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1.  ぼんち
訃報を目にし、つい市川崑のベストは何か、なんて不毛なことを考えてしまった。おそらく何本もの作品が気分に応じて入れ替わり立ち現われてくることだろう。今の気分だと「ぼんち」だな。崑の女性映画のエッセンスが詰まっている。今なら誰もが船場吉兆の女将を思い出すであろう毛利菊枝、おとなしい役が珍しい山田五十鈴、ただただ「お嬢さん」な中村玉緒、しっかりしている指輪コレクターの若尾文子、ひたすら尽くす草笛光子(彼女のシーンで芥川也寸志はのちのNHK大河ドラマ「赤穂浪士」のテーマを使用)、モガの越路吹雪、色気なら京マチ子、女中の倉田マユミも大映時代の崑作品の貴重な配役だ。これら最強キャスティングに、男は雷蔵と船越英二で対抗。強い女に対する弱い男の抵抗のドラマは、当然のように男の敗北で終わり、女性への畏れと賛仰が後に残る。演出スタイルはもう完成しており、崑の一つの頂点だと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2008-02-14 12:24:30)(良:1票)
2.  ホーホケキョ となりの山田くん
ディズニーがひたすら縮小再生産しているのに対し、ジブリはあえて困難な企画で実験作品を手がける。この心意気を買いたい。冒頭の、イメージが次々と横滑りしていく感覚は見事だし(ボブスレーからウェディングケーキに至ったり、街を練っていくカタツムリとか)、エピソードによって画質を変えたりしている(暴走族のときは粗く)。夫婦のチャンネル争いや、遅く帰ってきてバナナをボソボソと食べるあたりの「演技」も的確、アニメにおける人物の演技がこれほど丁寧に為されるのは珍しい。ただ、一本の作品としてのウネリは当然ないわけで、そのぶん印象は希薄になるが、あくまで実験映画と思えば、健闘していたのではないだろうか。 
[映画館(邦画)] 8点(2008-11-12 12:10:14)
3.  僕らはみんな生きている 《ネタバレ》 
同時代と渡り合おうとしている邦画は、このころ貴重だった。ただの自虐趣味に終わってないところがいい。当時の日本、たとえば60年代末の政治的興奮のヒステリーは遠のいたが、そういう安穏ゆえになにやら鬱屈を蓄積している。エコノミックアニマルぶりを自嘲してはいるんだけど、これしかできない、という哀しみもある。そういう鬱屈を抜けてラストのヤマザルとの対決で「君たちが政治的・軍事的に体を張ってるように、我々は経済で体を張ってるんだ」という手応えに至る。けっきょくこの時代の日本人が最後に拠りどころにできる手応えは、この「頑張ってるんだ」ということだけなの。しかし少なくともそれだけはある。それなら嫌と言うほどある。実は、日本は戦後平和でやってきた、って言っても、今ではどんなものでも半軍事的商品になってしまう、という後ろ暗さもある。井戸では儲からない。なかなか同時代と向き合うってのは単純なことではない。そういう日本の鬱屈とわずかな誇りが、パスポートをかざしながら市街戦の中を「我々は日本のサラリーマンです」と叫びつつ横断していく戯画に集約された。発展途上国の人々を、変に目が澄んだ理想像にしてないのもいい。
[映画館(邦画)] 7点(2011-12-02 09:47:06)
4.  螢川
雪・桜・蛍とくれば、ディスカバージャパン的な定型の情景が連続するんではないかと心配していたが、そこは避けてある。雪はボタ雪と違い湿り気のないサラサラしたもので清潔。桜もそれらしい観賞用のカットはなく、自転車の車輪に貼りついた花びらがカラカラと宙を回転している。色も白・黒・赤という日本の伝統的な美意識に通じる三色の配置がしばしば使われるが、白い雪に黒い学生服、そこに赤い血や赤い傘が飛び込んでくるというような感じで、驚きのある新鮮な使用法。とても日本的な気分にあふれている物語を、情緒に流れないようにと監督は細心の注意を払って進めている。奈良岡朋子のエピソードなども、十分に溜めてから激情を爆発させるので、ジメジメしない。こういった演出上の抑制が、まわりの善意に溺れまいとしている少年の爽やかさと重なった。ただラストの蛍のシーンでの合成音は安っぽかった。赤い傘につけた鈴の音の効果などが素晴らしかっただけに残念。
[映画館(邦画)] 7点(2010-08-26 09:47:01)
5.  本日休診 《ネタバレ》 
気のふれた男も隣人として包み込んでいくホノボノとした庶民ドラマを描きながら、キズモノにされた娘をせがれの嫁にという話を聞いたときには、冗談と思ってつい笑ってしまう田村秋子。このシーンにドキリとさせられた。そのほかの「ホノボノ」の描写は、このドキリを際立たせるための背景のように感じられてくるぐらい、迫る。田村秋子って役柄によっては新劇臭が出てしまう女優だったが、本作では「庶民」の人懐こい優しさとその限界を、まったく屈託を感じさせない笑い(だからより残酷なのだが)でザックリ見せて良かった。渋谷の映画には、こういった庶民の暗部が潜んでいるのでうっかり出来ない。「庶民」という一言で括られることを拒んでいる一人一人の具体的な声を集めた映画と思えばいいのか。ラスト横一列に整列させられてはいても、その一人一人が抱えている夢もエゴももう観客は知ってしまっている。淡島千景は助かるかも知れないという結末になってたけど、それだとリアカーが返ってきてしまった落胆の切なさが弱まってしまったのではないか。あと当時の住環境がよく分かるのもこの映画のいいとこ。舟暮らしは戦前からあったが、電車住宅ってのは戦後ならではの光景だろう(ただ暗くて仕組みがよく分からないのが残念)。男女一緒の病院の病室ってのも、ヘーと思わされた。劇映画であっても、映画は時代の記録になっている。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-02-20 10:16:01)
6.  ポチの告白 《ネタバレ》 
交番の警官がわざと自転車を放置しておいて、酔っ払いに「窃盗」させるなんてのは、リアリティあった。でも、パトカーの中で仲間うちで「悪事」を語ってるだけってのは弱い。システムとして悪が発生してくるところをキャッチしてもらいたいのに、人格の低劣どまりになってしまう。システムの腐敗が、眼を輝かせていた新人を駄目にしていった、って言いたいんだろうが、そこがもひとつ出てこない。上司の描写なんかも問題。人間が駄目だから組織も腐る、って感じになってしまう。怖いのは人格の低劣から生まれてくる悪ではなく、立派な人格から生まれてくる悪だろう。主人公も5年飛んだら、サングラスかけてタバコ吸ってるって、あまりにも分かりやすい変貌。人格も低劣になって未成年と泡風呂に入ってる。ただただ人格がマジメのまま、上司へ忠義ゆえの悪への傾斜じゃいけないのか。そういった「大ざっぱ」感が、随所に見られた。日本の「記者クラブシステム」の情けなさを訴えてくれるのは嬉しく、大新聞が後援した映画では出来なかっただろう。だけどこれも具体的な画像としては記事の配信場面でのナアナアぶりぐらいで、外国特派員クラブの会見での言葉によって集約されてしまうのはつまんない。日本語と英語で丁寧に繰り返して、ここんとこ大事よ、と強調したつもりなんだろうが、映画の画面としてはこの反復は緩むだけだった。ときにカメラが回り込む動きをするのは、ちと面白い。「サスペンス&ミステリー」の棚にあったんだから、もうちょっと映画としてのサスペンスが欲しいなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2010-11-29 10:24:28)
7.  望楼の決死隊
後の反戦左翼監督も戦争中はこういうのを作っている。考えてみればまったく西部劇と同じ構造なわけだ。勝手によその土地にやってきて居座り、現地の人が襲ってくるのを匪賊として撃退する話。地元の人たちを身体検査する場面など、今から見れば、こういう辱しめを平気で与えていたんだなあ、という正直な記録に見えるけど、おそらく製作側の意図としては、こういう危険きわまりない土地で同胞の兵隊さんたちは日夜苦労しているのだ、という文脈であっただろうし、また当時の観客にとってもそうであったろう(こういうズレは映画受容ではけっこうあり、今井監督が戦後反戦映画のつもりで撮った『海軍特別年少兵』を、右翼の赤尾敏が激賞したこともあった)。活劇ものとして見ると、はずみかけると精神訓話が入り込んで停滞してしまうところが、まどろっこしい。母の死を隠してサッパリと笑っている高田稔とか。また戦友の家族的な仲間意識のステレオタイプの描写。だいたいヒゲ面の熊ナントカって豪放な性格のが一人くらいいる。川が氷ると歩行可能になり危険が高まる、その氷る音が銃声のように響く、なんてあたりはいい設定になるんだけれども、どうも活劇演出がまどろっこしい。丁寧にワンカットで一人ずつ倒れる。まあそうして“騎兵隊”が救援に駆けつけてくるわけだ。
[映画館(邦画)] 6点(2009-04-01 12:05:37)
8.  ぼくらの七日間戦争2
宮沢りえのような目玉がないのがつらいところ。また本作は戯画化が紋切り型になっていて、大人たちがトンマすぎないか。敵側にも、一人ギラリとした参謀が必要だろう。内藤剛志がそうだったのかなあ。眼鏡を掛けたパソコン少年ってのもウンザリ。渋谷琴乃嬢のタラタラとした喋り方はちょっといい。空き缶を蹴り合いながら気持ちがまとまっていく。「君たち自然保護派なら空き缶が落ちてたってことがそもそもいかんじゃないか」。沖縄の街に戦闘機の爆音がちゃんと入ってたのは正しく、嬉々とはしゃぎながら「失敗」へ向けて旅立っていくというところが、ミソと言えばミソか。
[映画館(邦画)] 5点(2013-05-03 10:55:31)
9.  ホームレス
金持ちが捨てた犬を拾うってのは、嫌味だな。壁ってものを単純に考えてるのが気になる。単に隔てる装置というだけでなく、社会からの防御って面もあるから、「壁」を考えることが現代の問題にストレートにつながってるんじゃないか。オノ・ヨーコが出てるの(協力ってのか)を売りにしてたのが、当時も情けなく感じたものだった。これハイビジョンで撮ってフィルムに起こした最初のころで、移動のとき、残像みたいのが滲む感じがあるの。今見ると、懐かしいかもしれん。
[映画館(字幕)] 5点(2013-04-25 09:29:09)
10.  濹東綺譚(1992)
カツラってとこが新藤さんの解釈なんでしょうか。原作は、古風な世界にタイムスリップしたような気になるところを「綺譚」と表現したんで、断髪じゃ根本的に作品を組み替えていることになる(原作で確認しなかったけどそうだよね)。ラストの男も、ただ静かに去るんじゃなく、こっちでは嘘をつく。男と女の落差を、戦後篇で引っ繰り返していくところが、新藤さんの視点。沈潜していく男と元気になっていく女。荷風的な陰影なぞクソ食らえと、とにかく自分の世界に力業で持っていき、昭和史へ強引に引き伸ばしていく。自分の世界に持っていくのも映画作家としてアリだろうが、そこには原作との格闘があってほしい。これはただ原作の上に自分の絵の具を塗り重ねただけなんじゃないか。玉ノ井に導かれていくとこは、もっともっと時間を掛けてやってもらいたいのだが、つまりそういうところに味わいを求める映画じゃないのね。
[映画館(邦画)] 5点(2012-05-07 09:50:42)
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