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81.  どら平太
日本映画久々の痛快娯楽時代劇。市川監督らしい豪快さの中にもユーモア溢れる独特の映像センスは、今回も健在だ。ただ、時代劇の王道を行くキャラクターのどら平太があまりにも強すぎて、様々な登場人物の中でもとりわけ菅原文太演ずる首領が、敵役としては物足りなくて何とも呆気ないのが唯一不満だ。
8点(2001-10-19 23:26:33)
82.  少女 an adolescent
初監督作品とは思えないほど監督としての奥田瑛二は、老練な職人の如くその手腕を遺憾なく発揮している。それ程、この作品を映画化するには深い思い入れと執念があったと言うことだろう。ただ多くの入浴シーンや衣服ごと水に濡れたり、あるいは汗まみれの素肌といった、本来官能的なシーンが何か爽やかさの印象が強いのも、彼の生真面目さによるものだろうか。共演者では、これが映画初出演とはとても思えない少女・陽子役の小沢まゆと、その兄・助政役の小路晃が強烈な存在感をみせている。そしてその母親役の夏木マリがさらにいかにもベテランらしい凄みのある演技で画面を引き締めている。
8点(2001-10-06 17:21:53)(良:1票)
83.  クロスファイア(2000)
なかなか良く出来た面白い作品で、往年の東宝特撮変身モノの香り(主人公が胸に手を当てるところなどは、まさにそれ!)や、デ・パルマの「フューリー」を彷彿とさせるシーンなど、まさに過去の名場面を巧くアレンジしている。さらに炎の演出をさせたらこの人の右に出るものなしと言われるぐらい、金子修介は見事なスペクタクル映像の描出にも成功している。
8点(2001-10-06 00:35:36)(良:1票)
84.  クリフハンガー
そのほとんどをSFXに頼らないライブアクションの持つ強みというものを感じる。その圧倒的スリルと本物の感動と興奮!高所恐怖症の人でなくとも、まさに“ぶら下がりの恐怖”と言うものをイヤというほど味あわせてくれる。こういったスペクタクル・アドベンチャーにはストーリーなど、添え物程度で一向に構わない。
8点(2001-08-25 18:00:36)
85.  三文役者
“泰チャン”の独特の言い回しは普段の生活でもほとんど変わらないということを、竹中直人がその風体やしぐさをもややデフォルメしながら、そのひととなりを気負う事もなく実に爽やかに演じてみせてくれる。それにしても荻野目ちゃんの相変わらぬ大胆な演技にはまたまた驚かされるし、乙羽信子の天国からの特別出演はさらにビックリだ!
8点(2001-05-26 23:50:26)
86.  もののけ姫
テーマヤストーリーを突きつめていくと、かなり解かりづらい。が、その事を抜きにした場合、これだけの奔放なイマジネーションとその独創的な表現方法はアニメと言えども、めったにお目にかかれるものではない。そういう意味ではアニメもまた総合芸術である以上、これは紛れもなく宮崎アニメのスタッフの労作だと思う。
8点(2001-05-25 23:48:20)
87.  悪魔の手毬唄(1977)
山間の古い村。由緒ある旧家。伝説を秘めた沼。多彩な登場人物。怨みのこもった人間関係。殺しの手口。陰惨さがそのまま華麗さに変容する独特のムード等々。横溝文学の世界を市川監督が良質のエンターテインメントに仕上げたシリーズ第二弾。印象的な主題曲から、ラストの金田一と警部との別れのシーンまで、その演出の旨みと作品に対する力の入れようは前作に勝るとも劣らない。が、この作品、推理モノというよりは殺人を情緒的に楽しむという点で、死の小道具が相手の屋号に因んだものとするには、あまりその必然性は無いし、殺し方にも無理を感じざるを得ない。第一、犯人の心理状態から考えて、そんなゆとりがある筈もなく、唯一不満が残る部分だ。
8点(2001-04-22 17:02:08)
88.  スモーク(1995)
タバコ屋の主人を取巻く人々の様々なエピソードを、人情小噺風に綴っていく。そのしみじみとした情感がなんとも魅力的であり、さらに劇中語られる盲目のお婆さんとのエピソードが、エンドロールのバックに具体的な映像として表現されるという構成も実に面白い!W・ハートの煙草の吸い方一つとっても、妙に印象が残るような不思議な作品に仕上がっている。
8点(2001-02-24 23:08:27)
89.  顔(1999)
妹殺しという重いテーマの中、ブスでネクラで冴えない中年女が、その逃亡生活での様々な人間との出会いをとおして、本当(真実)の自分というものを探し求めるというストーリーをコミカルに描く。阪本順治監督は藤山直美という天才を得て、いつにも増して力の入れようが違う。さらにバラエティに富んだ豪華キャストの個々の役柄も的を得ている。それにしても女って一度腹をくくると、凄い!コワイ!そして、したたか!だという事を改めて思い知らされた。
8点(2000-11-04 17:45:06)
90.  ワンダー・ボーイズ
さまざまなエピソードが小さな事件(出来事)を絡めて、静かにそして淡々と語られていく。それだけにかえって深く胸の中に残る。K・ハンソン監督だからこその老成した大人の映画です。うらぶれた冴えない中年の小説家M・ダグラス、なにかにとり憑かれたような不思議なキャラのT・マグワイヤ、そしてほとんど“地”でやっているような翔んでるR・ダウニーJr等、キャスティングも見事!
8点(2000-10-08 16:45:22)
91.  寝ずの番
師匠の死を弔う、落語家一門の通夜での大騒ぎを描いただけの映画かと思いきや、次々と突発的に生じる後日談もあり、原作を知らない者にとっては少々意外であり、またその事が巧みな映画的構成力により、ひとつの魅力ともなっている。かつて、伊丹十三が斬新な発想による「お葬式」で鮮烈な監督デビューを果たしたのと同様に、津川雅彦念願の監督デビュー作は、しかしながら似て非なるものだった。強烈さと言う意味ではこちらの方に軍配が上がるかも知れない。終始繰り返される下ネタ自慢が映画の本筋かと勘違いする程の徹底振りは、所詮、芸界(芸事)は大なり小なり、こういった艶話のみで成り立っているのかと、ついつい考えてしまう。それに世間で誤解を招く恐れもあるぞ。落語のとりわけ艶笑小噺は、オチ(もしくは下げ)にチラッと表現されるのが粋と言うのならば、冒頭の“聞き違いエピソード”だけでも下ネタの役目は十分だと思うのだが・・・。しかし、それではこの作品の存在意義がないという事なのかも知れない。マキノ雅彦初監督作としては及第点だと思うが少々ハメ外し過ぎで、芸達者な出演者たちの熱演で救われている感は否めない。それにしてもこの映画、“通夜”で“艶”話と洒落てでもいるのだろうか。
[映画館(邦画)] 7点(2006-05-14 18:30:32)(良:1票)
92.  17歳の風景 少年は何を見たのか
常に時代と真正面に対峙してきた孤高の映像作家・若松孝二が実話にヒントを得て、犯罪を犯した少年の心の軌跡に迫った作品である。冒頭からマウンテンバイクをひたすら漕ぎ続ける少年の姿が映し出される。どうやら彼は北へと向かっているらしいが、何故北なのか。そして何処へ行こうとしているのだろうか。やがて彼が母親を殺害したらしい事が暗示される。しかしそこへ至るまでの経緯や動機、あるいは家庭の事情などは一切語られる事が無い。映し出されるのは彼の勉強部屋であり、親に買って貰ったであろうマウンテンバイクが象徴的に示されるだけだ。おそらく何不自由のない生活を送ってきたはずの彼が、何故そのような行動に出たのか。17歳という年齢は、言わば少年から青年への過渡期であり、多感で繊細であり反抗期といった成長過程における難しい年頃であることも事実だ。そしてそれが人を殺すという行為にまで発展してしまう事こそが、まさしく現代社会の歪みであり、時代そのものを象徴している現象だと言える。しかし、映画は敢えてテーマを掘り下げようとはせず、ただ徹底して彼の姿を追い続けていく。次々と変化する周囲の風景。中でも豪雪地帯や荒波の海岸などの厳しい自然描写は、少年の心象風景ともとれるが、装備の整え方から見ても、決して発作的に家を飛び出して逃避しているようには見えない。また苦悶する表情は、あくまでもペダルを漕ぐ辛さからくるものなのだろうし、罪の意識を感じていながらも表情だけはどこまでも冷静であり続ける。そこが彼らの尋常ならざる心理であり、怖いところなのだ。結局、旅は何処まで行っても、もがき苦しむだけで答えは見つからない。最果ての地でマウンテンバイクを谷底へ投げ捨て、叫び声を挙げる少年の姿で映画は終わる。そのとき彼は何かが変わったのか、または何も変わらなかったのか、映画は何も教えてはくれない。本作は、ドラマらしいドラマも無く、単調でありながら多くの事を感じさせるという、映像表現の難しさに果敢に挑戦した気骨のある作品だと言える。それだけに、二人の老人との出会いのエピソードは単なる世の中の恨み節にしか聞こえず、皮肉にも語ることの無意味さを覚えた。
[映画館(字幕)] 7点(2005-08-31 18:41:49)
93.  星になった少年 Shining Boy and Little Randy
本作は紛れもなく柳楽優弥を見せるための映画である。舞台が都会から農村に移ろうと、自然児のイメージとあの独特の眼差しはまったく変わることがない。演技に関してはまだまだ未成熟で、勉強の余地は十分に残されているが、それでも彼ひとりで一本の映画が成立してしまうのだから、その存在感たるや大したもの。映画は彼の一挙手一投足を余すことなく描写し、存分に魅力を引き出せている。そういう意味では成功作の部類に入るかも知れない。しかし一本の映画として総合的に評価すると、やはり物足らなさが残る。まずドラマとしての構成力が問題に挙げられよう。タイでの修行の後、一人前となって土地を後にするまでが前半の山場。しかし、帰国してから彼が不慮の死を迎えるまでの、後半部分が前半に比べると余りにも弱い。それは、ドラマらしいドラマが無いことに起因する。 ハッキリ言って、タイのシークエンスだけで事実上この映画は既に終わっているのである。だから後はどうでもいいようなエピソードの羅列で、彼の死までを繋いでいるようにしか見えない。実話に基づいているとは言うものの、「こういう事がありました」と断片的に披露しているに過ぎず、ドラマの中でとりたてて深い意味を帯びてこないのだ。もっとも、タイでの各シーンにしても、後半を気にしたような作りとなっていて、少年たちの訓練のプロセスや心の交流などが端折りすぎで、描き込みが足りない。製作者側としては、このタイでのエピソードにもっと焦点を絞るべきではなかったか。その事によって、何故彼が象使いに憧れを抱いたかというテーマが、より鮮明に浮び上がったと思う。象を始めとする様々な動物が出演することで、夏休みの子供向け映画としては無難な作品とも言えるが、人間までもが意味も無く大挙出演するのは、邦画の悪い癖で、映画の印象を散漫にするだけである。
[映画館(字幕)] 7点(2005-08-19 18:19:00)
94.  ニワトリはハダシだ
森崎東作品には、社会に対する反骨精神で貫かれている面が暫し見受けられるが、その姿勢は演出のみならず我々観客に対しても、決しておもねらない形で表れる。彼の言わんとする、あるいは描こうとする世界観は理解できるにしても、そのドラマツルギーは、一体いつの時代の話なのかと思うぐらい古臭く、表現方法は余りに稚拙である。これは演出レベルそのもを意味するものではなく、あくまでも彼独自の演出スタイルなのであるが、その散文的な演出法は、至って単純な物語を複雑で混沌とした物語へと変貌させていく。純真無垢な子供たちとカリカチュアされた悪い大人達、という単純な図式の割に、テーマが少しも見えてこないのである。だから捉えようによっては、焦点の定まらない印象の散漫な映画として見なされてしまう。いや、纏まりが無いのではなく、むしろ纏めようとしていないのだろう。人々の日常とはそういうものなのだと、ここでも彼の主張が聞こえてくるようだ。しかし達者な演技人があればこそ彼の映画の世界が構築できたとも言える。もともとは脚本家である彼の思想や哲学はプロであるが、それに見合う演出力は未だに備わっていないというのが、私の持論である。それにしても、これほど作風に変化の無い人も珍しいが、ベテランらしい演出の旨みやコクというものよりも、むしろ常に若々しい映像を提供してくれるのが、この人なりの魅力なのかも知れない。
[映画館(字幕)] 7点(2005-06-29 17:46:11)
95.  ハウルの動く城
宮崎アニメの作画の細やかで丁寧な仕事ぶりは作品数を重ねるごとに一段と磨きがかけられ、本作もその映像の際立った美しさは相変わらずなのだが、琴線をくすぐる程度で、心が大きく揺さぶられる程の感動をもたらせてはくれない。原因のひとつに、やはり物語性の希薄さと曖昧さが指摘できようか。しっかりとしたドラマツルギーがあればこそ、映像も引き立つというものなのだが、映像だけが独り歩きして、ドラマが付いて行っていないのだ。まるで宮崎自身が製作途中で飽きてしまい、その為に物語の構築が頓挫してしまったような印象を受ける。とりわけ映画の後半、物語性が後退していくに従って、映像の輝きが急速に失せていく。何より様々なキャラクターや状況設定が混沌かつ曖昧であること。そしてそれ以上に宮崎アニメのモチーフでもある魔法の驚きや神秘性への憧憬、そしてその必要性すらも曖昧さに終始している。何かが言い足りない。何かが描き足らない。まさに必要不可欠なシーンがカットされているような気がしてならない。(これが本当のディレクターズ・カットと言うのかも知れない。)映像さえ美しければそれでいいのか・・・と、つい言いたくなる。しかし世界的に大成功を収めている宮崎アニメに、我々はいつからそんなクオリティの高さばかりを要求するようになったのだろうか。今年八十歳になる母親に本作を見せてやると、「話はよく解からなかったけど、映像が美しくて心が洗われるようだった。」と喜んでくれた。それいいのだと思った。
[映画館(吹替)] 7点(2005-05-19 18:03:40)
96.  血と骨
前作「クイール」とはまさしく対極にある、本来の姿に立ち戻った崔洋一の真価を問う問題作。一旗揚げる野望を抱きながら、朝鮮半島から日本は大阪へと出稼ぎにやってきた金俊平という男が、金儲けと暴力で明け暮れるという壮絶な生きざまで、昭和初期から末期までの時代を駆け抜けていく。一種の“ピカレスクもの”とも言え、暴れん坊一代記といった趣の内容である。とにかく凄まじい暴力シーンの連続で、観るに耐えないような過激さを有する作品だが、平穏な生活を破壊してしまう金俊平の行動は常人の理解を超えるものであり、感情移入を挟み込む余地が無い程の理不尽さである。このあたり自分の為だけに本能のままに生き、他を受け入れると言う寛容さには無縁の男として徹底的に描かれていく。ただ、人間と人間との感情のぶつかり合いから激しいドラマが展開されるも、崔監督自身が暴力描写に心血を注ぎ過ぎたのか、金俊平の傍若無人ぶりばかりが強調されたような印象を受ける。彼にとって未知の土地で生きていくという事が、闘う事と同義語なのは理解できるにしても、これではハミ出し者が単に暴れているだけにしか見えず、本来の生きるという意味からは大きく逸脱しているように思う。純粋に愛を育んだ清子との関係に重点が置かれ描かれたように、人間としての内面をさらに掘り下げてほしかった。ビートたけしはこの人なりの力演を見せるが、相変わらずの一本調子で、過激なシーンだけは、まるで金俊平のDNAと一致したかのような暴れっぷりで、本領を発揮している。また濱田マリやオダギリ・ジョーなどが強烈な存在感を示しているだけに、鈴木京香の描き方には今ひとつ食い足りないものがある。 オープニングに新天地へ向かう若き日の金俊平が、目を輝かせながら工業地帯を遠景に臨むシーンを、エンディングにも用意したことが余韻をもたらし実に効果的であった。
[映画館(字幕)] 7点(2005-05-04 01:32:09)(良:1票)
97.  美しい夏キリシマ
黒木和雄監督のライフワークとも言える反戦をテーマに描かれた本作は、終戦を間際に控えた霧島を舞台にした群像劇である。監督自身の体験に基づいて描かれただけに、その意気込みには並々ならぬものを感じる作品だ。戦争映画とは言え日常化した戦闘機の編隊飛行があるという程度で、戦闘シーンなどと言ったドラマチックな場面がある訳もなく、むしろこの土地に住む名も無き人々の様々なエピソードを積み重ねていく事で、ドラマを確立していくというスタイルを採っている。そして彼らの日々の営みや慣習、戦時中のやり場の無い閉塞感といったディテ-ルがしっかりと描かれているからこその説得力が、ここにはある。出演者たちそれぞれの達者な演技が作品を支えてもいるのだが、その中でも生きていくことに彷徨する柄本佑と小田エリカの純真さには、まさにこの時代に生きている若者像を見事に体現してみせた。本作は“反戦!”と声高に叫ぶものではなく、その語り口はひたすら静謐であり続ける。それだけ余計心に染みるのだが、しかし、だからこそ戦争未亡人を兵士が慰めるという生々しいシチュエーションには、やはり違和感を覚えてしまうし、また監督の戦争に対する思い入れの強さが、果たしてどれほど戦争を知らない世代に普遍性を感じさせたかにも疑問が残ってしまう。
7点(2004-08-24 18:43:45)
98.  電送人間
本多猪四郎監督&円谷英二特技監督が描く東宝特撮シリーズの変身モノの一本。“変身”と言っても「ガス人間」や「マタンゴ」のように姿形が変わるわけではなく、物質電送機なる装置を利用して瞬間移動する際に一時的に変化するというものである。しかもそのメカは復讐の為のアリバイ工作としての役割をも担っている。「ザ・フライ」や「スタートレック」の例を挙げるまでもなく、物質転送は昨今のSF映画では目新しくも無いが、この当時ではまさに画期的なアイデアであり、また犯罪に悪用するといった点など、世界映画史的にみても他に例が見当たらず、そういう意味においては極めて稀有な作品だったと言える。話の発端が終戦時の旧陸軍仲間の裏切りからということもあり、彼らに対する報復が銃剣で突き刺して殺害してしまうという極めて残忍な手口で、さしずめ今ならホラーにでもなりそうな怨念話である。映画はこの神出鬼没の殺人鬼の謎を推理劇として恐怖感たっぷりに描いていくが、この復讐の鬼と化した須藤を演ずる中丸忠雄が、私憤で行動する男とメカのパワーを得た男という両面を見事に演じ、冷酷で不気味さを漂わせるそのイメージは未だに拭えないほど強烈である。今回の円谷特撮としては少々地味ながら、電送される男の姿をTVの走査線のように二次元的な形で描き、本作の独特の恐怖感をさらに盛り上げている。
7点(2004-07-14 18:16:53)(良:1票)
99.  阿修羅のごとく
四人姉妹が主人公というで、谷崎の「細雪」を連想しがちだが、昭和初期といった時代色が明確なのに対し、本作の時代はほんの二十数年前といった設定。それだけに、風俗や人物描写の表現に微妙なさじ加減は重要なポイント。たばこの自販機や清涼飲料水、あるいは白菜の漬物やヒビ割れた餅といった小道具で、この時代の雰囲気を出そうと躍起になってはいるが、むしろわざとらしくてあまり効果的でないように思われる。極めて古臭く一方では極めて今風といった、何とも奇妙なアンバランスさを感じるだけに、どうせなら21世紀の現代に置き換えても良かったのではないだろうか。で、森田芳光は向田邦子の作品世界を損なうことなく手堅く再現してみせたが、彼流の辛辣なアクの強さは陰を潜め、とりたてて目新しくも無いエピソードを羅列しているにとどまっている。要は森田作品らしさが感じられないのだが、これを力量の後退と見るか、円熟味を増したと見るかは、意見の分かれるところ。それにしても、「青春の門」で可憐な少女を初々しく演じた大竹しのぶが、こういった役柄を演じるようになったのかと、ある種の感慨を覚えるが、まだまだ役不足。八千草薫は誰を演じてもやはり八千草薫であり、そのキャリアからすれば仲代達矢ともども、可も無し不可も無しといったところ。深津絵里と中村獅童のカップルが図抜けて素晴らしいだけに、余計そう感じる。終盤が少々長いのもマイナス材料として挙げられる。
7点(2003-12-02 16:26:39)
100.  ロックンロールミシン
主人公はインディーズ・ブランドの服作りを目指すデザイナーの卵たち。本作は彼ら4人の若者それぞれのひと夏のほろ苦い青春ドラマ。夢と現実とのギャップにもがき苦しむという、彼らの夢に向かう躍動感や、後戻りできない焦燥感といったものが、真夏の逆光の揺らめきや煌めきを捉えたカメラで巧く表現されていたように思う。池内博之やりょうらの若手の演技にもまた魅了された。
7点(2003-08-24 18:11:36)
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