1. 東京家族
《ネタバレ》 リメイク物の宿命というか、定石というか、案の定評価が低いようですね。それはなぜか。観客は、ほとんどがオリジナルを見て、そのイメージを持ったままこれを観ています。そうすると、ここがおかしい、これは無い、と思うところがどんどん出てくる訳です。監督自身はオリジナルをリスペクトしているため、ここは変えてはいけない。ここは現代に置き換えないと不自然だ。と、彼なりにこだわりがあって作るけど、当然、観客と一致することはまれです。例えば、父親はもっと穏やかな坊主頭で母親はふくよかな容姿。長女はもっといやみなおばさん。次男はなんかで死んでいないと。そういうところが私の印象です。そうは言っても、映画の出来としては良いのではと思いますね。世代のギャップと家族のかたちへの問いかけは、オリジナルに負けないくらいに明確に表現されていた。 [地上波(邦画)] 8点(2016-03-19 19:34:42) |
2. どん底(1957)
つくづく人間は、しがらみから抜け出せないものだと感じましたね。現代においても同じですね。現在を嘆き、過去を懐かしみ、他人をねたみ、未来に踏み出そうとしない。憂さ晴らしが楽しみになっている。まあ、それが人間という生き物なのか。 [DVD(字幕)] 7点(2005-05-15 14:16:40) |
3. となりのトトロ
トトロとネコバスのキャラクターは、アイドルらしくなく、何でうけるのかと考えてみました。周りを気にしない、全然しつこくない、あんまりかわいくないけどけっこう頼りになる。理想的な友人ですよね。求めて、答えてくれるけど、自分には求めてこない。わがままを受け止めてくれる、しつこくない相手かな。 7点(2004-07-24 21:50:35) |
4. トゥームレイダー
強い女性に何となく惹かれる者としては、けっこう楽しめました。ピンチになっても安心していられるのも良いですね。だめになったら、リセットして・・・、映画はだめか。 6点(2004-06-29 20:02:58) |
5. 東京物語
《ネタバレ》 家族は、どういう関係にあろうが、一番身近な存在である。戦後まもない高度経済成長前の日本の家族の様子を、夫婦、実の親子、義理の娘といった関係を通して、丁寧に描いている。子供とはいえ、すでに独立して別の家庭を営んでいることもあり、肉親との関係でも、一見気を使っているが、どこかよそよそしい。実の親だからこそはっきり言えるようにも感じる。逆に、血のつながっていない義理の娘は、遠慮があるのか、むしろ、より優しさをもって親と接している。末の娘は、正直に兄や姉を批判するが、義理の姉は、年齢を重ねると悟ることとなる心境を諭す。一方で彼女は、義理の父には、複雑な自分の気持ちを正直に話もする。家族を構成する各人の思いと葛藤が、物語の進行にあわせて、少しづつ観る者の心に染み渡ってくる。深く静かな印象が心地よい。実生活をベールに包み、男たちの夢とあこがれを壊すことなく、映画の中のイメージを守り通した、原節子の女優魂に乾杯。と言う訳で、世の男達のほとんどは、結婚するならば原節子の演じたタイプの女性を夢見るだろうな。でも、現実は甘くない。運が良ければ、しかも、奇跡的な運の良さを持ってしても、せいぜい三宅邦子タイプだな。そして、ほとんどの男は杉村春子タイプと一緒になってしまう。働きもしないで太っている杉村春子タイプだな。 [地上波(邦画)] 10点(2004-02-23 13:02:12) |
6. 東京裁判
戦争に負けるとはこういう事なのですね。勝者が敗者を裁く報復のための不合理な裁判の記録です。ナチスを裁いたニュルンベルグ裁判の再現が目的であったため、ユダヤ人虐殺に相当する「南京大虐殺」が作られる必要がありました。当然、証拠も証言も曖昧です。虐殺について、弁護人がアメリカの原爆投下を引き合いに出すシーンが胸を打ちます。原爆は許されるのかと。インドのパル判事のこの裁判の不当性を訴え日本を無実とする主張は有名ですが、裁判長を務めたウェブ判事でさえ、後に日本の行為は経済封鎖などによる自衛の行動であったとして理解を示しています。ろくに裁判などもされず処刑された千人にも及ぶBC級戦犯のことも忘れてはいけません。この裁判を統轄したGHQ最高司令官マッカーサー元帥がその後証言した言葉が全てを語っています。「日本が起こしたあの戦争はほとんどが安全保障のためであった。」 7点(2004-01-14 23:00:04) |