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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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381.  ホッタラケの島 遥と魔法の鏡 《ネタバレ》 
まず評判になっている女子高生のパンチラに関しては、自分が見たところスカート丈に応じて自然な範囲に収まっており、まあご愛嬌といえる程度である。それより体型や姿勢があからさまにエロい方がよほど問題だと思うが、小さい子どもならわからないだろうから、成人男子としてはあまり目くじら立てずに黙って見ておけばいいだろう。  それで内容については、見る前はもっと環境っぽい話かと思っていたが実際はそうでもないようで、消費行動はそのままにして要はリサイクルすればいい、というのは現代日本の感覚そのままである。劇中では、本人が断捨○しなくても誰かが勝手に回収してくれていたのが都合良すぎともいえるが、実際には親がだまって古いものを処分していた場合もあるはずで(主人公の友人の回想はその例)、本当に大事なら放置するなと親に代わって言ってくれているのかも知れない。  一方ストーリーとしては、まるきり子ども向けというより思春期以降向けのお話で、ベタな展開だが一応まともな話になっている。哀れなお父さんが最後に見直してもらえたのは幸いだったが、ただし仮に今回のことがなかったとしても、女の子なら結婚のときに記憶の総ざらいの機会があるだろう(最後は葬式)。このお父さんなら披露宴で泣きそうだ。  全体としてはドタバタした展開が面白く飽きないのと、主人公の表情が可愛くて目が離せなかったので、本来なら少しいい点を付けたいところである。ただし、途中でいかにもフジテレビ系らしい悪ふざけとも取れる箇所があったので、念のため減点しておく。サントラCDも感じがいいのに残念なことだ。
[DVD(邦画)] 6点(2012-09-02 19:53:35)
382.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
登場人物の多い映画だが、主人公とヒロインに限ってみれば著しく都合のいい青春ドラマである。内気な男子が自分では何もしないのに、年上女子が勝手に手を握ったり抱きついたりしてくれて、その上「あの子をよろしく」とまで言われて本当はうれしいのに迷惑顔できるような、年少男子の願望丸出しの気恥かしいストーリーになっている。ただ、よろしくと言われたのは主人公しか知らないことなので、あとは自分でがんばれということだろう。   また、映画に出るインターネット上のサービスがコミュニケーションや商用機能だけでなく、インフラなどの社会システムまで担っている設定は不自然に思われる。しかしパソコンやネットには詳しくとも実社会とは接触不良の青少年が、自分も現実世界を救うヒーローになれる、と感じられるシチュエーションを準備するためには、多少無理でもこうする必要があったということか。ネットやゲームを馬鹿にする母親(=劇中の主婦連)を見返してやるというような展開は大人気なく、これもまた年少者に極めて甘い内容になっている気がするが、それでも最後は主人公が新しい人間的なつながりを作って終わっていたので、まあよかったとすべきだろう。   ところでこの映画では、インターネットに依拠しない旧世界の「つながり」と、ネット上の新しい「つながり」が競うように危機に対処していたが、前者代表の曽祖母が電話で言っていたのが、要は“あきらめるな、元気を出せ”というだけなのは大変拍子抜けだった。本当の大事件なら関係機関では落胆する暇もなく対策に奔走している最中だろうから、この人は明らかに的外れなことを一生懸命言っている。福島第一原発の所長を電話口に呼び出すようなもので、相手先の組織的対応を邪魔しているようにしか思えない。これがリアルの「つながり」というならお粗末なことで、この映画自体が実社会と接触不良のように感じられた。   以上、前作に引き続き青少年向けの作りになっているが、対象範囲はさらに狭まった感じである。自分としては普通に面白い娯楽大作という以上の評価はできないが、映像面や人物描写ではいいところが多かった。消防3兄弟、自衛隊員と漁師のオヤジが格好いいが、ヒロインも可愛いと思う(実は予告編の「…1名なの!」という場面につられて映画を見た)。またラストの写真は素直にほめたい。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-11 17:31:44)(良:2票)
383.  MAIL 《ネタバレ》 
7年前に投稿が3件あっただけで、あとは忘れられたらしい。当時の上映版とは異なり、DVD2巻の「完全版」(少し長い)を見たのだが、大体同じということで書かせていただく。どうせ誰も読まないだろうが。 それでまず、構成としては全9回のTVシリーズを並べたようなもので、途中で連続2回も貞子が出るのはどうかと思ったが、ちょっとほろりと来る回などもあってそれほど退屈ではない。第4話の女優が台本を何回読んでも泣いちゃうと言っていたのは同感である。 また9話全体を通じたストーリーも一応あり、第2話からレギュラーで出るヒロインは顔が好みでないのだが、毎度見ていると愛着がわくのはシリーズ物ならではと思う。終盤で出る少女の子役も愛らしいので、少し切ないラストはいい感じに思えた。 これが映画としてどうなのかは問題もあるだろうが、見た時間を損したとまでは思わなかったし、また個人的には最後の言葉が底なしに悲しいので、少しいい点を付けておく。このサイトでは破格の点数になってしまうが、どうせ誰も読まないからいいだろう。
[DVD(吹替)] 6点(2012-08-05 20:11:54)
384.  君へ。 《ネタバレ》 
ストーリーに関して、“最後の終着点が見つからなかった”と出演女優がメイキングで言っていたが、これは脚本家が答えた通り、ラストまでの間に観客が主人公にシンクロできていれば問題にならないのだろうと想像する。しかし残念ながら自分はそうはならなかったので、個人的に思ったことを適当に書いておく。  まず主人公は自分が少女を守れなかったと悔やんでいたようだが、完全に他人の責任のもとで生きている人間などそういないわけだし、少なくともこの映画の二人はそういう関係ではない。まともに考えてしまえば潔く自決するしかないわけだが、少女の父親は免責どころか礼まで言っていたので、これは問題ないだろう。 次に、二人の思惑がすれ違った(と思った)まま、感情面の清算ができずに何年も過ごしたのは確かにつらかったはずだ。気持ちを確かめようにも本人はもういないわけだが、幸い終盤で少女の心が劇的に明らかになっていたのでよかったと思う。彼もここで初めて彼女にまともに向かい合う気になったということかも知れない。 最後に残るのは“忘れていいのか”という問題だが、ある程度は過去に整理を付けないとみな生きていけないわけだし、また誰かを忘れた自分自身もいつか忘れ去られると思えば、世の中全てお互いさまともいえる。月並みではあるが、これは時間が解決するというしかない。彼もそのうち風鈴をどこかへ大事にしまい込む日が来るだろう。 以上により主人公の方は解決だが、本当に厳しいのは優しい妻と娘をともに失って何も残らなかった男の方であり、これは忘れてしまえば済むという問題ではない。逡巡のあげく自宅に戻って死去したようだが(原因不明)、それならやはり主人公にだけは未来を精一杯生きてもらった方がいいと他人事ながら思う。  そういうわけで、これはけっこう考えて作り込んだストーリーかも知れないという気がして来た。映画としての出来がいいかは判断できないが、とりあえず志は買っておくことにする。
[DVD(邦画)] 6点(2012-07-27 21:29:50)
385.  クローズド・ノート 《ネタバレ》 
日頃から芸能ネタに関心がないので、これが例の問題を起こした映画と気づかないまま、先入観を持たずに見た。 内容としては映像がノスタルジックで美しく、登場人物は暖かくて微笑ましい。伊吹先生のクラスでは問題も起きるが、不登校児は素直ないい子でお母さんも優しい人のようだし、何よりクラスの全員が「太陽の子」で心優しく友だち思いである。…というようなことは現実問題として絶対ありえないと思うわけで、全体の雰囲気からしてまあいいかと思わされそうにはなるものの、さすがに紙飛行機の不自然さは耐えがたい。 また主人公が劇中で成長したところを見せようとするあまり、以前の方のレベルを落として楽器の練習に身が入らないことにしたのは、登場人物の人格に関わることなので見過ごしにできない。そのほか全体のストーリー構成も原作の方がすっきりして素直に受け取れる(泣ける)し、学校がらみの不自然さも感じられず、やはり他の原作付き邦画と同様に、原作さえ読んでいれば映画は見なくても事足りると思わなくもない。  一方キャストについては、伊吹先生の方は申し訳ないが好きになれず(顔が好みでない)、あまりに不自然な役柄と相まってそれほど共感できなかったが、バイト先の童顔の先輩についてはさすがにいい感じを出していた。 また主人公に関しては、これはもう非の打ちどころなく魅力的であり、外見はもちろん人物像にも強く惹かれてしまう。一般的なイメージからこれほどかけ離れた人物になり切れるというのは、やはり演技の力と思うしかないだろう。ただ終盤で負け惜しみを言ったように聞こえるところなどは主演女優の色が出ているようで、原作の方がより素直に愛すべき人物になっていると思わなくもないが、しかしこれほど可愛い沢尻エリカが見られるという点だけは、間違いなくこの映画固有の価値だと思われる。 そういうわけで、評点のうち5点は沢尻エリカに献上する。個人的感覚ではこれが沢尻エリカ映画の最高峰である。
[DVD(邦画)] 6点(2012-07-27 21:28:48)
386.  宇宙大怪獣ドゴラ 《ネタバレ》 
むかしTV放送で見た時には、怪獣の姿がまともに出ないまま終わったので非常に落胆した。ポスターなどに出ているのはデザイン画の状態であって、撮影用の造形物は単純化されている(特に頂部の突起3本がないのは残念)が、それさえ映画ではろくに見えない。せめて発光するなら見栄えがしただろうが、成体は水中で動かす関係で無理だったか。  ただ、映像特典で特撮の中野昭慶氏が語るには「重力に反した怪獣」にしたかったとのことで、そういえばこれ以前に重力無視で浮いている怪獣というのは存在しない。飛ぶ怪獣は翼・飛膜・翅を使っており、この映画と同年のキングギドラも一応大きな翼がついている。空飛ぶ円盤が未知の科学力で飛ぶのは別として、生物でも怪獣なら重力無視で可という風潮の発端はこの映画だったようで、これは大変勉強になった。 また映像面では北九州市の風景が珍しく、洞海湾の周囲に広がる街の上空にクラゲが漂うような映像は印象的である。ぜひ北九州市の“市の怪獣”として制定してほしい。  ところで本編では、刑事、博士と調査官のやりとりが面白い。特に調査官は予告編でも「変な外人」とキャプションがついており、当時としても相当可笑しいキャラクターだったと思われる。防衛司令も真面目な顔を崩さないがコミカルな演出に貢献していた。これが事実上、この映画の最大の魅力と思う。  なおこの怪獣は「宇宙細胞」が放射能のせいで変化したことになっているらしく、初代ゴジラから10年も経って放射能ネタをどこまで引きずるかと思うが、ラストで博士が「宇宙細胞の平和利用」と言っていたのには笑った(少々意図不明だが笑うところなのだろう)。発電に使うつもりに違いない。核の脅威など感じさせない明るい雰囲気で終わり、刑事と秘書はこれから二人でお幸せに(多分)という感じだった。
[DVD(邦画)] 6点(2012-06-23 21:25:58)
387.  サヨナラ COLOR 《ネタバレ》 
監督兼主演には何の思い入れもなく、主演女優が目的で見た。昔あこがれたマドンナが、今は普通に世間ずれした顔の大人の女性になっているのだが、心を開けば昔のままの(劇中人物というより主演女優の)笑顔がよみがえるというのがいい。筆談の場面は自分のことのように嬉しかった。  ところで、愛する者に生命を捧げるというのは本来泣ける話のはずだが、この映画の主人公が複数の女性を周囲に配した上、一番いいと思ったのだけに特別にこだわっているのは傍から見ると嫌味である。また自分の生命をヒロインに気前よく与えるならともかく、死んだ後まで出てきて恩着せがましく自己アピールし、一生かけて代償を払わせるつもりなのは自己犠牲どころか自分本位で、こうなるともうヒロインにとって本当によかったのかどうかわからない。別の医者にかかっても助かったのではないのか(執刀したのは中島みゆき先生だし)。これほど主人公のしつこさを徹底しなくても感動的な映画にはできたはずだが、そこを譲らないのが監督の自己満足映画ということか。 ただ、それでこの映画が気に入らないかというとそれほどでもなく、しょうがない奴だと笑って済ませるような感覚である。劇中にも出てきていたが、みんな笑って許しあえる同窓会のような雰囲気があり、本人が瀕死の白鳥のなりきりをやっていたのも、バカな奴が余興をやってみせたような印象だった。手放しでほめる気にはならないが、何か憎めないところがあるというのは認めざるを得ない。  なお編集で落とされた映像も含めて、この映画は海の風景に開放感がある。人が死んだら海の向こうに行くともいうが(自分の地元では山に行くが)、この映画は現世と来世の接点で展開したストーリーだったということか。本来この映画で提示するはずだった死生観のようなものがきちんと前面に出ていれば、主人公の身勝手な印象も少し薄められていたかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2012-06-23 21:24:58)
388.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 
今年に入ってから酷評が多いので気が引けるが、自分としてはやはり年代のせいもあって、大昔のしょうもないアニメを現代風に映像化したこと自体を評価してしまう。また前の方のレビュアーも書かれているように、特に褒めたいのがエンディングで出たクレーターのある風景で、こうなるだろうと昔から思っていたことをちゃんと映像化してくれたことには感謝したい。これは間違いなくこの映画の功績である。 それからキャスティングについて、主役の個性が出過ぎているのは確かに気に障るが、それはまあ少々我慢すれば済むことである。それより、もともとどうでもいい扱いの相原の性別を変えて出した女優にはちょっと注目してしまった(結構目立っている)。艦が揺れたときにこの人(多分)が「うわぁ!」と声を上げる場面は好きだ。 そういうわけで大体好意的なのだが、ただ一つ納得できない点としては、やはりイクサブネでやってはならないことというのがあるわけで、もともと変に雇用均等が徹底されている上にそういうことが許されるなら、そこら中で野合状態になるだろう。失われた家族の復元という趣旨はいいと思うし、エンディング部分もそれなりに感動的だが、こういう軍紀違反を前提にしないとストーリーが成り立たないのはつらいものがある。 なお余談だが、大和の沈没地点の放射線量がマイクロでもミリでもない「14シーベルト(おそらく毎時)」だったのは、今になってみると本当に危ないと思う。 [2015-10-14追記] 改めて見直したが、西暦2012年の時点で書いたことに変更はない。昔の名作?を安易にリメイクしようとする企画側の姿勢がどうかは別として、できたものはそれほど悪いとも思えない。TV第1シリーズと「さらば…」からいいとこ取りしてちゃんと2時間強に収めてあり、また放射能除去装置の話が嘘だったという意外な設定をもとにして、“わずかな可能性を希望に変える”ことをうまくストーリー上で表現できていたと思われる。他の映画との調整の関係から、場合によっては点数を変えるかとも思っていたが(具体的には1点減程度)、そこまでしなくてもいいようである。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-14 22:34:26)(笑:1票) (良:1票)
389.  宇宙ショーへようこそ 《ネタバレ》 
宇宙旅行の目的地だったイヌの惑星は、りょうけん座(猟犬座)のM51銀河にあったらしい。けっこう遠いので驚いてしまうが、複数の銀河を含む広大な文明世界の中で、地球が辺境の惑星として知られているというのはかなりの知名度である。  内容的には、宇宙生物や小物の設定などに力が入っているのはわかるが、全体的にはどこかで見たような要素の組み合わせという印象で、大作の割にはセンス・オブ・ワンダー不足という気がした。また宇宙人側の背景事情が細切れでほとんどわけがわからず、力みすぎて破綻したようにも見えていたが、それでもまあ普通に面白い冒険ファンタジーだと思う。 銀河系外に出るような大冒険でも、子どもらにとっては夏の体験の一部に過ぎず(合宿の枠内にちゃんと収まっていた)、その後も普通に夏休みが続いていたらしいのが変というか微笑ましいのだが、5人それぞれに何か心境の変化はあったものと思う。特に最年長の少年は、大人の期待に応えようとするあまり狭い責任論ばかり語って情けなかったのだが、今回はみんなの力を借りて、あえて困難に立ち向かう体験をしたのはよかった。 また映像面では、朝陽の射すわさび田の風景と、彩度を抑えたイヌの都市の景観が印象的だった。  なお後半で敵役の登場人物が、拉致した人々を強制労働させて「弱い者を救うことこそ、宇宙の未来だ」と言ったのに対し、味方の登場人物が「自分の力で生きることが真の未来だ」と反論していたのは、“国民に雇用をあてがう大きな政府など不要”と言っているように聞こえて、これが新自由主義とグローバル化の時代の教育的観点なのかと苦笑してしまった。個人的には政府部門の役割はなお重要だと思うが。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-09 23:18:44)(良:1票)
390.  忠臣蔵外伝 四谷怪談 《ネタバレ》 
「東海道四谷怪談」がもともと「仮名手本忠臣蔵」のサイドストーリー的な設定だったというのは前に聞いたことがあり、江戸時代には2つの劇を同時進行の形で上演したこともあったようだが、現代の映画でそれを再現するというのは面白い趣向で、退屈せずに見られた。白塗りの面々が出るのはおバカな印象もあるが、忠臣蔵の方のストーリーが極めて真面目なので安心して見ていられる。また討入りの場面でゆうれいが吉良邸内をウロウロするのはどうかとは思うものの、ラストはちゃんと話が収斂していたのでまあ満足だった。赤穂浪士は今に伝わる名誉の死だが、脱落者もいわば恋女房との道行きなら不足はないだろう。 ところで以前、90年代頃にTVか何かでこれを見たとき、高岡早紀が着物を脱いでいる場面で唖然とした憶えがあり、今回はその感動を再びという不純な動機で見たのだが、改めて見るとその場面はもちろん、お岩さまが可愛く美しいので感心する。それから荻野目慶子の演技に圧倒されるのは多くの人も同じだろうが、個人的には渡辺えり子氏の首が飛ぶという思いがけない展開に大笑いしてしまった。そういうわけで、とにかく面白く見られる映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-09 23:16:03)(良:1票)
391.  聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実― 《ネタバレ》 
[2018-05-12文章修正、主旨は同じ] 原作を読まないで行ったが、平和平和と連呼する映画ではなかったので安心した。テーマとしては受け入れやすい内容で、単なる過去の解釈ではなく、現代に向けたメッセージとして受け取れる。いまだに固定観念にとらわれたり広告宣伝に左右されがちなところもある中で、特に若い世代や無党派層に向けた映画のつもりかも知れない。序盤でいきなり新聞社の主幹が皮肉を言われる場面は痛快だった。 ただし評判のいい山口少将(や小沢治三郎中将)などを持ち上げておいて、南雲中将などを悪役にしているのはわかりやすいとしても、都合の悪い点はみな悪者のせいにしてしまっているようで本当なのかという気にはなる。原作がそうなっているのかも知れないが、史実としては割り引いて見ておくのが無難かも知れない。これを見て山本五十六を英雄のように崇めるのでは、それこそ映画のテーマに反するように思う。  映像面は、特にこだわりのない一般人としては満足がいくものになっている。昭和のミニチュア特撮を見慣れた人間としては、いわゆる特撮補正をかけなくとも本当らしく見える艦艇が出るだけで感動する。 またテーマにもかかわる若い新聞記者とのやり取りや、前線の視察を言い出したあたりの泣かせどころもあり、娯楽映画としては合格と思われる。ただ少し不満だったのはエンディングの歌であって(ピアノの音も不要)、オーケストラだけのしんみりした曲でよかったと思うが、まあ全体としてはわざわざ見に行く価値はあったものと思う。 なおNHKの「坂の上の雲」とキャストが一部かぶっており、最終回を見たばかりだったので変な気がした。  [2018-05-12追記] 久しぶりに見た。没後75年になったが、今でも大義を振りかざして我を張るとか、綺麗事の観念論に酔って現実を見ない人間が多数いる限り、日本は何度でも負けるという気がした。
[映画館(邦画)] 6点(2011-12-26 22:48:24)(良:1票)
392.  オクス駅お化け 《ネタバレ》 
題名とビジュアルの雰囲気に騙された感じだった。 原題を漢字表記すると「玉水驛 鬼神」だが、原語では日本語の「の」に当たる助詞が省略されているので、邦題ではこれを補って「オクス駅の…」とすべきところ、省略したままにして不器用な直訳の印象を出している。また「鬼神」は「鬼神」のままでもいいだろうが、あえて幼児語の「お化け」にしてユーモラスな方向に引っ張っている。どうせなら「おばけ」にすればもっととぼけた感じが出ただろうがそこまでは徹底していない。 この邦題と、怖そうなポスタービジュアルのギャップに目を引かれたのが見た動機だが、しかし実際そのイメージ通りの映画でもない。黒いオバケが駅に取りついているのかと思ったらそうでもなく、そもそも導入部と本編がほとんど関係ないように見えたのは意外だったが、前日談として一応つながった形ではあるようだった。  ホラーとしては特に怖いところはない。井戸の慰霊で決着がついたかと思ったら実は終わっていないとか、呪いを他人に移すのは確かに「リング」っぽいが、似ているというだけで特に面白くはない。 物語としては、各種問題を頭出ししただけで薄っぺらいので社会派的な面での本気は感じない。劇中の「玉水保育院」は日本で起きた事件を元にしたとのことだが、臓器売買まで持ち出すのでは現代的すぎて唐突感がある。また「4桁の数字は、韓国で児童を対象とした犯罪事件の日付」だそうで、1211・1013・0329は確認できたが、そういう悲惨な事件を思わせるのも形だけの問題提起にしか見えない。 さらに主人公を記者の設定にして巨悪を告発する物語のようでいて、最後は個人的な復讐でしかなくなったようなのは話を逸らされた感がある。ただし社長本人も巨悪の隠蔽に加担した過去があり、今回知らぬふりで逃げようとした?のを主人公が潰した、というようなことなら勧善懲悪的な(というより懲悪的な)話だったことにはなる。また湯灌師の発言をもとに考えれば、主人公は恨むべき相手に正しく復讐したことで、世の中全部を恨まなくて済んだのが幸いだったいうことか。これが儒教倫理的な筋の通し方ということかも知れない。 一応の娯楽性は備えているので極端に低評価にはならないが、何かと半端な印象を残す映画だった。個人的には事前の期待が大きすぎたということもある。 その他、特に序盤で変に漢字が目についたのは日本向けのサービスだったかも知れない。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-04-20 17:15:45)
393.  ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 《ネタバレ》 
あまり真剣に見るものではないが、どうせ昭和の怪獣映画だと思えばそれなりに見ていられる。 エビとガの登場にはあまり必然性が感じられないが、劇場パンフレットに書かれた「陸海空の三大怪獣」というコンセプトで数を揃えた形らしい。新顔のエビラはハサミに大小があるが、小さい方で人間を串刺しにして食っていたので使い分けがあるようだ。終盤モスラが飛来した場面では、ゴジラとの間で何らかのコミュニケーションがあったように見えたが、劇場予告ではここでモスラが「来ちゃダメッ」と言っていたことになっていて女性的なイメージが持たれている。 場所が南洋の島なので当時の日本各地の風景を見られるわけではなく(ロケ地の海岸は別として)そういう面白がり方はできない。しかし最後に島が崩壊して沈下する場面は迫力があって、この辺はさすが日本特撮だと思った。  政治的な主張としては、大学生の反戦・反核は当時の定番として、悪の秘密結社のような敵はどういう団体だったのか不明瞭だが、呼称に「赤」が入ることから当時の東側陣営に連なる組織と思うしかない。「革命」という言葉を特別視していたようだったが、本来の革命というのは民衆が圧政に耐えかねて、または外部勢力の扇動で起こすものであって、劇中でやっていた核開発の延長上にあるものではないだろうと言いたくなる。しかし当初は革命の美名のもとに発足しながら、この頃には核兵器で世界平和を脅かす存在になっていた東側勢力を皮肉ったとも取れなくはなく、戦後の東西対立の中でゴジラを「中立」の立場に置こうという考え方だったかも知れない。 登場人物としては、水野久美さんはこの時期になってまたこんな村娘役かと思うがそこはプロである。露出の多い服装で藪や岩場を動いて傷だらけにならなかったかと思うが余計なお世話か。小美人は前と違う双子が出演して同じ声質でのハーモニーを聴かせている。外見は「謎の円盤UFO」(1970~英)のエリス中尉風だった(どことなく未来的)。
[DVD(邦画)] 5点(2024-02-24 20:13:05)
394.  霊的ボリシェヴィキ 《ネタバレ》 
序盤で「禁句」を言った奴がいきなり殴られたのは笑った。世間的にはそれほど評判が悪くない映画らしい。 同じ監督の「恐怖」(2009)と似たようなものかと想像していたら姉妹編だそうで、これの方が本来の姿とのことだった。題名は昭和(戦後)に流行した革命志向との関係を予想させるが、この映画自体に回顧趣味はなかったようで、どちらかというと皮肉・揶揄の姿勢と思われる。 題名の意味として、一つは宗教の否定ということが考えられる。劇中集団の基本認識として、「あの世」はないが「化け物」のいる霊界のような場所はあるということのようで、両者の何が違うのかはわからないが、例えば「あの世」というのがキリスト教などの天国、仏教の浄土、あるいはご先祖様のいる場所など民間信仰的なものを含めた安楽の地のことだとすれば、これを宗教的な観念として否定した上でなお「化け物」のいる霊界は存在すると言っていたのかも知れない。いわば天国はないが地獄はあるという考え方のようでもある。 題名の意味としてはもう一つ、「恐怖」に関わることもあったかも知れない。例えば、水害や火災など非業の死の間際に恐怖を感じると、安らかに死ぬことができずに「化け物」のいる霊界(地獄)に行ってしまうということなら、わざと恐怖を感じさせて地獄に送ることもありうるわけで、この点を全体主義下の恐怖政治に関連づけているということか。 ほか登場人物が心霊の正体を「思念」と断じる場面もあったが、これは口調からすると思想統制の一環であってそのまま信ずべきものではないかも知れない。あくまでこの連中の思想はこうだというだけである。  映画の構成としては、廃工場のような場所(業務用大鍋あり)で人々が順に体験談を語る百物語のような趣向になっている。個人的には霊媒師の話が、見た瞬間に後悔するという点でネット発祥の著名な都市伝説を思わせて印象的だった。そこからまた別方向につながっていったのは話を逸らされた感があったが、二次元的に見えるというのは確かにそういう話はある。 物語的には、主人公に何が起こったかをめぐるミステリーのようだったがよくわからない(すり替えられたこと自体はわかる)。登場人物では小柄な運営スタッフの人が何をするかと思ってずっと見ていた。こういう人も昔なら革命の闘士をやっていたかも知れない。 前記「恐怖」と同じく面倒臭くてつき合いきれない印象もあるが、見る所が全くないわけでもなかった。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-10-07 14:25:06)(良:1票)
395.  三大怪獣グルメ 《ネタバレ》 
バカ映画の巨匠・河崎実監督のバカ映画である。公開日が2020/06/06とのことで、本当にこの時期に劇場公開したのかと思うが、疫病の不安の中で見れば気晴らしになったかと思われる。 歴史的にみた三大怪獣といえば「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964)のゴジラ・ラドン・モスラだろうが、海鮮丼という前提なら「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」(1970)の3怪獣のうち、カメが食えないのでタコにしたように取れる。また公式サイトによれば、もともと円谷英二監督が戦前に企画していたタコ映画の構想に触発されたとのことで、そのタコに監督本人の「いかレスラー」(2004)、「かにゴールキーパー」(2006)を加えた形になっているともいえる。  バカ映画といってもこのくらいになると特に変なところもなく、ちゃんとしたストーリーを備えた娯楽映画になっている。当初は登場人物の性格付けを不明瞭にしておいて、最終的に誰に肩入れすればいいかがはっきりさせていく形だったのは悪くない。うち悪役は、ラストに至ってもまだ「世界の破滅」を企んでいたのかも知れないが、世間では既に人間がミイラ化するという怪事件が発生しているのに同じようなことを考えるでもなく、どこまでも海産物に固執していたのはもう頭が変になっていたと思うしかない。昭和のTV番組「怪奇大作戦」の第24話を思わせる哀れで恐ろしい(笑)終幕だった。 また題名からすればグルメ映画ということもあり、登場人物それぞれ言葉を飾ったグルメ評論風の賛辞を連ねるのが空々しいが料理自体はまともなものを出している。食物だけでなく、協賛に名前の出ている「有限会社ニイミ洋食器店」(東京都台東区)のキャラクターが大活躍する展開だったのは、「プロを支えるプロの街 かっぱ橋道具街」へのリスペクトも感じられて少し感動した。同じく協賛で「岩下の寿司がり」の岩下食品株式会社(栃木県栃木市)も存在感を出している。  出演者としてはちゃんとアイドルも出ているが、例によって監督本人も顔出ししている(見なくていい)。ほか監督のお知り合いか何かわからない人々が大勢出ていて特にコメントする気にならないが、別映画で見たばかりという関係で一人だけ挙げると、「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令」(1983)のイブキ隊長役の人物が「イブキゲンゴロウ」役で出ていた。ちなみに主演の男に関しては「わかんなくて結構だよ」の表情がよかった(笑った)。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-05 14:10:03)
396.  DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令 《ネタバレ》 
今は有名になった庵野秀明氏が若い頃に関わった自主製作映画とのことで、現在は「シン・ウルトラマン」(2022)とともにアマゾン・プライムビデオで配信されている。映画というよりTVの30分番組の作りになっていて、中間あたりにCMの切れ目が入れてある。 基本的にはかなりまともな特撮怪獣物で、防衛基地の内部や装備品や街の建物などは、自主製作のミニチュア特撮としては信じられないほどよくできている。怪獣の着ぐるみもちゃんと作ってあり、顔の造作や唾液が糸を引くのが使徒を思わせる。怪獣の名前が「…エル」なのも天使イメージで使徒っぽいが、これは別の語源解説が付いているらしい。 背景音楽も昔のTV番組で聞き覚えのあるものを多用している。BGMの使い方として、TV番組では登場人物の私的ドラマで使われていたM27が、今作ではマットアローの発進場面にまで流れていたのは新鮮だったが、これは全体がハードな展開のため人間ドラマ限定の箇所がないからというだけかも知れない。 しかしどうしても突っ込みたくなるのはウルトラマンが本体・服装とも地球人仕様なことである。別に宇宙人が宇宙人顔である必然性はないにしても、全体として生真面目な作りなのにここだけギャグなのは変だろうが、これは学生時代からのシリーズとして外せない趣向だったということか。ウルトラマン以外はユーモラスな部分がないのは無味乾燥なようだが、終幕時の「こいつう!」(笑)はツボを押さえていたとはいえる。  物語について、市街地へ殊更に容赦ない攻撃が行われる展開だったのは、昭和(戦後)的にいえば一般民衆を顧みない軍組織への反感ということになるだろうが、しかしもう少し素朴な感覚でいえば、こういう怪獣モノで平気で街を壊すことへの微妙な反発の表われとも取れる。ガキの頃なら何とも思わなくても20代にもなれば、たとえ怪獣を倒すためとはいえ街が壊されれば人も死ぬだろうからまずくないか、という方向に意識が向くのは自然なことである。劇中現場がビル街ではなく住宅地が中心だったのも、一般の人々が現に住む場所が無惨に破壊されることへの心の痛みの表現といえる。 また人間ドラマに関しては、情を殺して義を立てるのを美徳とする戦前世代の硬直性や権威主義に対して、別に情を殺すこと自体に価値があるわけでもなく、誰も泣かずに済む方法を柔軟に考えるべきではないのか、と逆らってみせたのかと思った。ただし現実問題として人間にできることには限界があり、今回はウルトラマンの力を借りて最悪の事態は免れたものの、仲間1人が助かっただけでハッピーエンドともいえず、戦いで多くの人命が失われたことへの悔いは残った、ということかも知れない。当時の既成秩序や現実の中で苦闘する若い世代の姿を描写しているようではあった。  そのほか出演者の演技についてはコメントしないものとして、登場人物では隊長(年齢不詳)の顔の張り具合が北の最高指導者のようで、当時の日本人の栄養状態が良好だったことを思わせた。また防衛組織にちゃんと女性隊員がいて、防衛隊員らしい発声をしていたのは心地いい。一瞬だったが振り向いて「ウルトラマンです」と言った女性隊員は「新世紀エヴァンゲリオン」の伊吹マヤさんを思わせた。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-08 15:21:24)
397.  富士五湖奇譚 呻母村 《ネタバレ》 
最初に書いておくが他人にはお勧めしない。 まず題名の村の名前がウソくさいが、これはエンドロールにロケーション協力として出る「梅久保集落」が実際の地名であって、劇中で「神社みたいな」と言われていた鈴鹿神社はストリートビューでも確認できる。ここは地元自治体の公式サイトで「ゆず」(柚子)の産地と書かれていて廃村でもないらしいが、すぐ隣の地区に似たような立地で廃墟になった集落があり(恐らく両久保/もろくぼ)、撮影はここでしたか、あるいは周辺の別の廃村でしたのかも知れない。映画紹介に出ているようにこの付近には廃村が何か所もあるようで、その方面の愛好者が写真や動画をwebに上げている。 なお監督は「制作」に名前の出ている映像制作会社の代表をしているが、2023.1.14の山梨日日新聞に山梨県出身者として紹介されていたりして、自分の地元で撮ったご当地映画という意味もあるようだった。  内容は4エピソードで構成され、EP1~3の各登場人物がそれぞれ別の形で廃村の呪いに関わることになる。それぞれの人格に対応して、バカは死のうがどうなろうが勝手にしろ/人生をかけた戦いが悲壮だ/この人が呪われたらかわいそうだ、と思わせることで変化を出している。 【EP1】突撃ユーチューバーらしく世界を舐めてかかっているが、「心霊現象なんてそうは起こらない」というのは実際そうともいえる。 【EP2】霊媒師の話が現代史の流れを感じさせる。「自粛」というのはオウム真理教事件の影響でそうなったと言いたいのか。また2001.9.11の事件に関連して「世の中から取り残されてるって気がして」というのは、同じ体験があるわけでもないが少し心に染みる述懐だった。 【EP3】インスタグラマーのようで、突撃ユーチューバーより清潔感がある。不謹慎系なようでも本心は別のところにあり、ジャーナリズムの本質にも通じる思いを真面目に語る人だった。別の目的でたまたま廃村に行きついただけなので、この人には生きてもらわなければ困る。 【EP4】よくわからない締め方だが、EP1のバカが原因で不幸の手紙的な呪いが世間に放たれたという意味か。  個人的な感覚では、一般的なホラー映画というより実話怪談集のようなものかと思った。実話怪談集では関係ありそうな話を複数集め、その背景に何かが存在すると思わせて恐怖感を出す趣向があるが、この映画も似た感じになっている。また関わった者の顛末が一様でなく因果関係もはっきりせず、理屈で割り切りにくいというのも現実味のある(または、そんなものは偶然だと言われて終わりになりそうな)実話らしい表現といえる。これと似た感じのものとしては「残穢」があるが(映画よりも小説の方)、この映画はそれを安上がりかつフェイクドキュメンタリー風に撮ったものとして理解できる。 実話怪談集と違うのは、当然ながら実話とは称しておらず明らかにフィクションであること、及び各エピソードが冗長に見えることだが、これは実話怪談でいえば話者の体験談を未編集で掲載したようなもので、実際に素人が撮った動画はそんなものということではある。ただし4エピソード中で最もバカっぽいEP1の時間が最長(23分半)なのはさすがにマイナス要因である。 なお出演者のうちEP3の人物役は瀬田佳奈子という人で、以前は妹田佳奈子の名前で「ダンスウィズミー」(2019)にも出ていたらしい。宣材写真はとぼけた顔で写っているが、動いているのを見ると目がくりっとした可愛い人で、自撮りでずっと顔が映っているので和まされる。そういう面でも悪くない映画だった。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-06-17 10:44:49)
398.  PLAN 75 《ネタバレ》 
邦画のようだが製作国が多く(フランス・フィリピン・カタール)変にグローバルな印象を出している。個人的な感覚としては、この映画の公開年と同じ2022年の世界を扱った「ソイレント・グリーン」(1973年米)の現代版かと思わされる映画だった。  劇中世界はよそよそしいが平穏な普通の日本社会であって、その中に違和感なく自然に尊厳死制度がはまり込んでいる。制度は完全な自由意思によるもののようで、そのことが富裕層など死ぬ事情のない人々が平気で生きていられる保証になっていると思われる。 高齢者へのあからさまな迫害などは意外に見られず、登場する若年者は良心的で、ボウリング場の若い連中までもが友好的だった。これは制度の導入によって高齢層への反感が解消され、世代・年代間の対立のない世界が実現したとの意味かも知れない。 また関連ビジネスで1兆円の経済効果というのは現代らしい発想だった。満足できるサービスを得るには費用がかかるにしても、産廃業者でよければ無料というのはソイレント・グリーン的な雰囲気も出している。ほかに生活保護制度も利用可能のようだったが、それはそれで貧困ビジネスの商売ネタにされるようで、そうならなくて済むのもこの制度の利点ということか。 なお現代日本は外圧には弱いが自分からは何もしない国とのイメージがあったので、この映画のような思い切った政策を自ら発案して実行するなど全く考えられないと思ったが、しかし何かの理由で世界の先頭切ってやらかすこともなくはないという気はしてきている(最近は常識外れのことが普通に起きる)。世間の風潮に素直に従う日本人は人類社会のモデルケースになれるかも知れない。  ところで困ったのは、どういうメッセージをこの映画から受け取ればいいのかわからないことである。都合よく人を死なせる制度に反発するのは人として自然な反応だろうが、それにしても劇中設定がうまく出来すぎていないか。自分がすでに高齢者に近づいて来た状況では、このまま生きているよりさっさと死んだ方がいい、と思わされたというのが正直なところだった。 製作側の真意はわからないが(公式サイトは一応見たが)こんな世界にしてはならないというよりは、逆にこんな世界の現実化を前提にした下地づくりが目的のようでもある。日本政府も国際社会も各種メディア(映画を含む)も何も信用できない世の中と思えば、とても素直に見る気にならない映画だった。点数はどっちつかずの数字にしておく。  [追記] 上記で終わりにするかと思ったが気分的に収まらないのでさらに書いておく。 まず、どんな人にもそれぞれ来歴や思いがあるのは相応の年齢になれば誰にでもわかる当然のことである。少なくとも自分にとってはわざわざ映画で見せてもらうようなことではないが、そこをこの映画であえて強調していたのは、やはりそういうことにまだ意識が向いていない若年層へのアピールということになるか。近い将来、この映画のように尊厳死を選ぶ高齢者がいたときに、やっと死ぬのかさっさと死ね、といった罵詈雑言を背後から浴びせるようなことをせず、みなそれぞれに人生があったのだから敬意をもって送り出しましょう、と言いたいのだとすれば、やはり年代間で理解し合える円満な社会を志向した映画と取れなくはない。大変良心的だ。 結果的に劇中高齢者は同情すべきかわいそうな存在という扱いになっていたが、個人的には高齢になった自分の姿に悲哀など感じてもらいたくはない。憐れまれるより死ねと言われる方がまだましだ(勝手にさっさと死ぬ)。それこそ尊厳の問題だ。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-04-01 08:49:29)(良:1票)
399.  竜とそばかすの姫 《ネタバレ》 
仮想空間と田舎を対比させているのは「サマーウォーズ」の系列作に見える。仮想空間には警察がいないそうだが、どうせ運営側が直接統制をかけるだろうがと思えばそういうことでもなく、これはいわゆるweb3.0か何かで誰にも支配されない世界が実現しているという設定か。50億の集合意識で本当に価値あるものが自ずと見出されていくという都合のいい展開は、監督が基本的なところでインターネット空間の発展に期待を寄せているという意味かも知れない。 また本物の顔を見せてこそ信頼が生まれるという考え方はわからなくはない。本人似のアバターを提案する方式も人格的なつながりを持たせる意図のようで、またSNSと紐づけ可能という設定からも、完全に別人格になれるメタバースというよりは実名登録で写真付きというフェイスブックの原点を忘れるなというようでもある。「新しい人生を始めよう」という言葉は、新たに見出された可能性を仮想空間内で完結させず、現実世界に持ち帰った上で新しい人生を自分で作っていけという意味かと思った。仮想空間の映像表現を売りにしながらも、「サマーウォーズ」と同様に現実世界とのつながりを意識していたようではある。  ところで素人が水難救助をしようとすると、結果として助けようとした方が亡くなってしまうことが現実に多い気がする。そういう時は無理せず公的機関に通報する一方、自分は安全な場所から助ける努力をするのが適切だろうが、しかしそれでも主人公の母が自分で助けに行ったのは、理性的判断というよりそうせずに済ませられない性のようなものがあったのか。まさにその点を主人公が受け継いだのだとすれば、そういう理屈抜きの衝動にそのまま共感できるかどうかがこの映画の評価を分けるかも知れない。主人公の方は今回たまたまいい結果を出せたということらしい。 全体的にみて、作り手側の思い優先で現実性度外視のところが多いのは作家性の強さと取るべきか。またそれとは別に、映像で観客の感情を動かす力を持った映画だとは思った。点数は作中の"半分が批判、半分が評価"というのを一人分の数字に反映させておく。  なお今回は少女の大泣きは控え目だった。主人公は「こんなに普通の子だったなんて」と言われていたが、普通未満と思われなくてよかったともいえる。仮想空間はとても人とは思えない連中だらけで、主人公がちゃんと歌姫の姿をしていたのはかえって特異なようでもあった。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-02-25 09:16:26)(良:1票)
400.  美しすぎる議員 《ネタバレ》 
不快な場面が多いので好んで見るようなものではない。同じ監督の「レミングスの夏」(2016)に続き、今回も某県某市やその市議会が協力しているが、よくこんな微妙な映画に協力しようと思ったものだ。ここの議会では常にあんな質問・答弁のやり取りをしているのか(会議録を見るとそうでもないようだが)。 劇中議員は生活相談のようなことをしていたが、市民の個人生活に踏み込んでも深みにはまるばかりで、それが市政につながらなければ議員の仕事とはいえないだろうと思ったが、しかし一期目の新米議員として、こういうことをしながら自分の活動スタイルを作る過程だったとするなら否定できるものではない。個人的に背負うもの、失うものがないのはかえって強みでもあり、また極端に清廉潔白でもなく「100やりたくないこと」もあえてする人物だったが、ちなみに芸能界に関する発言は、演者本人にも関わることなので少々微妙だった。 一方の劇中ディレクターは物事をきれいな表と汚い裏と単純化して捉えていたようだったが、しかしそれはマスメディア本体や、マスメディアが想定している視聴者も含めた世界観がそうなっているということらしい。実際に議員は表面を取り繕っているところもあったが(当然だが)、さらに奥の奥まで暴いていけば、マスメディアの期待した真実が見えるかと思えばそうでもなく、実は初めから表層に見えていたのが真実だったということではないか。それがわかったのも「100の画を撮って」きた結果ということか。 またディレクターはなぜか売名ということにこだわっていたが、それはそれとしてその先にまた本来の目的があると思っていなかったとすれば残念な奴ということになる。しかし自分が「野心」を指摘されてそうではないと返した時には、実は自分も議員も同じだったことを自覚していたという理解でいいか。 個人的な感覚としては、映画人の語る政治や社会などどうせマスメディアと同種同質のものであり、得にも足しにもならないので知りたいとも思わないわけだが、しかしこの映画は結果的におおむね妥当なことを言っているようだと思ったので、点数は悪くしないことにする。 ちなみに川村ゆきえという人は嫌いでない。題名通りの「美しすぎる」というよりは、生の人としての顔が見えていたようで悪くなかった。ラストの遠景の表情にちょっと泣かせるものがある。
[DVD(邦画)] 5点(2023-01-28 21:12:42)(良:1票)
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