1. PLAN 75
《ネタバレ》 少子高齢化で社会保障制度が破綻した国家が「PLAN75」という窮余の一策によって問題の解決を図る、というシナリオは、斬新とは言わないまでも近未来SFのひとつのアイディアとして「今の時代だからこそ」生きて来る設定と言えないことはないと思います。ただ、(元の短編作品は未観賞ですが)長編作品としての掘り下げ方はもう少し何かあったのではないかと思えてしまいました。 登場人物は老いも若きも日本人も外国人もそれぞれに悩み疲弊し、眼前に迫る課題に対しての何らか答えを見つけようと煩悶する。やや削ぎ落した感のあるエピソードではあるものの、主演の倍賞さんは勿論のこと出演者の好演に支えられ、重過ぎず軽過ぎず観る者に(一人ひとりの今のライフスタイルや年齢に応じて)現実味をもって迫ってくるものを感じました。倍賞さん演じるところの主人公の最期の選択には、単に尊厳死を否定することだけではなく、それでは老いても生きることにおける希望とは何か、ということを考えさせられました。 にも関わらず何か絵空事のようにも感じてしまう。その理由のひとつには、「PLAN75」が(もし現実化するのであれば)今まさに必要な施策であって、いつだか分からない未来将来の話だとすれば実効性の低い施策にしか思えず(放っておいても近未来には人口ピラミッドは推移するので)、同時に対象年齢の者にとっては、仮令漠然としたものであっても「死」を現実のものとして受け止めてでもいない限り、さして喫緊の課題にはならないだろうと思えてしまうということがあります。 端的に言わせていただくのならば、興味深いけれども今ひとつ我が身のこととは思えず感情移入しにくいということかも知れません。年齢的には十分片足突っ込んでいる私ですが。 真面目に現代の社会問題を捉えた作品であることは間違いないとは思いますが、何か釈然としない思いが残り6点献上に留めたいと思います。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-04-18 10:12:34)(良:1票) |
2. プリズナーズ・オブ・ゴーストランド
《ネタバレ》 この世界観は決して嫌いではなく、第一印象としては寧ろ好きな分野と言うか好感を持って受け止めました。シチュエーション的に、あるいはビジュアル的に好きなパートはいくつもありました。しかしながらその反面、受け入れ難い描写も多々あり、監督を始めとする日本人スタッフが作り上げた作品とは思いたくない部分もありました。 つまり、個人的には極めてツギハギ感のある作品という印象で、あたかも狙っているかの如く、B級時々Z級感を醸し出すべく用意した具材をゴチャ混ぜにして繋いだという感じでした。そして、その中心を成す線上で、敢えて日本文化や歴史観を蔑んでいると言うか貶めているとでも言いましょうか。 意欲的なファンタジーホラーあるいはファンタジーサスペンスと言うべきかも知れませんが、個人的にはシニカルでダークなコメディとして理解しています。もっとハッキリとした方向性を見せて欲しかった。ニコラスさんをもっと魅力的で感情移入出来るようなキャラに仕立てて欲しかった、といった感想です。残念。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-12-28 10:22:15) |
3. ブレット・トレイン
《ネタバレ》 原作は未読なのでシンプルに本作のみの感想です。 ひさびさに大いに笑えたアクションコメディ。と言っても大笑いではなく、全編通じてクスリとさせてくれるお洒落なコメディ。コテコテのアメリカン・コメディではないところがいいですね。 伏線回収だらけというのもまた愉快。なるほどと思わせてくれる過去の出来事とのリンクがあるかと思えば、小物を使って見え見えの無理やり感ある回収もあったり、矢鱈と多い回収ぶりですが回収の仕方も逐一工夫されてて飽きない。 一昔前の外国人目線による日本人のキャラや街の風景とかも、今更そりゃないだろというレベルで確信犯的に持ち込んでるところが楽しいです。挿入曲もまたしかり。 監督の日本愛なのか?それともブラピの日本愛なのか?ちょっと歪と言うか歪んだ愛かも知れませんが愛されるということは嬉しいものです。ラストの大事故を筆頭に只管荒唐無稽で非現実的な作品ですが、だからこそ手放しで楽しむべき作品でしょう。 作り手からの愛されてる感とラストを締める真田広之の存在感に+1点の8点献上します。 (蛇足)どう考えても「ブレット」じゃないでしょ「バレット」でしょ。映画とは関係ありませんがGibsonの「DOVE」を昔は「ドブ」と呼んでましたけれど、今では「ダブ」か「ダヴ」が普通だなぁということを思い出したりしました。邦題を命名した方が作品内の日本観を反映して懐古的にローマ字読みにしたのであれば、それはそれで深くて有りかも。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-08-25 00:11:34) |
4. ブラインドネス
《ネタバレ》 ヒロインの行動、人々の行動、そして人間の性の描き方…どれを取っても感情移入出来ず不満爆発、後味悪いことこの上ない。 ただ、制作者は敢えてこの表現、この展開を選択したことは間違いなく、この作品を良く評価するか否かは、全てその選択に共感するかしないかに尽きるといった感じです。確信犯的とでも言えばいいのでしょうかね? いずれにせよ、非常に宗教的感覚に溢れた作品。SFエンターテイメントとか単純なホラーとして観てしまうと制作者の意図が霞んでしまいますね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-04 02:48:42) |
5. PROMISE プロミス
《ネタバレ》 漫画や劇画の実写版って何で製作されるんでしょうか?この作品を観ていてつくづく思いました。ここのサイトでも激しく批判を浴びている実写版ものはありますけど、何故そんなリスクをおかしてしまうんでしょうかね?この作品の場合には、キャスティングと画面の美しさを追求し過ぎたから? で、この作品は別に実写版というわけではありませんよね。でも逆に、この世界を表現する手段としてはアニメの方がいいんじゃないかな~?などと思ってしまいます。 皆さんの失笑をかっている一番の原因は、CGやワイヤーアクションのやり過ぎ。でも、そもそもが起点不明の3千年の昔の物語。神も人間も同居している世界という設定なんだから、四足で高速走行しようが人間凧揚げしようが、今の世界と比較しても仕方のないこと。てか、必要なファクター。でも、観客が比較して、笑い転げて、仕舞いにゃ怒り出してしまうのは、全てが実写故でしょう。 是非とも同じ監督でアニメ版を作って、この雄大でいて切なくも哀しいテーマを表現して欲しいものです。実写版ゆえのキャスティングの妙や画面の美しさは、全体のバランスの中できっと吸収できるはず。ただし、もう少しストーリーを練り込んでね。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-20 07:57:53)(良:1票) |
6. BLACK NIGHT ブラック ナイト(2006)
全く怖くない!映像的には妙に古臭い!短編集だから暇つぶしにはなると思ったのに…やっぱり期待を裏切らない(これ以上裏切りようもない)作品集でした。あぁ虚しい… [DVD(字幕)] 3点(2007-12-08 02:17:35) |
7. フリージア
ん~、微妙!原作未読なのでこの作品のみで評価するならば、「観終わって特に何も残らない、玉山君と西島君ファンのための映画」と言わざるを得ない? ただし、つまらない訳ではありません。荒唐無稽な「水戸黄門」的作品として捉えれば、私は結構楽しめました。でも、邦画嫌いな方には耐えられないかも。 [DVD(邦画)] 6点(2007-09-28 17:26:40) |
8. 怖来
模倣を恐れず作り上げた意欲は買います。でも、悲しいかなやはり二番煎じ三番煎じ。観ていて期待感が湧くことはなく、出演者たちの一本調子の演技にも退いてしまう。そして衝撃のラスト?ちょっと無理が… コントっぽいでしょ、それじゃ?プロセスはともかく、結末のアイディアは古典的SFっぽくもあり… やはり、低予算ネットムービーの限界か?挙句の果てにタイトルは… え~~~~~っ!ま、とりあえず観てください。 [DVD(字幕)] 4点(2006-04-25 00:45:19) |