] 8点(2010-02-10 00:09:39) |
12. 愛のむきだし
《ネタバレ》 ある意味、日本映画の到達点といっても過言ではない凄い作品です。とにかく、B級アクションと社会派ドラマ、恋愛ドラマ、家族ドラマ等々の要素が猥雑に入り混じっていて 237分という時間が短く感じられるほど密度が濃く、剥き出しの欲望が生み出すパワー溢れる映像がこれでもかと観ている我々に遅いかかってきました。ゆらゆら帝国の音楽も70年代後半の日本映画っぽくて最高でした。 まあ、アングラっぽさというか独特のクセのようなものがあるので好き嫌いは分かれるとは思いますが、今後日本映画を語る上で外すことのできない怪作となることは間違いないでしょうね。 [DVD(邦画)] 8点(2009-12-12 17:41:40) |
13. 明日の記憶
《ネタバレ》 主人公と同じサラリーマンの身としては、感動や感銘よりも恐怖心を強く感じてしまいましたね。何というか、他人事とは思えませんでした。 ただ、こういう事例を小説や映画という形で我々に提示してくれたことには感謝したいですね。人生何があるかわからない中で、予備知識があるかないかでは大きな違いがありますから。 暖かな雰囲気が、逆に悲劇性を強調していて非常に哀しい作品でした。まあ、大滝秀治じゃないですけど「生きてりゃいいんだよ!」というポジティブシンキングは大事だなと思いました。 [地上波(邦画)] 8点(2009-11-06 00:27:15) |
14. アフリカの光
《ネタバレ》 ストーリーは多くの設定説明が省かれたまま進んでいくため、正直良くわからない部分が多かったです。ただ、スクリーンに映し出される北の海、アフリカの大地、冬の港町の風景、そして出演者たちのパワー漲る圧倒的な演技(ショーケンと田中邦衛の個性がうまい具合にぶつかりあっています)に惹きこまれ、あっという間にラストまで行ってました。 刹那的でありながらどこか温かい雰囲気につつまれた映画でした。 [映画館(邦画)] 8点(2009-07-14 08:54:21) |
15. アザー・ファイナル
《ネタバレ》 サッカーは世界の共通語であることを実感させてくれる作品でした。お互い遠く離れた、文化も人種も違うまったく接点の無い2つの国(モントセラトはイギリス領ですが)がこうやって交流をはかれるのですから、サッカーボールは本当に優秀な外交官であると思います(時には禍根を残すこともありますけど・・・)。 私自身も、モントセラトについてはこの試合で初めて名前を聞きましたし、火山の噴火により首都が壊滅したなんてことも初めて知りました。ブータンについても、名前や位置は知っている程度だったので、非常に興味深かったです。 しかし、パッと見では圧倒的にモントセラトの方が強そうに見えたのですが、やはりホームアドバンテージってあるんですね。 次は、各地域別の最下位チームを集めて裏ワールドカップを開催してもらいたいですね。結構盛り上がると思いますけど。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-15 20:43:35) |
16. アフタースクール
《ネタバレ》 前作もそうですが内田監督の映画って難解なパズルが解けたときのようなスッキリ感を与えてくれるんですよね。全部見終わってから脳内で作品を理解していく作業に移るという感じで、鑑賞中ははっきり言って監督の手のひらの上で泳がされている状態になってます(何度作品を脳内リピートしたことか)。でも、それが全然苦痛にならないんですよね、思い返すたびに新たな発見があるのでそこでまたスッキリな気分を味わえますから。 ストーリーを追うというよりは内田監督の発想力(ストーリーの構成等)と自分の想像力を戦わせるつもりで観るとより楽しめるのではないでしょうか。そして、思いっきり叩きのめされて下さいw [映画館(邦画)] 8点(2008-06-02 19:37:43) |
17. 赤毛
《ネタバレ》 ユーモラスな雰囲気、独特のリズムとテンポの見事さで観客を映画の世界に引きずりこんでおいて、骨太なメッセージをガツンと食らわす岡本喜八監督の手法はお見事としか言いようがありません。キャスティングも非常に素晴らしく、三船敏郎は勿論のことニヒルな高橋悦史や岸田森の演技が印象的でした。 まあ、政権がどんなに変わろうとも権力というものの本質はそう変わることは無いということなんでしょうね・・・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2008-05-30 18:44:46) |
18. 青い春
《ネタバレ》 何というか、この虚ろな男子校の空気、そしてミッシェルガンエレファント・・・・。もう、男子校でロック漬け(聴くだけでしたけど)だった自分にとってはたまらない映画ですね。何か、昔の自分を見るようなシーンもあったりしてちょっと「イタタタタ・・・・」という部分もありましたが(不良とは縁はありませんでしたけどね)。まあ、高校時代は松田優作が大好きだったし、九條みたいな冷めた感じを狙っていたんで(あまり周囲には気づかれなかったようですが・・・)、何か思いっきり作品の中に入りこめましたね。 [DVD(邦画)] 8点(2007-09-20 19:00:26)(笑:1票) |
19. 赤線地帯
今は亡き「赤線」を舞台にした様々な人間模様を描いています。非常に悲惨でやるせない話なんですが、時折ユーモアを交えたりすることによって暗くなりすぎず、登場する女性たちのたくましさ等も感じさせる作りになっています(実際、上映中笑いが起きることも度々ありました。)。 [映画館(邦画)] 8点(2007-08-26 00:26:47) |
20. あれが港の灯だ
《ネタバレ》 戦後の日本と朝鮮半島(この映画では韓国)の決して良好ではない関係を上手く描き出している作品だと思います。日本と韓国、双方の言い分を一方に偏ることなく伝えているのも良かったと思います。日韓(朝)問題に興味がある方には是非観てもらいたい作品です。 しかし、後味が悪すぎますね・・・・・。これで希望が残るラストなら満点なんですけどね。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-08-18 16:51:49) |