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1.  デビルマン 《ネタバレ》 
 遂に観てしまいました。しかも記念すべき2006年の一発目です・・・。ものすごく後悔。いろんな評価を観て、きっと史上最低レベルのバカ映画として、気軽に笑い飛ばしてしまえるかな、って思ったんです。忙しい上に寂しい新年のもやもやをまぎらわせるのに最適かな、って。暗澹とした気分です、おかげさまで。バカ映画ですらなかった。一言でいうと、ものすごく不憫な映画です。僕は正直、原作にしろテレビアニメにしろ、何の愛着もないですし、この監督さん(というかこの監督脚本夫婦)の映画もこれ以外一つも観たことがありません。だからこそ、一つの映画作品が、というか、もっと大きくいうと、ある程度巨額の予算をかけて造り上げられようとしている一つのプロジェクトが、自らの重さでがらがらと崩れていく様を見せられているような、寒々とした同時にものすごく腹立たしい気持ちになるばかりでした。きっとそれぞれのセクションの人間は、このプロダクトをなんとかいいものに仕上げようと頑張ったんだと思うんです。少なくともこれに関わった大部分の人たちは、多かれ少なかれ、各分野のプロだと思うんです。けなすのは簡単です、脚本も演出も演技も撮影もCGも照明も編集も音効も何もかもなんだかどうしようもありません。とりわけ脚本はまったくひどい。もうどうしようもなくひどすぎる。でもね、このあまりのひどさの出発点はきっと、監督や脚本家の能力のなさだけではないと思うんです。どうして各部門で、この程度のレベルのものでOK が出て、一つの作品が完成してしまうのか。ものを創りあげようとする”熱”みたいなもののここまでの欠如はいったいどうしたことなのか。「出来るなら俺だってこんなのには関わりたくないよ、でも関わっちまったからには、最低限俺は出来ることをやるよ」、そんな声が、映画全体から聞こえて来るようです。あまりに不憫でしょう。マーケティング、アドバタイジング、コンテンツビジネス、トレンド、損益分岐点、そんなうつろな言葉しか、この映画からは聞こえてきません。どうしてこんなものに嬉々として原作者が出演してるのか。映画という産業の、旧来からあるものと新しく興きてきたものの両方の悪しき部分だけが、結びついてしまったような印象があります。不憫。かつ、この上なく不愉快。一点は一生懸命さだけが伝わるふたりの若い女優さんに。かわいそうすぎる。もちろん、富永愛はのぞく!
[DVD(字幕)] 1点(2006-01-03 07:48:37)(良:6票)
2.  ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 
いいよね!これを同時代で見てしまった人は、いいよね、ってしか言えないですよね、やっぱり。ほとんど全てがここにはあるんですよ、きっと。冒険があって、あこがれがあって、ダンディズムがあって、はかない恋心があって、克己心があって、楽しさがもう溢れかえってる。まあ、なんでしょう、今みるといろいろ突っ込みどころはあるのかもしれません。やっぱり、ちょっと、宮崎さんロリコン趣味がすぎるかなあ、とも今観ると思うけど。いいよね!でも!楽しいんだもの。”なんと気持ちのいい連中だろう!”ほんと、そうなんです。気持ちのいい映画になってます。実は、クラリスが初恋の人って奴、僕の世代はほんとに多いんですよ。女の人はがっかりするだろうけどさ。
9点(2004-03-28 02:43:19)(良:1票)
3.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 
意外と面白くてびっくり。でも好きかと聞かれたら、好きじゃないです、ってはっきり言える。そんな映画でした。きっとすごくいっぱい日本のことも勉強して、脚本も練って、美術も凝って(美術は特に素晴らしかったと思います)、きちんと作り上げてるのはわかるんです。でも好きかって言われたら、好きにはなれない。なんでしょうね。うまく言えませんが、武士道って絶対にこういうことではないと思うんですよ、僕は。この映画で描かれる武士道って、どこかで滅びの美学、みたいなものにすり替わってる気がするんです。そしてすり替わってしまった武士道が、自己犠牲を美化してて、何かに殉じて死んでいくことを称揚している気がするんです。それって全然武士道ではないと思う訳です、僕は。武士道って、そんなことだと履き違えるからこそ、滅びてしまった概念だと思うんですよね。いかに生きるかをがむしゃらに突き詰めていったはずの考えを、滅びていくものへの哀惜みたいなものに巧みにすり替えてしまうことへの違和感が最後まで拭えませんでした。滅びる事への限りない哀惜はたとえば、「ワイルドバンチ」(最高に好きな映画です)みたいな形でしか現れないと思うんですよ。つまり何かに殉じて死ぬなんて何の意味も無いばからしいことだ、そんなのわかってる、それでもそれを全部わかった上であえてその醜さにに踏み込んでいく。滅びていくことってそういうことだと思うんです。この映画で肯定されて、美しく描かれているものって、大げさかもしれないけど、結局、アメリカが振りかざす正義とか、アルカイーダやオウムやパレスチナのテロリストが振りかざす正義につながってしまうものだと思うんですよ。美しさと正しさを、それと気づかずに混同してしまうことはやっぱり僕は違うと思う。まあ、そんなでかいこと言わなくたって、細かく言えば笑っちゃう突っ込みどころ満載なんですけど、この映画。いや、しかしトムクルーズ。彼がいなきゃこの企画自体成り立たなかったんでしょうけど、それにしたって、彼のポジションはあくまで狂言回しなんだから、それに徹して欲しかったです。チューすんなよ!小雪ちゃんと!最後も予感で終われよ!顔で終わんなよ!それじゃただのスター映画だろ!結局この映画のほんとのサムライは渡辺謙さんでも真田さんでもなく、日本一の切られ役、福本さん(ボブ!)だったなあ。そう思っちゃいます。
5点(2004-03-12 23:48:26)(良:2票)
4.  ナビィの恋
もう、はらはら泣いてしまいます。何回観たって。沖縄という土地に、僕ら沖縄出身者以外の日本人は、過剰に期待や希望を乗せ過ぎてる気がしないではないんです。それでもやっぱり、そういう過剰な想いさえも、沖縄という場所、というか、沖縄の人たちは、受け入れて、笑って、メロディに乗せて歌にしてくれるんじゃないか、そんな風に甘えてしまいたくなる。そんな素敵な映画です。登川誠仁のおじいがもう何より素敵です。すべてを、生きること全部を受け入れて笑う、その潔さ、そのよろこび、その悲しみ。そのかっこよさ。風が止んで、愛し続けた人が行ってしまう朝に、愛し続けた人にどんな言葉がかけられるのか。それでも、それでも、やっぱりあなたを想う。だからいつものように。笑って、幸せに。映画もそうやって終わります。続いてくことの素敵。この幸福感!たぶん映画としてはぎこちないところもあるんでしょう。それでも、というか、だからこそ、こんなにかわいらしい、小さないい映画になったんだと想います。小さなままでいることの偉大さ。そんな風にさえ思えてきちゃうほどいい映画です。それに、これの西田尚美に惚れてしまわない男はいないでしょう!そういいきってしまいたいほど、西田さんが魅力的。映し出される人や景色に安心して全体重で寄りかかっちゃえる、そんな優しい映画です。
10点(2004-03-11 03:01:31)
5.  用心棒 《ネタバレ》 
おもしろい!おもしろい!かっこいい!かっこいい!かっこいい!見終わった直後はやっぱりそうとしか言えません、こいつに関しては。“切られりゃあ痛ぇぞ”その後の電光石火!その後の袋手の背筋の伸びっぷり!”まあ聞け、おやじ”その余裕!”哀れな奴はでぇ嫌いだ!めそめそしやがるとたたっ切るぞ!”そう言い放った顔の苦悩!そういいながらも哀れな奴を助けて自ら危ない橋に足を踏み入れる、そのいさぎよさ!そのかっこよさ!いちいち言ったら全部のカットに感嘆符をつけなきゃすまなくなりそうです。映画史上最高のハードボイルドヒーローでしょう、三十郎は、きっと。ボガードだってかなわないもの、減らず口とやせ我慢のむこうの背筋の伸びっぷりったら!ヒーローの条件、ってきっとこの背筋の伸びっぷりだと思う訳ですよ。マックイーンしかり、イーストウッドしかり、ブロンソンしかり、ボーグナイン(ワイルドバンチ!)しかり。並みいる男達のなかでも図抜けてやっぱり三十郎!というか三船敏郎!なんですよね。またこの映画、脇がいい!山田五十鈴姉さんのまあ憎々しいこと!仲代達矢のまあニヒルなこと!東野英治郎のまあかいがいしいこと!加東大介の天真爛漫なこと!いちいちみんな心憎い訳です。これぞ娯楽映画、これぞエンターテイメント!ラストの三船の最高にかっこいい台詞まで、かっこよさがとにかく画面の隅っこにまで溢れかえってるような映画です!古いから,とか、白黒だから、とか、巨匠の名作なんだろ、とか、台詞が聞きづらいんだろ、とかで観るのを止めてしまってるのは余りにもったいないですよ!かっこいいってつまりこういうことだもの!かっこいいおとこが観たい男の子や女の子はこいつを観るべきですよ!僕は元気が無くたったり、自信がなくなったりしたらこれを観るようにしてます。元気や自信がわいてくる訳じゃないけど、かっこいいおとなになりたかったんだよな、俺、ってのを思い出させてくれるから。やっぱり、かっこいい、って男の子には最優先だと思うんです。こういうほんとのかっこよさが。かっこいい!!
10点(2004-02-10 03:19:33)(良:1票)
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