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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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21.  ドロメ【女子篇】 《ネタバレ》 
一つのストーリーを男子、女子それぞれの視点から二本の映画にした「青春ダブルアングル・ホラー」のうちの【女子篇】である。 男子篇と異なり、この女子篇は少なくとも最初のうちは普通のホラーに見えるはずとのことで、確かに普通に怖い場面もなくはないが、やはり男子篇を見てからではネタバレ状態で驚きがない。ただ男子篇同様にコメディとして見れば、男子のいない場所での女子のやり取りがかなり可笑しい。男子が聞くと引いてしまう類の話は含まれていないので、純粋に女の子連中のおふざけが楽しく、ガールズラブ寸前のじゃれ合いも微笑ましい。比嘉梨乃さんのメイド服アピールなども結構笑った。  ところでこの女子篇の個人的な見どころは、森川葵さんのスリーハンドレッド(2007米)まがいの大活劇である。劇中唯一死んでもらいたい人物をこの人が殴りつけていたときに、最初は黒いものが飛び散っていたのが最後は赤い液体になっていたのは大笑いした。ここでの罵声は「女子ーズ」(2014)で有村架純が吐いた暴言を思わせるものがあり、傲慢で滑稽な演出家を揶揄するのが共通していたようでもある。 そのほか、個人的に見たい女優が集中的に出ている点でも意義のある映画だった。自分としては三浦透子さんが映っているだけで注目してしまう性癖があり、特に怒った顔は好きだ(他の表情もいい)。またお色気担当の遊馬萌弥(ゆうまめいや)という人は初めて見たが、この時16歳くらいで最年少だったらしく、本人の性格とは違うとのことだが可愛いお色気をみせていて大変よかった。 ちなみに舞台挨拶によると監督は森川葵さんをメンヘラ女優の代表のように思っていたようだが、それはさすがに思い込みが過ぎると言いたい。  なお余談として、主人公の親友が主人公を「オスメント颯汰」と呼んで盛り上がっていたのは意味不明だったが、ここは自分だけでなく他の登場人物も実は何のことかわかっていなかったようである。「シックス・センス」(1999)の子役の名前など、よほどのホラーファンだけが覚えていればいいことだったようで安心した。
[DVD(邦画)] 6点(2016-08-25 22:08:30)
22.  遠くの空に消えた 《ネタバレ》 
評判が悪いようなので期待感なしで見たが、時間が長いのは別として一応見られる内容になっている。ただし独特のファンタジー感があり、始終突っ込みを入れたくなるのをひたすら我慢しながら見ている感覚だった。  中身に関してとりあえず見たことを書いておくと、まず冒頭の言葉がいわゆるお花畑的発想のようで呆れたが、実際は意外に現実的というか、夢想と現実の橋渡しのような映画になっている。 当然ながら少年少女は大人になるにつれて夢想の世界を失っていく。大人になってからも、例えば結婚の時点で残っていた夢想を振り捨てなければならない場面はありうるが、しかし少年少女の感性を持ったまま年齢を重ねることもできなくはない。夢想のままで消えてしまえば初めからなかったも同然だが、消えたと思っていたら帰って来た、というなら結果的に現実だったと確認できることになる。村を去った(消えた)側の少年にしてみれば、逆にこの村の記憶を夢のように思っていたかも知れないが、今回帰ってきたことで現実だったと再確認できたのだろう。 奇跡を起こすなどと大げさに言っておきながら、結局少年らが実現させたのは麦畑アートだけだったようである。これでUFOが来たなどとは誰も信じていなかったにせよ、彼らの心意気に少女が感動してくれたのは現実的な成果ともいえる。一方でこれが空港建設推進の立場にも一定の打撃を与えたような話になっていたが、しかし結局空港が完成していたからには大した影響もなかったらしい。これは公団の所長がこの場を去るための言い訳にしただけで、彼の立場なりの現実的な判断で旧友の要請に応えたということかも知れない。 空港ができたことで、遠くの空というのは去るだけのものではなく、帰って来るためにもあることが明らかになったようでもある。最後に出迎えが来たことで、全てが現実だったと証明された場面は正直感動的だった(2時間も遅れて来たことには突っ込まない)。  ちなみにこれを見たのは単に伊藤歩嬢が出ているからというだけの理由だが、今回は夢見る乙女の姿が清らかで美しい(牛糞まみれにならなかったのは幸い)。また少女役(大後寿々花)も表情がすごくいいのが印象的だった。そのほか、別のところで有名になった笹野鈴々音という人がどこに出るのか見ていたが、この映画では動くお人形さんのようなイメージだったのか、可愛らしくてなかなか面白い役なのだった。
[DVD(邦画)] 6点(2016-01-26 00:17:07)
23.  東京原発 《ネタバレ》 
初見は2000年代のうちだったと思うが、自分としては既に20年前に広瀬隆氏の著書を読んでいたのでこの発想自体は珍しくなかった。もともと「東京に原発を!」というのは東京に原発が立地していない事実の裏返しであり、これは原発を作っている側が実はその危険性をどう考えているか、論議を要さず端的に示す言葉だったわけで、いわば非常に優れたキャッチコピーのようなものだった。しかし現実の事例により、日本国内でも深刻な事故が起こりうることが明白になってしまった現在、警告の言葉としてはもはや意義を失ってしまった感があり、これは少し残念なことにも思われる。 映画の内容に関しては、素人目にはおおむね正論を言っている気がする。会議の場面では、ほとんど一方的な説明だけの内容を役者の力で見せており、またトラックの乗っ取りは別の話を無理にくっつけたようでもあるが、システム全体の脆弱性の部分をクローズアップして見せたということだろうからまあいいかと思われる。けっこう笑うところもあり、個人的には米軍の協力申出に爆笑した。改めて見ると結構いい映画だったようではあるが、この映画の公開が世間の大勢に全く影響を及ぼさなかったのは間違いないらしく、それはまあそんなものだろうという気もする。 ちなみに劇中では原子力がクリーンエネルギーという話が出ていたが、2011年の春頃に、代替エネルギーの一つとしてメタンハイドレートは使えないのかと何気なく口にしたところ、深海にあるためコストがかかりすぎて現実性はない、と20歳くらい年下の物知り男に説教されたことがある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-03 23:58:24)
24.  遠い日のゆくえ<TVM> 《ネタバレ》 
2011年3月13日にWOWOWで放送したとのことだが、よくそんな時期に普通にドラマの放送ができたものだと思う(翌日から東電管内で計画停電が始まる)。 特殊清掃の現場が出るのは、ホラー映画では最近ときどき見る(笑)ので個人的感覚としては珍しくないが、「おくりびと」(2008)と同様に、人間の死に近づくことで逆に生を意識するためには好都合な設定である。全ての人間に人生がある(あった)ことの重みを知るのは若年者にとって大事なことだろうし、また単に一人の人生を生きるだけでなく、生命を次代につなぐ話になっていたのは喜ばしいことで、終盤で三世代が出会って交歓する場面は泣けるものがある。そのほか、金沢にいた気のいい女子大生はどういう位置づけかわからなかったが、主人公にとっては頼れる姉ちゃんのような存在だったらしく、この金沢パートも非常に心和むものがあった。  ただし、その生命を次代につなぐ部分が非常に都合のいい話になっていたのは必ずしも納得できない。低年齢での出産は基本的に各種リスクが高いものと思うが、このドラマでは生まれた娘がその後に何の支障もなく幸せな結婚をし、かつ所得面でも非常に恵まれた状況にあるように見える(はっきり言って裕福)。その上で、第二の低年齢出産を認めざるを得ない筋立てを作ってしまい、あらかじめ異論を封じているようなのは卑怯ともいえる。これは特定宗派のPRドラマだろうか。 また、途中で出た悪人顔の依頼者の言葉は間違いなく真実の一面を衝いており、これに続いて社長がこの仕事の意味を語った言葉も的確である(ぼかしたところを含めて)。これを聞くと決して綺麗事だけの話ではないように見えたのだが、しかし終盤でこの社長までがドラマの方針に合わせたように変節するのがまた困ってしまう。何だか主人公の成長話にするため無理にひん曲げてしまった印象があったが、若年者向けのお話とすればまあこれでいいのかも知れない。それにしても母親を死なせてしまった心の傷をどう解消したのかは不明だが。  なおラストでは主人公が説明台詞で長々と独白していたが、ここは視聴者に対する丁寧な説明の意味だけでなく、実はこの主人公も日記をつけ始めたのだと解したい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-20 12:21:52)
25.  都市霊伝説 クロイオンナ 《ネタバレ》 
分類としてはホラーだろうが、怖い場面はごく限定的である。あとは意味ありげな構図の取り方とか小道具とか控え目な音楽で一貫した不安感を出しており、その雰囲気だけでも一定の評価をしたくなる映画である。誰かがジーッと見ているのを「ジーッ」という音で表現していたようなのは面白い(微妙なので勘違いかも知れない)。 劇中では心霊現象が外的に起こっているのか、あるいは登場人物の内的な現象なのか区別がつきにくくなっているが、また一方では心霊現象なのかどうかの境界上にあるようなエピソードも見られる。例えば風船割りの夢は病気の予知夢とも取れるが、あるいは尻が痛いという事実がまず先にあって、これを深層心理で合理化しようとした結果が夢になって出たとも取れる。また電池の入っていない目覚まし時計が鳴るのは明らかに異常だが、このとき従業員が「わけわかんね」現象に分類して日常の中に押し込めたように見えたのは非常によかった。自分のことで精一杯で、心霊現象のことなど考える余地が全くないというのは意外に強いのかも知れないと思わされる。 そのほか微妙なことだが、登場人物が車内で話しているすぐ外を自転車に乗った人間の姿が流れて行ったのは一瞬驚かされた。これは別に心霊現象ではないのだろうが、仮にそうだったとすれば、衣服の色が白いことが邪霊でないことを意味していたのかも知れない。  ところでストーリーとしては何がどうなっていたのか丁寧な説明はなかった感じだが、基本的には母親と子の関係が主な話題になっていたらしい。劇中では、関係が破綻したようでも母の愛は確かな事例、母親に拒否されて自棄的ながらも柔軟に生き延びようとしている事例とともに、母親に呪詛されているとしか思えない事例を並べていた。この3番目がどういう経過でこうなったのか不明だが、これはこれで歪んだ愛ということなのか、あるいは母親の自己愛の延長ということなのか。こういう問題の当事者になったことがないのでわからないが、とりあえず母の愛は強かったということだと思っておく。 なお主人公姉妹は二人とも美形だが、顔だけでなく体型的にもきれいな人を揃えたのが印象的である。姉役はともかく、妹役の女優はほとんど映画初出演(多分)ながらこんな役というのも大変なことだった。どうか今後とも頑張っていただきたい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-06-02 20:07:10)
26.  とある飛空士への追憶 《ネタバレ》 
全体として何が表現したいかは理解可能であり、雰囲気も大体伝わるので悪い話ではないとは思うが、残念ながら見る方の気持ちがついて行かない。特に初見時に問題と思ったのは、当初は控え目に見えたヒロインが途中で豹変してツンデレ化することであり、これはいかにも美少女アニメ的な悪ふざけとしか思われない。またクライマックスもほとんど気分が高揚せず不完全燃焼に終わった感があり、ここに至るまでの盛り上げに何らかの問題があったのだろうという気がした。 その後に一応原作を読むと、基本的な構造を損なわずに短縮しているのはわかったが、やはり細かい人物描写や台詞に出ない言葉を省略したことに無理があったと思われる。特にヒロインの人物像に関しては、原作の少し複雑な設定は完全放棄して単純化し、例えば当初のおとなしい人物のまま次第に思いを募らせていき、ラストに至って初めて感情を爆発させるとかの方が、短い映画の枠内に素直に収まった気がする。 また終盤で、主人公が愛機の心を思いやる(または、自分の思いを愛機に仮託する)箇所が省略されていたのは残念だった。アニメで表現するのは難しいだろうが、これがあってこそ主人公が最後にわざわざ飛んで来て「踊ってる」理由も明らかになるというものである。ついでに軍艦の機銃員が思わず撃墜したくなりそうな危ない動きも避けてもらいたかった。  ところで声の出演に関しては、特に最初の方で主人公の声が生硬に思われるところがあったが、後半はまあ慣れた。ヒロイン役に関しても、そもそも人格設定に一貫性のないキャラクターの役をそれなりにこなしていた印象がある。 そのほか、ヒロインの姿は原作の挿絵よりは抵抗感がないので結構である。また海空の映像もそれなりに印象的だが、まあこれがなければこの原作を映画化する意味そのものがなかっただろうとは思う。全体として佳作ともいえないが駄作という感じのものでもなく、暖かい目で見ればそれなりの感慨を残す映画ではあったので、原作に免じてここは少し甘い点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-02-16 23:23:15)
27.  トラベラーズ 次元警察 《ネタバレ》 
劇中の「次元警察本部」の所在地は台北だったようで、4つのパラレルワールドにわたってストーリーが展開されるため設定の上ではスケールが大きいが、実際はどこに行っても台北にしか到着しなかったようなのはこの本部の管轄が台湾限定だったからか。その割に主な登場人物がことごとく日本人なのは変な世界だが、日台合作なのでまあいいことにしておく。出演者も多くはないが、4つのパラレルワールドそれぞれに対応する人物が存在する設定のため1人を最大4人まで増やすことができ、けっこう複雑な人間関係になっている。これは少し面白いかもしれない。  ところで長澤奈央・木下あゆ美の2人は以前の戦隊シリーズの人気ヒロインだが、3人目のゴスロリキャラも仮面ライダーのヒロインだったのは知らなかった。その他男連中も過去の東映特撮の出演者を充てており、またスーツアクターが顔出しで出ているのはマニア向けの趣向かも知れない。 上記2人がWヒロインで出ているからには、すらりとした脚で激しいアクションを展開するようなものが期待されているのだろうが、そのような期待にはそれなりに応えていると思われる(一部は代役らしいが)。また長澤奈央に関しては特に胸が強調されており、唐突なシャワーなどグラビア風の場面もあったりするが、ストーリー上でも2人が同列ではなくこの人の方がメインになっているのは少し意外だった。2人は基本的には相棒のはずなので軽妙なやり取りなどがもっとあると面白かったろうが(少しあるが)、ストーリーの都合上、そういう場面があまり作られていないのは残念だ。  当然ながら大感動作というほどのものではないが、事前予想をそれほど裏切らない内容にはなっており、東映特撮ファンであれば愛情をもって見られる映画になっているのではないかと思われる。ただし鼻血は汚いのでやめてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-12-10 18:54:27)
28.  東海道お化け道中 《ネタバレ》 
いま思えば「ガメラ対大悪獣ギロン」と併映で見たのがこの映画だった。話の筋は忘れていたが、赤く染まる杯、刃物を捨てた場面と枯木の怪は憶えており、子どもにとっては十分怖い映画だった。個人的にはこれが妖怪映画の原点である。 この映画でも妖怪は集団化してしまっているが、場所にまつわる個別の怪異として現われる場面もあり、本来の妖怪談としての味わいが出ていたように思う。また今作でも妖怪は別に人間の味方をしていたわけではなかったようで(そう見えるのはたまたま)、妖怪は怖いものという前提を基本的には崩さない姿勢が感じられた。  それで、ストーリーの方は第一作の雰囲気に戻ってまるきりの時代劇である。画面で見る限り、登場人物は東海道を藤川宿(江戸から37番目)-浜松宿(29)-由比宿(16)-蒲原宿(15)と移動していたが、子役の台詞では掛川(26)の名前も出ており、またDVDの資料によると「八ツ墓山」は岡部(21)にあったらしい。ほか「蛇骨婆」の出身地は袋井(27)とのことだが、出たのは浜松の前なので出張していたと思うしかない。浜松から富士が大きく見えるとか、最初の藤川宿を「駿州」と言うといった考証的な問題もあるが、まあそういうのは大目にみるものだろう。 また古風な人情劇でもあり、特に子役の女の子が健気で、DVDの「索引の巻」十三の題名が「古城門昌美ちゃん名泣き芝居」とか書いてあるのは笑った。主人公の博徒としては、おれも堅気で所帯を持っていたらこんな娘がいたかもな、と思って世話していたのだろうが、最後は惚れて尽くした女にあっさり裏切られたように見えていたのが可笑しい。一時の夢に終わった悲哀感もあるが、まあ親の情をしっかり見せた方の勝ちに終わったのは仕方ないだろう。もう一人の少年もけっこう誠意をもって頑張ったのに報いがない感じで、あとは残った二人だけで親交を深めてもらえればと思う。  ところで「蛇骨婆」の話では東海道の宿場ごとに妖怪の一族がいるということだったが、天地開闢以来そうだったわけはないので、これはもともと全国各地に一定密度で分布していたのが、江戸幕府の五街道整備によって人の流れが活発になり、そっちの世界でも東海道沿いに横の連絡がついたと解釈すればいいのではないか。このへんな生きものは、まだ日本にいるのだろうかと思うが、いるわけないなどと言うと、いる、と言って出てくるかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2012-11-12 22:03:36)
29.  富江 replay 《ネタバレ》 
伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の映画化第2作である。第1作の続編ではなく完全に独立した別の映画だが、エンディングテーマは第1作とアレンジ違いの同じ曲を使っている。音楽についてはサントラCDまで出ていたりして、この当時はそういうところにも力が入っていたらしい。 今回は原作の「地下室」の話をもとにして、第1作よりは原作に近い雰囲気を出している。ただし一般の心霊ホラーのような演出で、自宅に何か出そうだとか押入れに何かいるとか天井を這っていたとかいうような場面もあるが、少なくとも自分はその手の怖がらせを富江映画には求めていない。また険悪な面相の特殊メイクなども不要である。 ドラマ部分では、いろいろあっても人間を信じたい、というようなことがバケモノとの対比で語られており、結局最後に愛が勝つストーリーだったのは大変結構だと思うが、一方で死ねない苦しみ、悲しみまで表現されていたのはバケモノの擬人化が過ぎる。分裂して増殖する生物?がもう終わりにしたいなどとは思わないだろうし、そもそも人を破滅させるのが生きる喜びというのが富江だろうが、まあそういうところがこの映画の特色かも知れない。  今回の富江に関しては、文句なしに美形だが少しきつい感じで、男の前に脚を伸ばしてみせておいてはぐらかすような行動は好きだ。なぜか出番があまり多くなかったのは残念だが、ラストで首だけになった顔は可愛らしく、自分なら投げる前にほっぺたを撫でたくなるだろうと思った。 またわずかながらドッキリ系の驚愕場面もあったが日本人形の件などは嫌いでない。主人公が可哀想な少女の自宅に行ったところで黒い影がヒラヒラしていたのも意味不明だったが悪くない(風で回転する葉っぱの影か)。また別の部屋にいた主人公が来て、男に毛布をかぶせたところは純粋にいい場面だった。 そのほか余談として、劇中語られていた「踏み出せばそこに道ができる」というのは、いかにも飲食店店主(自営業の創業者)が言いそうなことなので笑った。確かに、人生そのように自ら心に決めるということが大事である。
[DVD(邦画)] 5点(2017-11-20 20:53:32)
30.  富江 アナザフェイス<TVM> 《ネタバレ》 
伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の実写化である。シリーズ初の映画「富江 tomie」(富江役:菅野美穂)と同年に放映されたTVドラマで、同じ女優が違う富江を演じる3話オムニバスになっている。  【第一話】「クラスメートの富江が、死んでしまいました」のナレーションは原作最初のエピソードとほぼ同じ。女子高生を主人公とする学園ドラマの体裁で、殺しても生き返るという基本的な特性を見せている。富江役の女優は当時17歳くらいだろうから年齢的に最も違和感がなく、上ずったような甘ったれた声には笑ってしまう。「どうしてそんなひどいことを言うの…(泣)」が好きだ。 【第二話】カメラマンを主人公にして“富江は写真映りが悪い”という特徴を扱っている。劇中2人の富江が出ており、思い出のお姉さんの方はまだしも夜の女が踊るあたりは少し無理があったようだが、まあ笑って許す感じになっている。 【第三話】全体構成上の「転」「結」に当たる部分で、前2話でも顔見せしていた富江バスターのような男が表に出て来たが、富江退治には失敗していた(当然だ)。警察の記録で、制服姿で磔になっているとか浴衣で川に半分浸かっているとか多様な死体を見せていたのはいちいち着替えて撮ったのだろうから手間がかかっている。  ストーリーはほとんどオリジナルだがそれほど違和感もなく、オムニバス形式なのが原作マンガらしい雰囲気を出している。富江役の永井流奈という人は美少女ともいえるがカワイイ方へ寄った感じで、グロい場面は皆無だが(エロい場面もあまりないが)妖しいかわいさのある富江が見られる意義はある。安手の作りではあるが、現在までの実写化の中では最も普通に富江っぽい話になっていて好きだ。
[DVD(邦画)] 5点(2017-11-14 19:27:56)
31.  富江 tomie 《ネタバレ》 
伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の映画化第1作である。現在までの間に映画が8つ、TV番組が1つで計9つの映像作品ができているが、この映画が初の実写化である。 原作通りでは全くないが原作の要素は一応取り入れており、皆で殺してバラして捨てたが学級崩壊というのは原作最初のエピソード、写真をばら撒いた主人公の氏名は「写真」からだろうし、一見わけのわからない結末も「地下室」で、富江が他人の身体を乗っ取った話が背景になっていると思われる。そのようにして作った話の上に、この監督の作家性ということなのか、変に女の子っぽい感じで色づけした形になっている。インタビューでは主演女優が「女の友情」の話だろうと言っており、また監督本人も富江は友達に会いに来たと説明していたのを聞くとさすがに話が違うのではないかと言いたくなるが、まあそれがこの映画の特徴ということらしい。  またこの映画では、前半はわざと富江の顔を見せずに期待感を盛り上げる形にしたらしい。それ自体は別に悪くないが個人的に問題だと思うのは、いざ富江が顔見せすると、どう見ても絶世の美女に思えないので正直落胆を禁じえないことである。当方としては初めから菅野美穂とわかっているので過度の期待はしていなかったわけだが、それにしても何というかいわばボサボサ感のある外観には納得いかない。ただ原作者本人も主に目の印象からこの女優を推していたとのことで、それを聞けばまあ確かにそうかも知れないと思うところもなくはない。 また終盤も何が起こっていたのか全くわからず困ってしまうが、それでもラストの一瞬の映像に唖然とさせられ、空になった頭の中にエンディングテーマがすらりと入って来る流れには妙に納得させられた。キャスティングを含め、最終的にはこういう作りでよかったのだと思わされたのは騙されたような気もするが、しかし単純な怖がらせだけの安手のホラーに比べれば、まだしも一応の映画を見せられた気はしなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2017-11-14 19:27:53)
32.  独立少女紅蓮隊 《ネタバレ》 
DVD特典の対談を聞くと、発想の原点になったという渋谷のエピソードには共感できるが、わかるのはそこまでである。 まず、この映画の属するシリーズの名称からすると笑える映画として作られたもののはずだが、実際には申し訳程度の悪ふざけを入れてあるだけで、具体的に笑わせる場面は皆無である。国家体制に対する皮肉な笑いという理屈付けをしているのかも知れないが、現実問題として笑えなければ少なくともコメディではない。 コメディでないとすればシリアスに取るしかないわけで、劇中の「王国」が監督の出身地であることからしても、どうしても真面目に取らなければ済まない雰囲気はある。見る側の世代や主義主張によっては無条件で賞賛されそうな体裁なのは厄介だが、実在しない政府機関のありそうもない所業や人物像を創作してまでわかりやすい悪者を用意するのは幼稚で卑劣である。 しかし同時に、なぜか日の丸を背景にした宣伝写真とか非人道的なテロリスト養成とか思想統制を思わせる「プロパガンダ」といった言葉などマイナスイメージのあるものを平気で使っており、こういうものをこの映画として肯定しているということなのか、あるいは冗談めかした逃げの姿勢ということか。若年者が仲間内で面白がるようなものに真面目に突っ込むと冗談だから許せと言われそうで腹立たしい。 それでも最大限好意的に見るとすれば、いい加減な部分は全て娯楽映画としての飾りに過ぎず、要は「王国」の民の心情を伝えることが中心テーマだったと取れなくはない。住民の切実な思いというのは確かにあるだろうが、しかし未成年者の思い付きのようなストーリーに乗せて伝えるのでは無責任な自己表現以上のものにはならず、映画全体に通底する茶番感とあいまって反感だけが残る。そもそも母親がナショナリズム(民族主義)のためにわが子が戦いに赴くのを支持するなど常人の感覚では信じがたい。 最終的には「王国」自体のことよりも、「王国」をネタにして自分の反抗心か何かを表現したい、またはそういう人々に評価されたい映画にしか見えなかった。実際の意図はどうあれ最低限、反感を煽って「王国」とそれ以外の離間を図るようなことはやめてもらいたい。平和ボケの時代の無責任な映画に今さら苦情を言っても仕方ないだろうが。 なお点数は中身と無関係に付けたので参考にはならない。上記以外の面での評価は別のところで誰かがしただろうと思っておく。
[DVD(邦画)] 5点(2017-06-21 19:32:13)
33.  独裁者、古賀。 《ネタバレ》 
気弱な男子高校生が壁を壊して前に進もうとする話である。基本的には良作と思われるが、しかし自分としては登場人物が不快なために見るのが苦痛だったというのが正直なところである。 まず主人公は単なる馬鹿に見える。本当に臆病ならもう少し用心深いのではと思うが、攻撃される危険のある場所にわざわざ大事なものを持って来て、案の定奪われるのは普通一般の知能を備えた人間とは思われない。こういう度を越して愚かな人間は共感どころか憐憫の対象にもならないのであって、こんな奴の人生は初めから終わっているから今さら何しても仕方ないだろうという感覚が最後まで尾を引いた。これはもしかするとイジメを“する”側の立場に観客を置こうとする試みなのか。 また担任教員が優柔不断なのか大勢順応的なのかわからないが良心というものが見えない男で、そのため女子生徒の自己判断とされていたものも、実は担任教員が裏で圧力をかけたのではないかと疑われた。終わってみればそうでなかったことはわかるが、この男の人格自体を認めたくない心境になってしまってからではもう挽回できない。主人公(馬鹿)を含めて、過度の反感を持つことのない人物造形にしてもらいたかったものだと思う。 ちなみに主要人物以外では、小柄な女子生徒がどういう役回りなのかわからなかった。眼鏡っ子が差別されていたのも意味不明である。  ところで進学校という設定は何の役に立っていたのかわからない。もしかすると迫害側の女子生徒が妙な観念論を述べたり文語調の表現をしたりするところに生きていたのかも知れないが、自分としてはそういう小理屈のようなものは聞きたくない。この進学校という設定のため、それにふさわしくない様相を呈する登場人物や校内の状況がストーリーの都合で不自然に作られたものに見え、個人的にはこの映画への共感を一層妨げる結果になっていた。 ただ実は進学校というのは口先だけで、体面ばかり気にして内実が伴わない自称進学校だったのかとも思われる。そう考えれば、迫害側の女子生徒が本来自分のいるべき場所でないところに置かれていることで苛立ちを募らせ、それが馬鹿の虐待につながったとも取れるので、これは案外そういう理解でいいのかも知れない。 なお「独裁者」という言葉の最終的な意味付けはよかったと思われる(自分の理解が正しければ)。またヒロイン役の村上穂乃佳という人は、「人狼ゲーム クレイジーフォックス」(2015)で見たときは悪役風で好きになれなかったが、この映画では内向的な普通の少女役が好印象だった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-01 13:44:27)
34.  ドロメ【男子篇】 《ネタバレ》 
一つのストーリーを男子、女子それぞれの視点から二本の映画にした「青春ダブルアングル・ホラー」のうちの【男子篇】である。男女篇が互いに不明部分を補完し合っているところがあるが、主に女子篇での謎を男子篇で解く形になっているため、順番としては女子篇を先に見るのが明らかに正しい(男子篇を先に見たのは失敗)。 男女篇とも冒頭からいわゆるポップな雰囲気を前面に出しており、特に男子篇はほとんどコメディでホラーらしくない(ママの顔だけ怖い)。コメディとしての可笑しさは、バカな男子連中のやらかすことを単純に面白がれるかどうかにかかっているが、しかし個人的感覚としては単にバカだと思うだけで全く笑えず、ボーイズラブ寸前のじゃれ合いも鬱陶しい。また過呼吸とか胡麻餡を垂らす場面がくどいため間延びしたように感じるのは男女篇共通だが、特に男子篇では無駄にしか思えない場面があったりもする。かろうじて前後篇でほとんど唯一の泣かせどころがあるのは男子篇の特徴だったかも知れない。 この映画が売りにしているのはクライマックスのドロメ退治だが、ここは爆笑とはいかないまでも可笑しさはわかり、また「終」を出すタイミングも失笑を誘う。そこからエンディングにつながって、花火ダンスの再現で盛り上がるのも映画の終着点として納得いくものになっていた。終盤の展開は東映戦隊シリーズの流れを汲むものに見えたが、ただしそのように見るとエンドロール後の追加部分が不可解ということになってしまう。実際ここは女子篇の方が本来のあり方であって男子篇は捻りを加えた形のため、この点でも女子篇を先に見るのが正解だという気がした。  ちなみに男女篇に共通だが、劇中の比嘉梨乃さんと岡山天音の関係性が非常に可笑しい(小道具製作とスパゲティの場面に注意)。これに関する舞台挨拶での話を聞くと役者の素顔も見える気がして面白かった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-08-25 22:08:28)(良:1票)
35.  TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ 《ネタバレ》 
公開初日の夜に見たが、特に待ちかねていたというわけでもなく、どうせそのうち見るなら余裕がある時に見ておくという程度のことである。 見た結果としては、やっていること自体は否定しないが全面的には乗れないという微妙な状態だった。展開が早いため咀嚼している暇がなく、直前に何があったかも忘れてしまう。ギャグ連発のため笑える観客は笑えるだろうが、自分として笑ったのは3箇所だけだった(チョーキング、フレームアウト、寒いので○○○と叫ぶ)。他の観客が声を出して笑ったのは犬の発情場面だったようで、ほかにも下劣なネタが多かったが、最近見た映画との比較では「みんな!エスパーだよ!」よりは穏健である。 ウラシマ効果のようなものが短時間で拡大していくのは本来切ない展開のはずだが、主人公がバカのため話が全く重くならない。ストーリー全体として何かを語るというよりも、個々の場面でちょっとした人生訓を軽く織り交ぜながら進める形になっている。正直少し長いと思ったが、終盤のキス(鳥と老婆)のしみじみ感からエンディングのライブに続く盛り上げなどはそれなりの感じだった。  登場人物としては、主人公はバカだがヒロインの人物像は好印象である。森川葵段階ではまだ人間性を量りかねる状態だったが、宮沢りえ段階に至ってこういう人だったのかと落ち着くところがある。赤鬼娘も強面ながらかわいいところがあって結構だった。 また出演者が豪華にもかかわらず誰がどこに出ているかわからないのは、神木隆之介も出ていた「妖怪大戦争」のようでもある。個人的にはほとんど誰にも気づかないで終わったが、「大木家のたのしい旅行」で地獄の執事だった荒川良々が天国にいたのは微妙なジョークにも見えた。 なおこの映画で改めて気づかされたのは、畜生道に落ちると次の生存期間が極めて短く終わる恐れがあるということだった(劇中ではほとんど瞬殺)。とりあえず人生を大事にしましょうということになるはずだが、地獄の方が居心地がいいというのでは教訓にも何もなっていない。
[映画館(邦画)] 5点(2016-06-26 13:40:38)(良:1票)
36.  殿、利息でござる! 《ネタバレ》 
劇中では特に説明がないが、黒川郡吉岡は伊達家重臣のいわば城下町のようなもので、そのうち町人町に当たる部分が吉岡宿である。遠景で小山が何個か固まって見えるところは「七ツ森」と呼ばれており、これが景観的にこの場所であることを印象づけている(ちなみに仙台からは反対側が見える)。現実の吉岡宿が映像に出たような場所だったかは不明だが(もっと街が大きい、家々の裏手に山林はない)、最後に現在の風景など出して連続性を感じさせるようにはなっていた。 全体としては気楽に見られる内容になっており、特に序盤では、都合の良すぎる展開を笑いに転化してスピーディにこなしていたのがよかった。終盤になるとまた極端に都合良すぎの展開になって、何から何までいいことづくめで終わったようだが、主人公が数年後に亡くなってしまったのは事実らしいので、それ以外の部分が完璧ハッピーエンドであることも気分的には正当化される。ちなみに個人的に泣ける場面などは特になかった。 キャスト面では、役柄との関係で印象深かったのが松田龍平と千葉雄大で、うち大肝煎様はまるきり年齢不詳に見えるのが面白い。ほか「暗殺教室」で見たはずの山本舞香という人がどこにいるか意識しないまま終わってしまったが、自分が気づかなかっただけで実際は結構目立っていた。  ところで江戸時代でも「大名貸し」自体は普通にあったことだろうから、相談しただけで処罰というのはコメディらしい誇張ではないか。それより劇中の事例が特徴的なのは、各種事業者が共同で地域全体の共通利益のために行ったという点であって、今でいえば商店街とか温泉街の維持発展のために事業主有志が尽力するようなものだろう。劇中の例では結局、資産家の個人的な人徳に頼る形になっていたが、「無私」などとあまりご立派なことを言わずに、われ人ともに栄えるという志をみなが少しずつでも持とうということであれば、現代にも十分通用する話と思われる。 しかしこれが実際に貸付金だったのか出資金のようなものなのか、あるいは献納を条件に実質的な交付金が出るようになったのか、というあたりは何となくごまかされたような気もした。そもそも主要街道(現在の国道4号)の伝馬を運営するための対策が、伊達家直轄領と家臣の拝領地で統一的に行われていないことが真の問題だった気がするが、まあ大昔の幕藩体制に今更もの申しても仕方ないので、今も昔もやるべきことは初めからちゃんとやりましょうという話である。
[映画館(邦画)] 5点(2016-05-28 14:11:06)
37.  東京うんこ 《ネタバレ》 
若手の村松英治監督(1980年生)の初長編映画とのことである。現代日本では「東京…」という映画が多いのが目に余るが、この映画は「…」の方のインパクトで人目を引いており、かつ何で「東京」なのかという理屈も一応ついている。 基本的にはコメディなので主にウンコネタで笑わせようとしているわけだが、それが本格化するのは絵本を出版するあたりからで、それまではとりあえず黙って見ている必要がある。面白くないギャグも多いが、本当に笑うところもある(個人的には「うんこ!」「ブッ!」のあたりなど)ので虚心に見ることが望まれる。 登場人物としては、まずは関西弁の女(演・宮沢マキ)の人柄がほとんど映画全体を支えており、また友人の男女もいい味を出している(寒い男など)。一方で同居の男はキャラクターを作り過ぎで受け入れがたいところがあるが、その辺はまあ我慢のしどころである。 ストーリーの面では、うんこをメインにしてこういう話を作る必然性は特に感じられず、単なるギャグネタに終わっている気もするが、そもそも出版社の社長が語る理屈が無理やりだったりするので、これはこういうものと思うしかない。それより関西弁の女の東京に対する意識が変わってきたというのはなかなかいいオチであり、これはうんこ映画というよりも、大都会東京の持つ一面を描いた映画だったということかも知れない。 なおDVDのチャプターの題名が中身と全く関係ないのは非常にふざけている。これではチャプターメニューの意味をなしていない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:36)
38.  東京ゴミ女 《ネタバレ》 
廣木隆一・三原光尋・行定勲・篠原哲雄・塩田明彦・三池崇史の監督6人が、デジタルビデオを使って700万円以内で純愛映画を撮ったという「ラブシネマコレクション」の1つである。 解説文によるとこの映画は「女の子の日常を繊細かつキュートに描いた珠玉の青春映画」とのことだが、見ると必ずしもその通りとは言い切れないものがある。とりあえず主人公は粗野で無神経でガサツな女であって、その延長上にゴミ漁りもあるのだろうとしか思えなかったが、しかし2/3くらい経過したところで意外にも、このゴミ女がただの女の子に大変身してしまったので驚いた。舞台挨拶で主演女優が「女性ならわかってもらえる」と言っていたので、これでも普通の女子の心情の範囲内で起こりうることだったらしい。 男はその領域に踏み込むことが特に期待されてないかも知れないが、ただし映画全体の作りとしては、終盤で事態の収拾にかかるとともに映像的にも開放感が出て、最後は常識人の世界に一応回帰する形で終わるので、性別関係なしにちゃんと映画を見たという感覚は得られる。結果として女の子の心情をわかってあげられなかったという気はするものの、それなりに悪くない映画という印象は残るのだった。  なお考証的なコメントとして、自分は別映画(「第五福竜丸」「ゴジラ」「美女と液体人間」)の関係でわざわざ江東区夢の島へ行ったことがあるが(JR京葉線新木場駅下車)、公園やマリーナがあり、5月の晴天の日だったこともあって爽やかな感じの場所だった。劇中の船が向かっていたのはここではないだろうが(さらに南の新しい埋立処分場?)、それにしても資源物も可燃ごみも分別せず、中間処理も何もなくただのゴミ袋を持ち込むというのも困ったことである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:30)
39.  都市霊伝説 幽子 《ネタバレ》 
学園ホラーのような感じで特に凝ったところもないようだが、映像・音響面の印象が良好で雰囲気としては悪くない。 ストーリーとしては何がどうなっていたのかよくわからないところもあるが、最後に主人公が題名の人物(本名は夕子)を受け入れてやろうとした行動は少し意外だった。この決着のつけ方が当初の事件の背景を暗示していたようでもあり、また終盤からエンディングにかけての意味不明な映像は、主人公が夕子を抱いたまま火葬炉に入ったと取れなくもない。ほかに各種の疑問点が残るが(成人の役者と子役の人数が一致しない、一人だけ同意書に署名していないなど)、意図的なものかどうか不明のためあまり突っ込んで考えないことにする。  ところで自分がこの映画を見た動機は女優のキャスト順で1番目の人を見るためだったが、前年の別のホラー映画であまりにかわいすぎる演出だったのに比べると今回はそれほどでもなく、普通にすごくかわいいという程度である。この人を含めて、この映画では若手女子が6人も揃っている点が大きな見どころになりそうなものだったが、実際問題としてはやかましい連中という印象の方が強かった。 そのほかDVD特典によれば、夕子の中の人も当時17歳程度の若年女子だったようである。劇中の目だけ見てもこれはやはり女の子だなとは思うわけだが、実際に素顔を見ると、この相手なら主人公の最後の行動もありえなくはないと思ってしまう。  なおどうでもいいことだが、劇中の児童がプールで死んだのを見ると否応なしに「告白」(2010)とか「麒麟の翼」(2011)を思い出させられる。この映画は殺された本人が復讐する話であるからごく自然な展開であり、また隠蔽した教員が最初に死んだのも真っ当な因果応報ということになるだろうが、それが前記映画のようなメッセージ性につながっているわけでもなく、単に思い出させられて終わりのようだった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-06-29 19:30:36)
40.  特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション 《ネタバレ》 
木下あゆ美という人が一番若かった頃にどんなことをしていたか見るのが鑑賞目的だったが、実際はあまり目立っていないので少し落胆した。この人(イエロー)が冒頭で言っていた「なんたるチア、サンタルチア」というのは、うちの元上司(団塊世代)の口癖だったため脱力感を覚えたが、これはそもそもこういうキャラクターだったらしい。 一方、ピンクの人はひときわ小柄で宇宙警察にしては可愛すぎだが、中盤でこの人のお風呂シーンがあったのは少し驚いた。これも外部情報によれば入浴が趣味とのことで、それならグリーンとかイエローと同じようにナレーションで説明してくれればよかっただろう。TVではこれが定例行事になっていたのだろうが、この劇場版ではゲスト出演の人も一緒に入っていたのがスペシャル感を出していたのだろうと想像する。 このゲスト出演の人はお姉さんキャラで、落ち着いた役柄をけっこうシリアスに演じているためレギュラーのおちゃらけた連中との対比が変に際立つ。この人が悪人の前に横たわり「何でも言うこと聞くから」などと言うので、そんなことを言うと凌辱されてしまうのではと心配になったが、戦隊モノなのでそういう展開ではないのだった。それにしても、もう少し格好いい衣装を着せてあげればいいだろうにと思う。 また一瞬だが「忍風戦隊ハリケンジャー」に出ていた敵の女幹部2人がさりげなく友情出演していたのは、その劇場版を見たばかりだったため微妙に嬉しかったりする。個人的好みとしては小柄な方(山本梓)が可愛いと思うが、以前は「宇宙コギャル」と呼ばれていたのに今作では宇宙女子大生に成長していたようなのは喜ばしい。 なおこの映画を見た裏の動機は「白鳥スワン」(同義反復)役の人が出ていたことで、見るとさすがに容色はわずかに?衰え、演技の面でも少々心もとない感じだが、自分の世代からすればこの人の顔を見るだけでも幸せである。  以上が女優に関するコメントである。  そのほか全体としては、戦隊と宇宙刑事の融合というのが目新しく、刑事ドラマ風に“夜の大都会”の風景がさりげなく入れてあるのが笑える。序盤で、エレガントな感じのお姉さんに「いい人ね、あなた」と言われてしまうバカがレッドだというのは心外だったが、ほかに頼りになるイヌ顔のボスがいるので安心なのだろう。この人が変身した姿はさすが宇宙刑事という感じで格好いいのだった。
[DVD(邦画)] 5点(2013-12-10 18:54:20)
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