901. チ・ン・ピ・ラ(1984)
いかにも昭和な感じの描写はポイントが高いのだが、行き場のないチンピラのやるせなさや閉塞感、挫折感などがほとんど表現されておらず、概ねお気楽にフワフワと最後まで行っているように感じる。主演2人の存在感で何とか保っているような感じ。高樹沙耶と石田えりも、もう少し上手く使えなかったのかな? [DVD(邦画)] 6点(2012-01-31 02:19:42) |
902. 天然コケッコー
登場人物たちがみんなガラス製みたいというか、透明すぎというか、人生が感じられないというか・・・風景に寄りかかってそのまま流れてしまったみたいで、息づかいや感情といったものが感じられません。したがって、そこにドラマもありません。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-01-30 00:13:55) |
903. 恋するトマト
《ネタバレ》 引っかかったのは、最後の大事な場面でも、主人公はお金で解決しようとしていること。相手の父が断る理由として日本軍云々を挙げているが、そんな問題ではないと思う。現実に主人公と同じパターンで結婚してその後上手くいかなかった例はたくさんあるし、また作品の中盤でも主人公は相手国を貶めるような後ろ暗い職業に関わっていたわけで、そういうところをこそ最後に切り込んで整理すべきだったのでは?目的意識は高い作品なので低い点はつけられないが、だからこそその点が気になった。あと、せっかくこの設定に踏み込んだのであれば、農作物育成や農業経営のディテールも描写の対象に入れてほしかった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-29 02:06:33) |
904. かもめ食堂
せっかくのフィンランドの日本人食堂というチャーミングな設定でありながら、プラスチックのような人工的で無機質な店の内装がぶち壊しにしています。とても、人の人生や人情が交錯しそうな場所に見えません。料理が人を変える話なのに、肝心の料理がきちんと撮られていないのも問題。ただ、小林聡美があそこまで「可愛いおばさん」になっていたのはどきどきしたので、そこに5点。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-01-26 02:18:57) |
905. 姉妹(1955)
《ネタバレ》 凛として落ち着いたいつも冷静な姉、無邪気で天然で素直な妹。しかし、両方とも、前提としては、礼儀正しく人を尊重できる人格的基盤がある。このように造型がしっかりしているからこそ、エピソード自体は細々したものを積み重ねているように見えても、作品全体に一本の筋が通っているし、素朴な描写にもかかわらずリアリティがある。ラストのお嫁入りのシーンなんて、ただ家を出て歩いてバスに乗るのを順々に撮っているだけなのに、何であんなに説得力があるんだろう・・・。また、それに至るまで、父の冷厳な判断で修学旅行不参加、他に好きな男の存在をほのめかせてあっさりその芽を潰す、など、現実の厳しさを自然に交えているところが、作品に奥行きを与えている。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-24 01:07:30) |
906. 兄とその妹(1939)
当時の人々の自然な生活様式や思考がいろいろ見られたのは興味深かったのですが、それ以外のところでの見るべき点がないのです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-01-19 00:42:04) |
907. 祇園の姉妹(1936)
30年代の映画ってあまり見る機会がないので興味はあったのですが・・・すみません。誰が何のために何をしようとしているのか、一部しか分かりませんでした。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2012-01-17 01:37:52) |
908. 丑三つの村
《ネタバレ》 突っ込み不足の点は多々あるにしても、もともとの出征(戦場)への憧れ、結核発症による挫折とそれに対する村人の反応、夜這いが当たり前のどろどろの人間関係など、事件発生の基盤をなすものはきちんと押さえられているし、無理なく主人公の終盤の行動につながっている。エロシーンをただのつなぎではなく、きちんとこだわって映しているのもポイントが高い。湯浴みをする田中美佐子を後ろから撮ったショットなんて、映画史上屈指の裸身の美しさ(あえて「ヌード」とは書きたくない)。ただ、すでに書かれているとおり、シンセ丸出しの音楽が最悪なんですね。83年という時期がまずかったのかな。これがちょっと前かちょっと後なら、避けられたと思うのですが。 [DVD(邦画)] 7点(2012-01-16 03:09:02)(良:2票) |
909. リンダ リンダ リンダ
《ネタバレ》 音楽でステージに立とうというんだったら、もっと真剣にやって下さい。例えそれが高校の文化祭であっても同じです。この時点でこの作品は評価できません。そもそも彼女たちが何でバンドをやりたかったのかも分からない。 [地上波(邦画)] 3点(2012-01-15 23:27:28)(良:2票) |
910. 暖流(1957)
《ネタバレ》 やたらとみんなが文字数多く喋りまくっているのが、この時期の邦画では珍しいと思ったのですが、元は舞台劇か何かでしょうか?病院内調査は比較的あっさりとすませ、むしろ人間関係のどろどろを中心に置いたのはよいと思いますが、個々の人格造型の突っ込みは今ひとつで、残念でした。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-01-15 02:40:52) |
911. 紀ノ川
連ドラの総集編を見ているような感じ。どの時代も全体的に同じようなペースで、起伏に薄く、ドラマとしての上下動がありません。登場人物の描き方や行動自体、時代背景からすぐ設定できるような範囲内であり、深みがあまり感じられません。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-01-13 05:23:50) |
912. きつね(1983)
《ネタバレ》 思春期が有する物悲しさとある種の危うさを、奇をてらうことなく堂々と正面から追っていった誠実な作品。主演の2人はオープニングからいきなり素人演技を披露してくれるが、各場面が進行するにつれてそれに違和感がなくなり、逆に玄人のはずの三田佳子の演技が俗っぽく見えてしまうから不思議。しかもただ2人を追うだけではなくて、しかるべきところで自然にいろんな脇役を絡ませているのが、作品に奥行きを与えている。あと、四季の風景の数々が割とさらっと出てきますが、この撮影には相当手間と時間がかかってないですか? [DVD(邦画)] 7点(2012-01-07 00:41:48) |
913. クローンは故郷をめざす
《ネタバレ》 前置きの回想部分が長いのが気になるが、話が動き出してからは、SF的進行と素朴な地味な描写の合い具合が意外に心地よく、一本の筋を感じることができる。設定に溺れることなく、それを用いて表現したいことがきちんと練られていると思う。ただ、永作博美の出番はもう少し欲しかった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-06 01:40:53) |
914. 東京タワー
《ネタバレ》 「失楽園」でも登場人物たちの生活感のなさという点がかなり弱点になっていたが、こっちの方の人造人間っぷりはそんなものではない。何食べて生活してんの?起きてるときはいったい何してるの?とかそういうレベルです。ここまで来ると、開き直りですね。しかしそれは同時に、見る側を馬鹿にした態度でもあります。不倫というのは日常生活上の倫理からの逸脱がドラマを生み出すのに、肝心の前提が何もないのでは、物語になりようがない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2012-01-02 01:27:57) |
915. 江戸城大乱
酒井忠清とか堀田正俊、およびその周辺の時期に着目した時代劇ってあまりないので、そこだけでも十分貴重だと思う。ただし、巧者揃いの俳優陣はほとんど生かされておらず、せっかくの世継ぎ紛争ものなのに、知略も戦略も権謀策術もその背景や動機も見当たらないのです。つまり、主演の3人くらいに寄りかかって作られてしまったということ。どうもいろいろなところが中途半端でした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-12-14 02:59:40) |
916. 震える舌
《ネタバレ》 全体を通じてなかなか力が入っており、特に子役の少女の気合の入り方は驚嘆すべきであるが、結局、中身としては発作→救命措置が繰り返されるだけであって、単調な感は否めない。主演が渡瀬恒彦というのも、どこか常人離れした雰囲気が漂っていて、「どこにでもいるお父さん」の雰囲気が削がれている(こういう役は、勝野洋とか本田博太郎で見てみたかった)。中野良子が女医役にあまり合っていなかったのも意外。などと言いつつも、光の刺激を避けるために病室内は常時真っ暗という前提条件をフルに生かした作品世界の統一性(逆に、数少ない外のシーンが何とも眩しい)は強烈だったのでこの点数。 [DVD(邦画)] 7点(2011-12-13 02:32:53) |
917. お父さんのバックドロップ
《ネタバレ》 プロレスそのものに対する突っ込んだ描写が少ないので、親子関係がどう進行していっても説得力がない。ラストも予定調和にしか見えません。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-12-10 21:14:22) |
918. お葬式
何というか、全体がいかにも作為的なんです。いかにも日常の生活をそのまま描いてみました的な空気が出過ぎていて、かえってぎこちなく不自然になっている。登場人物に躍動感がありません。あと個人的には、友里千賀子がもっと見たかった。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-12-08 02:14:59) |
919. 楢山節考(1958)
セットで全部やってしまった貧相な画面にもどうにも違和感が残ったが、それ以上に、どこまでもしつこくかぶさってくる三味線の音が非常に耳障りだった。こういう寓話的な作品世界こそ、静寂が重要だと思うのだが。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-12-04 01:28:05) |
920. 青幻記 遠い日の母は美しく
《ネタバレ》 沖永良部島を舞台に、主人公の少年時代の母親との日々を回想する作品。前半はあまりにもばたばたと進みすぎで、何が主題なのかを捉え難いが、母親が存在感を増してくる後半の印象はなかなかである。特に、クライマックスの、満潮の海での離別のシーンのインパクトは強烈。難点は、現在のシーンが次から次へと出しゃばってくること(全体を通じて、現在:過去が4:6くらいなのでは?)。回想がブツ切りになって、浸れなくなってしまいます。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-11-29 03:04:52) |