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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  マリア様がみてる 《ネタバレ》 
原作もアニメも見ていない。 まず序盤はかなり笑わされた。実写にすると異世界ファンタジーというか、ほとんど茶番に見える劇中世界を大真面目に演出していること自体がユーモラスである。主人公の存在もかなり笑える要因になっており、訥々とした口調で極端な表情を見せられるので大笑いする。 そのうち次第にこの世界にも馴染んで来ると、怖そうに見えた上級生が見せる情愛にキュンとさせられたりするようになる。そもそもお姉さま方が意味不明な権威をもって四囲を睥睨するだけの存在ではなく、要は生徒会の仕事をする人々であって、学園祭では自主事業に取り組むなど結構まともに活動しているらしいこともわかり、それなりの敬意をもって見なければならない人々だと思わされる。偉そうにしていても所詮は高校生だと自戒していたのも賢明な資質を思わせた。 ストーリーとしては原作準拠とのことで、当然ながらまともに見られる物語ができている。最初は今どき「わらしべ長者」かと思ったが、そこから“ずっと握ったままで離さない”というところにつながったのは少し感動的だった。上級者に尻尾を振って成り上がろうとするのでなく、また「賭けとか同情とか」でもなく、それぞれの矜持を保ったままで互いに認め合っていく展開は素直に受け入れられる。最後の写真のタイトルというのも泣かせるものがあった。 ほか女子同士の疑似恋愛的なものがそれほど前面に出ていないのも見やすい理由と思われる。一度アニメ化されたものを実写にすると叩かれるのが普通だろうが、スタッフは今回いい仕事をしたのではないか。 ちなみに「マリア様のこころ」はよくできた曲だと思ったら本物の讃美歌だった。  登場人物としては、カワイイ系美少女ばかりでもなく意外に臈たけた感じの人物もいたが、上下の差を強調するため演者の年齢に幅があるのは当然といえる。波瑠はあまり可愛く見えないが、それは役柄というか本人のキャラもあるだろうからいいとして、未来穂香(当時)と1歳差にはとても見えないのは笑った。未来穂香という人は、その後にいろいろあって現在は矢作穂香という名前(本名)で活動しているので今後の活躍にも期待したい。ほかにも秋山奈々(現:秋山依里)や高田里穂さんなど見たことのある顔が出ていたのが嬉しい。広瀬アリスは今回それほど目立たないが可愛く見える役だった。ついでにシンデレラのネズミもかわいい(ヒゲをつけたのがよかった)。
[DVD(邦画)] 7点(2020-04-25 08:54:28)
2.  ママレード・ボーイ(2018) 《ネタバレ》 
原作は90年代の少女マンガとのことだが、127分間これを見続けるのはちょっと厳しい。前半は個別のエピソードをただ並べた感じで、後半は長々しいので早く締めろという気分になる。ちなみに主人公女子の「やだやだやだ」というのが気に障って黙れ!と言いたくなった。本当にこういうのは向いてない。 基本設定が荒唐無稽なのは突っ込まないとしても、自分としては特に主人公男女があくまで互いに執着する理由が全くわからない。それより「あとでな」と京言葉で言っていた女子(演・山下永夏?)と親交を深める方がいいのではと思った。また親友のエピソードが主人公のストーリーにどう関係するかも不明だったが、これはたとえ禁断の恋でも一途に貫くようあらかじめ勇気づける趣旨だったのか(案外そうか?)。 自分としては当然antiイケメンなので、こういう場合は幼馴染を応援したくなるわけだがそれが通らないのは普通にしても、この幼馴染が恥ずかしいことをやらかして捨て台詞を残して消えてしまってそのままだったのはみっともない。また元カノも一人で激しく思い込んでいるのを観客に嘲笑されるために出て来た感じだったが、そういう原作ではそれぞれ一定の存在感を持っていたと思われるキャラクターがぞんざいな扱いをされているようなのは気の毒だ。 なお室内も屋外もそれぞれに見栄えのする映像ができていたようには思う。海岸の場面で、犬と一緒に遠方を歩く人物がいたのは芸が細かい。また楽しい旅行がスマホの外枠で表現されるのが時代の反映だとは思った(何で門司だったのかは不明)。  キャストに関しては、優希美青さんが大人っぽくなっていて(「ちはやふる 結び」より)女優としての貫禄も少し見えたのは結構なことだが、年齢が倍近い男とのキスシーンはちょっとショックだ。正直これはマイナス要因だ。また遠藤新菜という人は、少し前に別の変な映画で変な扮装をしてものすごく変な役をやっているのを見たが、今回は少し洋風顔のカワイイ系美少女で安心して見られた。そのほか、わざとかも知れないが題名の男とその父親の身長差を目立たせすぎではないかと思った。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-01-01 16:21:51)
3.  魔女っこ姉妹のヨヨとネネ 《ネタバレ》 
よくわからないがマンガの原作を受けた特別編のような形らしい。物語の本体部分がファンタジー世界に属していて、そこから現世との関わりが生じるところは「聖戦士ダンバイン」(1983)を思わせるものがある(当時ろくに見ていなかったが)。発想が古いか。 全体として、何も考えずに見ている分には普通に面白いアニメだが、しかしそれほど独創的なところもないようで、また個人的にはキャラクターでも事物でも特に好きになれるものがないのが困った。強いていえば石の研究家のおねえさん(お母さん)が感じのいい人だったというくらいで、結果的にはどちらかというと微妙な印象のアニメだった。  物語的な面でいえば、魔法世界と現実世界に接点を持たせた上で、その魔法世界との対比で現実世界の特性と特長を明らかにしようとしたと取れる。しかしそのようにして示された現実世界の本質のようなものは、大人の立場としては今さら教えてもらうほどのものでもない。この話が何かの役に立つとすれば、日頃から本気で魔法に憧れている人物(例えば年少女児)に、絵空事の魔法などに夢中にならなくても現実の人間社会に素晴らしいものがたくさんある、と気づかせることかも知れないが、しかし本当にそういう低年齢で純真な観客に見せるにしては話が面倒くさく、子どもが素直にわかるように作ってあるとも思えない。対象層と内容の間に齟齬があるように見えるのはよくあることかも知れないが、そういうところが対象限定のオタクアニメらしく感じられる原因かも知れない。 そのほかいいところを挙げるのは難しいが、ネコのようなのが死にそうになったのは哀れで少し悲しくなったので、ここは年齢問わず心に訴える場面になっていたと思われる。またあからさまな少女嗜好が出ていない(見ても見ないふり可能)ので、親子で見ても構わない作りにはなっている。
[DVD(邦画)] 6点(2018-11-01 19:56:19)
4.  真白の恋 《ネタバレ》 
富山県射水市を中心に富山市や立山で撮影した映画である。陰気なだけと思われそうな冬の日本海沿岸を美しく映像化しており、主人公の色鮮やかな衣服が寒色の背景に彩りを加えているところもある。 場所は旧新湊市の「日本のベニス」と呼ばれているという内川周辺が中心だが、観光地紹介の意図がほとんど見えないのが好印象である。運河沿いの家並みだけでなく、背景の火力発電所を正面に捉えたように見える映像があったのは、観光地というより生活感覚の中の美観を表現していたように思われた。また「海王丸パーク」という場所で撮っているのに、当の海王丸が映らないという非常に抑制的なところもあった(写真には出ていた)。ちなみに外部の人間の目で変だと思ったのは、まだ雪のある時期に自転車の二人乗りで呉羽山(富山市)まで行った場面だった。  物語に関しては、まず前半は周囲の見知った人々に囲まれて、景色は冬でも暖かい雰囲気で時間が過ぎる。東京から来たカメラマンも自然に主人公の存在を受け入れてくれたようで安心できたが、後半になると波乱が生じて何ともいえない厳しい状況になる。 誘拐と不倫の二択という話ではないだろうが、一般論で簡単に割切れる問題でないのも間違いない。しかし引きこもって何もしなければ何も変わらないのも間違いないことで、今回この主人公が自分の好きになれるものを発見し、同じ風景が人によって違って見えることに気づかされ、また他人の心を受け入れて自分の心を豊かにすることを覚えたのは大きな変化だったはずである。ただそれでも「人を好きになるのは、苦しいね」という従姉の言葉が切なく感じられる映画ではあった。 もう一つ、カメラマンが言っていたのは、人々の間に初めから線が引かれているわけではなく、連続性のある分布のどこかに位置づけられるだけということだと思われる。彼の場合は職業柄、世間の枠組みにとらわれず、自分の目で物事の本質を捉えようとする人物だったので自ずとそのように見えたわけだが、この映画を見る観客の方も初めから「知的障害者の恋物語」(障碍者、障がい者)という枠をはめてしまわずに、こういう人の恋物語、と思って見るのがいいのではないか。  なお主人公には写真の素質があったようで羨ましい。劇中では誰も言っていなかったが、写真嫌いだった主人公が初めてかわいく写った写真はカメラマンが撮ってくれたのではなく、自分が撮ったものだったことに本人は気づいていたかどうか。
[インターネット(邦画)] 9点(2018-09-24 08:49:59)
5.  万引き家族 《ネタバレ》 
家族を扱った映画らしい。劇中の家族は当然ながら法的枠組みのもとでの家族より不安定で、いわば万物が流転する中での一瞬の状態を捉えたように見える。年長者の死去や構成員の離反がきっかけで最後は離散してしまったが、いずれこうなるのは目に見えていたともいえる。また家族の情愛も確かに存在してはいたようだが、そもそも私利私欲が動機で集まっていたのなら真の家族といえるのかどうか疑わしいということになる。しかし、それもこれも含めて、実は劇中家族も制度的な家族も本質的には大して違っておらず、また血縁が決定的な役割を果たすともいえない面は確かにある。それより大事なことは、今この瞬間に親しい他者とどういう関係を作り、どのように互いを支え合うかだと思わされるところはあった。 この後のことに関して、特に気になるのは子どもらの行く末である。少年の方は分別もあって最後の別れもしっかり受け止めており、もうこの歳で父親を乗り越えてしまった印象もあったが、それでも家族だった男への情愛はちゃんと残していたようである。また少女の方は心許ない状況だったが、しかし実母をちゃんと他者として捉える兆しは見えていた、というように取ればいいか。この少女の心には、いわば他者との接続ポイントがすでにできていたようで、一度つながった人々とは切れてしまったにしても、いずれまた誰かとつながるのを待っているのだと思いたい。 以上、悪い話ではなかったが、それほど大感動ということもなかったので点数は7点である。ちなみに個人的にはこの内容を、何らかの社会問題や政治問題に直接結びつけて語る必然性は感じなかった(個別の台詞としては何か言っていたが)。ただ全国の児童相談所には頑張っていただきたい。  ところで先日、この映画に関してネット上で少し騒ぎがあり、制作側からも両派に対して自制を呼びかけていたようである。個人的には特に何を言おうとも思わないが、こういう騒ぎが起きること自体が感情問題として不快なため、上で7点としたのを改めて採点放棄の0点にする。今後とも、自国といわず人類全体の文化を豊かにしていただきたい(物議を醸さずに)。 なお余談として、豊かであってもなくても犯罪にだけは手を出さず、真っ当に生きている人々にとって犯罪が許せないのはごく自然な庶民感情であり、実際に被害に遭った人ならなおさらのことである。この映画が芸術作品かどうかはともかく、興行前提の製作物であれば一般から悪感情を寄せられるリスクは当然覚悟の上と思われるので、自分としてもこの面でこの映画を擁護する気にはならない。
[映画館(邦画)] 0点(2018-06-16 19:58:01)
6.  魔法少女を忘れない 《ネタバレ》 
ライトノベルを原作とした青春映画で、福岡市に拠点を置く「テレビ西日本」が中心になって製作し、撮影は福岡県内で行われたとのことである。結果的にはさまざまな面で見る側にかなりの寛容さを求める映画になってしまっているが、それでもあえて自分としては褒めることにした。こういうものを大真面目に作ったTV局はえらい。  まず「元魔法少女は忘れ去られる運命にある」というのが基本設定になっており、これが終盤ではかなり衝撃的な形で描写されていたが、しかしそのように“忘れられる”ことだけでなく、“忘れる”ことの悲しみも強く表現されていたようである。人は何かが好きだと思ったとき、同時に自分のその気持ちがいつか失われることを予期して悲しく思うことがあるが、そのような主人公の思いが切なく感じられる映画だった。 また「元魔法少女」とはそもそも何のことなのか、説明がないまま終わらせるという突き放した態度も嫌いでない。劇中歌の歌詞で、“恋をしたら呪文を忘れる”というようなことを言っていたのをまともに取れば、実際に(発端の時点から?)恋をしていたので魔法が使えなかったのかとも思われる。終盤の荒唐無稽かつ都合良すぎの展開は、2人の強い思いが魔法に負けないほどの奇跡を生んだとでも思っておくしかないか。  登場人物に関しては、劇中の魔法少女はほとんどの場面で可愛らしい美少女に見えたが、鋭角的な顔立ちのせいもあって単純にカワイイで終わりにならない複雑な印象があり、これがいかにも魔法少女らしいといえなくもない。 一方の幼馴染はマンガっぽい可愛さを出しており、序盤で眼鏡がずれたところなどは秀逸だったが、中盤での告白場面はあまりにも痛々しいので正直泣かされた。ここまで延々と語らせておいて何で早く受け止めてやらないのか、と男の側に言いたくなったが、結果的に受け止めてやらなかったのは非常に意外だった。結局、誰かのハッピーエンドは別の誰かの不幸を前提にするものだったようで、これが魔法少女の魔性ということかと思わなくもない。 ただ彼女は忘れられたとしても、逆に彼女の方が忘れることもできるという意味ではお互い様である。大人ならそう思って納得するところだが、しかしその場の当人にとってはそうもいかないのであって、ここは自分としても大昔の記憶がよみがえる気がして若干切ないものがあった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-02-16 23:14:01)
7.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's 《ネタバレ》 
TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズの劇場版である。TVシリーズ第1期(2004年)の劇場版は「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」として2010年に公開されているが、この映画は第2期「魔法少女リリカルなのはA's」(2005年、全13話)の劇場版として2012年に公開されている。前回からあまり経っていない時期のようで主人公は依然として小学生女児だが、激しいアクションを伴う戦闘少女アニメであり、せめてもう少し大人になってから戦ってはどうかと言いたくなる。 物語としては、前回は母と子の問題が大きく扱われ、形の上では一般社会に問題を投げかけたとも取れる作りになっていたが、そのせいで話が大げさすぎて不自然に見えた。その点今回はこのアニメ内部で閉じた話のため違和感はないが、ますます現実から隔絶した架空世界に閉じこもったようでもある。前回に続いて“話せばわかる”というようなコンセプトが出ており、また最初は敵でも最後は友達になるという展開が基本構造のようにも見えるので、ここから無理にメッセージのようなものを読み取るとすれば“心を開いて仲間をつくるのが大事”というような話だろうが、しかしまあ現実にはキャラクター同士の個別の関係性を超えた一般化など求められていないのだろうという気はする。 なおreinforceというあからさまな英単語はファンにどう受け取られているのかわからないが、自分としてはreinforced concrete (RC)の印象が強いため人名に使うのは抵抗感がある。ほか個別の場面としては終盤で、ここは号泣するところだ!!!と明瞭に指定した感じの演出が印象に残った。  ところで前回はDVDをただでもらったという理由で見たが、今回は明らかに自分の意思で見た形であり、アニメファンでも何でもない一般人としての良識が問われることになる。日本アニメは少女嗜好と切り離せないところがあるにしても、変身シークエンスのフルバージョン?(かなり執拗)など見ていると、これはもう本当に限られた人々向けの特殊な創作物ではないかと思わされるが、それでもこういうものが日本のアニメを支えてきたからこそ「魔法少女まどか☆マギカ」のような、より一般向けに開かれたもの(間口は狭いが)も生まれて来たわけだと前向きに捉えておく。 ちなみに2017年夏には劇場版3作目が予定されているとのことで、なかなか息の長いコンテンツであるらしい。
[DVD(邦画)] 5点(2017-02-16 23:13:59)
8.  燐寸少女 マッチショウジョ 《ネタバレ》 
マンガの映画化である。主人公の衣装やメイクを見るととてもまともな映画には思えないが、外見をマンガに似せただけで話の中身は真面目である。マンガ原作のため全体的には軽いお話で、途中までは普通にダークファンタジー調だが最後に泣かされてしまうのが意外な展開だった。 映画では原作の第1巻から複数エピソードを選んで構成しており、最初に全エピソードが始まって同時並行で進むのかと思っていたら途中で先に2つが終結してしまう。その後の展開に???と思って見ていると、最後に事情がわかって泣ける話になっている。???の部分はシチュエーション自体に変な印象もあるが、一点だけ明らかな疑問が生じる箇所があり、それがヒントになって最後の種明かしにつながっていた。ちなみに「5年」の辻褄は合っている。 小道具の「妄想燐寸」に関しては、病室の老人が説明書きの意味を自ら理解して使ったのはさすが年長者だが、大学生は目的がはっきりしているが視野が狭く、高校生は単なる馬鹿、といった形で年齢差がついていたのは少し面白い。「妄想」と「願望」の違いは解釈が難しいが、妄想は定義からして破綻が見えており、あまり大がかりなものにしないのが無難ということか。年長者だと寿命1年間は切実に思えるだろうから、その点でも病室の老人の使い方は有効だったと思われる。  キャスト面では、一応は佐藤すみれ(AKB48→SKE48)主演のアイドル映画になっている。ただ主演といっても狂言回し的な位置づけであり、実際は各エピソードに出る役者が頑張っている。 DVDの売り方を見ると、看板アイドルのほか各エピソードに出る男の出演者で女性の観客を引こうとした節もあるが、それぞれに対応するヒロイン役もいるわけで(上野優華、唯月ふうか+森迫永依、美山加恋)、これを目的にして見る男がいても変ではない(自分もそうだ)。 なお若手に比べると病院の老夫婦はさすがの重厚感がある。丘みつ子という人は久しぶりに見た気がする。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-04 20:32:20)
9.  -×- (マイナス・カケル・マイナス) 《ネタバレ》 
とりあえず密度の高いものをじっくり見せられた気はするが、娯楽気分で見るのは厳しい。 人の神経を逆撫でする要素を各所に多数入れてあり、また人物の会話も素直につながらず、何かと棘が刺さるようで苛立ちが募る。終盤に至ってもまだ緊張を強いられる気がする一方、登場人物が社会通念を無視した感情表現をするのが気に障って安心して見ていられない(公共交通機関内で大声で歌うなど)。個人的感覚としては劇中に和む場面が全くなかったが、そのように延々と精神的負荷をかけられた後で、最後に中学生がにっこり笑った(+金魚を入れた、襟を洗った、チョコレートが落ちた、アパート前にタクシーを止めた)くらいでは心の収支がプラスに転じない。登場人物に心底共感できる観客なら別かも知れないが、自分としては見るのがつらい感じの映画だった。 またこの映画で、相互に関係しない物語をあえて一緒にしてみせたことにはあまり積極的な意義が感じられない。自分としては最後にどうつながるのかを期待していたわけだが、その期待が満足させられなかったのも全体としてマイナス方向に作用している。自分の感覚でいえば、人はそれぞれ事情を抱えているので世界情勢とか他人の動向など視野に入らなくても仕方ないだろうと思うわけだが、まあできれば世界の広がりに関する想像力くらいはみな持っていた方がいいという気はしなくもない。  ところで女子中学生役の寿美菜子という人は、現時点では声優として有名のようだが(自分の知る範囲では「けいおん!」の琴吹紬役)、この映画を撮影したのは2007年とのことで、その時点ではまだ15~16歳だったようである。劇中ずっと不穏な表情だったこの人が終盤では普通に可愛らしく見えたのは悪くなかった。またその友人役の大島正華という人も、年齢(14歳くらい?)の割に面構えに迫力がある。そのほか、近年は怖い役ばかりやっている感じの長宗我部陽子さんが、この映画では普通に(というか非常に)色気と可愛気のある女性役なのは結構なことだった。それでも少し怖い感じだが。
[DVD(邦画)] 5点(2016-07-09 09:30:25)
10.  幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦 《ネタバレ》 
基本的にはメイキングだろうが、ほぼグループのメンバーだけに焦点を当てていて、例えば劇中であれだけ存在感のあった黒木華さんはほとんど出ていない。またメンバーを除く1~2年生もどういう人々だったのか紹介くらいはしてもらいたかった。このグループのドキュメンタリーにするために普通のメイキングではなくなってしまったのは残念だが、しかし本編では断片的にしか使われていない本物の高校演劇(「まくら投げ」ではなく「修学旅行」という題名らしい)の現場も見られるので、そういうものを若干ながら復活させている意義も認めるべきかも知れない。  中身を見ていると、いくら著名アイドルでもそんなに監督に甘えていいのかと思う場面もあり(一応怒られた場面もあった)、また一人芝居の緊張に耐えかねたメンバーが監督に泣きついて、見かねたスタッフが引き離したりしていたのは笑える(この人はいつもこうなのか?)。それでも恐らく自分を人に見せること、人の心を動かすことでは実績があり、アイドルとしての存在感も十分なメンバーだからこそ、監督のいう「コール・アンド・レスポンス」なるものが成り立つ素地もあったのではないかと想像する。 ただの一般人ではないにせよ役者としての積み重ねはまだまだ必要で、その過程を本物の演出家や映画監督が出てきて見せていたわけだが、自分としても完全な部外者ながらその場に立ち会って、映画づくりの現場を体験したような気分ではあった。特に原作にもあったワークショップや、本物の高校演劇への参加の場面では、実現しなかった自分の人生の可能性を思う気にもなる(まあ無理だったろうが)。  なおナレーションではメンバーの「成長」を強調していたが、これが本人らにとってどの程度の成長だったのか自分にはよくわからない。また監督の「こんなに一生懸命映画作ったことない」という言葉もお愛想だった(あるいは本人がモノノフだから?)かも知れないが、これは手間のかけ甲斐のある出演者だったからこその言葉と取れなくもない。 自分としては別にファンでもないのでこれで感動する動機も義理もないわけだが、それでもそれなりに映画の完成を喜ぶ気になって、少ししあわせになる映画だったので、ここは感じた通りの点数をつけておく。無関係と思っている人間も巻き込んでいくのがアイドルの力ということだろう。
[DVD(邦画)] 7点(2015-09-30 23:36:03)(良:1票)
11.  幕が上がる 《ネタバレ》 
ファンではないので冷たい見方をすると、一般人にとって決して悪くはないが絶賛するようなものではない、という微妙な感じのお話だった。映画化に当たって犠牲にした部分が多いのは当然としても、一方では映画で加えられたファン限定の仕掛けが素直に受け取れず、部外者にとっては確実に何割かが欠けて見えるわけである。 特に思ったのは、このグループの映画では何が何でもグループ一丸でなければ済まないらしいということである。本来、劇中の生徒には一人ひとりにそれぞれの才能と未来があったはずだが、映画では部長だけに特別の才能を賦与してグループを代表させる一方、他の人々は集団に埋没した状態で終わったためにその先を見通す形になっておらず、これでは高校3年生という設定も意味が薄れてしまう。以前のNHKのTVドラマもそうだったが、ストーリーの行方を実在のグループへの期待に振り替えるような形では一般の視聴者/観客が置いて行かれることになる(毎度これなのか)。 またこの映画では、“どこまでも行ける”というのが単なる景気づけの掛け声にしか聞こえない。ファンならそれで十分だとしても、銀河鉄道の切符の話を強く印象づけた原作のラストがないのは非常に惜しいことだった。それをやるとグループの解体を意味してしまうのかも知れないが(ザネリがいない)。  ただしアイドル映画として見た場合、自分としてもファンでないとはいいながら全く知らない人々でもなく、それなりに微笑ましい気分で見られなくはない。そこに劇中の感動的な要素が重なって泣き笑いのような感情を生じる映画だった。自分としてはまずは中西さんの目つきが切なく感じられるが、また明美ちゃんが失敗してしょんぼりしていたのがかわいそうで、それでも後輩には結構慕われていたらしいのが嬉しい。ユッコはさすがにお姫様には見えないのが残念だが、がるるに関しては人物イメージが原作に逆流して、これは本当にこういう人だったのではないかと思えて来る。 メンバー以外では当然ながら吉岡先生の迫力が圧倒的である。また杉田先輩は先輩らしい雰囲気ながら(実際は部長役より2歳年下)柔らかな笑顔に和まされるが、卒業後に日々苦闘していたらしい姿は健気に見える。この二人が部長の未来を段階的に示していた感じだったが、その部長も最後はちゃんとこの人々の後を追っていきそうな顔つきを見せていた。
[DVD(邦画)] 7点(2015-09-30 23:35:58)
12.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 《ネタバレ》 
TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズの劇場版である。この映画はTVシリーズ第1期(2004年、全13話)の劇場版だが、これに続いて第2期(2005年)の劇場版が2012年に出ている。 TVは当然見ていなかったが、この劇場版を見る限り、まずは主に絵柄のせいで好きになれる登場人物がほとんどいない。また人名が変に格好つけた感じで大人気ないのが多く、口に出して言うのが恥ずかしい。さらに、劇中に世間の指弾を受けそうな映像(変身場面の着替え)が入っているのは非常に問題だが、しかし思えば魔法少女というのはかなり前からそういうものだった気もして、自分の世代もそれに加担していただろうから偉そうなことはいえないかと思わなくもない。  ストーリーに関しては、母親(ただし偽)に依存しながらも虐待されて捨てられた娘が、友情の力で自立して生きる決心をした、ということのようで、それ自体は大変結構なお話ではあるが、ただしそういった自立の物語を9歳の子どもにやらせるのは年齢的に無理がある。またこのアニメのターゲット層に母と娘の話がふさわしいとも思われず、魔法少女アニメとしての性質からそのストーリーが必然的に導かれるわけでもない。要は魔法少女というものを介して小学生女児とターゲット層(それなりの年齢の独身男)を結びつけようとするのがこのアニメの本質であって、一見シリアスなストーリーは取ってつけたように見えるということである。虐待なしで普通の友情物語くらいにしておけばそれほど違和感はなかっただろうと思うが。  以上、文句ばかり書いたが、よかった点としては後半の「うんうんうん」という台詞と、ラストで携帯に電話が来たのが笑えることだった。また爆笑したのは「ごめんなさい、命令無視は、あとでちゃんと謝ります」という台詞がまるきり子どもの発想だったことで、これには“ごめんで済めば警察はいらない”と言ってやらなければならない。そのほかアニメファンなら映像面などで評価すべき点も多いのだろうと思われる。 自分としては大好きなアニメとはとても言えないが、DVDをただでもらったので点数は少し甘くする。見たくてもらったわけでもないが、続編もただでもらえれば見てやっていい。
[DVD(邦画)] 5点(2014-04-21 21:55:30)
13.  魔女の宅急便(2014) 《ネタバレ》 
[2018-01-19再視聴による改訂] 初見時は7点だったが、改めて見るととてもそんな点をつける気にならず、アニメ版との差が1点などということもありえない。劇場で見たことで若干印象がよくなったのと、公開中だったため遠慮があったのかと思われる。 とりあえず最初に書いたことのうちそれほど間違っていないと思うことを書くと、まず原作からわざわざアニメ版とは違うエピソードを選んで構成したようだが、空を飛ぶ場面や黒ネコの様子など、意外にアニメ版のイメージを踏襲しようとした感じもある。また主人公が元気で可愛らしく実写版なりの存在感を出していて、このキャスティングは大成功だったと思われる。 初見時に気になった点として、中盤でいかにも胡散臭い顔で登場した邪悪な人物は映画オリジナルではなく原作の2巻に由来しているが、この人物が主人公に深刻な心理的動揺をもたらしたにもかかわらず、最後は簡単に反省して終わりだったのがどうも拍子抜けだった。“ほんとはいい人”パターンが個人的に嫌いだからということもあるが、この人物が人間の心の悪を代表していたのなら、かえって街の人々の中に紛れた形にして再登場しなくともよかった気がした。ただしこの人物がエンディングの場面でわざわざまた黒い封筒を使っていたのは、どうやら当初段階に遡って呪いではなかったことを証明しようとしたらしく、このあたりは少し細かい作り込みのようである。  また今回再視聴時の感想としては、主人公が直面する悪意に関して観客が許容できるのは主人公と同年配までである。動物園で結構な年齢の男がガキのように駄々をこねていたのは非常に腹立たしく、“ほんとはいい人”パターンを適用するなどありえない馬鹿で不快な人物だった。その上こういう面相の役者がやるのでは洒落にならず、これは一体どういう思惑でこういうキャスティングになったのかと疑う。そのほかネコやカバの作り物感などにはいちいち突っ込まないとしても、物語的に最後の「この町に来てほんとに良かった」という台詞が素直に受け入れられる作りにはなっていない。 それでもこの映画を全否定できないのは結局、主人公/主演女優の存在のおかげということである。そういうわけで小芝風花さんの今後の活躍に期待します。
[映画館(邦画)] 5点(2014-03-14 19:55:28)
14.  魔女の宅急便(1989) 《ネタバレ》 
魔女といっても特別のものではなく、基本的には絵描きやパン職人と同列ということらしい。キキが商売を始めるに当たってまず電話を引こうと考えたのは偉いが、それを聞いたおソノさんがさらに現実的な提案をして、夫婦との互恵的な関係に組み込んでくれたのはさすが大人と感じられる。 本人としては好意を届けたつもりでも好意が返るとは限らないわけだが、思いがけずちゃんと好意で報われることもあり、その相手にまた好意を返せば好意が循環していくことになる。終盤ではキキが街じゅうの願いを一人でかなえる形になっていたが、これが好意の循環の範囲を都市全体に拡大させるきっかけになり、結果としてこの街に欠かせない唯一の存在としての位置づけを確固としたものにしたと思われる。いったん突き抜けてみれば、身なりがどうとかいう問題もどこに消えたかという感じになって、このことがまた周囲との壁を取り払うことにつながっていたようだった。  ところで初見時(90年代)には、途中でジジがしゃべれなくなったのを見て自分としても世界の終わりが来たような気がしたが、しかし改めて見てみると単にジジ側の事情でそうなったのであり、キキの落ち込みとたまたま時期が重なっただけらしい。これは運が悪かったともいえるが、彼女の場合はちゃんと周囲の人が応援してくれており、見ている側としても嬉しくなる。世の中いい人ばかりでもないわけだが、結果的にいい人に出会えるのも才能のようなものだろう。天に祝福されたようにも見えている、本当にかわいい魔女さんである。 なお映像的には、夜空の月を背景にした場面をはじめ全編を通じて絵が美しく、また高空を颯爽と飛ぶのが見ていて心地いい。本来こういう類の話は趣味でも何でもないのだが、見れば楽しくしあわせなアニメであり、同時に優れた映像作品と感じられる。
[DVD(邦画)] 8点(2014-03-14 19:55:22)(良:1票)
15.  マタンゴ 《ネタバレ》 
最初にこれを見たのは比較的若い頃だったと思うが、その時点では、極限状態のもとで脆い人間関係が崩壊し、個人の欲望が剥き出しになる展開に嫌悪感を覚えた。また普通、この手の話では最低でも主人公とヒロインがペアで助かるのが常識だったが、この映画では「恋人にもキスさせない」清純派の女性が快楽の森に取り込まれてしまう結末が衝撃的で、とにかく感覚的に嫌な映画という記憶が残った。しかしいま見ると、そういった人の神経を逆撫でする要素もそれほど気に障らないのは、要は自分が歳をとったせいかと思う。 一方で、同時上映の若大将映画の主人公がヨット部員だったというのは偶然とも思われない。この映画では、大学で同期だった金持ちと貧乏人の息子が友人のようでいて実は越えられない壁があるという設定になっており、若大将映画では表面化していないものをわざわざほじくり出して見せたようなのが皮肉に感じられる。  ところで、この映画にはホジスンの原作から直接翻案した小説版があり、読むとシンプルな内容で不可解な点はない。しかし映画化に当たって付加したと思われる部分に関しては少々難があるように思われる。文明批評的な意味があるのはわかるが、生存のためにキノコに手を出すことと、快楽への欲求を区別なく扱っているのは納得できず、また最後の特殊メイクについても製作側の意図がはっきりしない(ネット上には非常に興味深い解釈もあるが転載は控える)。そのため全体として収まりの悪いストーリーになっていると感じられたのは残念である。 なお個別の場面としては、女性二人が雨の中を食料採集に出て、海岸で岩海苔か何かを取っている間、二人の頭の中でそれぞれの“東京の音”が鳴っているところは印象に残る。ここで流れる「水の溜まった…」の退廃的で物悲しい歌と、病院の場面で見える毒々しいネオンサインが、自分にとってこの映画のイメージを決定づけており、そのおかげで難はあっても低い点をつける気にはならない。また自分などが指摘するまでもなく、水野久美さんの魅力満開の映画でもある。
[映画館(邦画)] 7点(2013-05-27 18:59:14)
16.  真木栗ノ穴 《ネタバレ》 
この映画では、まずはヒロインが清楚で色っぽくて可愛らしくて怖くて悲しく複雑で不思議な雰囲気を出しているのが非常にいい。メイクは最小限にして素材のよさを最大限生かしているのも好印象で、この点では誠に期待通りの映画である。 それだけを期待していたにもかかわらず意外にもといっては何だが、見ると窃盗の共犯の女にも妙に惹かれるところがあり、中盤の再会場面などはもう泣けてしょうがない。ヒロインと並ぶ存在感があり、この二人だけで両横綱という印象だった。 しかしさらによく見ると、もう一人の女性である雑誌編集者も決して無視できない存在である。若くて生気があり、基本的に明るい世界の住人で、見ていて眩しいようにも感じられた。最後、この人の声は主人公に届いたのかどうかが心残りである。  ところで、劇中では生きている人とそうでない人が混在していたようだが、そのほか空想が現実に介入しているようにも見えており、何が空想で何が現実だったのか整理がつけにくいため、観客としては画面に出たものをまともに受け取っていいのかどうかわからなくなる。また、さらにこの映画では、見ているわれわれを含めて空想と現実の区別が相対化(階層化)されているらしく、それを意識してしまうと、どうせ全てが空想なのだから観客が本気になって(前記のように)感情移入するのは愚かなこと、と嘲られているような気もして来る。 あるいは、そのようにして鑑賞者の心理を翻弄するのが作家(とか映画を含めた創作者)の力であり、それは劇中の編集長が言っていたように「頭ん中を覗くことなんかできない」ほどの深みを持った穴だというのが、この映画の隠れた主題なのかも知れない。しかし題名の意味はその通りとしても、それが映画制作者自身のことまで含めた主張だとすると自画自賛のメタ作品のように思われて、自分のように特に映画ファンでもない一般の鑑賞者などは疎外感を覚えてしまう。  まあ別に一般人に喧嘩を売っているわけではないのだろうから、ここはひとまず創作者に騙されておくことにして、愛すべき登場人物のいる懐かしい(怖い)空想の世界に浸り、愚かな主人公の哀れなラブストーリーに共感を寄せているのが正解なのだろう。 そういうことで、多少面倒くさいところはあるものの、全体としては非常に印象深い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-11 20:12:01)(良:1票)
17.  マイマイ新子と千年の魔法 《ネタバレ》 
前半は子どもらのやることを笑いながら見ていて面白かったが、後半に入ると影がさして来て、妙に深刻な事件が起きたりする。主役の女の子があんな顔で怒鳴るのはやりすぎなんじゃないか。原作ではもっとあっけらかんとした感じだったろうと思うが。 またストーリーが複雑で難しいので、一回見ただけでは何が起こったかわからず、理詰めで考えなければならなかった。何か話を作りすぎのような気がする。独りよがりな台詞も多い。  ただ、映像的に美しいのは心に残る。また個人的には特に、千年前と昭和30年の風景を直接重ねて見せるような、いわば歴史地理学的な発想が面白いと思った。それがまた、都びとの目には何もないように見える一地方にも何百年、千年にもわたる人の暮らしが積み重なっている、という映画独自の主張につながって、時間的な深みを感じさせている。 それから千年前の一般庶民にも、花を散らす牛車を見てなごむ程度の心の余裕があるように描かれているのはよかった。世の中いいことばかりでないのは当然だが、悪いことばかりでもなく、楽しいこともある。それは千年前も今も同じだろう。昭和の事件の結末も含めて、この世界に対する基本的な肯定感が伝わって来て嬉しくなった。それはあくまで“子どもの世界”なのかも知れないが、中年男に向けた癒し効果もあったと思う。  そういうわけで、マイナス面もあり他人に勧めるのは躊躇するものの、個人的には忘れがたい映画になってしまった。 なお、登場人物のうち特にお姫さまのキャラクターが可笑しくて可愛い。周防権介の息子らをいいように使ってやりたい放題だったが、後半、山中の家を訪ねた場面は見ていて泣き笑いだった。周防守の権威をもって、この母子にいい継父を世話してやれないか。
[DVD(邦画)] 8点(2011-12-31 15:44:38)(良:1票)
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